大宮から鶯谷へ 京浜東北線ぶらり紀行
今回の旅人は俳優の田山涼成さん。旅の始まりは、埼玉県さいたま市大宮区にある武蔵一宮 氷川神社でした。東京や埼玉など関東一円でよく目にする「氷川神社」の総本社にあたる神社で、その歴史は古く、あと3年で鎮座2500年を迎えるといいます。境内は広々としており、参道は約2kmも続く大スケール。夫婦の神様を祀っていることから縁結びや家内安全のご利益が有名です。
田山さんは境内で「八雲の鈴」や「縁結び守」を授かり、神社ならではの厳かな雰囲気に浸りました。実は“大宮”という地名の由来はこの氷川神社にあるとされており、地元の人々にとって心の拠り所であり続けています。また、氷川の名を冠する神社は関東を中心に280社以上あるとされ、関東文化の核を担う存在であることも改めて紹介されました。
抹茶とスイーツを楽しむ「氷川茶庭」
参拝後に立ち寄ったのは、氷川神社の敷地内にあるカフェ氷川茶庭。もともと額殿をリノベーションして作られたカフェで、和とモダンが融合した落ち着いた空間です。ここで田山さんがいただいたのは、自分で点てる抹茶と「モカロン」というスイーツ。モカロンはチーズケーキを最中で挟んだユニークな和洋折衷の一品で、口に含むといちごのような酸味が感じられる爽やかな味わいでした。
抹茶は自分で茶筅を使って点てるスタイル。田山さんは「美味しいお手前でした」と笑顔でコメントし、体験そのものも楽しんでいました。氷川茶庭ではほかにも「氷川らびもち」や「抹茶クレープ」など抹茶を活かしたスイーツが並び、観光客や地元の若者にも人気。歴史ある神社で現代的なカフェ体験ができるのも、大宮の新しい魅力です。
浦和で出会った薬膳料理「なつめ庵」
京浜東北線に乗って大宮から横浜方面へ向かった田山さん。最初の途中下車は浦和駅です。西口を歩いていて気になったのが、薬膳料理を提供する店なつめ庵。ここでいただいたのは「なつめ庵膳」のアワビ粥セット。
アワビ粥にはエゾアワビの肝が加えられており、深い旨味と栄養がたっぷり。本日のスープは麻辣湯で、白きくらげ、松の実、ハスの実、なつめなど薬膳食材が豊富に使われていました。セットには豆花のシロップがけや黒キクラゲの生姜炒めも添えられ、体の中から温まる料理です。
店名にもある「なつめ」は、さいたま市にある農園で300本植えられているものを使用。創業6年目となるこの店では、料理のベースに毎朝仕込む鶏ガラスープを使用し、薬膳の知恵を現代風にアレンジしています。曜日ごとに黒胡麻担々や酒粕豆乳などスープが替わるのも人気の秘密。その日の体調に合わせて選べる5種類のお粥や、スープを主役にした「Soup膳」など、健康志向の人に喜ばれる工夫が満載でした。
蕨で出会った造形作家のアトリエ
続いて田山さんが下車したのは蕨駅。ここで訪れたのはアプリュス芝スタジオというアトリエです。迎えてくれたのは造形作家の田口輝彦さん。田口さんは東京造形大学で油絵を学び、高校の美術教師を務めていましたが、40歳で退職。家具職人の友人の助言を受け、技術専門校で1年間木工を学び直し、新たに造形作家として歩み始めました。
現在は廃材や捨てられた機械部品を使い、独創的な造形作品を制作。1体の作品が完成するまでに約1か月かかるといい、緻密でエネルギーのこもった表現に田山さんも感心しきり。単なるアート作品ではなく、「ものに第二の命を吹き込む」という思いが込められていることに心を打たれました。
川口のカフェ「No.25」で旬のスイーツ
次に立ち寄ったのは川口駅近くのカフェNo.25。ここでは季節のフルーツをふんだんに使ったスイーツが人気です。田山さんが注文したのはシャインマスカットのミルフィーユとアイスコーヒー。サクサクのパイ生地とみずみずしいシャインマスカットの組み合わせは、まさに秋にぴったりのご褒美スイーツでした。
店名の「No.25」は、オーナーが飼っていた愛犬ニコにちなんでつけられたもの。温かな家族経営の雰囲気も人気の理由です。SNSでは新作スイーツを積極的に発信していて、秋のおすすめは「さつまいもあんバタークレープ」。ランチは週替りで、旬の野菜をたっぷり使ったメニューが女性客やファミリーに支持されています。
谷中で日本文化と出会う「Amazing Moments Yanaka」
日暮里駅で下車した田山さんが訪れたのは、谷中にあるセレクトショップAmazing Moments Yanaka。日本の伝統工芸品から現代的なデザイン雑貨まで幅広く取り扱っています。店主の馬さんは中国・蘇州出身。30代で語学留学のため来日し、日本文化の魅力に惹かれてこの地で店を開いたそうです。谷中の古い街並みと融合し、国際的な文化交流の場としても注目されています。
鶯谷で堪能する「チーズ谷」の絶品鉄板焼き
旅の終盤は鶯谷駅。ここで立ち寄ったのはチーズ谷。名物は「スカモルツァチーズのステーキ」。モッツァレラを燻製にしたスカモルツァを鉄板で焼き上げ、仕上げにハチミツをかける一品で、香ばしい風味と甘さが絶妙にマッチします。チーズ好きにはたまらない贅沢な料理でした。
さらに鮮魚のカルパッチョをパルミジャーノ仕立てにしたメニューや、スイス料理のレシュティ(ジャガイモを使った料理)に目玉焼きとベーコンを添えた一皿も登場。どの料理もチーズの魅力を最大限に引き出しており、田山さんも「これはお酒が欲しくなる」と大満足の様子でした。
今回のぶらり旅は、大宮から始まり浦和、蕨、川口、日暮里、そして鶯谷へと続く京浜東北線の沿線を巡るもの。歴史と伝統の神社から薬膳料理、アート、旬のスイーツ、そしてチーズ料理まで、バラエティ豊かで飽きさせない内容でした。都会の中にある小さな発見や、土地の人々の温かさに触れられるのが「ぶらり途中下車の旅」の醍醐味だと改めて感じられる回でした。


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