柴田ケイコが高知で生み出した「パンどろぼう」の原点
2026年10月4日放送のNHK Eテレ「だいすき!パンどろぼう 絵本作家・柴田ケイコ」では、高知を拠点に活動する絵本作家・柴田ケイコさんに密着し、「パンどろぼう」が生まれた背景や最新作が完成するまでの制作現場が紹介されます。45分の番組では、2026年10月にスタートしたアニメの制作舞台裏にも迫ります。
「パンどろぼう」は2020年の第1作刊行から6年でシリーズ累計600万部を突破。2026年9月にはシリーズ第8弾「パンどろぼうとさすらいラーメン」も発売され、絵本からアニメへと世界を大きく広げています。
この記事でわかること
- 柴田ケイコさんが絵本作家になるまでの歩み
- 「パンどろぼう」が名刺裏のイラストから生まれた経緯
- 600万部シリーズへ成長した理由
- 最新作「パンどろぼうとさすらいラーメン」とアニメ化
柴田ケイコは2002年からイラストレーター、2016年に絵本作家デビュー
公式動画:アニメ「パンどろぼう」ティザーPV第2弾
柴田ケイコさんは高知県出身で、現在も高知を拠点にイラストと絵本を制作しています。
2002年からフリーのイラストレーターとして活動を始め、書籍、広告、雑貨など幅広い仕事を手掛けてきました。
絵本作家としてデビューしたのは2016年。最初の絵本は手紙社から出版された「めがねこ」です。翌2017年には「おいしそうなしろくま」が第8回リブロ絵本大賞の大賞を受賞しました。
その後、
- 「しろくま」シリーズ
- 「ぽめちゃん」シリーズ
- 「パンダのおさじ」シリーズ
- 「パンどろぼう」シリーズ
など、食べ物と動物を組み合わせた作品を数多く発表しています。
柴田さん自身は、作品のアイデアについて、料理や散歩、季節の風やにおい、おいしいものなど、日常生活の中にある小さなおかしみから生まれると説明しています。
現在の「パンどろぼう」にも、柴田さんが以前から描いてきた「食べ物」と「少し不思議なキャラクター」の世界がつながっています。
「パンどろぼう」は名刺の裏に描かれていた1枚から始まった
現在では誰もが知るキャラクターになった「パンどろぼう」ですが、最初から絵本の主人公として考えられたものではありませんでした。
きっかけは、柴田さんが過去の個展で発表した「パンどろぼうの結城さん」というイラストです。
その絵は柴田さんの名刺の裏にも使われていました。
KADOKAWAの編集者・角田望さんが名刺を見た際、「パンどろぼう」という言葉の響きに強くひかれ、「このタイトルで絵本を作りたい」と柴田さんへ提案しました。
ただし、現在のパンどろぼうがすぐ完成したわけではありません。
最初の「パンどろぼうの結城さん」は、しろくまがパンをかぶった姿でした。
柴田さんにはすでに「おいしそうなしろくま」があったため、別の動物へ変更することになります。
茶色いくまも検討されましたが、パンとの色の違いが出にくいという問題があり、キャラクターの姿や設定を約1年かけて練り直しました。
つまり、現在のパンどろぼうは、絵本の企画から突然生まれたキャラクターではありません。
柴田さんが以前から描いていた1枚の絵を、編集者が名刺から見つけたことが大きな転機になりました。
2020年4月16日に第1作発売、コロナ禍から人気が広がった
第1作「パンどろぼう」が発売されたのは2020年4月16日です。
ところが発売時期は、新型コロナウイルスによる最初の緊急事態宣言と重なりました。
書店の営業にも大きな影響があり、絵本の新刊としては非常に厳しいタイミングでした。
そこでKADOKAWAは、WEBで作品を読める機会を作ったり、柴田さんによるInstagramでの読み聞かせを行ったりするなど、書店以外から作品を知ってもらう取り組みを展開しました。
結果として第1作は早い段階で重版となり、口コミとともに読者を増やしていきました。
「パンどろぼう」はその後、第11回リブロ絵本大賞の大賞、第1回TSUTAYAえほん大賞第1位などを受賞しています。
人気は1冊だけで終わりませんでした。
2作目「パンどろぼうvsにせパンどろぼう」も未来屋えほん大賞、TSUTAYAえほん大賞などで高く評価され、シリーズとして定着していきます。
1作目から「続けられる物語」の仕掛けが入っていた
「パンどろぼう」が長期シリーズになった背景には、1作目の制作段階からの工夫もありました。
第1作の物語では主人公がどろぼうをやめるため、そのままでは「パンどろぼう」という名前を使った続編を作りにくくなります。
そこで本の最後に、次の作品へ自然につながるイラストを加えました。
どろぼうをやめても、パンをかぶった姿のまま物語を続けられるようにしたのです。
さらに柴田さんの絵には、1回読んだだけでは気づかない細かな仕掛けが数多く入っています。
背景に小さな文字や物を忍ばせたり、シリーズを通して変化する部分を描いたりすることで、子どもが何度もページを開いて楽しめる作品になっています。
読み聞かせる大人は物語を読み、子どもはその間に細かな絵を探す。
「読む」だけでなく「見る」楽しさもシリーズ人気を支える大きな特徴です。
シリーズ累計600万部、「令和で最も売れている児童書」に
シリーズは2026年7月までに累計600万部を突破しました。
KADOKAWAは「パンどろぼう」を、2019年5月1日から2026年5月31日の集計で「令和で一番売れている児童書」としています。
絵本だけでなく、
- グッズ
- レシピ本
- 展覧会
- ファンクラブ
- カレンダー
- コラボ商品
- アニメ
へと展開が広がりました。
2025年にはキャラクターとして「日本キャラクター大賞2025 選定委員特別賞」も受賞しています。
ただ、本来の出発点は巨大なキャラクタービジネスではありません。
高知で活動していた柴田さんの名刺の裏側にあった、小さなイラストでした。
そこから絵本にするために約1年かけてキャラクターを練り直した結果、現在の600万部シリーズにつながっています。
最新作は第8弾「パンどろぼうとさすらいラーメン」
2026年9月16日には、シリーズ第8弾「パンどろぼうとさすらいラーメン」が発売されました。
価格は1,650円、32ページです。
舞台は、とても寒い「ぶるぶるじま」。
パンどろぼうがパンを作ろうとしたところ、窯を使えなくなる出来事が起こり、そこへ屋台でラーメンを作りながら旅をする新キャラクター「さすらいラーメン」が現れます。
「パンどろぼう」というタイトルから始まったシリーズに、おにぎり、スイーツ、そしてラーメンと、食べ物の世界が次々と広がっているのも特徴です。
NHKの特番では、この最新作が完成するまでの柴田さんの仕事にも密着します。普段は完成した絵本しか見ることのできない読者にとって、キャラクターや物語がどのように形になっていくのかを見られる貴重な機会です。
2026年10月にはアニメ「パンどろぼう」もスタート
「パンどろぼう」は2026年10月2日からNHK Eテレでアニメ放送も始まりました。
アニメーション制作を担当するのは、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」などでも知られるシンエイ動画です。
主なスタッフは、
- 原作:柴田ケイコ
- 監督:京極尚彦
- 副監督:山城智恵
- キャラクターデザイン:みやこまこ
- シリーズ構成:望月真里子
- パンどろぼう役:朝井彩加
- アニメーション制作:シンエイ動画
となっています。
絵本では静止していた表情や動きが、アニメでは声や音楽とともに動き始めます。
10月4日の「だいすき!パンどろぼう」では、柴田さんの絵本制作だけでなく、アニメ制作の舞台裏、パンどろぼう役の朝井彩加さん、エンディング主題歌を担当するきゃりーぱみゅぱみゅさんへのインタビューも紹介されます。
柴田ケイコの作品と「パンどろぼう」は購入できる
柴田さんの絵本は全国の書店やオンライン書店で販売されています。
「パンどろぼう」第1作の基本情報は、
- タイトル:パンどろぼう
- 作:柴田ケイコ
- 発売日:2020年4月16日
- ページ数:32ページ
- 定価:1,650円
- 出版社:KADOKAWA
です。
最新刊は、
- タイトル:パンどろぼうとさすらいラーメン
- シリーズ:第8弾
- 発売日:2026年9月16日
- ページ数:32ページ
- 定価:1,650円
- 出版社:KADOKAWA
となっています。
シリーズを第1作から追えば、主人公や仲間たちの関係が少しずつ広がっていく流れも楽しめます。
まとめ
柴田ケイコさんは2002年からフリーのイラストレーターとして活動し、2016年の「めがねこ」で絵本作家としてデビューしました。
そして大きな転機となったのが、名刺の裏に描かれていた「パンどろぼうの結城さん」です。
編集者がその言葉とイラストに目を留め、約1年かけてキャラクターと物語を作り直したことで、2020年に「パンどろぼう」が誕生しました。
第1作刊行から6年。
シリーズは累計600万部を突破し、2026年9月には第8弾「パンどろぼうとさすらいラーメン」が発売。そして10月にはアニメ放送も始まりました。
高知の日常から生まれる小さなアイデアを、一冊ずつ絵本へ変えてきた柴田さん。
名刺の裏にあった1枚のイラストが、子どもから大人まで知る600万部のキャラクターへ育った過程こそ、柴田ケイコさんと「パンどろぼう」を知るうえで最も大きな物語です。
参考リンク
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