「初回無料」にご用心!ネット通販に潜む“ダークパターン”とは
ネット通販を使う人が増えているいま、スマホやパソコンから簡単に買い物ができて便利ですが、実はその裏側には思わぬ落とし穴が潜んでいることがあります。2025年7月15日放送予定のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」では、そんなネットショッピングの落とし穴、「ダークパターン」について特集が組まれる予定です。
ダークパターンとはどんなもの?
意図せず誘導されるしくみ
「ダークパターン」とは、ユーザーが知らず知らずのうちに不利な行動をとってしまうように仕組まれた、ウェブサイトやアプリのデザインのことです。たとえば「初回無料」と書かれている商品を注文したつもりが、実は定期購入が始まってしまう、といったケースです。最近ではこのような手口が増えており、特に高齢者の方が被害にあいやすいことが問題になっています。
よく使われる7つのテクニック
ダークパターンにはいくつかの典型的な方法があります。以下のような手口が多く見られます。
名前 | 内容の例 |
---|---|
Sneaking(こっそり) | 「初回無料」のように見せかけて、実は定期購入が含まれている |
Urgency(急かし) | 「あと5分で終了」「在庫残りわずか」といった焦らせる表示 |
Nagging(しつこい催促) | 通知の許可やメール登録を何度も表示して断れなくさせる |
Social Proof(安心感演出) | 「この商品は今〇人が購入中」と他人の行動を示して誘導 |
Interface Interference(目くらまし) | 同意ボタンを目立たせて拒否ボタンを見つけにくくする |
Obstruction(妨げ) | 解約の手順がわかりにくく、ページを複数またがせるなど |
Forced Action(行動の強制) | 使いたい機能を利用するには不要な登録や設定が必要になる |
どれもぱっと見では悪質に見えないため、気づかずに行動してしまうことが多いのが特徴です。
日本国内での実例と動き
高齢者が特に注意したい事例
たとえばスマホで見た広告から、「お試し注文」や「ワンクリックで簡単購入」などと書かれている商品を購入しようとしたら、気づいたら毎月自動的に同じ商品が届いていたという事例が相次いでいます。こうしたケースでは解約しようとしても連絡先が分かりづらかったり、退会ページが見つからなかったりして、結果として長く契約を続けてしまうことになります。
特定商取引法の改正と対策
このようなトラブルが増えたことで、2022年には特定商取引法が改正され、「初回無料」などと書かれていても実際には有料契約だった場合、消費者がその契約を取り消すことができるようになりました。この改正によって、消費者にとって不利な情報を隠したり、分かりにくくしたりする企業に対して、一定の抑止効果が生まれています。
世界ではどんな対策が進んでいる?
EUやアメリカの規制の進み方
ヨーロッパでは、2020年以降に「デジタルサービス法(DSA)」が導入され、ウェブ上での誤認表示やダークパターンに対する規制が強まっています。アメリカでも州ごとに「UI設計における誤誘導禁止」などのガイドラインが定められ、企業側に明確な説明責任を求める動きが進んでいます。
大規模調査の驚くべき結果
ある国際的な調査によると、世界中のウェブサイトやアプリのうち、なんと99%以上に何らかのダークパターンが含まれていると報告されています。つまり、私たちが日常的に利用しているサービスのほとんどに、気づかないうちに誘導される要素があるということです。
私たちにできることは?
購入前にチェックしたいポイント
以下の点をしっかり確認することで、トラブルを防ぐことができます。
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注文ボタンを押す前に「定期購入」や「解約条件」が書かれていないか確認する
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「残りわずか」「あと○分」といった表示を見ても、落ち着いて判断する
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小さな文字や灰色で書かれている部分にも大切な情報があるので見逃さない
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念のため注文画面や案内ページのスクリーンショットを残しておくと安心
不安を感じたら相談を
もし「もしかして騙されたかも?」と思ったら、一人で抱えずに消費生活センターなどに相談するのが大切です。早めの相談が、被害の拡大を防ぐカギになります。
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