遠野で見つけた夫婦らしい暮らし
岩手県遠野市でブルーベリー農園や農家民宿、ドッグスクールを営んでいるのが、打越義之さんと妻の美保子さんです。
『人生の楽園「民話の里 ブルーベリー農園と宿」(2026年8月15日)』でも取り上げられます。
会社員だった2人が、なぜ遠野へ移り住み、農業や宿、犬の仕事まで始めることになったのか。たどっていくと、思いつきの移住ではなく、約10年かけて探し続けた暮らしだったことがわかります。
この記事でわかること
- 打越義之さん・美保子さんが遠野へ移住した理由
- 理想の土地を約10年探し続けた背景
- 夫婦が遠野で始めた5つの仕事
- つくしファームの農園・宿・ドッグスクール
打越義之さんと美保子さんは遠野のつくしファームを営む夫婦
打越義之さんと美保子さんは、岩手県遠野市附馬牛町で**「つくしファーム」**を営んでいます。
つくしファームがスタートしたのは2018年。約1300本のブルーベリーを育てる観光農園を中心に、農家民宿やドッグスクールなども行っています。
義之さんは農園を営むだけでなく、ドッグトレーナーや猟師としても活動しています。
ここがまず面白いところです。
「地方に移住して農業を始めた夫婦」と聞くと、農業一本で暮らしているイメージを持ちますよね。
ところが打越さん夫妻は違います。
現在は、
- 宿泊業
- 飲食業
- 農業
- ドッグトレーナー
- 狩猟
という5つの仕事に関わっています。
最初から5つ全部をやろうと決めていたわけではなく、遠野で暮らしながら少しずつできることを増やしていきました。
こうして見ると、つくしファームは単なるブルーベリー農園ではありません。
農業も、犬との暮らしも、人を泊めることも、全部が夫婦の生活につながっている場所なんです。
会社員から農的な暮らしを目指したきっかけ
義之さんが今のような暮らしを考えるようになったきっかけは、1冊の本でした。
滋賀県で暮らしていたころ、図書館で偶然手に取ったのが**『農的生活12ヶ月』**という本です。
そこには、農を暮らしの中に取り入れながら、自然と付き合って生活する姿が描かれていました。
義之さんはその考え方にひかれ、「いつか自分もこんな暮らしをしてみたい」と思うようになります。
ただ、「農家になりたい」というだけではありませんでした。
畑仕事をしながら、人を迎えたり、犬と関わる仕事をしたり、自然の中でいろいろなことをしながら暮らしたい。
そんなイメージが少しずつ膨らんでいったようです。
個人的には、この出発点がいいなと思います。
仕事を辞めたいから田舎へ行く、という話ではなく、「どんな毎日を送りたいか」から暮らす場所を考えたんですよね。
ただし、希望が多ければ多いほど、それに合う土地を見つけるのは簡単ではありません。
ここから、かなり長い土地探しが始まります。
理想の土地を約10年探し続けた
打越さん夫妻は、自分たちが思い描いた暮らしができる場所を約10年間探しました。
10年と聞くと、かなり長いですよね。
最初は関西を中心に物件を探していましたが、なかなか「ここだ」と思える場所に出会えませんでした。
2人が探していたのは、単に畑ができる土地ではありません。
農業ができて、犬を走らせる広さもあり、人を泊めることもできる。
さらに、その先にいろいろな活動を広げられる場所が必要でした。
ここまで条件がそろう土地となると、簡単には見つかりません。
途中で諦めかけた時期もあったそうです。
それでも探し続けた先で出会ったのが、遠野市附馬牛町にある現在の土地でした。
もともとブルーベリー畑があり、犬が走れる広いスペースもありました。
つくしファームの敷地は約1万5000坪とされていて、東京ドーム1個分よりも広い規模です。
初めて数字を見ると、かなり広いと感じます。
でも、その広さがあるからこそ、農園、宿、ドッグスクールなどを1か所でできるわけです。
約10年探した末に見つけた場所と考えると、簡単に決めた移住ではなかったことがよくわかります。
遠野への移住を決めた理由
2人が遠野への移住を決めた大きな理由は、やりたかったことをまとめて実現できそうな場所だったことです。
ブルーベリーを育てられる。
犬が走れる場所もある。
農家民宿もできそう。
さらに狩猟など、自然の中でできる仕事にも広げられる。
「これまで探していた条件がやっとそろった」という感覚だったのかもしれません。
夫妻は2018年に遠野へ移住しました。
ただ、土地が気に入っただけで移住生活がうまくいくわけではありません。
特に気になるのが、地域の人との付き合いです。
美保子さんも、移住前には近所付き合いへの不安があったそうです。
知らない土地へ夫婦で移り住むわけですから、これはかなり現実的な心配ですよね。
ところが実際に暮らし始めると、地域の人たちは温かく迎えてくれたといいます。
食べ物を分けてもらったり、困ったときに助けてもらったりしながら、少しずつつながりができていきました。
移住というと、つい家や土地、景色ばかり見てしまいます。
でも実際に長く暮らすなら、そこで誰と関わっていくのかもかなり大切です。
打越さん夫妻が遠野で暮らし続けられているのは、土地だけでなく人との縁にも恵まれたからなのだと思います。
夫婦が始めた5つの仕事
打越さん夫妻の暮らしで特に気になるのが、5つの仕事を組み合わせていることです。
宿泊業、飲食業、農業、ドッグトレーナー、狩猟。
こうして並べると、一見バラバラですよね。
でも実際には、全部が今の暮らしにつながっています。
ブルーベリーを育てる農業があります。
その土地を訪れた人に泊まってもらう農家民宿があります。
犬を飼っている人には、ドッグスクールやトレーニングがあります。
さらに自然の中で暮らす延長として狩猟にも取り組んでいます。
こうして見ると、5つの仕事が別々に存在しているわけではないんです。
自分たちが暮らしたい生活を形にしていったら、結果的に仕事が5つになったという方が近いのかもしれません。
地方へ移住すると聞くと、「そこで何の仕事をするの?」と考えますよね。
打越さん夫妻のように、1つの仕事だけに頼らず、小さな仕事をいくつか組み合わせるという方法もあります。
個人的には、ここが2人の暮らしの中でいちばん参考になる部分です。
開業直後はなかなかお客さんが来なかった
理想の場所を見つけ、農園を始めたからといって、最初から順調だったわけではありません。
つくしファームを始めた当初は、なかなか存在を知ってもらえなかったそうです。
ブルーベリーの観光摘み取り園を始めても、まずは「そこに農園がある」と知ってもらわなければ人は来ません。
夫妻はリーフレットを作って知らせるなどしましたが、思ったようにお客さんが増えない時期もありました。
これは実際に何かを始める人にとって、かなり現実的な壁ですよね。
場所を作るだけでは終わらない。
知ってもらうところから始めなければならないわけです。
その後、コロナ禍で時間ができたこともきっかけになり、飲食業にも取り組むようになりました。
地域の人につくしファームへ来てもらう機会が増え、そこから農園のことも知ってもらえるようになります。
さらに、農泊や教育旅行の受け入れにも関わり、地域の民宿関係者とのつながりも広がっていきました。
義之さんは観光ガイドとしても登録しています。
農業をしていると、天候や動物による被害など、自分たちだけではどうにもできないこともあります。
そんなとき、地域の人とのつながりが大きな支えになります。
自分たちだけで理想の田舎暮らしをするのではなく、遠野の人たちと関わりながら暮らしている。
そこも、打越さん夫妻らしいところです。
つくしファームでは農園・宿・ドッグスクールを楽しめる
つくしファームは、ブルーベリーを見るだけの場所ではありません。
場所は岩手県遠野市附馬牛町下附馬牛5地割60-2です。
約1300本のブルーベリーが育つ農園のほか、農家民宿やドッグスクールがあります。
農家民宿は基本的に1日1組で、愛犬との宿泊にも対応しています。
宿泊料金は現在、1泊2食付きで1人9000円(税込)と案内されています。
ほかの体験を希望する場合は、内容によって別料金になることがあります。
季節や時期によっては、
山菜採り
野菜の収穫
ブルーベリーの体験
栗拾い
ドッグトレーニング
罠猟の見学
などもできます。
ただし、ここで気をつけたいのがブルーベリーの時期です。
ブルーベリー摘み取りは一年中できるわけではありません。
2026年は7月11日に開園し、7月31日に終了したことが案内されています。
「テレビを見てブルーベリー狩りに行ってみたい」と思った場合でも、訪れる時期によってはすでに終わっている可能性があります。
実際に行くなら、ここは先に確認したいところです。
一方、農家民宿やドッグトレーニングなどは、ブルーベリー以外の時期でも利用できる内容があります。
特に犬と旅行したい人にとって、愛犬と一緒に泊まれる農家民宿は気になるところではないでしょうか。
ただし犬の宿泊にはルールがあります。
予約するときには、宿泊人数だけでなく、犬同伴の条件や必要な持ち物なども確認しておくと安心です。
夫婦がこれから遠野で実現したいこと
打越さん夫妻の暮らしは、今の形で完成というわけではありません。
義之さんは今後、現在飼っているヤギだけでなく、牛や馬を放牧できるような場所にしていくことも考えています。
さらに、遠野へ移住して農業を始めたい人に対して、敷地内の畜舎や空き家を活用できないかという構想もあります。
ここまで聞くと、つくしファームは農園や宿だけの場所ではなくなっていきそうですよね。
「自分たちが暮らす場所」から、「新しく遠野で何かを始めたい人にもつながる場所」へ少しずつ広がっています。
打越さん夫妻自身も、最初から農業や宿の経験が豊富だったわけではありません。
地域の人に教えてもらい、助けてもらいながら、一つずつできることを増やしてきました。
約10年かけて土地を探し、ようやく遠野へ移住。
そこから農園を始めて、宿を始めて、犬の仕事や狩猟にも広がっていった。
こうして順番に見ると、遠野へ移住したことがゴールではなく、そこから新しい人生が始まったことがわかります。
個人的には、打越さん夫妻の暮らしを見ていると、「理想の生活を最初から完璧に作らなくてもいいんだな」と感じます。
できることを1つ始めて、そこから次へ広げていく。
そんな進み方もあるんですよね。
つくしファームへ実際に行ってみたい場合は、何を目的に訪れるのかを先に決めておくとわかりやすいです。
宿泊したいのか。
愛犬と泊まりたいのか。
農業体験をしたいのか。
ブルーベリー摘み取りをしたいのか。
利用できる時期、料金、宿泊人数、犬同伴の条件、体験内容を事前に確認しておけば、より楽しみやすくなります。
参考リンク


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