入交優が大学生から「都市モデラーMAJIRI」になるまで
2026年10月4日放送の「家、ついて行ってイイですか? ニッポンの職人ワザSP」では、鉄道模型イベントで出会った男性が作る新宿・渋谷のジオラマと、取材から2年後に大きく進化した現在が紹介されます。番組で扱われる人物が、Cityscape Studioを主宰する都市モデラーMAJIRIこと入交優(いりまじり・ゆう)さんです。
入交さんは1998年生まれ、三重県四日市市出身。和歌山大学で建築・土木を学びながら、大学4年のコロナ禍をきっかけに、幼いころから好きだったジオラマ制作を仕事にすることを決めました。
現在は東京を拠点に、渋谷、新宿、東京駅、新橋など「都市そのもの」を小さな世界へ落とし込むプロのジオラマ作家として活動しています。2026年には、半年・約1400時間をかけた大型渋谷ジオラマが東京・有明のスモールワールズに常設展示されました。
この記事でわかること
- 入交優さんがジオラマ作家になった転機
- MAJIRI・Cityscape Studioとしての現在の仕事
- 半年1400時間をかけた渋谷ジオラマの特徴
- 大型渋谷ジオラマを実際に見られる場所
入交優は1998年生まれ、三重県四日市市出身
公式動画:半年1400時間をかけた渋谷ジオラマ制作過程を30分で|Cityscape Studio
入交優さんは、クリエーターネーム「都市モデラーMAJIRI」として活動するプロのジオラマ作家です。
1998年に三重県四日市市で生まれ、幼いころから街並み、自動車、鉄道が好きでした。現在の作品にも、この3つがほぼ必ずと言っていいほど登場します。
進学したのは和歌山大学です。
大学では建築・土木を専攻し、課外活動ではソーラーカーの開発・設計にも参加しました。精密な模型だけを学んできた人物ではなく、建物や道路、構造物を考えるバックグラウンドを持っています。
その経験は、現在のジオラマにも生きています。
入交さんの作品は、建物をそれらしく並べるだけではありません。駅、道路、線路、地下空間、高架、街区などを一つの「都市構造」として組み立てることが大きな特徴です。
小学生のNゲージから始まった「街を作る」面白さ
入交さんがジオラマに触れた原点は、小学生のころまでさかのぼります。
最初はNゲージの鉄道模型を走らせるために、小さな田園風景を作っていました。
ところが制作を続けるうちに、鉄道を走らせる背景だったはずの「風景そのもの」を作ることの方へ興味が広がっていきます。
現在では、電車が主役の鉄道模型というよりも、街全体を再現し、その中の一要素として鉄道が走る作品を手掛けています。
入交さんが「都市モデラー」を名乗る理由もここにあります。
ビルの表側だけでなく、路地、高架下、道路の汚れ、建物の裏側、壁の風化まで作り込む。
普段は通り過ぎてしまう都市の何気ない風景を、ジオラマにすることで改めて見せるのが入交さんの作品です。
大学4年のコロナ禍が人生の転機になった
プロになる大きな転機は、大学4年生だったコロナ禍でした。
社会全体の活動が大きく制限されるなか、入交さんは幼いころから続けてきたジオラマ制作を、趣味ではなく仕事にすることを決めます。
大学卒業後は、東京・有明にある大型ミニチュア施設「スモールワールズ」に入社しました。
そこでミニチュア設計を担当し、実際に人へ見せる巨大展示物の制作経験を積みます。
そして2022年、ジオラマ作家として独立しました。
進路として非常に興味深いのは、大学で学んだ建築・土木をそのまま建設会社などで使うのではなく、「街を縮小して作る」という形で生かしたことです。
大学時代まで趣味だったものが、コロナ禍を境に職業へ変わりました。
渋谷スクランブル交差点で注目を集める
入交さんの名前が広く知られる大きなきっかけとなった作品の一つが、渋谷スクランブル交差点のジオラマです。
最初に渋谷を制作したのは大学時代でした。
東京出身の友人から「次は渋谷を作ってほしい」と言われたことをきっかけに挑戦。当時は学生で、何度も東京へ現地調査に行ける状況ではなかったため、Googleストリートビューなども利用しながら街を調べて制作しました。
完成した作品を公開すると大きな反響が生まれます。
1/150スケールで再現されたスクランブル交差点には、人、車、建物、道路標示などが細密に配置されました。
さらに入交さんは、都会のきれいな部分だけを作っていません。
建物の汚れや裏側まで再現することで「その街らしさ」を出すことを重視しています。
この渋谷作品をはじめ、新宿駅周辺や首都高速、東京駅など都市景観の作品を次々と制作し、「Cityscape Studio」として活動を広げていきました。
Cityscape Studioは都市の「今」をジオラマに残す工房
現在の入交さんの活動拠点がCityscape Studioです。
東京都内の作業場を中心に、都市風景をテーマとしたジオラマを制作しています。
特徴は、完成品だけを納品する工房ではないことです。
- 都市ジオラマの制作
- 既存作品の展示・貸し出し
- 鉄道模型を使ったイベント展示
- 制作過程のYouTube発信
- 模型関連製品の紹介
- 観光地や地域をテーマにしたプロモーション
などへ仕事が広がっています。
公式サイトでは、YouTubeチャンネル登録者数が28万人以上と案内されています。
制作過程そのものを動画にするため、視聴者は完成品を見るだけではありません。
何もない板の上に道路ができ、駅ができ、建物が立ち、人が置かれ、一つの都市になっていく過程を追うことができます。
入交さんにとってYouTubeは宣伝手段だけではなく、「作る過程も作品として楽しんでもらう場所」になっています。
2026年、渋谷を半年1400時間かけて再び作った
2026年、入交さんは学生時代にも作った渋谷へ再び挑戦しました。
今度は個人作品の規模を大きく超える、スモールワールズの常設展示です。
制作期間は約半年。
Cityscape Studio公式動画では、約1400時間に及ぶ制作工程として紹介されています。
完成した「渋谷エリア」は1/80スケール。スクランブル交差点だけでなく、渋谷駅や地上・地下の鉄道空間まで立体的に作り込まれました。
学生時代の作品が1/150だったのに対し、新作は1/80。
スケールが大きくなった分、建物、道路、人、駅構内など、さらに細かな表現が可能になっています。
特に渋谷は、地上を歩いているだけでは構造を把握しにくい街です。
複数の鉄道路線が上下に交差し、駅、地下道、道路、高層ビルが重なっています。
ジオラマでは、その複雑な構造を一度に見渡せるのが大きな魅力です。
約5000体の人と3000個のLEDで渋谷を動かす
大型渋谷ジオラマは、建物を正確に作っただけではありません。
東急公式の紹介では、約5000体のフィギュアが配置され、約3000個のLEDを使った光の演出も組み込まれています。
昼と夜が切り替わり、鉄道も走行します。
スクランブル交差点を上から見ると、小さな人々が密集し、その周囲にビルが立ち、地下には鉄道が走る。
「模型」というより、実際の渋谷を丸ごと切り取ったような空間です。
入交さんが学生時代に作った渋谷と、プロとして作った2026年の渋谷。
「家、ついて行ってイイですか?」で紹介される“とんでもない進化”は、この数年間で作品の規模も活動そのものも大きくなったことを象徴しています。
渋谷ジオラマはスモールワールズで常設展示
入交さんが手掛けた大型渋谷ジオラマは、東京・有明の「スモールワールズ」で常設展示されています。
- 施設名:スモールワールズ
- 所在地:東京都江東区有明1-3-33
- 展示:3階「渋谷エリア」
- スケール:1/80
- オープン:2026年6月11日
- 主な再現エリア:渋谷スクランブル交差点、渋谷駅、地下鉄・地下空間など
展示では、完成した作品だけでなく、地上から地下まで重なり合う渋谷の構造を立体的に見ることができます。
作品をテレビやYouTubeで見て終わらず、実際に訪れて確認できることも入交さんの強い特徴です。
「平成の風景をジオラマで残す」が現在のテーマ
入交さんがCityscape Studioで掲げているのが、「平成の風景をジオラマで残す」という考えです。
都市は常に変わります。
古いビルがなくなり、駅が改修され、道路が変わり、新しい再開発が始まります。
写真なら平面的に残すことはできますが、ジオラマなら街を立体のまま保存できます。
現在の何気ない風景も、20年、30年後には存在していないかもしれません。
入交さんは、それを精密な都市ジオラマとして残そうとしています。
鉄道模型が好きだった小学生が、大学で建築・土木を学び、コロナ禍をきっかけに好きだった模型を職業へ変える。
そして学生時代に作った渋谷へ、プロとして再び戻ってきた。
入交優さんの歩みと作品の変化が、そのまま現在の巨大渋谷ジオラマへつながっています。
まとめ
入交優さんは1998年、三重県四日市市生まれのジオラマ作家です。
小学生のころにNゲージの風景作りを始め、和歌山大学では建築・土木を専攻。大学4年のコロナ禍をきっかけに、ジオラマ制作を仕事にすることを決意しました。
スモールワールズでミニチュア設計を経験した後、2022年に独立。
現在は都市モデラーMAJIRIとしてCityscape Studioを中心に活動し、渋谷、新宿、東京駅など、日本の大都市をリアルなジオラマとして残しています。
そして2026年には、学生時代にも制作した渋谷を1/80スケールで再制作。
約半年、1400時間をかけ、スクランブル交差点だけでなく渋谷駅や地下空間まで再現した大型作品が完成しました。
「家、ついて行ってイイですか?」で最初に取材された模型好きの青年が、数年後には東京を代表する街そのものを常設展示として作るプロの都市モデラーへ。
今回の放送では、その変化が最も大きな見どころになります。
参考リンク


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