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テレ東【ブレイクスルー】低コストで発火しないリチウムイオン電池を発明!?スライム電池が変える次世代電池の安全常識|2025年12月13日

ブレイクスルー

発火事故を止めたい思いから生まれた「燃えない電池」の物語

この記事では「ブレイクスルー(2025年12月13日放送)」の内容を分かりやすくまとめています。
スマートフォンや電気自動車に欠かせない『リチウムイオン電池』は、とても便利な一方で、発火事故が後を絶ちません。番組は、その危険を根本から変えようとする研究者の挑戦を追いました。なぜ電池は燃えるのか、どうすれば燃えないのか、そしてその技術が社会をどう変えるのか。その全体像が見えてくる内容です。

相次ぐ発火事故が突きつけた電池の限界

『リチウムイオン電池』は、スマートフォン、電動工具、電気自動車など、身の回りの多くの製品に使われています。しかし内部には『可燃性の有機溶媒』が使われており、強い衝撃や傷、過熱によって『熱暴走』を起こすと発火する危険があります。
近年、モバイルバッテリーや電動機器の火災事故が相次ぎ、安全性への不安が大きくなっていました。こうした背景から、世界中で「燃えない電池」を目指す研究が進められてきました。

スライムという逆転の発想が生まれた研究現場

番組で訪れたのは東京・目黒区にある東京科学大学。ここで白鳥洋介特任教授が開発していたのが、世界でも珍しい『スライム電解質』を使った電池です。
この電池の最大の特徴は、『水系準固体電解質』を使っていることです。水をベースにしたイオン伝導体を、スライム状にすることで、液体のように燃え広がることがありません。
可燃性の有機溶媒を使わないため、衝撃を受けても、釘を刺しても発火しにくいという性質を持っています。この発想が、「電池は燃えるもの」という常識を覆しました。

衝撃でも燃えない電池が広げる新しい使い道

燃えないという特性は、これまで電池の使用が難しかった分野で力を発揮します。番組では、
・『AIデータセンター』の大型蓄電池
・物流倉庫で動く『無人搬送車』
・高い安全性が求められる『医療機器』
といった現場から強い関心が寄せられていることが紹介されました。
もし電池が燃えないなら、火災対策にかかるコストや不安は大きく減ります。安全性が最優先される場所ほど、この電池の価値は高まります。

普通の部屋で作れる電池という革新

もう一つの大きな特徴は、製造方法です。従来の『リチウムイオン電池』は、有害物質を扱うため、特殊な装置や厳しい環境管理が必要でした。
しかし『スライム電池』は、水・リチウム塩・セルロースなどを独自に配合し、電解質を作ります。それを電極と一体化して重ね、アルミで包み、真空パックすれば完成します。
特別なドライルームは不要で、『普通の部屋』で製造できる点は、低コスト化や量産への大きな可能性を示しています。
電圧は一般的な約3.6Vに対して約2.4Vと低めですが、その分『発火しない安全性』という大きな価値を持っています。

低電圧という課題と乗り越えるべき壁

一方で課題もあります。電圧が低いということは、エネルギー密度や出力面で不利になる場面があるということです。高いパワーを必要とする用途では、さらなる改良が欠かせません。
また、既存の電池産業に新しい電池を広めるには、規格づくりや設備投資、社会全体の理解も必要になります。白鳥洋介特任教授は、「全く新しい電池として、イチから世の中に伝えていくしかない」と語り、簡単ではない道のりを見据えていました。

リサイクルまで見据えた次の挑戦

番組後半では、『リチウムイオン電池のリサイクル』という次の挑戦も紹介されました。従来の電池は、使用後の処理が難しく、有害物質の問題も抱えています。
水系の『スライム電解質』を使う電池は、水に戻すことで材料を分離しやすく、『ダイレクトリサイクル』につながる可能性があります。これは、資源を無駄にしない社会に向けた大きな一歩です。
安全性だけでなく、環境への負担を減らすことまで考えた電池開発が進められていました。

まとめ

「ブレイクスルー(2025年12月13日放送)」で描かれたのは、『発火しないリチウムイオン電池』という技術そのものだけでなく、常識を疑い続ける研究者の姿でした。
スライムという一見意外な素材から生まれた電池は、安全性、製造のしやすさ、リサイクルの可能性まで備えています。
すぐに世の中が変わるわけではありませんが、電池の未来を静かに、しかし確実に変えていく力を感じさせる内容でした。

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