宮崎で生まれる“全力の一杯”とヨッシャー店主
このページでは『オモウマい店(2026年2月3日)』の内容を分かりやすくまとめています。
宮崎の名店・百姓うどんで湯気を上げるのは、ただのうどんではありません。山かけ、月見、エビ天…そして主役の たぬきうどん が勢ぞろいし、丼からあふれるほどの迫力で訪れた人をのみ込みます。
そこに立つヨッシャー店主の声は、店じゅうを震わせるほどまっすぐで、どこか温かいものを感じさせます。巨大ごぼ天やサラサラ天かすの裏側には、人と店が育て合う物語があり、一杯のうどんが特別になる理由が自然と伝わってきます。
宮崎・百姓うどんとは?地元に根付く「ヨッシャー」の店
宮崎市郊外にある 百姓うどん は、1979年創業のうどん専門店です。郊外の住宅街の一角にありながら、朝から地元客や家族連れがひっきりなしに訪れる、宮崎の“ソウルうどん店”のような存在になっています。住所は 宮崎県宮崎市大塚町乱橋。店内はテーブル席中心で、広々とした空間にずらりとお客さんが並び、どのテーブルにも大きな器とうどんがドンと置かれている光景が当たり前になっています。
番組でも映っていたように、名物店主・ 岩切宗百 さんのモットーは「お客さんを元気にすること」。店のSNSでは「みんなを元気にします! 1日約1000〜2000玉完売してます よっしゃああああ!!」と宣言していて、そのテンションのまま、オープンからクローズまで全力でうどんを作り続けています。
この店がすごいのは、単に量が多いだけではなく、「朝ごはん・昼ごはん・晩ごはん、どのタイミングでも通える生活インフラ的なうどん屋」になっている点です。朝7時から営業し、地元の人はモーニング代わりにも利用します。常連さんの中には、番組にも登場した 田中さん のように「通うこと自体が健康の秘けつ」になっている人もいます。百姓うどんは、食堂であり、コミュニティスペースであり、地域の人の生活リズムを支える場所にもなっているのです。
ごぼう天うどんと芸術的たぬきうどん
今回の放送で大きくフィーチャーされたのが、直径約25cmものごぼう天がどーんと乗った ごぼう天うどん、そして“芸術的”とまで称された たぬきうどん です。ごぼう天は、うどんの丼をほぼ覆い尽くすほどのサイズで、サクサクの衣とごぼうの香りが一気に広がる、見た目も味もインパクト抜群の一杯です。
一方、たぬきうどんの主役は天かす。百姓うどんの天かすは、揚げたあとに網で3度こし、さらに 1週間かけて油を切る というこだわりぶり。きめ細かく、口に入れるとフワッと溶けるような軽さがあり、番組でも「芸術的にきめ細かい」「口触りがよい」と絶賛されていました。たぬきうどん が440円という価格で提供されているのも驚きです。
メニューの幅広さもこの店の魅力です。巨大なごぼう天が主役の ごぼう天うどん(650円)、肉と卵と天かすが豪快にのった 特製肉うどん(760円)、山かけがツルッと喉をすべる 山かけうどん(650円)、肉と山菜、昆布、シイタケ、卵など具材がてんこ盛りになった 特製百姓うどん(800円)、油揚げ3枚がどっさりのった きつねうどん(540円)など、「どれを選んでもボリュームと満足感が保証されている」ラインナップです。
そして忘れてはいけないのが麺です。やや細めで、コシはガチガチではなく、出汁と一体になってスルスル入っていく優しいタイプ。イリコや昆布をベースにした出汁と相性が良く、ボリュームがあるのに最後まで重さを感じず食べ進められる“危険な”うどんでもあります。多くのお客さんが「普通盛りなのに、他店の大盛りクラス」と感じるほど、量もたっぷりです。
レインボータワーかき氷と夏の風景
うどんと同じくらい話題になるのが、夏限定の レインボータワーかき氷 です。高さ約80cmにもなる巨大かき氷で、カラフルなシロップが幾重にも重なり、まさに「タワー」の名にふさわしいビジュアル。テーブルに運ばれてくると、大人の目線ほどの高さまでそびえ立ち、その姿だけで周りの席から歓声が上がるレベルです。
番組では「夏は忙しかった」と語られていましたが、その裏側にはこのレインボータワーかき氷の存在があります。かき氷目当てのお客さんが一気に押し寄せ、臨時駐車場を100台分用意しても満車になるほど。店主も営業中はかき氷作りに追われるほどで、うどん屋でありながら“かき氷の名所”としても広く知られるようになりました。
通常サイズでもかなりの迫力ですが、テーブルの上でみんなで崩しながら食べるスタイルは、完全に“イベント”。過去の口コミでも「崩さないように食べるのは至難の業」「取り皿で分け合ってやっと完食」という声が多く、家族や友人同士でワイワイ楽しみながら食べるのが、この店ならではの夏の風物詩になっています。
元医者バイト春一郎さんの挑戦と旅立ち
今回の放送の大きな軸になっていたのが、元医師のアルバイト 春一郎さん のストーリーです。消化器外科の専門医として、胃や大腸の手術を行ってきた春一郎さんは、テレビで 百姓うどん の特集を見たことがきっかけで、「この店長と一緒に働いてみたい」と思い、店の門を叩きました。
働き始めて半年。最初はごぼう天の仕込みや盛り付けからスタートし、やがて出汁の扱い、天かすの管理、うどんの湯切りなど、店のほぼ全ての仕込みを習得。ついには、1日約1000人前以上をさばく店の心臓部ともいえる 製麺 を任されるまでになりました。バイトが製麺を担当するのは、店の歴史の中でも初めてのこと。店主・岩切さんも「100点」と認める職人レベルの腕前に成長しています。
そんな春一郎さんが、番組の中で「11月で百姓うどんを辞める」と告げます。理由は オーストラリア に渡り、英語を学びながら小麦の本場でうどんと向き合いたいという決意でした。オーストラリアは小麦の一大生産国。そこで語学と製麺の両方を深掘りし、将来自分の店を持つビジョンも語っていました。
最終出勤日には、10人前の ごぼう天うどん 将軍盛(3440円)を含む多くの注文を一手に任され、仕込みから提供までをやり切ります。その姿を見た岩切さんは、「最高だった」と胸を張って送り出しました。春一郎さん自身も「百姓うどんでの半年間は、人生の大きな財産になった」と語り、医師からうどん職人へと一歩踏み出した新しい人生のスタートを、番組は力強く切り取っていました。
新パート久保さんと常連パート田中さん
百姓うどんの魅力は、メニューだけではありません。そこで働く人たち一人ひとりの物語も、店の味を形作っています。まず紹介されたのが、新しくパートとして働き始めた 久保さん。10年以上前から百姓うどんの大ファンで、「いつかここで働きたい」と思い続けてきた人です。
久保さんは左手と右足首が不自由で、「迷惑をかけてしまうのでは」となかなか一歩が踏み出せないでいました。しかし店主・岩切さんから「やれるだけやってみよう」と背中を押され、思い切って挑戦することを決意します。2年前にお子さんを亡くしており、つらいときに百姓うどんに来て、変わらずうどんを作り続け声をかけてくれる店長の姿に何度も救われたといいます。今度は自分がお客さんにエネルギーを届けたい——その思いが、働く原動力になっています。
もう一人、番組で印象的だったのが、73歳のパート 田中さん です。毎日働くことが楽しくて仕方がないと話し、「ここで働くようになって、むしろ健康になった」と笑顔を見せていました。大量のうどんを運び、テーブルを片付け、厨房をサポートする日々そのものが、田中さんの“健康法”になっています。
百姓うどんの厨房には、番組を見て応募してきた若いアルバイト、夏の最繁忙期に「手伝わせてほしい」と名乗り出た年配の男性など、個性豊かなメンバーが集まっています。誰もが、岩切さんの「お客さんを元気にしたい」という思いに共感し、それぞれの事情や人生を抱えながらも、同じ厨房で汗を流している。その姿が、画面越しにもはっきり伝わってきました。
店主・岩切宗百さんの流儀とこれから
番組のラストを締めくくったのは、店主 岩切宗百 さんの言葉でした。「来る者拒まず、去る者追わず。それが俺の流儀」。実際に、元医者の春一郎さんも、新パートの久保さんも、73歳の田中さんも、全員が自分のタイミングで百姓うどんの扉を叩き、そしてそれぞれのタイミングで新しい道へ踏み出していきます。
春一郎さんが卒業した翌日も、百姓うどんはいつも通り、朝からうどんを茹で続けていました。店主は「いろんな人と出会って、いろんなことを吸収している。俺は進化した」と語り、別れよりも“出会いによって自分も変わり続けること”を選びます。その姿勢こそが、長年地元に愛される店を作り上げてきた原動力です。
百姓うどん は、巨大な ごぼう天うどん や レインボータワーかき氷 など“オモウマい”メニューで注目されがちですが、本質的には「人の人生が交差する場所」です。元医者がうどん職人としての第一歩を踏み出し、子どもを亡くした母親が再び笑顔を取り戻し、70代のパートさんが毎日働くことを楽しみに通う。そこに共通しているのは、岩切さんのまっすぐな気合いと、うどんを通じて人を元気にしたいという強い意思です。
今回の放送は、宮崎市 の一軒のうどん屋の物語でありながら、「働くこと」「生き方」「第二の人生」を考えさせてくれる回でもありました。画面のこちら側にいる私たちも、「自分のヨッシャーはどこにあるのか」を、思わず探したくなる内容だったと思います。


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