平山真吾が目指す「自然からいただいた命を皿までつなぐ」料理
関西テレビで2026年10月7日深夜(10月8日午前2時55分)放送の「FNSドキュメンタリー大賞 二度死ぬ命~いのちを語るひと皿~」で中心となるのが、福島県郡山市の料理人・平山真吾さんです。
平山さんが営む「四季彩 平山」では、山菜やキノコ、ジビエなど自然の中から得た食材を、自ら現場へ足を運んで料理へつなげています。
さらに2025年10月にはレストランの隣に福島県内初となるジビエ加工施設「ふくしまジビエファクトリー」を開設。原発事故後、捕獲しても食材として利用できず処分されてきた野生動物の命を、厳格な放射線検査を経て食へつなぐ新しい一歩を踏み出しました。
この記事でわかること
- 平山真吾さんが一度店を閉じて「四季彩 平山」を作り直した理由
- 山へ入り自ら食材を採る料理へ変わった転機
- 福島県内初「ふくしまジビエファクトリー」を開設した背景
- 郡山市のシカを食材として利用するための全頭検査の仕組み
平山真吾は山へ入り「素材から料理を考える」料理人
平山真吾さんの料理は、厨房でレシピを考えるところから始まるとは限りません。
自ら山や森へ入り、その日に出会った山菜、キノコなどを手に取り、香りや味、周囲の自然まで感じながら料理を考えます。
現在のスタイルへ大きな影響を与えた人物が、天然食材ハンターの小豆畑浩稔さんです。
小豆畑さんと山へ入るようになった平山さんは、一般にはあまり料理に使われない山菜などにも触れ、自然の中にはまだ十分活用されていない食材が数多くあることを実感しました。
現在は「食材を仕入れて調理する」だけではありません。
山のどこで育ち、どんな環境の中にあったのかまで自分で体験し、その背景も含めて一皿にすることを大切にしています。
順調だった店を閉めて「四季彩 平山」へ作り直した
平山さんの転機として印象的なのが、以前の店が順調だったにもかかわらず、自ら営業を終えたことです。
経営がうまくいかなかったからではありません。
山へ通い、自分で食材を採るようになるにつれ、それまで行っていた手の込んだ調理や複雑なソースより、素材そのものを生かす料理を作りたいという思いが強くなっていきました。
そこで店を再構築して生まれたのが「四季彩 平山」です。
特に平山さんが重視しているのが火入れです。
山菜でも肉でも、同じ食材だから同じ火加減というわけではありません。その日手に入った素材の状態を見ながら、できるだけ持ち味を損なわない形で皿へ仕上げます。
料理人が技術を見せるのではなく、食材そのものを主役にする。
山へ入るようになった経験が、平山さんの料理そのものを変えていきました。
約5年前に狩猟免許を取得し野生動物とも向き合う
平山さんが自分で集めるのは植物だけではありません。
自然と共存しながら食材を得る生活に触れたことをきっかけに、2025年時点から約5年前に狩猟免許を取得しました。
野生動物が増え過ぎると農地へ下り、農作物へ被害を与えることがあります。そのため個体数を調整する目的で捕獲が行われます。
しかし福島には、他地域とは異なる事情がありました。
2011年の原発事故後、県内の野生鳥獣には放射性物質の影響による出荷制限などが設定され、捕獲された動物の多くが食材として利用されず処分されてきました。
平山さん自身も狩猟をする中で、その現実と向き合うことになります。
農作物を守るために命を奪う必要がある一方、その命を食材として生かすこともできない。
料理人であり猟師でもある平山さんにとって、それは「料理の外側」の問題ではありませんでした。
2025年10月に福島県内初「ふくしまジビエファクトリー」を開設
そこで平山さんが動きます。
2025年10月、四季彩 平山の隣に「ふくしまジビエファクトリー」を開設しました。
福島県内で初となるジビエ加工施設です。
野生動物が搬入されると、皮や内臓などを処理。その後、肉を管理する工程の中で専門機関による放射性物質検査を行い、基準を満たしたものだけが食材として利用されます。
大切なのは、福島県の野生鳥獣すべてが自由に流通できるようになったわけではない点です。
認められたのは、この施設で処理する郡山市内で捕獲されたシカについて、全頭検査を行うことを条件にした限定的な仕組みです。
この条件のもとで、原発事故後に利用が難しかった郡山市産のシカを食肉として提供する道が開かれました。
「獲る・加工する・料理する」まで自分でつないだ
四季彩 平山とふくしまジビエファクトリーが隣接していることにも意味があります。
平山さんは、
- 山へ入り食材を探す
- 狩猟する
- 野生動物を加工する
- 放射線検査を行う
- 料理する
- 客へ提供する
という一連の流れへ自ら関わるようになりました。
料理人が完成した肉を仕入れるだけではありません。
自分が山で向き合った命が、どのような過程を通って客の皿まで届くのか。その流れをできるだけ途中で切らないことが、平山さんの現在の料理につながっています。
ジビエは処理方法によって味が大きく変わります。
捕獲後の扱いや肉の管理を適切に行うことで、野生肉に対して抱かれがちな臭みや食べにくさの印象を変えたいという思いもあります。
ジビエ加工場は料理のためだけではなく山を守る仕組みでもある
平山さんが考えているのは、自分のレストランだけで完結する仕組みではありません。
郡山市によると、平山さんは猟師の高齢化にも危機感を持っています。
捕獲する人が減れば、野生動物の個体数管理が難しくなり、農作物被害の増加にもつながります。
一方で、狩猟した動物を食材として利用し、そこから収入を得られる仕組みができれば、狩猟を続ける理由や新たな担い手が生まれる可能性があります。
山で捕獲する。
加工する。
料理する。
客が食べる。
そこに経済的な循環まで生まれれば、「駆除して処分する」だけだった野生動物の扱いも変わっていきます。
ふくしまジビエファクトリーは、レストランの厨房設備を増やしただけの施設ではなく、福島の山と食をもう一度つなぎ直すための拠点でもあります。
四季彩 平山の料理は山菜・キノコ・ジビエまで自然そのものが主役
平山さんが向き合っているのはジビエだけではありません。
山菜やキノコを採り、使われなくなった畑にも手を入れ、ブルーベリーなども育てています。
つまり「野生のものだけを使う料理」でも、「高級ジビエ専門店」でもありません。
育てる食材と自然から得る食材、その両方を自分の目で見て料理することが基本にあります。
料理を口へ運んだとき、その食材がどんな山や畑から来たのかまで感じてもらう。
平山さんが一皿を通じて届けようとしているのは、味だけでなく、食材がそこへ届くまでの背景です。
実用情報
平山真吾さんと現在の取り組みについて確認できる主な情報です。
- 料理人:平山真吾
- 店名:四季彩 平山
- 所在地:福島県郡山市
- 主な料理:山菜、キノコ、ジビエなど天然食材を生かした料理
- 狩猟免許:2025年時点で取得から約5年
- ジビエ加工施設:ふくしまジビエファクトリー
- 稼働開始:2025年10月3日
- 特徴:福島県内初のジビエ加工施設
- 郡山市産シカ:施設での処理と全頭放射線検査を条件として食肉利用
- 今後:地元産ジビエの提供から始め、捕獲数などの条件が整えば活用を広げる計画
店舗の最新営業日や予約については、郡山市公式ページから案内されている「四季彩 平山」の公式Instagramで確認できます。
まとめ
平山真吾さんは、福島県郡山市の「四季彩 平山」で、自然から得た食材と向き合い続ける料理人です。
もともと順調だった店を一度閉めてまで料理を見直すきっかけとなったのが、自ら山へ入り、食材が生まれる場所を見るようになったことでした。
山菜やキノコを採り、狩猟免許も取得。
しかしそこで直面したのが、原発事故後の規制によって、捕獲しても食材として利用されず処分されてきた野生動物の存在でした。
その状況を変えるため、2025年10月には四季彩 平山の隣に県内初の「ふくしまジビエファクトリー」を開設。郡山市で捕獲したシカを全頭検査することを条件に、食材として生かす新しい循環が始まりました。
山へ入り、命をいただき、加工し、料理し、人が食べる。
平山さんが一皿で伝えようとしているのは「珍しいジビエのおいしさ」だけではありません。
自分たちが食べるという行為が、自然や農業、野生動物、そして福島という土地の現実とつながっていること。そのすべてを料理へつなごうとしているのが、「四季彩 平山」の現在です。
参考リンク
・郡山市「KORIYAMA Dreamer 91 平山真吾さん」


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