植物と人をつなぐ園芸家・深町貴子
植物の育て方を教えるだけでなく、その先にある「植物と暮らす楽しさ」まで伝えているのが、園芸家の深町貴子さんです。『有働由美子の健康案内人! 夏の疲れを植物でリセットへ!心と体を整える園芸生活(2026年8月18日放送)』では、寄せ植えを通して植物を暮らしに取り入れる方法を紹介します。深町さんについて調べてみると、現在の活動の原点には、病弱だった幼少期と植物との忘れられない出会いがありました。
この記事でわかること
- 深町貴子さんがどんな園芸家なのか
- 病弱だった幼少期と植物との出会い
- 園芸家を目指したきっかけと経歴
- 現在取り組んでいる園芸・地域活動
深町貴子は植物の楽しさを伝える園芸家

(出典:Vol.08 深町貴子さん「園芸に失敗なんてない」 人の心に種をまくことが園芸家の仕事 | 中美 チュービ 中学校美術の先生応援サイト)
深町貴子さんは、神奈川県川崎市生まれの園芸家です。
東京農業大学短期大学部を卒業し、現在は有限会社タカ・グリーン・フィールズの専務取締役として、園芸講座や講演、菜園指導など幅広い活動をしています。
同社では、一般住宅や公共施設の庭づくり、園芸・農業資材の取り扱い、園芸講座などを展開しています。深町さん自身も植物の育て方を教えるだけではなく、植物を育てる喜び、生態系の仕組みや自然の不思議などを伝えてきました。
経歴を簡単に整理すると次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 深町貴子(ふかまち たかこ) |
| 出身 | 神奈川県川崎市 |
| 職業 | 園芸家 |
| 学歴 | 東京農業大学短期大学部卒業 |
| 所属 | 有限会社タカ・グリーン・フィールズ |
| 主な活動 | 園芸講座、講演、菜園指導、商品企画、メディア出演など |
| 教育活動 | 東京農業大学短期大学部非常勤講師を2003~2018年度に担当 |
| 主な発信 | テレビ、書籍、YouTube「Horti」など |
東京農業大学短期大学部では、バイオセラピー論・園芸療法概論の非常勤講師も務めていました。単に「花や野菜に詳しい人」というより、植物と人との関係そのものを長く考えてきた人だとわかります。
テレビで見ると、とても明るく植物について話している印象があります。
ところが、その背景まで知ると少し見え方が変わります。
深町さんにとって植物は、仕事になる前から、自分の世界を外へ広げてくれた特別な存在だったからです。
病弱だった幼少期に植物から「生きる」意味を学んだ
深町さんの人生を知るうえで欠かせないのが、病弱だった幼少期です。
子どもの頃は体が弱く、特に小学生時代は学校を休みがちだったと本人が振り返っています。
学校へ行けないため友達との共通の話題も少なく、人とのコミュニケーションにも苦手意識があったそうです。寝て過ごす日が続き、将来への夢や希望を持てなくなり、さまざまなことへの興味も薄れていきました。
そんな生活の中で、ひとつの出来事が深町さんの意識を変えます。
小学校低学年のある日、部屋で寝ていると、開いた窓の外から枯れ葉が風に舞う音が聞こえてきました。
窓が高い位置にあり、それまで外の様子はほとんど見えなかったものの、その音によって深町さんは外が「秋」であることを感じます。
これをきっかけに窓の外が気になるようになり、「外に出てみたい」と思うようになったと語っています。
実際に庭へ出てみると、そこには虫がいて、花が咲き、風の匂いも日々変わっていました。
そして庭で発見したことを母親に話すようになります。
ここが、深町さんの人生にとってかなり大きなポイントだったように感じます。
植物が直接何かを治してくれた、という単純な話ではありません。
自然の中で発見することが生まれ、その発見を誰かに伝えることで会話が生まれたのです。
「学校へ行けないから人と話せない」のではなく、自分から発信できるものを見つければ、人とつながることができる。
植物はそのきっかけになりました。
初めてこのエピソードを知ると、現在の深町さんが植物について楽しそうに話し続けている理由にも納得できます。
単なる趣味の延長ではなく、自分自身が植物によって外の世界とつながれた経験が、その後の仕事につながっているのです。
東京農業大学短期大学部から園芸の道へ進んだ
植物への興味を深めた深町さんは、その後農業高校を経て、東京農業大学短期大学部へ進学しました。
園芸家になるきっかけについて本人は、植物のことをもっと学び、人と話せるようになりたいと思ったこと、そして自分と同じようにコミュニケーションが難しい人や、寝たきりで過ごしている人にも植物を通して人とつながってもらえる仕事をしたいと思ったことを語っています。
さらに社会人になってから、深町さんは園芸療法について学びます。
園芸療法とは、植物をただ眺めるだけではなく、種をまく、育てる、世話をするといった園芸活動を取り入れる考え方です。
深町さんはアメリカで傷痍軍人のために園芸療法が利用されていることを知り、学びを深め、その後は母校で園芸療法概論を教える立場にもなりました。
ここまでの経歴を見ると、現在「植物と心や暮らし」を結びつけて話すことにも一本の線が通っています。
子どもの頃に自身が植物を通して外の世界へ関心を取り戻した。
その後、専門的に植物を学び、さらに園芸療法という考え方にも出会った。
そして今度は、それを人へ伝える側になったわけです。
個人的には、単に有名な園芸家の学歴を並べるより、なぜその道を選んだのかを知るほうがずっと人物像が伝わってくると感じます。
「園芸で人を幸せにすること」を目標に活動している
深町さんは自身の人生目標として、「園芸で人を幸せにすること」を掲げています。
また、近年の活動では「園芸は育て方より育ち方」という考え方を大切にしています。
この言葉には、深町さんらしい園芸観がよく表れています。
一般的な園芸では、
「いつ水をやるのか」
「肥料はどれくらい必要なのか」
「どこに置けばいいのか」
といった方法を知りたくなります。
もちろん、それらも大切です。
しかし深町さんが重視しているのは、その前に植物がどのように育とうとしているのかを見ることです。
芽がどちらへ伸びるのか、葉をどう広げるのか、どのように花を咲かせ、実をつけるのか。
それぞれの植物の「育ち方」を観察して初めて、こちら側の「育て方」が見えてくるという考えです。
家庭で植物を育てた経験があると、これはたしかに実感しやすい部分があります。
同じ種類の苗を買ってきても、日当たりや風通し、置き場所、気温によって成長は同じになりません。
マニュアル通りにやったのに思ったように育たないこともあります。
そんなとき「失敗した」と考えて終わるのではなく、植物の状態を見て次を考える。
深町さん自身も、園芸には失敗がなく、うまくいかなかった経験も次に進むための材料になるという考えを示しています。
園芸初心者にとっては、この考え方は少し気持ちを楽にしてくれるかもしれません。
「枯らしたらどうしよう」と構えすぎるより、毎日の変化を見るところから始める。
個人的には、この姿勢こそ園芸を長く続けるために大事な部分ではないかと思います。
趣味の園芸やYouTubeでも植物の魅力を伝えている
深町さんをテレビで知った人も多いでしょう。
2011年から「趣味の園芸 やさいの時間」の講師を務め、プランター菜園など家庭で実践しやすい園芸を伝えてきました。
2026年現在も、所属先の公式サイトでは同番組への出演情報が掲載されています。
また、テレビだけではありません。
園芸カルチャーを動画で伝えるYouTubeチャンネル「Horti」も展開しています。
このチャンネルは深町さん自身が企画・制作・プロデュースし、園芸の楽しさを動画で伝えるものです。家庭菜園をやったことがない人でも始めやすいよう、栽培のポイントなどが紹介されています。
さらに著書も多数あります。
2023年に刊行された『NHK趣味の園芸 やさいの時間 深町貴子のプランター菜園スタートBOOK』では、野菜ごとの特徴を理解して育てる方法を紹介しています。
ここにも「育て方より育ち方」という深町さんの考え方が反映されています。
深町さんの発信の特徴は、正しい手順だけを教えて終わらないところです。
「この野菜はどんな環境を好むのか」
「植物は今どう育とうとしているのか」
という視点を持たせてくれます。
これから家庭菜園や寄せ植えを始める場合も、道具をたくさんそろえることより、まず植物を置く場所の日当たりや風通し、毎日様子を見られる場所なのかを確認するところから始めると、深町さんの考え方に近い園芸の楽しみ方ができそうです。
現在は植物を通して人や地域をつなぐ活動にも取り組んでいる
深町さんの活動は、個人が家庭で楽しむ園芸だけにはとどまりません。
集合住宅などのコミュニティガーデンの菜園指導を行い、植物を通して人がつながる場づくりにも関わっています。
所属するタカ・グリーン・フィールズでも、「植物を軸に広がるコミュニケーションフィールド」をテーマのひとつとして掲げています。
講演やカルチャーセンターでの園芸講座だけでなく、子どもや親子向けの園芸教室、生物多様性や環境問題を意識した提案なども行われています。
つまり深町さんが考える園芸は、
植物をきれいに育てることだけが目的ではありません。
植物を介して会話が生まれる。
季節の変化に気づく。
子どもが自然に興味を持つ。
同じ地域に暮らす人同士がつながる。
こうしたところまで含めて「園芸」と考えていることが、これまでの活動から見えてきます。
これは、幼い頃の深町さんが庭で見つけたことを母親に伝え、それが会話につながった経験とも重なります。
さらに深町さんは、外へ出ることが難しい人でも楽しめる園芸についても語っています。
自身も子どもの頃に家で過ごす時間が長かった経験から、室内栽培や病院・施設のような場所でも楽しめる園芸を提案し、年齢や環境にかかわらず安全に楽しめる形を考えてきました。
ここは、深町さんという人物を理解するうえでかなり大切な部分だと感じます。
現在の活動だけを見ると「テレビで活躍する園芸家」ですが、その根っこにあるのは、植物によって自分自身が人や外の世界とつながることができた経験です。
だからこそ、花をきれいに咲かせる方法だけではなく、「植物を育てることで暮らしや人との関係がどう変わるのか」まで伝え続けているのでしょう。
玄関に小さな寄せ植えを置くことも、ベランダで野菜を1株育てることも、最初から上手にできる必要はありません。
深町さんの考え方にならえば、まず植物の変化に気づき、毎日少し眺めてみる。
そこから園芸の楽しさが始まるのかもしれません。
出典
- 有限会社タカ・グリーン・フィールズ 深町貴子プロフィール・講座企画部
- 日本文教出版 深町貴子さん「園芸に失敗なんてない」人の心に種をまくことが園芸家の仕事
- NHK出版『深町貴子のプランター菜園スタートBOOK』著者紹介


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