市役所職員から希少な国産黒ごまを育てる農家へ転身した戸澤篤さん
2026年9月26日放送の日本テレビ系『満天☆青空レストラン』では、長野県駒ヶ根市で育てられる希少な国産黒ごまが特集されます。駒ヶ根で黒ごまを栽培し、純国産ごま油「sesame oil Premium Black」を手がけている生産者が、「とざ和農商」代表の戸澤篤さんです。番組では駒ヶ根産黒ごまのほか、ごま油を使ったアヒージョやアイスへのアレンジなどが取り上げられます。
戸澤さんは最初から農家だったわけではありません。農業高校卒業後、駒ヶ根市役所で25年間勤務し、45歳ごろに安定した行政職を離れて農業の世界へ入りました。その背景には、父から引き継いだ農地と、故郷・駒ヶ根の20年後を考えた経験があります。
この記事でわかること
- 戸澤篤さんの市役所職員時代
- 45歳で農家へ転身した背景
- 駒ヶ根産黒ごまを選んだ理由
- sesame oil Premium Blackの製法と現在の挑戦
戸澤篤さんは「とざ和農商」代表
戸澤篤さんは、長野県駒ヶ根市で黒ごまを栽培する「とざ和農商」の代表です。
駒ヶ根市中沢を拠点に約100a、つまり1haほどの畑で黒ごまを栽培しています。JA上伊那の2026年の紹介では、年間約500kgを収穫し、全量をごま油「sesame oil Premium Black」へ加工して販売しています。
農園・事業所は次の場所にあります。
- 農園名:とざ和農商
- 所在地:長野県駒ヶ根市中沢6510-2
- 主な農産物:黒ごま
- 主力商品:sesame oil Premium Black
駒ヶ根の黒ごまは、国内流通量が極めて少ない国産ごまです。
その希少な原料を栽培するだけでなく、「油」という高付加価値商品へ変えて販売するところまで手がけているのが、戸澤さんの事業の特徴です。
駒ヶ根市役所に25年間勤めた経歴
戸澤さんは農業高校を卒業後、駒ヶ根市役所へ就職しました。
行政職員として勤めた期間は25年間です。
農林関係の部署では新規就農者への支援やごまの試験栽培に関わり、観光分野ではごまの販売促進なども経験しました。
つまり、農家へ転身する前から長年「地域の農業」を行政側から見続けていたことになります。
どんな農家が続き、どんな農家がやめていくのか。
何を作れば地域の産業になるのか。
農産物を育てるだけでは十分な収益につながらない現実も、市役所職員として農家を支援する中で見てきました。
この25年間の行政経験が、後の「黒ごまを作るだけで終わらせない」という発想につながっていきます。
45歳で安定した行政職を離れた転機
戸澤さんが農業を自分自身の仕事として強く意識することになった一つの出来事が、父親の病気でした。
父親は50代で会社員からこんにゃく農家へ転身していましたが、その父が病で倒れ、戸澤さんが約80aの畑を急きょ引き継ぐことになります。
市役所で働きながら、早朝や休日を使って約3年間農作業を続けました。
実際に農地を預かると、行政の立場から見ていた農業とは違う現実がありました。
山間地では農家の高齢化が進み、これまで守られてきた畑や風景を誰が引き継ぐのかという問題があります。
戸澤さんは、自分が定年まで市役所に勤め続けた20年後を考えました。
その頃、地域はどうなっているのか。
子どもたちの世代へ今の風景や産業を残せるのか。
市役所を25年間勤めた後、45歳ごろで退職し、農業を仕事として選びました。
安定した公務員生活から農業への転身。
戸澤さんにとっては単なる転職ではなく、それまで行政から支えてきた地域づくりを、自分自身が生産者として続ける選択でした。
駒ヶ根の黒ごまを事業に選んだ理由
戸澤さんが選んだ作物が「黒ごま」でした。
駒ヶ根では2000年代から、地域の農業・商業・工業が連携してごまを特産品へ育てる取り組みが行われてきました。
戸澤さん自身も市役所時代に、ごまの試験栽培や販売促進へ関わっていました。
大きな理由の一つが、国産ごまの希少性です。
日本で流通するごまはほとんどが海外産で、国産は0.1%前後という非常に小さな割合です。9月26日の『満天☆青空レストラン』でも、この「国産わずか0.1%」という希少性が大きく取り上げられます。
ただし、戸澤さんが考えたのは「珍しい黒ごまを作る」だけではありませんでした。
原料として売るだけではなく、さらに価値を高めた商品にする。
そこで目を付けたのが、ごま油です。
駒ヶ根の黒ごまが持つ香りやコクを生かし、「駒ヶ根から世界レベルの商品を作る」という方向へ進みました。
sesame oil Premium Black誕生まで
戸澤さんが手がける代表商品が「sesame oil Premium Black」です。
原料には駒ヶ根産の黒ごまを100%使用しています。
収穫された黒ごまは京都へ運ばれ、長年油づくりを続ける企業の職人によって加工されます。クラウドファンディングでは、協力先として株式会社山田製油の名称掲載許諾も明記されています。
特徴は、一気に大量生産する油ではないことです。
気温や湿度、その日のごまの状態を見ながら焙煎具合を調整し、化学溶剤を使わない圧搾方法で搾油します。
とざ和農商では、搾った油の中でも一番搾りを使用。熟成や濾過を経て、香りが高く、さらっとした口当たりの油へ仕上げています。
おすすめされている使い方も一般的な「炒め油」とは少し違います。
- 卵かけご飯
- 冷ややっこ
- サラダ
- スープ
- バニラアイス
- 刺し身や魚介
- 料理の仕上げ
大量に使うのではなく、完成した料理へ2〜3滴加える使い方が基本です。
ごま油そのものを調味料や「食材」に近い感覚で味わう商品になっています。
京都の搾油技術と作った純国産ごま油
戸澤さんが育てた黒ごまの価値を完成させるのが、京都の搾油技術です。
収穫した黒ごまは、焙煎してから圧力をかけて油を搾ります。
搾った油をそのまま瓶へ詰めるのではなく、時間をかけて不純物を沈殿させ、上澄みを取り、加熱して水分を飛ばし、最後に濾過します。
こうした工程に約1か月から1か月半をかけています。
原料も駒ヶ根産。
栽培するのも国内。
搾油するのも国内。
「sesame oil Premium Black」が純国産を前面に出している理由です。
一方で、黒ごまの栽培自体は簡単ではありません。
雑草対策など人の手を必要とする作業が多く、中沢地区のような山間地では大きな土手の草刈りも必要になります。
戸澤さんは除草作業などを続けながら、安全性と品質を重視した栽培を行っています。
小さな1粒のごまから商品になるまで、多くの人の作業が積み重なっています。
駒ヶ根の農業を次世代へ残す現在の挑戦
戸澤さんの目標は、ごま油を売ることだけではありません。
その先にあるのが、地域の農地と仕事を残すことです。
農家が高齢化すると、条件の良い農地には新しい担い手が見つかっても、山間部や作業条件の厳しい農地は残されやすくなります。
戸澤さん自身もそうした農地を引き受けながら黒ごまを育てています。
さらに、とざ和農商では就労継続支援を利用する人たちにも農作業の一部を担ってもらっています。
農業を通して仕事を生み、耕作放棄地を減らし、地域の景観を守る。
黒ごまを売ることが、地域そのものを維持する仕組みへつながっていきます。
2025年には新商品の開発を目的としたクラウドファンディングにも挑戦。
目標150万円に対して159万3000円を集め、51人から支援を受けました。
一人の元市役所職員が始めた農業は、商品開発、福祉、地域農業、観光まで広がり始めています。
sesame oil Premium Blackの購入方法
「sesame oil Premium Black」は、とざ和農商の公式サイトからオンライン購入へ進めます。
商品は50g入りで、駒ヶ根産黒ごまを100%使用。
香りを楽しむため、料理の仕上げに少量を加える食べ方がすすめられています。
- 商品名:sesame oil Premium Black
- 内容量:50g
- 原材料:黒ごま(駒ヶ根産)
- 製造方法:圧搾製法
- 販売:とざ和農商
- 購入:公式オンラインショップ
価格は販売先や時期によって変わる場合があるため、購入時の表示を確認してください。
まとめ
戸澤篤さんは、駒ヶ根市役所で25年間働いた後、45歳ごろで行政職を離れ、黒ごま農家へ転身しました。
きっかけの一つになったのは、父親の病気で約80aの農地を引き継ぎ、自ら農業の現場へ入った経験です。
市役所時代に培った農業支援や販売促進の経験を生かし、現在は約1haで黒ごまを栽培。
京都の搾油技術と組み合わせ、「sesame oil Premium Black」という付加価値の高い商品へ育てています。
黒ごまを作ること。
商品にすること。
売ること。
そして、その仕事によって地域の畑と人を残すこと。
戸澤さんの挑戦は、希少な国産黒ごまを守るだけでなく、20年後の駒ヶ根をどう残すのかという地域づくりにつながっています。
参考リンク
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