作家&漫画家スペシャル
日本テレビのバラエティ番組 「見取り図の間取り図ミステリー」 は、家の「間取り図」を手がかりに、住人のこだわりや人生ドラマを読み解いていく番組です。
この回は「作家&漫画家スペシャル」。MCの見取り図、サブMCの横澤夏子、ゲストとして井戸田潤、美村里江、日向坂46の藤嶌果歩、超特急の高松アロハらがそろい、2軒の“物語を生み出す家”を訪ねました。
一つはベストセラー小説 『いま、会いにゆきます』 の作者・市川拓司夫妻の「植物に包まれた家」。もう一つは、人気漫画 『ホタルノヒカリ』 の作者・ひうらさとる夫妻が暮らす「城崎温泉のリノベ住宅」です。
さらにスタジオでは、高松アロハと藤嶌果歩が、自宅のこだわりアイテムを披露。創作の現場と日常の暮らしが、ゆっくりほどけていく1時間になりました。
小説家・市川拓司夫妻の“植物に包まれた家”の全体像
最初に登場したのは、小説家 市川拓司 さんと妻・美保さんの家。市川さんは東京都出身の小説家で、2003年に発表した『いま、会いにゆきます』が映画化・ドラマ化され、文庫を含めて大きなヒットとなった作家です。
その自宅は、外観からしてインパクト抜群。壁一面がつる性の植物に覆われ、まるで森の中に家が溶け込んだような姿です。ハゴロモジャスミンやハニーサックルなど、香りの強い植物も多く、季節ごとに色や香りが変わる“生きた外壁”になっています。
生き物だからこそ、剪定がかわいそうで、なるべく切りたくないという市川さん。だからこそ、枝葉は伸びたい方向に伸び、家全体が時間をかけて「育ってきた」様子が伝わります。建築費はおよそ7500万円。夫婦が長く過ごす場所として、徹底的にこだわった家です。
研究レベルでも、室内や建物の周りに植物があると、ストレスホルモンが下がるなどの効果が報告されています。
市川さんの「緑に囲まれているとストレスが下がる」という感覚は、感覚的な話でありつつ、科学的にも裏付けがあると言えます。
サンルームとリビングを埋め尽くす植物コレクション
玄関を抜けると、家のハイライトであるサンルームへ。ガラス張りの空間には、数百種類もの植物が所狭しと並びます。ビロウヤシのような南国ムードのある大きな葉ものから、モウセンゴケなど食虫植物まで、ジャンルも大きさもさまざまです。
サンルームだけでは収まりきらず、リビングダイニングにも植物が“侵食”。ワイヤープランツのような細いツルが棚を伝い、窓辺やテーブルの下にも鉢が並んでいます。
市川さんには「2000円以上の植物は買わない」というマイルールがあり、ほとんどの植物が小さい株からスタート。長い時間をかけて育ててきたからこそ、それぞれの鉢に思い出が詰まっています。
屋内空間に観葉植物を置くと、ストレスが軽くなり、疲労感も下がる――こうした実験結果は日本の研究でも示されています。
この家が“落ち着く異世界”に感じられるのは、単なる印象ではなく、体の反応としても自然なことなのかもしれません。
テラリウムと鉄道模型に宿るものづくりの遺伝子
室内のあちこちには、市川さんお手製のテラリウムやガラスケース、鉄道模型が置かれています。苔や小さなシダ植物を閉じ込めたテラリウムは、まるで小さな箱庭。鉄道模型も、線路や家、街並みまで手作りで作り込まれていました。
市川さんの父方は刀鍛冶、母方は宮大工の家系。金属を打つ仕事と木を組む仕事、どちらも細かい手作業と根気のいる職人の世界です。その血を引いているからこそ、「家自体が作品」と言い切れるほど細部にまでこだわる感覚が、ごく自然なのだと感じられます。
「風の谷のナウシカ」の栽培室をイメージして作られた書斎は、ガラスケースと植物が共存する“研究室のような空間”。フィクションの世界観を自宅に再現し、その中で物語を書く――まさに、作品と暮らしが地続きになった場所です。
小説『いま、会いにゆきます』誕生秘話と夫婦の実体験
代表作 『いま、会いにゆきます』 は、アパートのキッチンで3か月かけて書き上げたという市川さん。出版社勤務を経てネット上で小説の発表を続け、2003年の同作で大ブレイク。翌年には映画化、その後ドラマ化もされ、恋愛小説の旗手として知られるようになりました。
番組では、この作品が市川夫妻の実体験に大きく基づいていることも紹介されました。高校時代から一緒に過ごし、結婚に至るまでの出来事が、登場人物のエピソードに重なっているのです。だからこそ、小説の中のセリフや仕草の一つひとつが、リアルな温度を持って胸に刺さります。
市川さんは自分のことを「世界一ゴージャスな引きこもり」と表現。執筆に煮詰まると、家の中を走り回って気分転換をするため、1日の歩数が2万歩に達することもあるそうです。こうした“動き回る時間”もまた、物語を形づくる大事なプロセスなのかもしれません。
息子さんは現在、編集者として働いているとのこと。親が作家、子が編集者という組み合わせは、出版の世界ならではの“チーム”のようで、どこか物語じみた関係です。
美村里江は、この作品でドラマ版の主演を務めた女優。『いま、会いにゆきます』のキャラクターがハンガーの向きにこだわる描写を「本当にそんな人いるのかな」と思っていたそうですが、実際の夫も同じようにハンガーの向きを気にするタイプだと知り、思わず笑ってしまったと話していました。
温泉街・城崎に建つ漫画家ひうらさとるのリノベ住宅
もう一軒は、漫画家 ひうらさとる 先生の自宅。代表作『ホタルノヒカリ』は、綾瀬はるか主演でテレビドラマ化され、累計発行部数450万部を超えるヒット作となりました。
ひうら先生と夫の幹也さんが暮らすのは、兵庫県豊岡市・城崎温泉の中心部。ここは開湯1300年以上と言われる歴史ある温泉地で、文豪・志賀直哉の短編小説 『城の崎にて』 の舞台としても知られています。
もともとこの建物は「藝妓検番」と呼ばれる施設でした。芸妓さんたちが待機し、お稽古をする場所として使われてきた木造3階建ての建物を、住居兼仕事場へとリノベーションしたのが今の家です。
和の趣を残しつつ、キッチンや水回りは現代的にアップデート。襖越しに見える廊下や階段には、かつての賑わいがうっすらと残っているようで、「時間をリノベーションした家」という印象を受けます。
スチームクローゼットと発酵玄米、城崎温泉での日常
ウォークインクローゼットには、大きなスチームクローゼットが鎮座。スチームと振動で衣類のシワやにおい、菌を抑えてくれる家電で、忙しい漫画家の暮らしを支える“裏方”のような存在です。
洗面所のボールは一見木製。木なのに水に濡れても大丈夫なのは、表面にしっかり防水加工が施されているから。城崎の木造建築の雰囲気に溶け込む、温かみのあるデザインです。
城崎温泉には、外湯と呼ばれる共同浴場が7つあり、温泉地ならではの風情を楽しめます。
番組では「6か所の外湯」として紹介され、住人であるひうら夫妻は、割安な料金で外湯に入り放題。日常の中に、温泉という“非日常”が当たり前に混ざっている暮らしです。
料理担当は夫の幹也さん。専用の炊飯器で炊いた発酵玄米を、ゆいPと熊元プロレスに振る舞いました。発酵玄米は、玄米を数日間保温して熟成させることで、もちもちとした食感と独特の風味が生まれ、栄養価も高まるとされるごはんです。
城崎の海山の恵みと、体にやさしい発酵玄米。移住者ならではの視点で、土地の食文化を自分たち流に取り入れているのが印象的でした。
仕事部屋のダムウェーター風リフトとデジタル漫画制作術
3階の一角は、ひうら先生の仕事部屋。ここで 『ホタルノヒカリ』 をはじめとする作品が生まれてきました。
目を引くのは、1階から荷物を運べる「ダムウェーター風リフト」。本来は飲食店などで料理を運ぶ小型エレベーターのような設備ですが、この家では、紙や画材、荷物を上下階でやりとりするために活用されています。3階まで階段で上がらなくていいのは、連載と家事を両立するうえで大きな助けです。
作画はアイパッドを使ったデジタルスタイル。千葉に住むアシスタントとは、通話アプリ・ディスコードで連絡を取り合いながら作業を進めていると紹介されました。原稿のやりとりもデータで完結し、城崎と首都圏をつなぐ“見えない回線”が、この仕事部屋のもう一つの通路になっています。
ひうら先生は高校生の頃に漫画家デビュー。長く都会で仕事漬けの日々を送りながら、のちに兵庫県豊岡市、そして城崎へと移住しました。インタビューでも「旅をするように暮らしている」と語ることが多く、温泉街の生活そのものが、作品世界の土台になっていることがうかがえます。
リノベーション代はおよそ4000万円。歴史ある建物の雰囲気を守りながら、現代のクリエイターが働きやすい空間へと再構築した、“文化の交差点”のような家でした。
超特急・高松アロハの自宅と“アロハ”という名前の由来
スタジオパートでは、超特急のメンバー 高松アロハ も自宅の様子を紹介しました。高松アロハは、ダンス&ボーカルグループ・超特急のメンバーで、2000年生まれの俳優・ダンサー。神奈川県出身で、ドラマや舞台でも活躍しています。
「アロハ」という名前は芸名ではなく本名。両親がハワイ好きで、この名前をつけたと明かしていました。自宅では、ハワイアンウォーターのサーバーを置き、日常的に飲んでいるそうですが、「正直、普通の水との違いはよく分からない」と、飾らない本音も。
名前にこめられた“南国の風”のイメージと、国内でコツコツとダンスや演技を磨く日々。そのギャップも含めて、どこか人柄が伝わるエピソードです。
日向坂46・藤嶌果歩の寝室とプロジェクター生活
日向坂46のメンバー、 藤嶌果歩 は、自宅の寝室を公開。ベッドのそばに置いたプロジェクターを使い、壁いっぱいに映像を映して楽しんでいる様子が映し出されました。
この日流していたのは、自身が参加する新曲 『クリフハンガー』 のミュージックビデオ。自分が画面の中で踊る姿を、ベッドの上から見つめるという、不思議な感覚の“鑑賞会”です。
プロジェクターは、最近の一人暮らしや若い世代の暮らしで人気のアイテム。大きなテレビを置かなくても、白い壁さえあれば、映画館のような没入感を味わえます。部屋を暗くして映像に集中すると、ライブやコンサートの感覚に近づき、仕事へのモチベーションにもつながりやすいと言われます。
アイドルとしての自分と、学生のような素顔の自分。その両方が混ざるような寝室の光景は、ファンにとってもぐっと距離が近づく瞬間でした。
志賀直哉『城の崎にて』にもつながる城崎温泉という街
ひうらさとるの家がある 城崎温泉 は、志賀直哉の短編 『城の崎にて』 の舞台でもあります。電車事故でけがを負った作者が療養のために訪れ、小さな生き物の死と向き合う中で「生きることと死ぬこと」の距離を見つめ直す物語です。
明治から大正にかけて多くの文人に愛されたこの温泉街は、今も木造の宿や柳の並木が残り、「街全体が一つの宿」とも表現されます。
そうした土地で、現代の漫画家が旧藝妓検番をリノベーションして暮らし、温泉と仕事場を行き来する。その姿は、新しい時代の“文人生活”とも言えます。
市川拓司の植物だらけの家も、ひうらさとるの温泉街の家も、「環境そのものが物語を生む装置」として機能している――番組を見ていると、そんな共通点が浮かび上がってきます。
番組を通して見えた“創作と住まい”の共通点
小説家と漫画家、そのライフスタイルは一見バラバラに見えますが、今回紹介された2軒の家には、いくつもの共通点がありました。
一つは、家そのものが作品やキャラクターのバックボーンになっていること。市川拓司の家は『いま、会いにゆきます』の世界観と重なり、ひうらさとるの家は『ホタルノヒカリ』の縁側のある一軒家や、のちの旅エッセイの空気と響き合っています。
もう一つは、「好きなもの」を家の中に徹底的に集めていること。市川家にとっては植物と模型、ひうら家にとっては温泉街の景色と歴史ある建物。そこに、高松アロハのハワイへの憧れ、藤嶌果歩のプロジェクターと音楽――それぞれの“好き”が、その人の表現スタイルと直結している様子が見えてきます。
仕事の効率だけを考えれば、もっとシンプルな家でもいいのかもしれません。それでも、あえて手間のかかる暮らしを選び、その中で作品を生み出していく。そんな姿に、番組全体のメッセージがにじんでいました。
【見取り図の間取り図ミステリー】移住&2拠点生活SP 那須高原の家と前橋市移住支援金、1枚ガラス窓と184坪の土地事情|2026年2月19日


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