都営大江戸線で出会う“新しい東京”の顔と味わい
東京に暮らしていると、「もう見尽くした」と思いがちです。けれど、ほんの少し路線を変えたり、ひと駅歩くだけで、まったく知らなかった街の表情が見えてくることがあります。
2025年10月11日放送の『ぶらり途中下車の旅』では、剛力彩芽さんが都営大江戸線に乗って、そんな“新しい東京”をめぐります。
舞台は、再開発で注目を集める芝浦、職人の技が息づく蔵前、伝統文化の香る浅草。
おしゃれで、ちょっと不思議で、そして心が温まる出会いが、次々に登場します。
この記事では、地域社会の視点から、東京という都市がどう変化し、どんな新しい価値を生み出しているのかを深掘りしていきます。放送後には、登場した店や人物の詳細、地域での取り組みなども追記します。
芝浦の最新スポットに見る“都市の再生と共生のかたち”
芝浦と聞くと、かつては倉庫や工場が立ち並ぶ“港の裏側”のイメージがありました。
しかし近年は、再開発エリア「SHIBAURA HOUSE」や高架下のリノベーション施設などが登場し、クリエイターや飲食業の若手が次々と進出。街全体が「働く」「遊ぶ」「暮らす」を融合させた新しい街へと変わっています。
番組で剛力さんが訪れるのは、そんな芝浦に誕生した“食とデザインの複合施設”。地元の食材を使ったレストランや、工房を併設するカフェが並び、地域の人と観光客が自然に交わる場として注目されています。
なかでも話題となりそうなのが、赤と白のワインしゃぶしゃぶ。
赤ワインは芳醇でコクのある味わい、白ワインはすっきりと香る酸味。どちらも塩だけで食べるという潔さが特徴です。
しゃぶしゃぶという日本の料理に、ワインという西洋の要素を融合させる――まさに“文化の交差点”を体現した料理です。
さらに、シメには生パスタを自分で練る体験もできるとのこと。
食を通して“参加できるまちづくり”を感じさせる仕掛けが、芝浦という街の未来を象徴しています。
蔵前の工房で広がる“手仕事とアップサイクルの街づくり”
続いて剛力さんが訪れるのは、ものづくりの街として人気が高まる蔵前。
近年では、古い問屋や倉庫をリノベーションしたカフェや雑貨店が増え、下町の温かさと現代的デザインが共存するエリアへと進化しています。
今回登場するのは、革の端切れを組み合わせて作るパッチワークのような革小物の工房。
職人の手によって、捨てられるはずだった革が美しい色彩のアイテムへと生まれ変わります。
ひとつとして同じ柄がないバッグや財布は、まさに“世界に一つだけの作品”。
アップサイクルという言葉が広がる以前から、職人たちは“もったいない”精神を受け継ぎ、地域の素材を生かしてきました。
蔵前では、こうした工房が点在し、職人同士の横のつながりも活発です。
互いに刺激し合いながら、“東京でものづくりを続ける意味”を探る動きが生まれています。
伝統を守りつつ新しい挑戦をする――この共存の姿勢が、まち全体の魅力を引き上げているのです。
浅草の老舗が伝える“粋と伝統の継承”
旅の途中で訪れる浅草は、東京の“心”ともいえる場所。
ここで剛力さんが出会うのは、創業百年を超える太鼓・神輿の専門店です。
この店では、祭り道具を作るだけでなく、技術を応用して和小物やミニ太鼓ストラップなど、現代の生活に寄り添う商品も展開しています。
太鼓や神輿づくりは、単なる職人技ではなく、地域の信仰や共同体の象徴。
その技術を若い世代へ伝えるために、体験教室や地域イベントも開催しているとのこと。
剛力さんも、和紙を貼る細かな作業を体験しながら「手の動きに心がこもっている」と語ったそうです。
浅草の“粋”とは、華やかさではなく、日々の暮らしの中に宿る丁寧さのこと。
この老舗の姿勢が、それを改めて教えてくれます。
会津木綿の服が語る“地方と都市をつなぐファッション”
今回の旅の中で特に印象的なのが、会津木綿の洋服を扱うショップ。
ファッションリーダーでもある剛力彩芽さんが「やさしい色合いと軽やかさが心地いい」と語った一着は、まさに地域と都会の文化をつなぐ象徴です。
会津木綿は、福島県会津地方で江戸時代から織り続けられてきた伝統の布。
細かな縞模様と丈夫さが特徴で、かつては農作業着として重宝されていました。
近年では、若手デザイナーがその素材に新しい命を吹き込み、ワンピースやジャケットとして現代の街に溶け込む形で再生しています。
地域の織物産業が、都市のファッションシーンと交わることで、新たな経済の流れが生まれています。
“伝統を守る”ことは、過去にしがみつくことではなく、“今の暮らしに生かすこと”。
その哲学が、会津木綿の柔らかな布に込められているのです。
丸いクロワッサン「サークロ」に見る“遊び心と地域発信力”
東京・門前仲町で生まれたサークロ(丸型クロワッサン)は、ただの“かわいいパン”ではありません。見た目の楽しさだけでなく、街の魅力を伝える力を持つスイーツとして、多くの人の関心を集めています。焼き上がるたびに漂う香ばしいバターの香り、手のひらに収まる丸い形、そして一口ごとに変わる食感。そこには「食を通して街を元気にしたい」という店の思いが込められています。
サークロ誕生の背景
MONNAKA COFFEE(モンナカ コーヒー)がサークロを生み出したのは、クロワッサンの形に新しい意味を持たせたいという思いからでした。門前仲町という下町らしさが残る地域で、もっと人々に笑顔を届けたいという願いが原点です。三日月形の常識を打ち破り、円という“つながりの形”にすることで、地域の人や観光客の交流を象徴する存在に変わりました。
店内では毎朝、職人が一枚一枚の生地をていねいに折り重ねています。丸く焼くことで中心まで均等に熱が入り、外はパリッ、中はしっとりとした食感が生まれます。その完成度の高さが評判を呼び、開店直後から売り切れることも多いそうです。サークロは、焼きたてを求めて通うファンを増やし、門前仲町の新しい名物となっています。
サークロ各フレーバーの個性と魅力
味の種類は定番の「プレーン」から「オランジェット」「チョコ」「あんこ」「クレームブリュレ」まで多彩です。どのフレーバーも素材にこだわり、口に入れると香りと甘さの層が広がります。
オランジェットはほろ苦いオレンジピールとバターの風味が調和し、大人の味わい。クレームブリュレは、表面をパリッとキャラメリゼして香ばしく仕上げています。あんこは下町らしい懐かしさを感じる味で、外国人観光客にも人気です。さらに、食事系のサークロとして、サーモンやクリームチーズを挟んだメニューもあり、朝食やランチにもぴったりです。ひとつの形にさまざまな味が詰まっている点が、まさに“遊び心の象徴”といえるでしょう。
サークロと街歩きの楽しみ
門前仲町には、富岡八幡宮や深川不動堂といった名所が点在しています。サークロを片手に歩けば、カフェ巡りと街散策がひとつになった体験ができます。和の風情とモダンなスイーツが融合するその風景は、東京の中でも特別な時間を感じさせます。
下町の商店街にある小さなベーカリーや雑貨店と一緒に紹介することで、地域全体が一つの物語を作り出しています。サークロは“食べる目的地”であると同時に、“歩いて発見するきっかけ”でもあるのです。
ブランド拡張と広がる未来
門前仲町で生まれたサークロの人気は、他の街にも広がりつつあります。KITASANDO COFFEEが展開する新店舗「pleine by KITASANDO COFFEE(プレーヌ バイ キタサンドウコーヒー)」では、サークロの技術を受け継いだ新しい丸型クロワッサンが登場しました。異なる街で同じ発想が育ち、地域ごとに味や見せ方が変化していく。この“街ごとの個性化”こそが、地域発信力の新しい形といえます。
スイーツが街の名刺となり、人がそれを求めて訪れる。サークロはそんな地域ブランド化のモデルケースです。
スイーツが地域を動かす力
食べることは、街を知ることです。サークロのようなスイーツが人気になることで、地域全体が注目され、新しい観光や商業の動きが生まれます。地元の素材を使った限定フレーバーや、イベントでのコラボレーションなど、地域と店が一緒に育てる仕組みも広がっています。
一つのスイーツが街の魅力を伝え、人を呼び込み、交流を生む。その中心にあるのは「作る人のまごころ」と「訪れる人の楽しむ心」です。サークロは、そんな人と街の循環をつくる“幸せの輪”のような存在になっています。
東京の街が教えてくれること
芝浦の再開発、蔵前の手仕事、浅草の伝統、そして会津木綿のファッション。
それぞれのエピソードは、単なる観光紹介にとどまりません。
大都市・東京が抱える課題――人口の流動化、地域文化の断絶、商店街の空洞化――に対して、街がどう再生しようとしているのか、その答えがここにあります。
小さな店や職人の取り組みが、地域の記憶を守り、未来の都市文化を形づくっている。
“ぶらり途中下車の旅”は、その変化を見つめるドキュメントでもあるのです。
まとめ:東京はまだ終わっていない。進化し続ける“人の街”
この記事のポイントは以下の3つです。
・都営大江戸線沿線では、再開発と伝統の融合が新しい文化を生み出している
・芝浦・蔵前・浅草など、それぞれの地域に“人が主役のまちづくり”が根づいている
・食・ファッション・手仕事を通じて、東京が再び「人と文化の街」として輝きを取り戻している
次回、放送後には剛力彩芽さんが訪れた各店の詳細やインタビュー、地域の人々の言葉を追記予定です。
東京は、まだまだ進化の途中。
ひと駅ごとに物語がある――そんな“街と人の対話”を、ぜひ放送で確かめてください。
出典:日本テレビ『ぶらり途中下車の旅』(2025年10月11日放送予定)
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/burari/
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