Amazing JIROが作る「本物にしか見えない顔」の技術
2026年10月4日放送のNHK総合「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」では、特殊メイクアップアーティストの仕事に密着し、ゾンビや老け顔を生み出すシリコーン素材と繊細な職人技が紹介されます。番組が取り上げる「ハリウッドに革命を起こしたシリコーン」は、特殊メイク界の第一線で活動するAmazing JIROさんが長年扱い、その仕組みを詳しく発信してきた技術でもあります。
Amazing JIROさんは東京藝術大学卒業後に特殊メイクの道へ進み、2002年に特殊メイク・造形工房「自由廊」を設立。「TVチャンピオン 特殊メイク王選手権」で2連覇し、海外の専門誌から「世界の注目アーティスト10人」に選ばれた実績を持ちます。現在は映画やドラマだけでなく、広告、イベント、ファッション、後進育成まで活動を広げています。
この記事でわかること
- Amazing JIROさんが特殊メイクの道へ進んだ経歴
- 「特殊メイク王」2連覇から世界で評価されるまで
- シリコーンで老け顔やゾンビをリアルに作れる理由
- 自由廊とAmazing School JURの場所・授業・費用
Amazing JIROは東京藝術大学卒業後に特殊メイクの世界へ

Amazing JIROさんは、東京藝術大学を2000年に卒業した後、特殊メイクの道へ入りました。
現在の仕事は、俳優の顔を老人や怪物へ変化させる特殊メイクだけではありません。人物やクリーチャーの造形、衣装、フェイス&ボディペイント、映像、広告、イベント、ファッションなどを横断するクリエイターとして活動しています。
特殊メイクへ進むまでには、多摩美術大学、東京藝術大学、代々木アニメーション学院という異なる環境で美術や表現を学んだ時期もありました。
平面の絵を描くだけでなく、「現実の空間に存在するものを自分の手で作る」という方向へ進んだことが、その後の仕事につながっていきます。
2002年に特殊メイク・造形工房「自由廊」を設立
卒業から2年後の2002年、JIROさんは有限会社自由廊を設立しました。
自由廊は東京都江東区亀戸にアトリエを構え、
- 特殊メイク
- 特殊造形
- 衣装
- デザイン
- デジタル原型
- クリエイティブディレクション
などを手掛ける制作会社です。
公式サイトに掲載されている仕事も、映画だけに限りません。
テレビ、CM、ミュージックビデオ、屋外広告、イベント、舞台・コンサート、雑誌、展示など、特殊メイクを必要とするさまざまな現場へ広がっています。
「特殊メイクアップアーティスト」という肩書から想像する以上に、JIROさんの仕事は「映像や空間に必要なものを現実に作る」領域全体へ広がっているのです。
TVチャンピオン特殊メイク王選手権で2連覇
Amazing JIROさんの名前を広く知らしめた実績の一つが「TVチャンピオン」です。
「特殊メイク王選手権」の第5回、第6回で連続優勝し、2連覇を達成。その後の「TVチャンピオン2」では認定チャンピオンとして出場しました。
評価は国内だけではありません。
特殊メイク業界の専門誌「Make-up Artist Magazine」では「世界の注目アーティスト10人」に選出されています。
造形物そのものを精密に作る技術に加えて、JIROさんを特徴づけているのが「本物と見間違えるほどリアルなのに、作品として驚きがある」表現です。
人間の顔をキャンバスにしたフェイスペイントでは、立体物に見える錯視表現などにも取り組み、特殊メイクとは異なる形でも国内外から注目されるようになりました。
シリコーンが特殊メイクを大きく変えた
10月4日の「カネオくん」で大きなテーマとなるのが、特殊メイクに使用されるシリコーン素材です。
かつて特殊メイクでは「フォームラテックス」と呼ばれる発泡ゴムが広く使われていました。
柔らかさはある一方、透明感や伸縮性に限界があり、演者が顔を動かした際に不自然なしわが出ることもありました。
そこへ登場したのが、薄いプラスチック膜で覆った特殊なシリコーンです。
伸縮性が高く、肌の動きに合わせて変形するため、「第2の皮膚」のような状態を作ることができます。JIROさんは、この素材がハリウッドに登場したことで特殊メイク界に大きな変化が起きたと説明しています。
老け顔メイクは「しわを描く」だけではない
シリコーンによる老け顔メイクでは、単に顔へしわを書き足すわけではありません。
まず演者の顔型を取り、その人の顔に合わせて、
- 額
- 頬
- 口の周辺
などのパーツごとに自然なしわを造形します。
その型をもとに薄いシリコーンパーツを作り、本人の肌色へ塗装。撮影当日はパーツを顔へ貼り、端に残した薄い膜をなじませ、肌との境界が見えなくなるよう仕上げていきます。
厚く作れば変身の幅は大きくなりますが、重くなり、俳優も表情を動かしにくくなります。
そこでJIROさんが重視しているのが、できる限り薄く作りながら必要な変化を生み出すことです。
特殊メイクは「見た目がすごければ完成」ではなく、演者がその状態で演技できることまで含めて成立する仕事なのです。
シリコーンだけでなく素材を使い分ける
自由廊では、シリコーンだけを使っているわけではありません。
目的によって、
- フォームラテックス
- シリコーン
- ウレタン
- FRP
などを使い分けています。
例えば表情を動かす顔なら柔軟なシリコーンが向いていますが、同じ顔を複数用意する場合や表情を動かす必要がない造形物では、硬いFRPを使うこともあります。
大阪大学の石黒浩教授とアンドロイドを制作した際には、硬い素材と柔らかな素材を組み合わせました。
「どの素材が一番優れているか」ではなく、完成させたい表現から逆算して最適な材料を選ぶ。
この素材への理解が、JIROさんのリアルな表現を支えています。
技術を次世代へ伝えるAmazing School JUR
JIROさんは自分の作品を作るだけでなく、特殊メイクを仕事にしたい人を育てています。
自由廊と同じ東京都江東区亀戸にあるのが「Amazing School JUR」です。
特徴は、現役の特殊メイク・造形アーティストだけが講師を務める1年制の学校であること。
授業では、
- デッサン
- 彫刻
- 傷・火傷などの特殊メイク
- エアブラシ
- 義眼制作
- シリコーン造形
- キャラクター造形
- 卒業制作
などを学びます。
シリコーンでリアルな人間の頭部を制作する授業もあり、テレビで見る特殊メイクを実際の職業へつなげる教育の場になっています。
1年間560時間、学費は合計170万円
Amazing School JURの募集要項も公式サイトで公開されています。
- 所在地:東京都江東区亀戸6-6-4 自由廊Plusビル2F
- 期間:4月~翌年3月の1年間
- 定員:24人
- 授業:全140回・560時間
- 通常授業:月・水・金曜 10:00~15:00
- スクール開放:火・木曜
- JR亀戸駅:徒歩7分
- 都営新宿線西大島駅:徒歩10分
費用は、
- 入学金:63,000円
- 受講料:945,000円
- 設備費:156,000円
- 各自材料費:536,000円
- 合計:1,700,000円
と案内されています。
入学希望者向けの説明会は原則として毎月第1日曜日に実施され、2026年10月4日にも説明会が予定されています。
デジタル時代でも「実物を作る」ことを追求
映画やドラマではCGやVFXが大きく進化しました。
それでもJIROさんは、実際に俳優の顔へ装着するメイクや、撮影現場に本当に存在する造形物を作り続けています。
シリコーンの厚さ、皮膚との境界、色、照明下での見え方など、CGとは違い「カメラの前に実物が存在する」からこそ求められる技術があります。
一方で自由廊ではデジタル原型も扱っており、アナログかデジタルかを二者択一にはしていません。目的に応じて両方を使い、現実にしか出せない質感を追求しています。
まとめ
Amazing JIROさんは東京藝術大学を卒業後、特殊メイクの道へ進み、2002年に特殊メイク・造形工房「自由廊」を設立しました。
「TVチャンピオン 特殊メイク王選手権」では2連覇。さらに海外の専門誌から「世界の注目アーティスト10人」に選ばれ、映画やテレビ、CM、広告、イベント、ファッションなどへ活動を広げてきました。
その技術を大きく支えている一つが、10月4日の「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」でも扱われるシリコーンです。
肌と一緒に動く薄いパーツを作り、境界線を消し、色や質感まで本人の皮膚へ近づける。
完成した顔だけを見ると魔法のようですが、その裏側には素材の性質を理解し、ミリ単位で違和感を消していく職人仕事があります。
さらに現在はAmazing School JURを通じ、長年培った特殊メイクと造形技術を次の世代へ伝えています。
参考リンク
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