スポーツと無縁だったエンジニアが動作解析企業を作るまで
2026年9月9日放送のテレビ東京『アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~』で特集されるのが、浜松市に本社を置く株式会社SPLYZAと、その代表取締役CEOを務める土井寛之さんです。
現在のSPLYZAは、スマートフォンやタブレットなどのカメラ1台から人の動きを3D解析する技術を開発し、スポーツだけでなく医療やリハビリへ利用分野を広げています。しかし土井さん自身は、学生時代には部活動にも所属していないほどスポーツとは縁の薄い人物でした。人生を変えたのは、社会人になって出会ったウインドサーフィンです。
この記事でわかること
- 土井寛之さんがソフトウェアエンジニアから起業した経緯
- ウインドサーフィンとオーストラリア生活がSPLYZAにつながった理由
- 失敗した最初のサービスからSPLYZA Teamsへ成長した過程
- SPLYZA Motionがスポーツから医療へ広がっている現在
土井寛之さんはSPLYZAを2011年に創業
土井寛之さんは株式会社SPLYZAの代表取締役です。
会社は2011年5月2日に設立され、静岡県浜松市中央区に本社を置いています。資本金は1億円。現在は「SPLYZA Teams」「SPLYZA Motion」など複数のサービスを展開しています。
いまではスポーツテック企業のCEOですが、土井さんは学生時代からスポーツ一筋だった人物ではありません。
SPLYZA公式の創業ストーリーによると、もともとはソフトウェアエンジニアでした。
学生時代は部活動にも所属せず、スポーツとはほとんど無縁。
そこから会社経営者になるきっかけとなったのが、社会人3年目で偶然始めたウインドサーフィンでした。
週末のウインドサーフィンが人生を変えた
ウインドサーフィンを始めた土井さんは、一気に夢中になります。
週末になると朝から晩まで海で過ごす生活になりました。
その一方で、平日はエンジニアとして働きます。
週末が楽しくなればなるほど、「平日も同じくらい楽しく生きられないのか」という思いが強くなりました。
そこで生まれた考えが、
「週7日、毎日ワクワクしていたい」
という人生のテーマです。
起業というと「市場を分析して大きなビジネスチャンスを見つけた」という話を想像しがちですが、土井さんの場合、最初にあったのはもっと個人的な人生観でした。
仕事と休日を分けるのではなく、仕事そのものを面白くしたい。
その思いが起業へ向かわせます。
家も決めずオーストラリアへ渡った型破りな行動力
2026年9月9日の『アンパラレルド』では、土井さんがウインドサーフィンに熱中するあまり、住む家さえ決めずにオーストラリアへ渡ったエピソードまで紹介されます。
現地では民家を訪ねて居候するという、かなり大胆な行動も取っていました。
このオーストラリア生活が後の事業にもつながります。
日本にいるウインドサーフィン仲間とつながるため、自分の映像を撮影し、技のやり方や近況をブログに載せていました。
そこで土井さんが気づいたのが、
「トップアスリートではなく、普通にスポーツを楽しむ人こそ映像を使って上達できるのではないか」
という可能性でした。
当時、高度なスポーツ分析システムは数十万円から数百万円するようなものが中心で、一般の部活動やアマチュア選手には簡単に使えませんでした。
そこでITと映像を使い、もっと身近な分析ツールを作ろうと考えます。
100以上の事業案から「IT×スポーツ」を選んだ
起業にあたって、土井さんたちは100以上のアイデアを検討しました。
最後に残ったのが、
アマチュアスポーツにITを持ち込む
という構想です。
2011年、土井さんを含む3人でSPLYZAを創業しました。
現在の姿だけを見ると、最初から順調に成長したベンチャー企業に見えます。
しかし実際はかなり苦戦しています。
最初のサービス「Spoch」は3年かけてもほぼ売れなかった
SPLYZAが2014年にリリースしたサービスが「Spoch」です。
創業からリリースまで約3年。
ところが、利用者からほとんど反応がありませんでした。
開発メンバーがエンジニア中心だったため、「自分たちが欲しい機能」を増やし続け、ユーザーが本当に必要としているものとのズレが生じていました。
土井さんは全国の大学などへ大量に営業をかけました。
それでもアカウント登録はわずか2ユーザー。
ここまで数字がはっきりしている失敗は、SPLYZAの創業物語でも特に印象的です。
一度「Spoch」を棚上げするほど追い詰められました。
それでも会社をたたみませんでした。
失敗を小さく早く繰り返す方向へ転換
Spochの失敗から、SPLYZAは開発のやり方を変えます。
次は3年をかけるのではなく、約2か月で新しいアプリを開発。
2014年にはスポーツ映像を残像動画へ変換する「Clipstro」、続いてゴルフ向けの「Clipstro Golf」をリリースしました。
最初はこちらも大成功とはなりませんでした。
そこで土井さんは、今度は自らスポーツ関係者に会いに行くことを選びます。
約1年間、全国を回って競技関係者や指導者とのつながりを増やしました。
2014年末にはClipstroがApp Storeで紹介され、2015年にはMicrosoft Innovation Awardを受賞。
少しずつSPLYZAという会社の名前が知られるようになっていきます。
一度失敗したSpochがSPLYZA Teamsとして復活
土井さんは最初に失敗したSpochを完全には諦めませんでした。
スポーツ現場へのヒアリングを重ね、「個人が自分の映像を見るツール」から、「チームで映像を共有して考えるツール」へ方向転換します。
そして2016年、Spochを改良したSPLYZA Teamsが登場しました。
現在のSPLYZA Teamsは、
- 映像への描き込み
- タグ付け
- クイズ機能
- データ集計
- 動画共有
- AIまとめ機能
などを備えています。
2026年現在、30競技以上、約900チームで利用されています。料金は月額16,500円から、初期費用22,000円と公式サイトで案内されています。
失敗したサービスの名前を変えただけではありません。
「誰のどんな問題を解決するのか」を見直したことが、成長の大きな転機になりました。
SPLYZA Motionはカメラ1台で3D動作解析
現在、テレビ番組で特に注目される技術がSPLYZA Motionです。
一般的な高精度モーションキャプチャは、多数のカメラや体に付けるマーカー、専用設備などが必要になることがあります。
SPLYZA Motionは、iPhoneやiPadなど1台で撮影した映像をAIで解析します。
マーカーを貼らずに3Dで動きを解析でき、角度、速度、距離、軌跡などを数値として確認できます。
テレビ東京は番組予告で、全身約120箇所の動きを解析する技術として紹介しています。
SPLYZAの公式技術ページでも、対象機能では全120箇所のデータ算出が案内されています。
従来は設備がある研究施設や専門家しか扱いにくかった動作解析を、より身近なものにすることが狙いです。
スポーツから医療・リハビリへ用途を拡大
SPLYZA Motionはスポーツだけに使われているわけではありません。
2026年現在は、教育、ヘルスケア、スポーツ、製造業など200を超える組織で活用されています。
特に注目されているのがリハビリ分野です。
理学療法士が患者の歩き方を見て「良くなった」と判断する場合、どうしても経験や感覚に頼る部分が生まれます。
SPLYZA Motionを使えば、
「膝の角度がどの程度変わったか」
「歩行速度がどう変化したか」
などを数値で比較できます。
患者本人も変化を映像や数字で見られるため、リハビリの目標を共有しやすくなります。
SPLYZA Motion Medicalは一般医療機器へ
さらにSPLYZAは「SPLYZA Motion Medical」という医療向け製品も展開しています。
これは専用iPad1台で歩行や走行を3次元解析するもので、一般医療機器・クラスⅠとして届け出られています。
TUGテストと呼ばれる歩行能力評価では、撮影から解析まで最短1分。
AIを使ってマーカーレスで動作を解析し、歩行速度や関節角度などを記録できます。
スポーツの「もっと上手くなりたい」から始まった会社が、現在は「もう一度歩きたい」「リハビリの成果を知りたい」という医療分野の課題にまで広がっているわけです。
ここが土井さんの事業を人物記事として扱う面白さです。
安東清文CTOとの組み合わせもSPLYZAの強み
『アンパラレルド』では、土井さん1人だけでなくCTOの安東清文さんも重要人物として登場します。
番組公式は、土井さんの行動力に対し、安東さんが数学的アプローチで技術を支える構図として紹介しています。
土井さんはウインドサーフィンから事業アイデアを発想し、現場へどんどん飛び込んでいくタイプ。
一方、AIによる高精度な動作解析を実現するには、数学やプログラミングの高度な技術が欠かせません。
SPLYZAの成長は、型破りな創業者だけの物語ではなく、異なる強みを持つ人材が組み合わさった会社の物語でもあります。
実用情報|SPLYZAのサービスと利用方法
株式会社SPLYZAの本社は、
静岡県浜松市中央区相生町16-13
です。
主なサービスには、
- SPLYZA Teams
- SPLYZA Motion
- SPLYZA Motion Medical
- Lecta
- SPLYZA Score for Basketball
などがあります。
SPLYZA Motionには無料ダウンロードやトライアルの案内があり、SPLYZA Teamsにも1か月の無料トライアルがあります。
ただしSPLYZA Motion Medicalは医療機関向けの一般医療機器なので、一般ユーザー向けアプリとは扱いが異なります。
まとめ
土井寛之さんは、もともとソフトウェアエンジニアとして働き、学生時代にはスポーツともほとんど縁がありませんでした。
社会人になってウインドサーフィンと出会ったことで人生が変わります。
「週末だけではなく週7日ワクワクしたい」という思いから起業へ進み、オーストラリアで撮影したスポーツ映像の経験をもとに「IT×アマチュアスポーツ」という事業を考えました。
最初のサービスは3年かけて開発したものの、営業しても登録者がわずか2人という大失敗。
しかし方向転換を繰り返し、現在のSPLYZA Teamsへつなげました。
そして今では、カメラ1台で人の動きを3D解析するSPLYZA Motionをスポーツ、教育、医療へ展開しています。
2026年9月9日の『アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~』で注目したいのは、AI技術そのものだけではありません。
スポーツと無縁だったエンジニアが、ウインドサーフィンをきっかけに会社を作り、何度も失敗しながら医療にも使われる技術へ育てた。
この人生の振れ幅こそ、土井寛之さんが検索される一番の理由になりそうです。
参考リンク


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