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MUSとPMSに漢方が注目される理由|小宮ひろみ医師の全身を診る医療【TVシンポジウム】

人物

月経周期に隠れた不調を切り離して考えない

「TVシンポジウム 見えない不調が問いかける『治す』からウェルビーイングへ」(2026年9月6日放送)では、MUSとPMSが重なる可能性や、漢方による全身的な診療が紹介されます。

解説するのは国立成育医療研究センター・女性の健康総合センター長の小宮ひろみ医師です。PMSとの見分け方、漢方の考え方、受診先、自己判断で漢方薬を選ぶ際の注意点をまとめます。

この記事でわかること

  • MUSとPMSの症状が重なりやすい理由
  • 小宮ひろみ医師の経歴と専門
  • 漢方で使われる「気・血・水」の考え方
  • 婦人科や漢方外来を受診する目安

小宮ひろみ医師は女性医療と漢方の専門家

国立成育医療研究センターの小宮ひろみ医師

出典:国立成育医療研究センター

小宮ひろみ医師は、国立成育医療研究センターの女性の健康総合センター長、女性総合診療センター長、女性外科・婦人科診療部長を務めています。

専門は生殖内分泌、女性ヘルスケア、性差医療、漢方医療です。日本産科婦人科学会、日本女性医学学会、日本生殖医学会、日本東洋医学会などの専門医資格を持っています。

2004年に福島県立医科大学附属病院で女性外来を立ち上げた際、多岐にわたる訴えに西洋医学的な検査だけでは対応しきれない場面を経験。漢方を本格的に学び、会津医療センター漢方内科や福島県立医科大学附属病院漢方内科でも診療しました。

現在の女性総合診療センターでは、婦人科、女性内科、女性精神科などが連携し、検査では異常を確認できないものの、めまい、動悸、疲れやすさなどに悩む女性も診療対象としています。

PMSは月経前に現れて月経開始後に軽くなる

PMSは月経前症候群のことで、一般に月経開始の3~10日前から心身の症状が現れ、月経が始まると軽くなる、または消えるという周期性があります。

主な身体症状には次のようなものがあります。

  • 頭痛
  • 腹痛や腹部膨満感
  • むくみ
  • 乳房の張り
  • 強い眠気や不眠
  • 倦怠感
  • めまい

精神面では、イライラ、落ち込み、不安、集中力低下などが起こります。精神症状が特に強く、仕事や学業、人間関係に重大な影響を与える場合はPMDDと呼ばれることがあります。

一方、MUSの頭痛やだるさは必ずしも月経周期に限定されません。PMSの症状が強いと、月経との関係に気づかないまま「いつも体調が悪い」と感じることもあります。

そこで役立つのが、症状と月経日の記録です。少なくとも2周期ほど記録すると、毎月同じ時期に悪化しているのか、月経と関係なく続いているのかを医師に伝えやすくなります。

漢方は症状を全身の状態として捉える

漢方では、患者の体質や症状の組み合わせを「証」として捉え、「気・血・水」などの伝統的な枠組みを使って処方を検討します。

  • 気:身体を動かす働きや精神活動
  • 血:血液や栄養に関連する働き
  • 水:血液以外の体液に関連する働き

これは現代医学の血液検査値をそのまま表す言葉ではなく、漢方診療で全体像を整理するための考え方です。

同じ「めまい」という症状でも、冷え、むくみ、胃腸の状態、不安感、月経の状態などによって選ばれる処方は異なります。症状名だけを見て、全員に同じ漢方薬を使うわけではありません。

番組のもとになったフォーラムでは、複数の診療科を受診しても原因がわからなかったしびれや冷え、食欲低下、めまいなどが、漢方外来で全身の状態を見直すことで改善した事例が紹介されています。

ただし、これらは個別の診療事例です。すべてのMUSやPMSに漢方薬が有効だと保証するものではありません。

西洋医学と漢方のどちらか一方を選ぶ必要はない

漢方外来でも、まず必要なのは重大な病気を見逃さないことです。倦怠感なら貧血や甲状腺疾患、強い月経痛なら子宮内膜症や子宮筋腫、頭痛なら片頭痛などを検討します。

PMSには漢方薬以外にも、生活調整、カウンセリング、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、SSRIなどの選択肢があります。症状の種類、妊娠希望、持病、片頭痛の有無などによって適した治療は変わります。

漢方薬も医薬品であり、「天然だから副作用がない」というものではありません。処方によっては、むくみ、血圧上昇、低カリウム血症、肝機能障害、間質性肺炎などに注意が必要です。

複数の漢方薬や市販薬を併用すると、甘草など同じ生薬が重複することもあります。現在飲んでいる薬とサプリメントを医師や薬剤師に伝え、自己判断で処方薬を中止しないことが大切です。

実用情報|婦人科・女性外来・漢方外来の選び方

受診先は症状の現れ方から考えます。

  • 月経前に毎回悪化する:婦人科
  • 月経痛や不正出血もある:早めに婦人科
  • 複数の症状が月経と無関係に続く:内科・総合診療科
  • 身体症状と強いストレスが関連する:心療内科も選択肢
  • 漢方を含めて相談したい:日本東洋医学会の漢方専門医
  • 女性特有の症状をまとめて相談したい:女性外来・女性総合診療

受診時には、日付、月経日、症状の強さ、睡眠時間、服薬、仕事や家事への影響を記録したものを持参します。

強い落ち込み、自傷行為、死にたい気持ち、妄想や幻覚などがある場合は、月経前だけの問題と抱え込まず、速やかに精神科や救急相談へつなげる必要があります。

まとめ

MUSとPMSは、頭痛、めまい、倦怠感、集中力低下などの症状が重なるため、月経との関係が見落とされることがあります。

漢方は症状を1つずつ切り離さず、全身の状態として捉える治療の選択肢です。ただし、重大な病気の確認や婦人科疾患の診断を省略できるわけではありません。症状記録を持参し、西洋医学と漢方の双方を理解する医師に相談することが安全な入口になります。

参考リンク

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