茨城が誇る“最高峰の鴨”
茨城県の冬だけに現れる特別なごちそう、常陸国天然まがも。
田んぼに朝もやが立つころ、猟師たちは静かに網を張り、野生のマガモと向き合います。レンコン畑を守るため、そして土地の恵みを無駄なく味わうために生まれた新しいブランドです。
このページでは「食彩の王国『最高峰の味〜“天然まがも”おいしさの秘密〜匠の技と狩猟に密着』(2026年2月14日放送)」の内容を分かりやすくまとめています。
番組が追いかけるのは、常陸国天然まがもを生み出した茨城の自然、猟師の技、そして若手料理人による新作フレンチ。その背景にある農家の悩みや、地域を元気にしたいという思いまで、じっくり掘り下げていきます。
まずは、この記事で扱うテーマを整理します。
・常陸国天然まがもとは?茨城発の“最高峰の鴨”ブランド
・霞ヶ浦とレンコン畑 マガモの食害から生まれたアイデア
・伝統の「むそう網」猟に密着 銃を使わないやさしい狩猟
・若手料理人の新作フレンチ 丸ごと味わう常陸国天然まがも
常陸国天然まがもとは?茨城発の“最高峰の鴨”ブランド
番組の主役になっているのが、茨城県が誇る常陸国天然まがもです。
これは、霞ヶ浦周辺など茨城県内で、狩猟期間中(11月15日〜翌年2月15日)に網で捕獲されたマガモに付けられるブランド名です。
霞ヶ浦周辺は、豊富な水と低湿地に恵まれた、日本有数のマガモの飛来地です。もともと多くのマガモが集まる場所でしたが、捕獲数が少なく、流通量はごく一部に限られていました。
一方で、このマガモたちは、収穫前のレンコンを食べてしまう「困った存在」でもあります。レンコンは霞ヶ浦周辺の代表的な農産物で、全国トップクラスの産地です。そのレンコン畑がカモに食べられ、被害額は年間1億円超にのぼる年もあるほどです。
そこで茨城県は、マガモを“害獣”で終わらせず、新しい冬の味覚として活用しようと考えました。捕獲したマガモをきちんと処理し、品質を管理して「常陸国天然まがも」という名前でブランド化。農作物を守りながら、地元の食文化としても育てていく一石二鳥の取り組みです。
番組では、このブランドがどのように生まれたのか、その裏側にある行政・猟友会・食肉処理施設・飲食店など、たくさんの人たちの連携にも光を当てていきます。常陸国天然まがもは、ただ「おいしい鴨」ではなく、地域を守り、未来につなぐためのキーワードなのです。
霞ヶ浦とレンコン畑 マガモの食害から生まれたアイデア
常陸国天然まがもが生まれた背景には、霞ヶ浦周辺のレンコン畑の「大きな悩み」があります。
霞ヶ浦は日本で2番目に大きい湖で、その周辺の低湿地ではレンコン栽培が盛んです。ところが、毎年冬になるとマガモなどのカモ類が飛来し、収穫前のレンコンを食べてしまいます。茨城県の資料によると、レンコンなどがカモに食べられる被害額は、令和5年度には約1億4千7百万円にのぼりました。
番組では、実際のレンコン畑を訪ね、農家さんがどんな思いでレンコンを育てているのか、そしてどれほどの被害が出ているのかを、映像でわかりやすく見せていきます。
レンコンは、田んぼに水を張った状態で育てるため、カモにとっては「ごちそうの並んだレストラン」のような場所です。農家にとっては、1年かけて育てたレンコンが、収穫直前にかじられてしまうわけですから、まさに死活問題です。
この被害をきっかけに、「どうせ捕るなら、価値のある食材にできないか」「安全でおいしい状態で食卓に届けられないか」という発想が生まれました。マガモを地域のブランド食材に育てることで、農作物の被害防止と、観光・飲食の活性化を同時にめざす取り組みが常陸国天然まがもなのです。
番組を通して見ると、「害」と「恵み」は紙一重で、知恵と工夫しだいで地域の宝に変えられる、というメッセージも伝わってきます。
伝統の「むそう網」猟に密着 銃を使わないやさしい狩猟
今回の食彩の王国では、常陸国天然まがもを捕る現場として、霞ヶ浦周辺で行われる伝統的な猟「むそう網」に密着します。
むそう網は、銃ではなく網でマガモを捕獲する猟法です。茨城県の資料によると、県内で狩猟期間中にこの網猟で捕獲されたマガモだけが「常陸国天然まがも」と名づけられます。
銃で撃つ狩猟と違い、網で捕獲されたマガモは、体が傷つきにくいのが大きな利点です。
肉の損傷が少ないため、血の回り方も抑えられ、きれいな状態で食肉処理施設へ運ぶことができます。結果として、雑味の少ないクリアな味わいにつながり、料理人にとっても扱いやすい食材になります。
番組では、まだ暗いうちから準備を始める猟師たちの一日を追いかけます。
夜明け前、静まり返った水面にボートを出し、マガモの習性や動きを読みながら網を仕掛ける緊張感。日の出とともに鳥たちが動き出し、タイミングを見計らって一気に網を引き上げる瞬間は、見ているこちらまで息をのんでしまうはずです。
むそう網の背景には、ただ「獲る」だけではない、地域の狩猟文化を守り、次の世代に伝えたいという思いもあります。
常陸国天然まがもは、こうした知恵と経験の積み重ねの上に成り立つ、まさに“匠の技から生まれたブランド”なのだと分かります。
若手料理人の新作フレンチ 丸ごと味わう常陸国天然まがも
番組のもう1つの山場が、「常陸国天然まがもを丸ごと味わう 若手料理人の新作フレンチ」です。
茨城県では、常陸国天然まがもを使ったメニューを提供するフェアが開かれ、県内の限られたレストランだけが、このブランド鴨を扱っています。シェフたちは、「野生ならではの香りとコクをどう生かすか」「初めて食べる人にもおいしいと感じてもらうにはどう調理するか」をテーマに、さまざまな料理を生み出しています。
常陸国天然まがもは、脂がくどくなく、旨みがぎゅっと詰まっている一方で、野性味のある香りも持っています。その良さを引き出すために、炭火焼きやロースト、低温調理など、火入れの方法がとても重要になります。
番組で登場する若手フレンチシェフは、胸肉・もも肉・内臓・脂など、1羽をできるだけ無駄なく使い切ることに挑戦します。
たとえばフランス料理の技法「エトフェ(窒息鴨)」にならい、血や内臓の旨みを生かしながら、ソースや付け合わせでさらに奥行きのある味わいをつくっていきます。
付け合わせの野菜には、茨城産のレンコンや菜の花など、同じ土地で育った食材が選ばれます。
「同じ土地で育った食材同士は相性がいい」という“テロワール”の考え方ともつながり、まさに“常陸の冬の風景を丸ごと味わう一皿”が完成していきます。
視聴者にとっては、「鴨料理=難しそう」というイメージが、「素材を大切にすれば家庭でも少し近づけるかも」という希望に変わるきっかけにもなりそうです。
番組を見ながら、「もし家で鴨肉を焼くなら、脂をじっくり引き出してから焼き目をつけると良さそう」「付け合わせにレンコンをカリッと焼いたらおいしそう」など、イメージをふくらませてみるのも楽しいポイントです。
視聴のポイントとしては、
・常陸国天然まがもが、なぜ“最高峰の味”と呼ばれるのか
・レンコン農家の悩みと、ブランド化によって生まれる希望
・むそう網の猟師と、若手シェフ、それぞれの「誇り」
この3つを意識しながら見てみると、画面に映る一羽の鴨、一片のレンコン、一滴のソースにも、ちょっと違った重みを感じられるはずです。
番組を見終わったあとには、きっと「茨城の冬に、こんな物語のつまった一皿があるんだ」と誰かに話したくなるような、そんな余韻が残る回になりそうです。


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