東大阪の町工場から生まれた「自然に還る歯ブラシ」turalist
2026年10月7日放送のNHK「おはよう関西」で取り上げられるのが、東大阪で作られている「turalist(チュラリスト)」です。
ブナの木を使った柄に、馬や豚の天然毛を一本ずつ植毛して作られる歯ブラシ。開発した株式会社プラスのブランド「Nhes.(ナエス)」は、プラスチック製品に携わってきた町工場だからこそ環境問題と向き合い、地元の家具職人や熟練の植毛職人と力を合わせて製品化しました。現在は、製造から60年以上たつ植毛機と、キャリア40年以上の職人技を次世代へ残すことにも挑んでいます。
この記事でわかること
- turalistに使われているブナ材・馬毛・豚毛の特徴
- 熟練の植毛職人・西本隆子さんの仕事
- 60年以上前の植毛機を使い続けている理由
- 価格・購入方法・メンテナンスサービス
turalistはブナの端材と馬・豚の天然毛から作られる
出典:Nhes.公式オンラインショップ「turalist 自然に還る歯ブラシ」
turalistの柄に使われているのは、家具製造の際に出るブナの木の端材です。
まだ使える木材を捨てず、歯ブラシのハンドルへ加工して再利用。ブラシ部分には、主に食肉用として育てられた馬や豚から得られる天然毛を副産物として活用しています。
木の表面は、天然由来のえごま油で仕上げられています。
基本構成にはプラスチックを使わず、木と天然毛を中心に作られているのが特徴です。ただし、毛を柄へ固定する「平線」には耐久性のある真鍮が使われています。
2026年10月時点の公式オンラインショップ価格は1本2,200円。
毛の硬さは、
- かたい
- ふつう
- やわらかい
- すごくやわらかい
の4種類が用意されています。
プラスチックを扱ってきた町工場だから生まれた
turalistを手掛ける株式会社プラスは、東大阪でブラシ製品などのものづくりに携わってきた会社です。
興味深いのは、もともとプラスチックの加工技術を持つ側の企業が、あえて手間のかかる木製歯ブラシへ挑戦したことです。
背景にあったのが、プラスチックごみや海洋汚染への問題意識でした。
精密な金型を使えば、プラスチック製品は安定した品質で大量生産できます。一方、天然木は1本ずつ硬さや木目、穴の位置に微妙な違いがあります。
従来の効率的な製造方法とは正反対です。
それでも「日常的に使う歯ブラシを、プラスチックに頼らない形で作れないか」と試行錯誤を続けました。
転機となったのが、家具製造で余っていたブナ材との出会いです。
家具職人から端材を活用する提案を受け、柄へ加工。その柄に天然毛を植えるため、地域のブラシ職人の技術が加わりました。
1社だけでは完成しなかった歯ブラシです。
家具の木工技術、ブラシ産業の植毛技術、東大阪の町工場のネットワークが1本のturalistにつながっています。
植毛を担う西本隆子はキャリア40年以上の職人
turalistの製造を支えている人物の1人が、植毛職人の西本隆子さんです。
Nhes.によると、西本さんはキャリア40年以上のベテラン。70代になった現在も、天然木の柄へ一本一本毛を植える工程を担っています。
プラスチック製の柄であれば、製造時の形や穴の位置を均一にしやすくなります。
ところが天然木は一本ずつ違います。
穴のわずかな大きさや向き、木の硬さを見ながら、毛を打ち込む力や角度を調整しなければなりません。
強過ぎれば木を傷める可能性があり、弱ければ毛が十分に固定できません。
数字だけでは決められない感覚が必要な工程です。
そのため、長年機械と素材に向き合ってきた職人の経験が欠かせません。
60年以上前の植毛機が今も現役
さらに驚くのが、天然毛を植えるための機械です。
Nhes.が2026年に明らかにしたところでは、使用している植毛機は製造から60年以上が経過しています。
新しい機械へ簡単に交換できるわけではありません。
交換部品はすでに流通しておらず、現在の規格と合わない部品もあります。故障した場合には部品そのものを特注しなければならないケースもあります。
そして、古い植毛機を使って天然木へ毛を植えられる職人自体も少なくなっています。
Nhes.では、この技術を持つ職人は全国でも数人ほどだとしています。
便利で新しい機械へ置き換えればよい、という問題ではありません。
木の微妙な違いを職人が判断しながら半手動の機械を操作するという、昔ながらのブラシづくりそのものをどう残すかが課題になっています。
2026年には技術を残すためクラウドファンディング
そこでNhes.は2026年、turalistだけでなく「歯ブラシを作る技術そのもの」を残すためのクラウドファンディングを行いました。
募集期間は5月1日から6月30日。
目標金額20万円に対し、
- 支援者:43人
- 支援総額:348,108円
- 達成率:174%
となりました。
資金の用途として掲げられたのは、古い植毛機の保守だけではありません。
後継職人の育成や、将来使える後継機械の開発も含まれています。
turalistが注目される理由は、単に「木で作った珍しい歯ブラシ」だからではありません。
1本の歯ブラシの背景に、東大阪で長く受け継がれてきたブラシ産業の技術があり、その技術自体が消える可能性と向き合っているからです。
東大阪ブランドにも認定
turalistは、東大阪の優れたものづくり製品を認定する「東大阪ブランド」にも選ばれています。
認定ページでは、「プラスチック0%」の歯ブラシとして、端材の天然木や副産物となる天然毛を活用した点、さらにメンテナンスサービスを用意している点が紹介されています。
「使い終えたらすぐ新しいものへ交換する」という一般的な歯ブラシとは、考え方が大きく異なります。
気に入ったものをできるだけ長く使う。
そのため、Nhes.ではturalist専用のメンテナンスサービスも用意しています。
2026年10月時点の料金は1,100円です。
実用情報
turalistを購入する場合は、Nhes.公式オンラインショップから注文できます。
- 商品名:t u r a l i s t 自然に還る歯ブラシ
- ブランド:Nhes.(ナエス)
- 製造:株式会社プラス
- 製造地:大阪・東大阪
- 柄:ブナ材
- 毛:馬毛・豚毛
- 木部仕上げ:えごま油
- 毛を固定する部品:真鍮
- 価格:2,200円
- 毛の硬さ:4種類
- 専用メンテナンスサービス:1,100円
天然素材を手加工しているため、木目や色合い、サイズなどには個体差があります。
まとめ
turalistは、東大阪の町工場が作る「自然に還る歯ブラシ」です。
柄には家具製造で生まれるブナの端材、ブラシには馬や豚の天然毛を利用。そこへ40年以上の経験を持つ植毛職人・西本隆子さんの技術が加わります。
そして現在も動いているのが、製造から60年以上が経過した植毛機です。
大量生産できるプラスチック製品とは違い、天然木一本一本の状態を確認しながら職人が機械を操作するため、簡単には自動化できません。
2026年には機械の保守、後継職人の育成、後継機械の開発を目的としたクラウドファンディングも実施されました。
毎日使う小さな歯ブラシの中に、家具職人、ブラシ職人、町工場の技術、そして環境への問題意識が詰まっている。
turalistは、東大阪のものづくりが「作って売る」だけでなく、残された材料と技術を次の世代へどうつなぐかまで考えて生まれた製品です。
参考リンク
・Nhes.「自然に還る歯ブラシ turalist」公式サイト
・東大阪ブランド「turalist(美らりすと)」
・Nhes.「天然木・天然毛の歯ブラシを未来に残すプロジェクト」結果報告
おすすめ関連商品案
・t u r a l i s t 自然に還る歯ブラシ【毛の硬さ:ふつう】


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