今治の海が教えてくれる“1匹の未来”
このページでは『ウミコイー今 海に出来ることー(2026年2月6日)』の内容を分かりやすくまとめています。
瀬戸内の穏やかな海で、漁師たちは“たくさん獲る”よりも“1匹を大事にする”という道を選びます。網を短時間だけ引き、生簀でゆっくり休ませ、最高の旨味を引き出す。そんな丁寧な手仕事の先には、海を守りながらおいしさを未来につなぐ、今治ならではの温かい物語が流れています。
ウミコイが映す愛媛・今治の「1匹を大事にする」漁師たち
2026年2月6日放送回のウミコイ ー今 海に出来ることーの舞台は、瀬戸内海に面した愛媛県今治市です。来島海峡をはじめとする今治の海は、潮の流れが速く、タイやハモ、エビなど多彩な魚介が育つ豊かな漁場として知られています。
そんな海で番組が出会う「ウミコイ仲間」は、“たくさん獲る”ことよりも“1匹を大事にする”ことを選んだ底びき網漁師です。漁の効率だけを追いかければ、長時間網を引き続けて、できるだけ多くの魚を獲る方が楽に見えます。しかし今治の漁師は、その道をあえて選びません。
ナビゲーターは、海の環境問題にも精通する桝太一。番組全体のテーマである「未来の海のために、今できること」という視点から、今治の漁師たちの小さくても本質的な挑戦を掘り下げていきます。うみスケの佐藤真知子アナウンサーが現場を訪ね、漁船の上や港で、漁師のこだわりと海への思いを丁寧に聞き出していきます。
底びき網漁でも「たくさん獲らない」勇気
今治の海では、小型機船による底びき網漁が盛んです。海底近くまで大きな袋状の網を沈め、船で引っ張りながら魚を獲る漁法で、一度に多くの魚が獲れる“効率の良い漁”として知られています。
しかしこの回で登場する今治の漁師は、あえて「網を引く時間を通常の半分以下」に短くしています。長時間網を引けば魚は網の中で押し合いへし合いになり、こすれた傷が付いたり、体力を使い果たして弱ってしまいます。見た目も悪くなり、身も痩せ、せっかくの魚の価値が下がってしまうのです。
そこで今治の漁師は、「短時間で勝負する底びき網漁」に舵を切りました。狙うのは、身に傷が少なく、まだ元気な魚。マダイやヒラメ、エビ類など、来島海峡周辺で獲れる高級魚たちを、いかに良い状態で網から取り出すかに全神経を集中させます。
「量より質」に振り切ったこの選択は、漁師にとってはリスクでもあります。それでも、魚の価値を上げ、結果として漁師の収入を安定させ、さらに海の資源へのプレッシャーを減らすことにつながる“攻めの決断”として、番組は力強く描いていきます。
生簀で1日休ませて引き出す最高の旨味
この回のいちばんのポイントが、「獲った魚を生簀で1日休ませてから締める」という独自の工夫です。
漁の最中、魚は必死で泳ぎ、網の中でぶつかり合い、大きなストレスを受けます。この状態でそのまま締めてしまうと、体内には乳酸がたまり、身の張りが悪くなってしまいます。そこで今治の漁師は、船上や港の生簀に魚を移し、たっぷりと海水を回しながら1日ゆっくり休ませます。
時間をかけてストレスを抜くことで、魚の体は落ち着き、余計な疲労が取れた状態になります。このタイミングで活〆や神経〆を行うと、身の血抜きがスムーズに進み、ドリップ(赤い汁)も出にくく、弾力のあるしっとりした身質に仕上がります。瀬戸内のマダイやハモなど、もともと評価の高い魚が、処理の一つひとつによってさらに「別格の美味しさ」に変わっていくのです。
番組では、漁師が生簀の魚の状態を目で見て、手で触れて確かめながら「まだ少し張りが足りない」「今日はこのタイミングだ」と判断する様子が描かれるはずです。単なる作業ではなく、魚と向き合う“職人の勘と経験”が積み重なった工程として、視聴者に伝わってきます。
料理人ごとのオーダーに応えるプロの目利き
今治の漁師が目指しているのは、「高く売ること」だけではありません。生簀で1日休ませてから締めた魚を、料理人の好みに合わせて振り分けることによって、1匹の価値を最大限まで引き上げている点が重要です。
例えば、刺身中心の和食店が求めるのは、皮目に張りがあり、身の透明感が残る魚。一方、フレンチやイタリアンのシェフは、火を入れたときにふっくら仕上がる、脂乗りの良い魚を好みます。今治の漁師は、長年の経験から「このマダイは刺身向き」「このヒラメは火入れに向いている」と瞬時に見極め、取引先ごとに最適な魚を振り分けていきます。
その魚たちが並ぶのが、今治市の魚市場や、今治市地方卸売市場などを通じた流通の現場です。ここから、地元今治の飲食店はもちろん、愛媛県内外の料理人たちのもとへ、新鮮でストーリーのある魚が届けられます。
番組では、ある料理人が「この魚だからこそこの料理ができる」「今治のこの漁師が獲る魚だから安心しておまかせできる」と語るシーンが描かれる可能性があります。漁師と料理人が、お互いの顔を知り、信頼を深め合うことで、1匹の魚が「ただの食材」から「海と人をつなぐ特別な一皿」へと変わっていくのです。
海の資源を守りながら「美味しい」を未来につなぐ今治モデル
ウミコイ ー今 海に出来ることー全体のテーマは、ブルーカーボンをはじめとする「海の環境保全」と「豊かな海の恵みを未来につなぐこと」です。
今治の底びき網漁師が実践している
・網を引く時間を短くして、必要以上に魚を獲りすぎない
・生簀で1日休ませてから締め、1匹あたりの価値を高める
・料理人の要望に合わせて分けることで、無駄なく使い切る
といった工夫は、どれも「大量消費」から「資源を守りながら付加価値で稼ぐ」方向へ漁業をシフトさせる大切な一歩です。
結果として、海の資源への負担を減らしながら、漁師は安定した収入を得て、料理人は高品質な魚を扱え、消費者はおいしい魚を食べ続けられるという、三方よしの関係が生まれます。こうした動きは、愛媛県全体が推進している「水産王国えひめ」の取り組みや、持続可能な漁業への転換とも軌を一にしています。
短いミニ番組の中で、この今治の漁師は、「1匹の魚の価値をどこまで高められるか」「海の未来にどこまで責任を持てるか」に真正面から向き合っています。視聴者は、スーパーの鮮魚コーナーに並ぶ一匹一匹の魚の向こう側に、こうした漁師たちの知恵と工夫、そして海への深い敬意があることを強く感じるはずです。
まとめ
今治の海で実践される“1匹を大事にする”漁は、量を追わず質を極めることで、魚の旨味も海の未来も守る取り組みです。短時間で網を引き、生簀で休ませてから締めるという丁寧な工程は、漁師の経験と海への思いがつまった技です。※実際の放送内容と異なる場合があります。


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