齋藤孝の偏愛マップは「好き」を見える化して会話を生む方法
NHK「あさイチ」では2026年10月7日、「人生を豊かにする 大人の“偏愛”図鑑」を放送します。
包装紙、虫取り、因数分解、鉄橋、のびた麺など、人には少し理解されにくくても本人にとってはたまらなく好きなものに注目。さらに、明治大学教授・齋藤孝さんの「偏愛マップ」を使って、自分でも気づいていなかった「好き」を見つけていきます。
偏愛マップは難しい自己分析ではありません。紙の上に自分が本当に好きなものを書き出し、それを人と見せ合うことで会話のきっかけを作る、とてもシンプルな方法です。
この記事でわかること
- 齋藤孝さんの「偏愛マップ」とは何か
- 偏愛マップの基本的な作り方
- 何を書けばいいのか迷ったときの考え方
- 偏愛マップを会話や自己理解に生かす方法
偏愛マップの作り方は紙の中央に名前を書き「大好き」を自由に広げる

出典:NTT出版「偏愛マップ」
偏愛マップの基本は、自分が好きなものを紙1枚の上に自由に書き出していくことです。
実践例では、紙の中央に自分の名前を書き、その周囲へ好きなものや関心のあることを広げていく方法が使われています。文章できれいにまとめる必要はなく、単語や固有名詞、簡単な絵でも構いません。
基本的な流れは次のようになります。
- 紙を1枚用意する
- 真ん中に自分の名前を書く
- 周囲に「本当に好きなもの」を書いていく
- 食べ物、本、映画、音楽、場所、趣味などジャンルは限定しない
- 映画名、店名、人物名など具体的な固有名詞も書く
- 全部を埋めようとせず、強く好きなものを優先する
- 完成したら人と見せ合って話してみる
ポイントは「立派な趣味」を探さないことです。
「読書」「旅行」「映画鑑賞」といった一般的な趣味だけではなく、「スーパーの包装紙を見るのが好き」「鉄橋を眺めると落ち着く」「少しのびた麺が好き」といった、その人ならではの偏りこそ材料になります。
むしろ人から「そこが好きなの?」と言われるくらいのものの方が、その人自身が見えやすくなります。
偏愛マップは齋藤孝が2004年に発表したコミュニケーション・メソッド
「偏愛マップ」という言葉は、齋藤孝さんの著書『偏愛マップ キラいな人がいなくなる コミュニケーション・メソッド』として2004年3月にNTT出版から刊行されています。
NTT出版は、この方法を世代や性別を超えて対人コミュニケーションを活性化するメソッドとして紹介しています。
齋藤孝さんは現在、明治大学文学部教授。専門分野には教育方法、身体論、コミュニケーション技法があり、効果的な学習方法やコミュニケーション技法の開発にも取り組んでいます。
つまり偏愛マップは、単なる「好きなものリスト」として考えられたものではありません。
自分と相手の好きなものを見える状態にし、会話を始めやすくするための道具という側面があります。
普通の自己紹介では、
「仕事は○○です」
「趣味は読書です」
といった無難な情報だけで終わってしまうことがあります。
ところが、
「古い包装紙を集めている」
「鉄橋を見るために出かける」
「特定の数字を見ると因数分解したくなる」
という話なら、「どうして?」「いつから?」と、その先の会話が生まれやすくなります。
人の肩書きではなく、その人が何に夢中になっているのかから会話を始められるのが偏愛マップの面白さです。
趣味が思いつかない人ほど日常の「ついやってしまうこと」を探す
偏愛マップを作ろうとして困りやすいのが、「自分にはそこまで好きなものがない」というケースです。
そんなときは「趣味は何か」と考える必要はありません。
例えば、
- スーパーへ行くと必ず見る売り場
- 捨てられずに取ってあるもの
- YouTubeで何度も見てしまうジャンル
- 旅行先で必ず立ち寄る場所
- 人より細かくこだわってしまう食べ方
- 子どものころからなぜか好きなもの
- 何時間でも話せそうな話題
こうした日常の行動を思い返すと、「好き」が見つかりやすくなります。
重要なのは世間から評価される趣味かどうかではありません。
「好きだけれど、わざわざ人に話したことがなかった」というものまで拾い上げることで、自分の興味の輪郭が少しずつ見えてきます。
番組に登場する「包装紙」「虫取り」「因数分解」「鉄橋」「のびた麺」も、まさにその象徴です。
固有名詞まで書くと偏愛マップは一気に会話しやすくなる
「音楽が好き」とだけ書くより、好きなアーティストや曲まで書いた方が具体的です。
「旅行」よりも、
「京都の路地」
「ローカル線の無人駅」
「昔ながらの商店街」
まで書いた方が、その人らしさが出てきます。
公的なファシリテーション資料でも、偏愛マップを使った自己紹介では、映画や本のタイトル、アーティスト名などを具体的に書く方法が紹介されています。
例えば「ラーメン好き」という2人でも、
「硬めの細麺が好き」
「少しのびた麺が好き」
では話がまったく違います。
その細かい違いまで書けるのが偏愛マップです。
共通点を探すだけではなく、「自分とは全然違うけれど面白い」という発見も会話の入り口になります。
作った偏愛マップは人に見せることで本領を発揮する
偏愛マップは書いて終わりではありません。
齋藤孝さんの著書は、偏愛マップをコミュニケーションのためのメソッドとして位置づけています。教育や研修の場でも、好きなものを書いたマップを見せ合って会話する形で応用されてきました。
家族で作れば、
「そんなもの好きだったの?」
という意外な発見があるかもしれません。
職場なら仕事内容だけでは見えなかった一面を知るきっかけになります。
初対面同士でも、マップ上の具体的な言葉を指して話せるので、何を話したらよいのか考える負担を減らせます。
大切なのは、人に合わせて「受けのよさそうな好き」を書かないこと。
少しマニアックでも、自分が本当に好きなものを書くことが、偏愛マップらしさにつながります。
偏愛は大げさな趣味ではなく自分の生活にある小さな「好き」
「偏愛」という言葉だけを見ると、何十年も続けている趣味や、大量にコレクションしているものが必要に感じるかもしれません。
しかし、偏愛マップで向き合うのはもっと身近な「好き」です。
毎朝同じカップを使う。
同じスーパーの同じ棚を必ず見る。
特定の食感だけ妙に好き。
橋を見ると写真を撮りたくなる。
包装紙をきれいに畳んで取っておく。
そんな小さな行動にも、その人の好みや価値観が隠れています。
「あさイチ」が扱う“大人の偏愛”も、珍しい趣味の持ち主を眺めるだけではなく、自分自身にも偏愛があることに気づくきっかけになりそうです。
偏愛マップは家族や友人同士でもすぐ試せる
自宅で試すなら、難しいルールを設定する必要はありません。
紙とペンを用意して10分ほど、それぞれが好きなものを書いてみるだけでも十分です。
夫婦なら、お互いが最近ハマっているもの。
親子なら、食べ物、ゲーム、キャラクター、遊び、行きたい場所。
友人同士なら、音楽、映画、本、旅行、食事、スポーツなどから始めると書きやすくなります。
完成後は「同じもの」を探すだけでなく、「なぜそれがそんなに好きなのか」を聞いてみると、その人らしい話が広がります。
プロフィールでは分からない部分を、好きなものから知っていく。それが偏愛マップの使い方です。
まとめ
齋藤孝さんの「偏愛マップ」は、自分が本当に好きなものを紙に自由に書き出し、人と見せ合うことで会話を広げるコミュニケーション・メソッドです。
2004年に書籍として発表されてから、教育や自己紹介、チームづくりなどにも応用されてきました。
作り方はシンプルです。
紙の中央に自分の名前を書き、その周囲へ好きなものを自由に並べていく。趣味と呼べるほど立派なものでなくても、「なぜか集めてしまう」「つい見てしまう」「人には理解されないけれど好き」というものまで書いてみます。
包装紙でも、鉄橋でも、因数分解でも、のびた麺でも構いません。
10月7日放送の「あさイチ」をきっかけに、自分でも忘れていた「好き」を紙の上から探してみるのも面白そうです。
参考リンク
おすすめ関連商品
『偏愛マップ キラいな人がいなくなる コミュニケーション・メソッド』齋藤孝


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