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木造建築はなぜ増えているのか CLTとは わかりやすく解説し木造ビル なぜ増えているのかとCLT 木造8階建て 柱なし 構造の仕組みまで理解できる

テクノロジー

木造建築が進化する理由とは

今、建築の世界で注目されているのが木造建築の進化です。ビルやインフラ、さらには宇宙分野まで広がり、「木=昔の素材」というイメージが大きく変わりつつあります。『がっちりマンデー!!スゴい木造ビジネス!木造8階建ビル!?木造ガードレール!?(2026年4月5日)』でも取り上げられ注目されています 。なぜ今、木がここまで評価されているのか。その背景や仕組みをやさしく解説していきます。

この記事でわかること
CLTなど最強木材の仕組みと特徴
・木造ビルが増えている理由
・木造ビジネスが広がる社会的背景
・地域活性につながる木材活用の仕組み
・最先端技術としての木材の可能性

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CLTとは?最強木材の正体とすごさ

CLTは「Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)」の略で、日本語では直交集成板と呼ばれます。薄い板を、木目の向きが交差するように何層も重ねて接着し、大きなパネルにした木材です。ふつうの木は、向きによって曲がりやすかったり反ったりしやすかったりしますが、CLTは板を交差させて重ねることで、形が安定しやすく、壁・床・屋根として大きな面で使いやすいのが強みです。国土交通省や林野庁も、中高層木造を支える材料としてCLTを位置づけています。

CLTが「強い」と言われるのは、ただ硬いからではありません。大事なのは、面で力を受けやすいことです。鉄骨やコンクリートは柱と梁で骨組みを作る考え方が中心ですが、CLTは大きな板そのものが構造体になるため、設計次第で施工をシンプルにしやすい特徴があります。さらに、工場であらかじめ加工しやすいので、現場では組み立ての比重が高くなり、工期短縮にもつながりやすいです。つまり、CLTは「木なのに強い」のではなく、木を工業製品として高精度に使えるようにした材料だと考えるとわかりやすいです。

日本でCLTが注目される理由には、森林の事情もあります。日本には利用期を迎えた人工林が多くありますが、山で木を育てても、使う場所が少なければ林業は元気になりません。そこで、住宅だけでなく、学校、オフィス、店舗、ビルにも木を使えるようにすることが大きなテーマになっています。2021年には木材利用促進の法律が改正され、対象が公共建築物だけでなく建築物一般へ広がりました。CLTは、その流れを現実の建物に変えるための代表的な材料です。

番組概要にある「岡山の国内トップシェア企業」という点で見ると、岡山県真庭市の銘建工業はCLT分野の国内大手として知られ、国内初のCLT工場稼働やシェア面でも存在感を持っています。つまり、CLTの広がりは「新素材が出ました」で終わる話ではなく、地方の製材会社が全国の建築の流れを変えるところまで来ているのです。これは木造ビジネスが、単なる建材の話ではなく、産業構造の変化でもあることを示しています。

木造8階建ビルの秘密!柱がない構造とは

木造8階建て」と聞くと、多くの人はまず「燃えないの?」「揺れたら危なくないの?」「木だと大きな空間は無理では?」と思います。この疑問が出るのは自然です。昔の木造のイメージは、低層住宅や寺社建築に強く結びついているからです。でも今の中大規模木造は、昔ながらの木造そのままではなく、耐火設計構造計算接合技術工場加工を組み合わせたまったく別の進化形です。近年は法制度の合理化も進み、中大規模木造を後押しする環境が整ってきました。

「柱がない」という言い方は、まったく支える部材がないという意味ではなく、室内に柱型が出にくい広い空間をつくれるという意味で理解するとわかりやすいです。木造でも、ラーメン構造や高耐力の耐力壁を使うと、壁や柱を細かくたくさん並べなくても広い空間を確保しやすくなります。AQ Groupの純木造8階建て本社では、独自の「AQ木のみ構法」により、組子格子耐力壁や柱式ラーメン構造を組み合わせ、安全性と開放感の両立を目指しています。

ここで大事なのは、木造高層化の競争は「木が鉄より強いか」という単純勝負ではないことです。実際には、
・どこを木で見せるか
・どこを耐火仕様にするか
・どこを大空間にするか
・工期やコストをどう抑えるか
この組み合わせで価値が決まります。だから同じ木造でも、CLTを面で使うタイプ、ラーメン構造中心のタイプ、RCや鉄骨と組み合わせるハイブリッド型など、いろいろな答えがあります。木造8階建てが注目されるのは、高さそのものもすごいですが、それ以上に「木でビルはどこまで作れるのか」という社会実験の意味が大きいからです。

さらに、こうした建物は都市の景色も変えます。鉄とコンクリートだけでできたビルと違い、木の梁や壁を見せる設計ができれば、働く人や使う人にとって空間の印象も変わります。法律改正では、木材をそのまま見せるあらわしの設計がしやすくなる方向も進んでいます。これは「木造ビル=昔っぽい」ではなく、都市の新しい快適さをつくる動きでもあります。

木造建築ビジネスが伸びている理由

木造建築ビジネスが伸びる理由は、きれいごとだけではありません。いちばん大きいのは、環境と経済の両方に意味が出てきたことです。木は成長の過程で二酸化炭素を吸収し、建物として使われる間は炭素を固定し続けます。だから木材利用は、脱炭素社会づくりの一手として期待されています。実際、法律の名称も「脱炭素社会の実現に資する…木材利用促進法」に改められ、対象も広くなりました。国が本気で後押しする段階に入っているのです。

もう一つは、技術と制度の壁が前より低くなったことです。以前は「木造は低層向き」という考えが強く、中大規模建築では耐火や設計の難しさが大きな壁でした。ところが近年は、耐火基準の合理化、3,000㎡超の大規模木造での燃えしろ設計の拡大、1.5時間・2.5時間耐火基準の設定などが進み、木造化の選択肢が増えています。つまり、今の木造ブームは流行ではなく、制度が追いついてきた結果でもあります。

そしてビジネスとして重要なのが、工場生産との相性です。CLTや集成材のような部材は、現場でゼロから加工するよりも、工場で精度高く作って運ぶ方が強みを出しやすいです。これは人手不足の時代にとても大きな意味があります。現場作業が減り、組み立て中心になれば、品質のばらつきを抑えやすく、工期短縮にもつながるからです。建設業では人手確保が大きな課題なので、木造技術の進化は「おしゃれ」ではなく、働き方の現実ともつながっています。

さらに、日本の山を考えると、木造ビジネスの成長は地方経済とも直結します。山に木があっても、切って使う先がなければお金は回りません。逆に、都市で木造ビルや木質化の需要が増えると、製材、加工、輸送、設計、施工、維持管理まで仕事が広がります。林野庁が中大規模木造や非住宅木造を特に重視しているのは、そこに住宅以外の大きな需要があるからです。木造建築ビジネスが伸びる背景には、山と都市をつなぐ経済を作り直したいという国の狙いもあります。

木造ガードレールで地域活性する仕組み

木造ガードレールは、一見すると「景観をよくするためのやさしいデザイン」に見えます。もちろんそれも大切ですが、本当の価値はもっと広いです。国土交通省の事例集では、木製防護柵の設置目的として、地元産木材の活用促進景観への配慮カーボンニュートラルなどが挙げられています。2021年度末時点で全国1,112か所、約246kmに設置されており、すでに珍しいだけの存在ではありません。

なぜ地域活性につながるのかというと、道路設備は一度作れば終わりではないからです。材料の調達、加工、設置、交換、維持管理が続きます。そこに地域材を使えば、道路を整える仕事がそのまま地元の木材需要になります。たとえば木製ガードレール「木景(こかげ)」では、地域の木材を有効活用し、林業や地場産業の活性化、雇用促進に役立つことが明記されています。つまり木造ガードレールは、道路の部品であると同時に、地域経済を回す装置でもあります。

ただし、安全性が落ちるなら意味がありません。その点で大事なのが、木製防護柵は「木だからやさしい」だけで採用されるのではなく、衝突試験を通ることが前提だということです。国交省関連資料や製品情報では、乗用車や大型車による性能確認試験をクリアしたものが実用化されています。見た目は木でも、実際には木製ビームと鋼製支柱などを組み合わせた複合構造が多く、景観と安全を両立させる工夫がされています。

木造ガードレールが特に生きるのは、自然公園、観光地、歴史ある町並み、山間部などです。銀色の鋼製ガードレールが強く目立つ場所でも、木質の防護柵なら風景になじみやすいからです。これは単なる見た目の話ではなく、観光地の印象そのものを変えます。景観に気を配った道路整備は、その地域の魅力を下げないインフラ整備でもあります。だから木造ガードレールは「木材利用」と「観光地づくり」が同時に進む、わかりやすい成功例になりやすいのです。

京都大学×住友林業の最先端「木箱技術」

番組概要の「一辺10cmの小さい木箱」は、ただの木箱ではありません。これは京都大学と住友林業が進めてきた世界初の木造人工衛星 LignoSatにつながる話です。1辺10cmのキューブ型の超小型衛星で、2024年には完成が発表され、NASA/JAXAの安全審査を通過しました。2024年12月には国際宇宙ステーションから宇宙空間へ放出されています。

ここで面白いのは、「最先端なのに木」という逆転です。普通は、最先端技術といえば金属や炭素繊維のような素材を思い浮かべます。でもこの研究では、木材が宇宙空間でも使える可能性を本気で調べています。京都大学と住友林業はISS「きぼう」で木材の宇宙曝露実験を行い、約10か月の曝露後も、木材の割れ・反り・剥がれなどが見られず、劣化がきわめて軽微だったと発表しました。これは木が「地上の材料」で終わらないことを示した大きな出来事です。

では、なぜ宇宙で木を使うのでしょうか。理由の一つは、大気圏再突入時の環境負荷です。金属製の衛星は燃え尽きるときに粒子を生み、将来の宇宙利用や大気環境への影響が問題視されています。一方、木材は主成分が炭素・水素・酸素で、有害な金属酸化物粒子を出しにくいと期待されています。また、木材は電磁波を遮りにくく、比強度の面でも研究価値があるとされています。つまりこの「木箱技術」は、木のおもしろネタではなく、宇宙開発の素材選びそのものを問い直す研究です。

さらにこの話のすごいところは、日本らしさも入っている点です。木造人工衛星では、木材の性質だけでなく、伝統的な木工の発想や精密加工も生きています。昔から木を扱ってきた国の知恵が、宇宙という最先端分野にまでつながっているわけです。木造ビジネスは古い産業だと思われがちですが、実際には伝統技術×先端研究の組み合わせで、新しい市場を作り始めています。

これからの建築は木造が主流になるのか

結論からいうと、これから全部が木造になるわけではありません。でも、木造の役割が一気に広がるのはほぼ確実です。林野庁は、非住宅・中高層建築物での木材利用をさらに進める方針を示していて、法制度、耐火基準、設計支援、標準化などを進めています。すでに10階超の先導的な高層木造や、大規模な中層木造の事例も出てきています。木造は住宅専用という時代ではなくなっています。

ただし、主流になるための課題もあります。大きく分けると、
・設計や施工に詳しい人材がまだ十分ではない
・地域ごとの木材供給体制に差がある
・コスト比較が案件ごとにぶれやすい
・耐火や維持管理への理解がまだ広がり切っていない
という点です。つまり、技術はかなり進んでも、普及の仕組みはまだ作っている途中です。だから今後しばらくは、木造が鉄骨やRCを全部置き換えるのではなく、建物の用途や規模に応じて最適な構造を選ぶ流れが続きそうです。

それでも木造の存在感が増す理由ははっきりしています。脱炭素の流れは強く、国産材活用の意味も大きく、都市の建築にも「木の空間価値」が求められています。しかも木造は、ビルだけでなく、ガードレール、公共施設、内装、さらに宇宙用途まで広がり始めています。これは「木造が流行っている」のではなく、木という素材が再評価され、用途ごとに最適化されている状態です。

これからの建築を考えるとき、本当に大切なのは「木造か、非木造か」を単純に比べることではありません。どの建物なら木の良さが生きるのか、どこまで工場化できるのか、地域の森林とどうつなげるのか、景観や快適性をどう高めるのか。そうした問いに答えやすい分野から、木造は確実に広がっていきます。だから今見るべきなのは「木造が主流になるか」よりも、木造がどの分野で先に強くなるのかです。その答えはもう見え始めていて、中大規模建築、インフラ、公共空間、そして先端研究が、その最前線になっています。

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