濱直史が生み出す「立体切り絵」の世界
2026年10月2日放送のTBS「ララLIFE」では、俳優の真矢ミキさんが、立体切り絵の第一人者・濱直史さんに弟子入りします。紙を細かく切るだけではなく、折り、重ね、組み立てることで立体へ変えていく作品は、一般的な切り絵とはまったく違う奥行きを持っています。
濱さんは2011年から切り絵を始め、独学で技術を磨いてきた作家です。折り紙と切り絵を融合させた「立体切り絵」に加え、りんごや金魚のような曲面そのものへ切り絵を施す作品へと表現を広げています。
この記事でわかること
- 濱直史さんがどんな切り絵作家なのか
- 立体切り絵が普通の切り絵とどう違うのか
- 0.3mmの線まで使う繊細な技法と「影」の魅力
- 自分で立体切り絵を作れる濱直史さんの著書
濱直史は「立体切り絵」を追究する切り絵作家
濱直史さんは1981年生まれ。2011年から切り絵を始め、専門学校などで技術を学ぶのではなく、独学で制作を続けてきました。現在では伝承折り紙やペーパークラフトに切り絵を施す独自の作品を制作し、カルチャースクールなどで切り絵の指導も行っています。
TBSは濱さんを「立体切り絵の第一人者」と紹介しています。
番組では真矢ミキさんが初めて立体切り絵に挑み、制作に6時間を費やす内容となっています。完成品を見るだけでは分かりにくい、紙を切り抜きながら立体として成立させていく工程そのものにも焦点が当たります。
立体切り絵は「切る・折る・組み立てる」を融合した表現
一般的な切り絵は、紙から不要な部分を切り抜き、残された線や面で模様を表現します。
濱さんの「立体切り絵」は、そこからさらに一段階進みます。切り絵を施した紙を折ったり、重ねたり、組み立てたりして、平面だった紙を立体作品へ変えていくのが大きな特徴です。
代表的なモチーフには、
- 切り絵模様を施した折り鶴
- 朝顔
- 風車
- 紙飛行機
- 花
- 小鳥
- 金魚
- りんご
などがあります。
例えば折り鶴なら、単に鶴の形へ紙を折るのではありません。紙そのものに細かな植物や伝統模様を切り抜き、それを立体へ折り上げます。
切り抜いた部分から向こう側が透け、さらに折り重なった別の面の柄が見えてくるため、見る角度によって模様の重なり方まで変化します。河出書房新社も、立体化によって奥行きや透け感、異なる柄同士の重なりが生まれる点を特徴として挙げています。
わずか0.3mmの線と「影」まで作品になる
濱さんの作品で特に目を引くのが、紙とは思えないほど細い線です。
テレビ朝日「Design code」で紹介された折り鶴の作品には、わずか0.3mmほどの線でつながっている部分がありました。制作ではパソコン上で平面図を作り、そこへ模様を描いたうえで手作業で切り出していきます。
ただ細く切ればよいわけではありません。
完成後には紙を折るため、模様を細くしすぎれば立体としての強度を保てなくなります。「繊細に見せること」と「折っても形を維持できること」を両立させる必要があり、作品によっては完成まで1か月をかけることもあります。
そして濱さんが立体作品で大切にしているもう1つの要素が「影」です。
細かな切り抜きへ光が当たると、作品の後ろに複雑な模様の影ができます。立体なので光の角度や見る位置によって影も変わり、紙そのものだけでなく、その周囲の空間まで作品の一部になります。
機械で均一に切り抜くのではなく、細部まで手で切ることにもこだわっています。わずかな揺らぎや不規則さを残すことで、機械加工とは違う表情が生まれるという考えです。
2011年に切り絵と出会い独学で新しい形へ
濱さんが切り絵を始めたのは2011年です。
その後、平面作品だけにとどまらず、伝承折り紙やペーパークラフトと組み合わせる方向へ制作を広げていきました。折り紙という多くの人が知る形へ繊細な切り絵を加えることで、それまでとは違う見え方を生み出したのが「立体切り絵」です。
さらに濱さんは、平らな紙を折る作品だけでなく、自ら曲面を作り、そこへ切り絵を施す「曲面立体切り絵」にも取り組んでいます。
河出書房新社の著者紹介では、りんごや金魚などが曲面立体作品として挙げられています。平面から立体へ、さらに曲面そのものを切り絵のキャンバスへ変えるところまで表現を発展させてきたことが分かります。
濱直史の立体切り絵は自分でも作ることができる
濱さんの作品は鑑賞するだけでなく、実際に作れる実用書も出版されています。
最初の著書『濱直史の立体切り絵』は2016年3月23日発売。切り離してそのまま使用できる「図案と折り線入りの用紙」が23作品分付属しています。定価は1,650円です。
続いて出版された書籍には、
- 『濱直史の美しい立体切り絵』
2017年9月8日発売、定価1,650円。図案入りオリジナル用紙24作品分を収録。 - 『濱 直史 和の立体切り絵』
2017年3月8日発売、定価1,650円。伝承折り紙をモチーフに、四季を感じる和風作品を制作できます。 - 『濱直史の花模様の立体切り絵』
2019年3月13日発売、定価1,650円。鶴、蝶、小鳥などへ花模様を組み合わせた24作品の図案入り用紙が付属します。
があります。
特に初心者にとって大きいのは、完成写真を見るだけではなく、切る位置や折り線が用意された用紙から始められることです。
濱さん独自の高度な作品をそのまま再現するのは簡単ではありませんが、「切り絵した紙を立体へ変える」という基本的な面白さは、書籍を使って実際に体験できます。
立体切り絵を始めるときの実用情報
初めて挑戦する場合は、いきなり自分で複雑な図案を描くより、図案入り用紙の付いた書籍から始める方法があります。
基本的な流れは、
- 図案に沿って紙を切る
- 必要な部分を残しながら模様を作る
- 折り線に沿って折る
- 必要に応じて紙を重ねたり組み立てたりする
- 光を当て、立体と影の見え方を楽しむ
という形です。
濱さんの作品では、完成した形だけでなく、切り抜かれた部分から生まれる透け感や、模様同士が重なったときの見え方も重要です。
平面の状態では分からなかった模様が、折り上げた瞬間に別の形として現れるところに、立体切り絵ならではの面白さがあります。
まとめ
濱直史さんは1981年生まれで、2011年から独学で切り絵を始めた作家です。
平面の切り絵へ折り紙やペーパークラフトの要素を加え、「切る」だけだった紙を「折る・重ねる・組み立てる」ことで立体作品へ発展させてきました。さらに曲面へ直接切り絵を施す作品にも取り組み、切り絵の表現領域を広げています。
わずか0.3mmほどの線を使う作品もあり、細部まで手作業で切り抜く繊細さと、立体になったときに生まれる影まで含めて楽しめるのが大きな特徴です。
「ララLIFE」で制作工程を見ると、完成作品の美しさだけでなく、1枚の紙が少しずつ立体へ変わっていく過程にも注目したくなります。
参考リンク
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