父島で夢を追う若夫婦と八王子の男たちの人生再出発SP
2025年5月18日(日)21:20からテレビ東京で放送された『家、ついて行ってイイですか?』では、「ワケあって人生激変した人SP」と題し、東京都の離島・父島で夢を追う若い夫婦と、東京・八王子で人生を模索する男性たちに密着した内容が紹介されました。ゲストには卓球金メダリストの水谷隼さん、お笑いコンビのラランド(ニシダさん、サーヤさん)も登場し、MCの矢作兼さん(おぎやはぎ)・狩野恵里アナウンサー・ビビる大木さんとともに、深い人間ドラマを見守りました。
父島で夢を追う若夫婦の挑戦と島での暮らし
東京都心から約1,000kmも離れた場所にある小笠原諸島・父島は、自然の豊かさが守られてきた世界自然遺産の島です。飛行機では行けず、アクセス手段は「おがさわら丸」という大型船のみ。竹芝客船ターミナルから出航し、片道24時間かけて島に到着します。インターネットや携帯の電波が届かない船内で、取材ディレクターは「ゴルゴ13」を読みながら過ごしたそうです。
2等和室の運賃は29,320円、特等室は87,360円。大自然を目指すには時間もお金もかかりますが、そのぶん非日常が待っている場所です。
そんな父島で出会ったのが、自販機でジュースを買っていた24歳のかずひろさんと、26歳のみすずさん夫妻。ふたりは東京都・蒲田のドミノピザで先輩後輩として知り合い、やがて結婚。夫の「3kgのアオリイカを釣りたい」という思いをきっかけに、この遠く離れた島に移住しました。
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夫の前職:宅配弁当の配達員
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妻の前職:美容サロンの営業職
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移住の理由:アオリイカを釣るという夫の夢
現在は、妻が小笠原生協で勤務し、夫は物流関連の企業に就職。2人の暮らしは、風呂・トイレ共同の1R(家賃6万円)でスタートしました。船が週に1度しか来ないため、食材の買い出しは計画的に行う必要があります。冷蔵庫の中はいつもぎっしり詰まっていて、納豆やパンなど人気商品はすぐに売り切れてしまうとのことです。
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食材の補給:週に1度の船便のみ
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買い物事情:パンは届いた日が賞味期限、納豆は競争必至
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台風時:船が止まり、島から完全に食料が消えることもある
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洗濯機:共同スペースに設置されている
昼休憩に海で泳いだり、サーフィンを楽しんだりする島民も多く、自然の中での生活はとても開放的です。2人の部屋には、上京前の友人たちから贈られた寄せ書きの色紙が飾られており、新たな土地でも人とのつながりを大切にしている様子がうかがえました。イルカやクジラと出会える環境の中で、島民は移住者にとても親切で優しい雰囲気だといいます。
取材から7ヵ月後の春、大潮のタイミングに合わせて再び取材班が父島を訪問。3kgのイカを釣るという夢の実現に挑戦する2人に同行しました。釣りポイントは島民しか知らないような場所で、険しい道を進まなければならないスポット。潮の満ち引きやプランクトンの動きが釣果を左右するため、このタイミングが最適とされていました。
しかし、この日は期待とは裏腹に釣果はゼロ。翌日は島の反対側のポイントへ移動して再挑戦しましたが、結果は同じでした。最終的に、島のイカ釣り名人・吉田さんに案内されて沖から挑むことになりましたが、やはりイカは釣れませんでした。ただ、吉田さんが過去に4kgのアオリイカを釣り上げた写真を見せてくれ、その夢が本当に実現可能なものだと感じさせられました。
島を離れる際、かずひろさん夫婦は取材ディレクターに手編みのレイを贈り、港まで見送りに来てくれました。その温かい別れの光景には、取材陣も胸を打たれたようです。夢のイカはまだ釣れていませんが、2人の挑戦はこれからも続いていきます。「またいつかリベンジしに戻って来たい」という言葉が、視聴者にも強く印象に残るラストとなりました。
八王子で見つけた“モテたい”CGクリエイターの再出発
東京・八王子駅の夜、取材班が出会ったのは、32歳のCGクリエイター・のりおさん。彼は、YouTube登録者84万人という大人気チャンネルを共同運営するクリエイターでありながら、意外にも「これまで彼女が一度もできたことがない」という悩みを抱えていました。過去には気になる女性を食事に誘ったところ、SNSでブロックされてしまったというつらい経験もあったそうです。
そんな彼の現在の仕事は、ゲーム開発を中心に据えたCG制作。以前はPepper(ペッパー)の動作開発にも関わっていた経歴があり、技術的なスキルと創作への情熱は確かなものです。生活面では、高校時代の友人と2LDKの部屋でシェアハウスをしており、家賃は65,000円。築28年の建物ですが、家の中にはアニメ『ガールズ&パンツァー』のフィギュアが丁寧に並べられ、作品への愛情が随所に感じられます。
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居住環境:築28年の2LDK、家賃65,000円、友人との同居生活
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趣味空間:アニメフィギュアのコレクションを丁寧に陳列
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イラスト:副業としてキャラクターイラストも手掛けている
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YouTube:登録者84万人、収益は本業より少し多め
のりおさんの特徴は、自分を変えたいという前向きな気持ちをしっかり持っていること。SNSでの失敗も一つの転機として受け止め、「津田健次郎のようになりたい」という明確な目標を立てています。津田さんは渋くて落ち着きのある印象の俳優として知られており、のりおさんはその雰囲気を目指して外見も内面も磨こうとしています。
現在の体重は120kgと公言していましたが、健康のためにランニングを始めたとのこと。外見だけでなく、人との関わり方や話し方にも意識を向けており、日常の中に変化を取り入れる努力を続けている様子が印象的でした。
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目標:津田健次郎のような大人の魅力を目指して変身中
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健康管理:ランニングを開始、食生活の見直しにも挑戦
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家族思い:母親に「すし銚子丸」を奢るなど親孝行も実践中
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フィギュア&イラスト:趣味を活かして収入にもつなげている
彼の生活には“宅オタク”な一面もありますが、それを隠すのではなく、自分のスタイルとして大切にしつつ、自分を変えようと努力している点が、むしろとても魅力的でした。落ち込みや悔しい経験を自分の成長の糧として捉え、ひたむきに進んでいく姿は、共感を呼ぶ内容でした。
のりおさんの姿からは、「人は何歳からでも変われる」というメッセージが伝わってきます。日々の暮らしの中で一歩踏み出す勇気を持ち、自分自身と向き合っていくことの大切さを、視聴者にも静かに語りかけるような印象深いエピソードでした。
“遊んで暮らす”を選んだ八王子の映画愛あふれる男性の現在
東京・八王子駅前で取材ディレクターが出会ったのは、53歳・バツイチの渡辺さん。彼はこの日、壊れてしまったプレイステーション2を修理するために、モニターを購入しにドン・キホーテ八王子駅前店を訪れていました。取材ディレクターは、モニター代を負担する代わりに彼の家までついて行くことに成功。さらには、渡辺さんが自腹でビールを買ってあげるという気前の良さも見せてくれました。
渡辺さんの住まいは、築30年のワンルーム、家賃38,000円の賃貸マンション。本人が「ジャングル・ツアーズみたい」と表現するように、部屋には映画関連の品々が文字通り天井まで積み重なっている状態でした。壁には、1987年の名作『アンタッチャブル』のポスター。部屋の一角には、大量の映画パンフレット、VHS、DVD、ブルーレイ、映写機までが所狭しと並べられていました。
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映画グッズ:パンフレット、ポスター、VHS、DVD、Blu-ray
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部屋の雰囲気:「ジャングル・ツアーズ」と自ら形容するほどの物量
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家賃:築30年の1Rで38,000円
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生活スタイル:ひとり暮らし、両親は他界、子どもはいない
若い頃、渡辺さんは映画評論家になりたいという夢を持っていたそうです。当時アルバイトで貯めたお金で手に入れたパンフレットも、現在ではBOOK OFFで100円で買えるようになったと話しつつ、「処分できず、今でも全部とってある」と語るその姿は誇らしげでした。
彼の一番好きな映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』。少年と映写技師の交流を描き、世界中で愛され続けている名作で、彼の映画人生を象徴するような作品です。「両親は亡くなり、子どももいない。でも、寂しさより、遊びたい気持ちのほうが強い」という言葉に、孤独と向き合いながらも、自分の人生を前向きに生きていこうとする強い意志が込められていました。
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好きな作品:『ニュー・シネマ・パラダイス』、次点で『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』なども所有
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映画観賞環境:プレイステーション2と新しいモニターを用意して接続
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結果:画面に「信号がありません」と表示され動作せず…
モニターを接続し、いざ映画鑑賞……と思いきや、残念ながら画面には「信号がありません」の表示。機器トラブルで動作はせず、修理の道のりは続きます。しかし、渡辺さんは終始笑顔で、ユーモアを交えて取材に応じてくれました。
ディレクターが「映画評論家になりたかったという渡辺さんに、おすすめの1本を教えてください」と尋ねると、渡辺さんは「濡れた団地妻かな」と即答し、場を大笑いに包みました。シリアスとユーモアのバランスが絶妙な、まさに人生を“遊んで”生きる男の姿がそこにありました。
孤独という言葉が重くのしかかる年齢に差しかかりながらも、渡辺さんは自分の人生を映画のように演出し、自分らしく暮らすことを選んでいるように見えました。部屋の中にあふれるフィルムやポスターは、単なる趣味ではなく、過去の夢と現在の自分をつなぐ大切な“記憶の装置”なのかもしれません。
彼の語る「遊んで暮らす」という言葉は、決して怠けることではなく、好きなことに全力を注ぎ、孤独すらも味方につけて生きる覚悟そのものでした。そんな彼の生き方は、今の時代を生きる多くの人たちにとって、勇気を与えてくれる一例となるはずです。
下北沢で出会った“元たけし軍団”なべやかんの今と家族の歴史
今回の『家、ついて行ってイイですか?』で最後に紹介されたのは、下北沢駅前で偶然出会った漫談芸人・なべやかんさん(54歳)でした。芸歴34年目の元たけし軍団として知られるなべやかんさんですが、この日は愛犬を亡くしたばかりで、いつもの散歩コースを静かに歩いていた最中でした。さすがにその日は取材が難しい状況だったため、後日あらためて自宅に伺うこととなりました。
なべやかんさんの自宅は、築20年の3階建て賃貸住宅で、間取りは2LDK。1階は倉庫として利用され、駅からのアクセスが良く、ペット可の物件という点が決め手で選んだそうです。室内にはルームランナーとぶら下がり健康器があり、「背が縮まないように毎日ぶら下がっている」と語っていました。ちなみに現在の身長はおよそ154cmとのことですが、本人いわく「猫ひろしよりは勝ってる」とのことでした。
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自宅:築20年の3階建て、2LDK、駅近・ペット可
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健康習慣:ぶら下がり器とルームランナーで体力維持
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生活環境:冷蔵庫は空っぽ、食欲もなくなるほどの喪失感
愛犬の死でショックを受け、食欲がまったくなく冷蔵庫の中もスカスカになってしまっていたというなべやかんさん。家事全般は妻・まりさん(47歳)が行っており、部屋は非常に整えられていました。まりさんは元ラジオ局勤務で、なべやかんさんが番組を担当していたことが出会いのきっかけ。とても綺麗好きな性格で、生活感を感じさせないほど清潔感のある部屋を維持しているそうです。なべやかんさん自身はコレクター気質が強く、物が増えてしまうタイプですが、まりさんが定期的に整理してくれることで、バランスが保たれているようです。
さらに、コレクションの一部を見せてもらうために、実家へ移動することに。そこでは、かつての騒動「明大替え玉受験事件」についても触れられました。この事件は1991年に発覚した不正入試問題で、当時人気だったなべおさみさんの息子・なべやかんさんが、スポーツ推薦枠(相撲部)を利用して不正に受験したというもので、記者が玄関前にずらりと並ぶほどの社会的関心を集めました。取材ディレクターがこの事件を知らなかったことで、改めて時代の流れも感じさせる場面となりました。
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実家訪問:貴重なコレクションと家族の歴史に触れる機会
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明大事件:1991年の替え玉受験問題に関する貴重な証言
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家族の背景:父・なべおさみ、母・笹るみ子という芸能一家
実家には、玄関に「安倍晋三」「小泉純一郎」と書かれた札が飾られており、これは母親の通夜に際して贈られた花の名札でした。母・笹るみ子さんは「青い山脈」「社長太平記」などに出演した映画女優で、芸能界では名の知られた存在です。父・なべおさみさんはハナ肇の付き人を経て、クレージーキャッツなどでも活躍した喜劇俳優。なべやかんさんはまさに芸能一家のサラブレッドとして育ったことがわかりました。
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母:笹るみ子(女優)
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父:なべおさみ(喜劇俳優)
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所縁:ハナ肇とクレージーキャッツ、渡辺プロダクションなど昭和芸能の系譜
彼の部屋に並ぶコレクションや過去の出来事には、昭和から平成、令和へと続く芸能史の重みが詰まっていました。なべやかんさんの人生は、笑いあり波乱ありのドラマそのもの。取材を通じて、表では見せない家族への想い、芸人としての誇り、そして愛犬との別れに向き合う姿が静かに描き出された回となりました。自らを語るその言葉一つひとつが、人生の重みを感じさせる深いものでした。
まとめ
今回の『家、ついて行ってイイですか?』は、夢を追って島に移住した夫婦の挑戦と、都市で孤独や挫折と向き合う男性たちのリアルな人生が丁寧に描かれた内容でした。それぞれの選択には理由があり、どの人生にもドラマがあると改めて感じさせてくれる放送でした。
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