旬のブロッコリーが主役の物語
このページでは『食彩の王国「“栄養満点”旬のブロッコリーを丸ごと味わう!驚きの(秘)フレンチ」(2026年1月31日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
冬の畑で育ったブロッコリーは、つぼみだけでなく、茎も葉も驚くほど甘く深い味わいを秘めています。
産地のこだわり、中華のプロが見せる油通しの技、そしてフレンチが生み出す“丸ごと一株”の華やかな皿。
ひとつの野菜がここまで表情を変えるのか、と心が動くような世界が広がります。
今日の食卓が少し特別になる、その理由をたっぷりお届けします。
横須賀発・ブロッコリー新時代と食彩の王国のテーマ
2026年、ブロッコリーの立場が一気に変わろうとしています。
国が安定供給を支える「指定野菜」に、ブロッコリーが2026年4月から正式に追加されることになりました。これは1974年のばれいしょ以来およそ50年ぶりの“新メンバー”で、ブロッコリーの消費量や出荷量がここ数年で一気に伸びたことが背景にあります。
指定野菜に選ばれるのは、キャベツやトマト、だいこん、にんじん、たまねぎなど、日本人の食卓に欠かせない“主役級”の野菜ばかり。その仲間入りを果たすブロッコリーは、まさに野菜界の新エースです。
食彩の王国が今回フォーカスしたのは、そのブロッコリーの一大産地となっている神奈川県・三浦半島、横須賀エリア。寒さで甘みがぎゅっと詰まる冬は、もっともおいしい“旬のブロッコリーシーズン”。番組は、畑からレストランの皿まで、横須賀のブロッコリーがどのように生かされているのかを、物語のように追いかけていました。
ブロッコリーがここまで注目されるのは、味だけではありません。
ビタミンC、ビタミンK、βカロテン、葉酸、食物繊維などをたっぷり含んだ“栄養のかたまり”で、レモンを上回る量のビタミンCや、野菜の中でもトップクラスのたんぱく質量が報告されています。免疫力や肌、骨、腸内環境まで、全身を支えるパワー野菜として各メディアや専門家も紹介しています。
今回の放送は、そんなブロッコリーの“新時代”を、横須賀という具体的な土地と生産者・シェフのドラマを通して見せてくれる構成になっていました。
すかなごっそと人気店で広がるブロッコリーグルメ
まず番組が向かったのは、三浦半島の大型農産物直売所・すかなごっそ。
神奈川県横須賀市長井にあるこの直売所は、地元・三浦半島の野菜や果物、肉や魚、加工品が一堂に集まる“食のテーマパーク”のような存在です。名前は「横須賀(すか)の大地に生まれた新鮮野菜(な)のごちそう(ごっそ)」から来ていて、地産地消の拠点として地域の人に親しまれています。
冬の売り場には、朝どれのブロッコリーが山のように陳列されます。
冷え込む季節になるほど糖度が上がり、花蕾はぎゅっと締まり、茎まで甘くなる──そんな“冬ブロッコリー”の魅力を、すかなごっその生産者たちはよく知っています。直売所だからこそ、畑で収穫されたばかりの鮮度抜群のブロッコリーが、そのまま消費者のかごに入っていきます。
番組では、この横須賀産ブロッコリーを使いこなす街の人気店も登場しました。
一つ目は、中華レストラン・チャイナキッチン関。
ここでは、ブロッコリーの鮮やかな緑色と甘みを最大限に引き出す、卵白炒めや海鮮炒めが紹介されました。色を損なわず、食感をシャキッと保つ下ゆでの時間や、油通しの温度など、家庭でも真似できるプロのコツが詰まった料理です。
もう一つは、横浜市のフレンチレストラン・野菜レストランさいとう。
菊名や松本町エリアで評判の“野菜にこだわるフレンチ”で、コースのスープとして登場するのが、ブロッコリーのポタージュ カプチーノ仕立て。泡立てたミルクの層をのせ、カプチーノのような見た目に仕上げる一皿で、ブロッコリーの旨みをぎゅっと閉じ込め、クリーミーさと香りを両立させています。
こうした街のレストランが、横須賀のブロッコリーを多彩な料理に仕立てることで、生産地と都市部の食卓が一本の線でつながっていきます。
番組は、その起点となる畑へと視線を移していきました。
ブロ雅農園・鈴木雅智さんのこだわりブロッコリー栽培
横須賀市長井の畑で、ブロッコリーと真剣に向き合っているのがブロ雅農園の鈴木雅智さん。
園主の鈴木さんは、もともと農業高校の教員だった人物で、「農業は楽しい!!」を合言葉に、年間100種類以上の野菜を栽培するエコファーマーとして知られています。
畑の名前にまで“ブロッコリー”の「ブロ」をつけたブロ雅農園では、とくにブロッコリー栽培に力を注いできました。
こだわりの一つが土づくり。化学肥料や農薬に頼り切らず、有機質肥料を中心にした土づくりで、根がしっかり張る環境を整えています。これにより、茎は太く、花蕾はぎゅっと締まり、寒さに負けない力強い株に育ちます。
もう一つの大きなこだわりが、苗づくりの方法です。
鈴木さんが採用しているのは「地床苗」と呼ばれるスタイル。畑の地面に直接種をまき、その場で20cmほどの苗に育ててから、いったん引き抜き、別の畝に定植します。ポット苗に比べて手間も時間もかかりますが、その分だけ根が力強く張り、生命力あふれるブロッコリーに仕上がるといいます。
番組では、鈴木さんがブロッコリー一株一株の生育を見守りながら、「シェフに胸を張って届けられる野菜を作りたい」と語る姿が印象的でした。
指定野菜にまで上り詰めたブロッコリーの“裏側”には、こうしたストイックで熱い生産者の存在があります。
小学生6000人が学ぶ「ブロッコリーを丸ごと味わう」食育
ブロ雅農園のもう一つの顔が、食育の現場です。
鈴木さんの畑には、毎年6000人以上の小学生が農業体験に訪れます。子どもたちは土に触れ、ブロッコリーの苗を植え、成長した株を収穫し、その場で味わうところまでを体験します。
そこで鈴木さんが必ず伝えるメッセージが、「ブロッコリーは、つぼみだけじゃなく、茎も葉もおいしい」ということ。
一般的には房の部分だけが食卓に上りがちですが、実は茎や葉にはビタミンCや食物繊維がたっぷり含まれ、部位ごとに香りや食感が違います。茎の方がビタミンCが多いという報告もあり、「捨ててしまうにはもったいない部分」なのです。
子どもたちが畑でかじる採れたてのブロッコリーは、甘くてジューシー。
「え、茎がこんなに甘いの?」「葉っぱまで食べられるの?」という驚きが、そのままブロッコリーという野菜への興味と尊敬につながっていきます。
番組は、この“丸ごと食べる”という考え方を、単なる節約術ではなく、農家の思いと環境配慮が詰まったスタイルとして描いていました。
フードロスを減らしながら、栄養もおいしさも最大限に引き出す──ブロッコリーは、その象徴になりつつあります。
三浦海岸ビストロLEGUMEが挑む驚きのブロッコリーフレンチ
物語のクライマックスを飾ったのが、三浦海岸駅近くのビストロ・LEGUME(レギューム)。
店名はフランス語で“野菜”を意味し、カウンター7席の小さな店内で、三浦半島の野菜と魚介を主役にしたフレンチを提供する人気店です。東京・南麻布のフレンチレストランで腕を磨いた大塚野絵シェフが、2023年に地元・三浦半島へ戻りオープンさせた、まさに“地産地消ビストロ”。
今回、大塚シェフの元に届いたのは、ブロ雅農園から運ばれてきた“丸ごとのブロッコリー”。
シェフはまず、生のまま各部位を味見しながら、つぼみ・茎・葉それぞれの食感や香りの違いを丁寧に確認していきます。花蕾のほろ苦さ、茎のジューシーな甘み、葉の野性味ある香り──そのすべてをどう料理に落とし込むか、シェフの頭の中で瞬時にレシピが組み立てられていきます。
番組で登場した一皿が、金目鯛の鱗焼きとブロッコリーのロースト。
三浦の海で揚がる金目鯛を皮目パリッと焼き上げ、付け合わせにはローストしたブロッコリーを大胆に配置。高温のオーブンで焼くことで、甘みと香ばしさを引き出しつつ、食感はほどよい歯ごたえを残します。金目鯛の脂とブロッコリーのほろ苦さが重なり合い、冬の三浦半島ならではの“海と畑のマリアージュ”になっていました。
さらに、ブロッコリーの葉を主役に据えた、猪背肉とのローストも登場。
これまであまり注目されてこなかった葉の部分を、香り高い猪肉と組み合わせることで、ワイルドでありながら上品な一皿に仕立てています。葉のほろ苦さと猪肉の旨みが重なり合い、「葉っぱだけでもおいしい」とブロ雅農園の鈴木さんをうならせる出来栄えでした。
ブロッコリーを“付け合わせ”から“主役”へ。
LEGUMEの皿の上で起きていたのは、そんな価値の転換です。つぼみ・茎・葉、すべてを生かした料理は、ブロッコリーという野菜の可能性を一気に広げました。
番組のラスト、ブロ雅農園の鈴木さんは、皿の上のブロッコリーを味わいながら、「自分の野菜の新しい一面を見せてもらえた」と語ります。
畑とレストラン、農家とシェフ、小学生の食育とフレンチの最前線──その全てが一本のブロッコリーでつながった瞬間でした。
この回の食彩の王国は、ブロッコリーが指定野菜として迎える2026年を前に、“丸ごと食べて、丸ごと味わう”というメッセージを、横須賀と三浦海岸のリアルな風景とともに描き切っていました。


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