大磯の駆け込み寺をつくった2人の僧侶
2026年9月6日放送の『ザ・ノンフィクション 人生 最期までお付き合い 前編~型破りな2人の駆け込み寺~』に登場するのが、神奈川県大磯町の東光院で活動する大澤曉空住職と古井昇空さんです。
人生相談、介護、一人暮らしの見守りから、ご遺体の搬送、死に化粧、遺影作り、葬儀まで引き受ける2人。なぜ一般的な寺の枠を越え、地域住民の人生にここまで深く関わるようになったのか、それぞれの経歴と転機を紹介します。
この記事でわかること
- 大澤曉空住職と古井昇空さんの経歴
- 2人が出会って僧侶として活動するまでの経緯
- 東光院が地域の駆け込み寺になった理由
- 現在行っている葬送・福祉・居場所づくり
大澤曉空住職と古井昇空さんが東光院を支えている
番組で「住職の大澤さん」と紹介される人物は、東光院第29代住職の大澤曉空(おおさわ・ぎょうくう)さんです。1985年生まれで、放送時は40歳です。
「執事の古井さん」は、古井昇空(ふるい・しょうくう)さん。放送時は45歳で、東光院の寺務や地域活動、葬送を担っています。媒体によって執事、副住職、寺務など肩書の表記が異なりますが、大澤住職と共に東光院の活動を動かす中心人物です。
2人は同じ寺で育った幼なじみではありません。大磯で生まれ育った大澤さんと、IT業界から大磯へ移り住んだ古井さんという、異なる経歴を持つ2人です。
大澤曉空住職は寺に生まれ写真とデザインを学んだ
大澤曉空さんは東光院に生まれ、幼い頃から寺と地域住民との関係を見て育ちました。ただし、最初から従来型の僧侶教育だけを受けてきたわけではありません。
将来は寺を継ぐと考えながら、東京工芸大学芸術学部へ進学。写真、編集、デザインなどを学びました。この経験は、現在の東光院の広報や生前遺影の撮影、遺影写真の編集にも生かされています。
東光院に戻った後、本山での修行を経て、2017年9月に第29代住職へ就任しました。
大澤さんが住職として大きな課題を感じたのは、読経や法要を行うだけでは、地域の孤独や生活上の困難に十分向き合えないことでした。
寺の近くで檀信徒が孤独死した際には、「寺や僧侶だからこそ、生前にできることがあったのではないか」という思いが残ったといいます。この経験が、亡くなった後だけでなく、生きている間から住民と関係をつくる現在の活動につながりました。
古井昇空さんはIT事業から僧侶へ転身した
古井昇空さんは神戸で生まれ、広島で育ち、高校時代から埼玉で生活しました。その後は東京でIT関係の仕事や事業に携わっています。
現在もITやデザインの経験を生かし、ウェブサイトの制作、パソコンの相談、地域イベントや店舗運営の支援などを行っています。本人はこうした役割を「なんでも屋」に近い活動として紹介しています。
古井さんが大磯と東光院に関わるようになったのは、約15年前に参加した地域活性化事業がきっかけでした。そこで大澤さんと出会って意気投合し、寺の活動を手伝い始めます。
古井さんは母親に脳性まひがあり、幼い頃から障害者団体や介護・福祉関係者と接する機会が多かったとされています。行政や会社では担当者が異動する一方、寺は地域に長く残り続ける存在です。その時間の長さを生かせば、新しい人助けの仕組みをつくれるのではないかと考え、得度して僧侶になりました。
寺の外へ出たことで2人の役割が見えてきた
大澤さんが東光院に戻った当初、寺は檀信徒の葬儀や法要を営むことが活動の中心でした。
古井さんは、地域の祭りやイベントに大澤さんを積極的に誘い出しました。さらに東光院の本堂へグランドピアノを運び込み、ジャズライブ、ヨガ、朗読会、映画祭などを開催。寺に用事のなかった住民も、自然に足を運ぶようになります。
寺の外へ出て地域住民の声を聞くことで、介護、孤独、家族の病気、経済的な不安など、読経だけでは解決できない困りごとが数多くあることも見えてきました。
大澤さんが寺の歴史や葬送を担い、古井さんが外部との関係づくりや合理的な仕組みづくりを進める。考え方や経歴の異なる2人だからこそ、東光院の活動が広がったと考えられます。
葬送を変えたのは身近な人を見送った経験だった
大澤さんにとって葬儀のあり方を考え直す大きな転機は、幼い頃から世話になった女性の死でした。
遺族の費用負担を減らすため、葬儀社の直葬プランを利用しながら、大澤さんが祭壇の準備や司会を担当し、古井さんが移動や食事などを手配しました。結果として、2人が遺族のそばで準備から見送りまで関わる葬儀になったといいます。
その後、大磯で遊漁船を営んでいた男性の葬儀を東光院の本堂で実施。火葬までの約1週間、客殿に大漁旗を掲げ、家族や地域の人が故人を訪ねられる場所をつくりました。
大澤さんは、葬儀社から依頼されて読経するだけでは得られなかった「家族と一緒に故人を見送る意味」を、この経験から強く感じたと記しています。
2人は復元納棺師のもとで、ご遺体の保全や修復、湯灌、死に化粧、納棺などの技術も学びました。現在は搬送から葬儀までを僧侶自身が担う、全国的にも珍しい寺院になっています。
生きている時から関わることを重視している
東光院では葬儀だけでなく、日常生活で困っている住民への支援も行っています。
主な活動は次の通りです。
- 医療・介護・生活について相談できる「暮らしの保健室 安養」
- 生老病死に関する本を集めた仏教図書館
- 子ども、高齢者、若者が一緒に食卓を囲む「多世代食堂おむすび」
- 一人暮らしの高齢者に対する見守りや生活支援
- うつ病になった人の家族が集まる茶話会
- 地域行事や文化イベントの開催
- 生前遺影の撮影や写真編集
- 葬儀社を介さない本堂葬
番組に登場する画家の藤井兼弘さんに対しても、施設から自宅へ戻る希望を支え、食事、散髪、手すりや見守りカメラの設置などを手伝いました。
これは公的な介護サービスの代行というより、日頃から付き合いのある地域住民として「本人がどう生きたいか」に寄り添う活動です。
2人の家族に関する情報は公表されていない
大澤曉空さんと古井昇空さんの結婚、妻、子どもなど、私生活に関する確かな情報は、東光院の公式サイトや公的な取材記事では確認できません。
古井さんの母親に脳性まひがあったことは活動の背景として報じられていますが、それ以外の家族構成については不明です。
番組の中心も2人の私生活ではなく、東光院と地域住民の関係です。確認できない家族情報を推測して人物像に結び付けることは避ける必要があります。
東光院の場所と問い合わせ先
- 名称:宗教法人 東光院
- 正式名称:船附山薬王寺東光院
- 宗派:東寺真言宗
- 住所:神奈川県中郡大磯町大磯1525
- 最寄り駅:JR東海道線・大磯駅
- 電話:0463-63-0099
- メール:info@toukou.in
- 葬送に関する電話:24時間受付
- 一般利用:葬儀などで貸し切りになる場合があるため事前確認推奨
まとめ
大澤曉空住職は、東光院に生まれ、写真やデザインを学んだ後に第29代住職となりました。古井昇空さんはIT業界から大磯へ移り、地域活動を通じて大澤さんと出会い、得度して僧侶になった人物です。
2人に共通するのは、寺の役割を亡くなった後の供養だけに限定していないことです。食事、相談、介護、見守り、そして葬送まで、同じ地域で生きる人と長く付き合う仕組みをつくってきました。
『ザ・ノンフィクション』で描かれる「型破りな2人」とは、変わったことを目的にする僧侶ではなく、目の前の困りごとに対応し続けた結果、従来の寺の枠を越えた2人だといえます。
参考リンク



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