緑のダイヤモンド・ぶどう山椒の魅力を探る旅へ
和歌山の山奥で育つ「緑のダイヤモンド」と呼ばれるぶどう山椒。山椒好きのあなたは、「普通の山椒と何が違うの?」「実際にどんな食べ方をすると美味しいの?」と気になりませんか?この記事では、2025年9月12日放送のTBS『ララLIFE』で女優の伊藤沙莉さんが体験した収穫から味わい方までを詳しく紹介します。読むことで、和歌山の特産であるぶどう山椒の魅力を深く知り、家庭での新しい食べ方や旅のヒントを得られるはずです。
和歌山・有田川町で出会うぶどう山椒
今回の舞台は、山椒の生産量日本一を誇る和歌山県有田川町です。町の山あいにある標高600mの高地には、澄んだ空気と豊かな自然に囲まれたきとら農園が広がっています。この農園にはなんと1000本以上の山椒の木が植えられており、四季折々の自然の恵みを受けながら大切に育てられています。
ここで栽培されているのが、特別な山椒である「ぶどう山椒」です。名前の由来は、実がまるでぶどうの房のように大きくまとまって育つ姿。その美しさと希少性から、別名「緑のダイヤモンド」とも呼ばれています。
このぶどう山椒は、江戸時代後期に有田川町で偶然の突然変異によって生まれたと伝えられています。長い年月を経て地域の人々に守られながら受け継がれ、今では日本を代表する山椒として知られる存在になりました。
さらに特徴的なのは、その香りと味わいです。果皮には柑橘類にも含まれる成分「リモネン」が豊富で、口に含むとまずフルーティで爽やかな香りが広がります。その後に、山椒特有のピリッとしたしびれる辛みが訪れるため、一粒で二度おいしい独特の風味を楽しめるのです。
自然環境と長い歴史が育んだぶどう山椒は、まさに有田川町ならではの宝物と言えるでしょう。
収穫体験と加工の手間
伊藤沙莉さんは、まるで小さな果実を摘み取るように、特別な道具である「ぶどう摘粒鋏」を手にして収穫に挑戦しました。この鋏はもともとぶどうの収穫に使われるもので、バネがついており長時間作業しても疲れにくいのが特徴です。実際に枝を切り取る感覚は軽やかですが、一粒一粒を丁寧に扱わなければならず、農家の経験と集中力が試されます。
収穫はすべて手作業で行われます。1000本以上ある木々から実を摘み取る作業は想像以上に根気が必要で、農家の人たちの技と努力があって初めて成り立っています。
しかし、大変なのは収穫だけではありません。収穫した実は、まず専用の乾燥機に入れ、水分をしっかり飛ばして保存性を高めます。乾燥が進むと果皮が割れ、内側の種が剥き出しになります。ここからがさらに大変で、種や枝を取り除く工程に移ります。機械で約8割は処理できますが、残りの2割はピンセットで一粒ずつ手作業で取り除かなければなりません。気の遠くなるような地道な作業ですが、このひと手間が品質を大きく左右します。
最後に行われるのが挽きの工程です。高速の機械で挽けば効率は良いものの、摩擦熱で香りが損なわれてしまいます。そのため、昔ながらの石臼を使い、ゆっくりと挽いていきます。この方法によって、ぶどう山椒ならではの鮮烈で奥深い香りが保たれ、最高の状態で粉山椒として仕上がるのです。
こうして生まれた粉山椒は、農家の丁寧な手仕事の結晶ともいえる特別な調味料になります。
清心館で味わう山椒料理の数々
収穫を終えた伊藤沙莉さんが訪れたのは、和歌山県有田川町で80年以上続く老舗旅館の清心館です。ここでは、挽きたての粉山椒をさまざまな料理に合わせ、その奥深い魅力を体験しました。
最初に登場したのは、シンプルながらも贅沢な卵かけご飯。熱々のご飯に卵を落とし、そこへ挽きたての粉山椒をひと振り。鼻に抜ける爽やかな香りと、舌に広がるピリッとしたしびれが絶妙で、卵のまろやかさと見事に調和しました。続いては意外な組み合わせ、ビールに粉山椒をふりかけて乾杯。ほのかな香りが加わることで、後味がより爽快に感じられるのが新鮮です。
さらに、鯛の刺身や焼き鳥、味噌汁、おにぎりといった日本の定番料理にも挑戦。刺身といえばワサビが定番ですが、山椒を合わせると魚の甘みが引き立ち、新しい発見があります。焼き鳥の香ばしさには山椒の清涼感がぴったりで、味噌汁やおにぎりも香り高い一品に変わります。
驚かされたのは、中華料理との相性です。本来ホアジャオを使う麻婆豆腐を、日本の山椒で仕上げると、辛さの中にフルーティな香りが立ち、和風の深みを感じる一皿に変わります。さらに海外では、ガトーショコラなどのスイーツに山椒を加えるアレンジも注目されています。チョコレートの濃厚な甘さに、山椒の爽やかな刺激が加わることで、まるで大人のデザートのような新しい世界が広がります。
この体験を通して、山椒は和食だけでなく洋食やスイーツまで活躍できる、まさに万能スパイスだと実感できました。
ぶどう山椒の魅力と可能性
ぶどう山椒は、ただ料理に香りを添えるだけのスパイスではありません。その存在は、和食の枠を飛び越えて、洋食やスイーツにまで広がっています。例えば煮物や焼き魚にふりかければ、柑橘のような爽やかさとピリッとした刺激が加わり、家庭の定番料理が一気に上品な一皿へと変わります。
洋食でもその力は健在です。肉料理のソースに少し加えれば、脂っこさを和らげて後味をすっきりさせる効果があります。さらにパスタやサラダにひと振りするだけで、普段の味わいに新しいアクセントが生まれます。
驚くのは、スイーツとの相性です。ガトーショコラやアイスクリームに加えると、甘さの中にほのかな刺激が立ち、口の中で香りと風味が重なり合う独特の美味しさが生まれます。まるで一流シェフが手がけたデザートのような味わいを、自宅でも簡単に楽しめるのです。
そして今、2025年の食のトレンドとして、和のスパイスへの注目は世界的に高まっています。その中でも希少価値の高いぶどう山椒は、日本から世界に広がる可能性を秘めた存在です。毎日の食卓に取り入れれば、新しい料理のアイデアが生まれ、家庭の食事がぐっと楽しくなるでしょう。
まとめ
今回の記事のポイントは次の通りです。
-
和歌山・有田川町のきとら農園で育つ「ぶどう山椒」は“緑のダイヤモンド”と呼ばれる特産品
-
収穫から加工まで、農家の丁寧な手作業によって高品質な粉山椒が生まれる
-
卵かけご飯、刺身、焼き鳥、中華料理、スイーツまで幅広く活用できる
もし次に和歌山を訪れるなら、有田川町でぶどう山椒の香りを体験してみませんか?家庭でも粉山椒を取り入れて、料理の幅を広げるのもおすすめです。関連記事として「薬味の進化系レシピ」「和歌山グルメ旅ガイド」などもチェックすると、さらに楽しみが広がります。
旬と保存術:ぶどう山椒を長く楽しむ工夫
ぶどう山椒の魅力は、何といっても収穫できる時期が限られていることです。例年、旬を迎えるのは初夏から夏にかけてのわずかな期間。この短いタイミングでしか味わえないからこそ、「今しか出会えない特別な香り」として価値が高まります。新鮮な実は爽やかな香りとしびれる辛みが強く、料理にひとふり加えるだけで季節感あふれる一皿に変わります。
しかし、この旬の味覚を長く楽しむためには、昔から受け継がれてきた保存術が欠かせません。代表的なのが醤油漬けです。下処理として軽くゆでてアクを抜いた山椒を醤油に漬け込むことで、香りを閉じ込めながら保存が可能になります。冷奴や焼き魚にちょっとかけるだけで、食卓がぐっと引き締まります。
もう一つ人気なのが山椒オイル。オリーブオイルや菜種油に下処理した山椒を漬け込むと、香りが油に移り、炒め物やサラダ、パスタの仕上げに重宝します。少量でも風味が際立つので、日常の料理をワンランクアップさせてくれます。
さらに、定番のちりめん山椒や佃煮に仕上げておけば、ご飯のお供として長期保存も可能。甘辛い味付けの中に広がるしびれと香りは、ご飯はもちろん、おにぎりやお茶漬けとも相性抜群です。
このように、短い収穫期にしか手に入らないぶどう山椒も、醤油漬け・オイル漬け・佃煮といった工夫をすることで、一年を通して楽しむことができます。旬を逃さず取り入れ、暮らしの中で長く味わえるようにするのが、ぶどう山椒ならではの楽しみ方です。
コメント