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佰食屋・中村朱美の現在|100食限定から販売数をさらに減らす理由と100日保存おにぎり【ガイアの夜明けで紹介】

経営者・事業家

100食限定から「売上を減らす経営」へ進んだ中村朱美

『ガイアの夜明け(幸せを生む!パンとおにぎり~成長より持続、食の新戦略~)(2026年8月21日)』で描かれるのが、京都の佰食屋を経営する中村朱美さんです。繁盛店でありながら売上や店舗数を追わず、むしろ販売数を減らして持続できる経営を選んできました。その原点には、長時間労働を当たり前にしない店を作りたいという思いがあります。会社員からの起業、コロナ禍での店舗閉鎖、そして100日保存できるおにぎりへと広がった歩みをたどります。

この記事でわかること

  • 中村朱美さんが佰食屋を始めたきっかけ
  • 1日100食限定にした理由と独自の働き方
  • コロナ禍で店舗を閉じた後の経営転換
  • 100日保存できる「イシイの佰にぎり」が生まれた背景

中村朱美は100食限定の「佰食屋」を生んだ経営者

中村朱美さんは、株式会社minittsの代表取締役として、京都で国産牛ステーキ丼専門店佰食屋(ひゃくしょくや)を立ち上げた経営者です。

1984年に京都府亀岡市で生まれ、専門学校の職員として働いた後、2012年9月に株式会社minittsを設立。同年11月29日に京都・西院で佰食屋を開業しました。

店名の通り、大きな特徴は1日100食限定であることです。

たくさん売れるならもっと作る、店が繁盛したら店舗を増やす――。一般的な飲食店の成長とは違い、あらかじめ「ここまで」と上限を決めています。

さらに「佰」という字には、人を表す「亻」が入っています。店側も「お客さまも働くメンバーも、みんなが幸せになれるお店」を目指してスタートしたと説明しています。

現在、公式サイトで案内されている国産牛ステーキ丼専門店は京都・西院にあり、阪急西院駅から徒歩5分。昼のみ営業するスタイルが続いています。

会社員生活から飲食店を立ち上げた転機

起業の原点にあったのは、意外にも夫が作っていたステーキ丼でした。

会社員時代は専門学校の広報担当として全国を飛び回る忙しい生活を送り、仕事のためにプライベートを犠牲にすることもありました。

そんな生活の中で楽しみになっていたのが、夫・剛之さんが夕食に作るステーキ丼です。

夫婦で「いつかステーキ丼の店が持てたらいい」と話すようになり、夫が将来的な独立を考えていたところ、中村さんが「いつになるか分からないなら今始めよう」と背中を押しました。

共働きで貯めてきた資金を元に会社を設立し、飲食店経営へ踏み出します。

最初から順調だったわけではありません。

開店直後は1日10~20人程度しか客が来ない日もありました。しかし、その後、来店客がブログやSNSで店を紹介したことをきっかけに広まり、100食を売り切る人気店へ成長していきます。

大企業で経営を学んでから起業したわけではなく、自分たちが食べていた料理と「こんな会社なら自分も働きたい」という発想から始まったところが、この店の原点です。

1日100食に限定する経営を選んだ理由

100食という数字には、単なる希少価値を演出する以上の意味があります。

大きな目的の1つが、仕事の終わりを明確にすることです。

100食を販売すれば、その日の営業にはゴールがあります。仕込み量も100食分に近づけられるため、「いつ何人来るか分からないから大量に準備する」という仕事を減らせます。

中村さん自身、100食という明確な目標によって従業員のモチベーションが上がることと、食材と労働力の無駄を減らすことを、この仕組みの目的として説明しています。

もう1つ重要なのが、働く人の生活を守ることです。

会社を作る際、中村さんが考えたのは「自分自身がこの会社で働きたいと思えるか」ということでした。

長時間労働を避けたい。家族と夕食を食べたい。子どもの送り迎えができる生活にしたい。

それを実現するため、料理や仕事量を絞り、100食を売ったら営業を終える仕組みを作りました。

結果として、100食限定は「限定だから人気」という販売方法ではなく、食材の無駄と働く時間を同時に減らす経営システムになりました。

コロナ禍で迫られた店舗縮小と事業の立て直し

成長を続けていた店に大きな転機が訪れたのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。

2020年4月11日、「佰食屋すき焼き専科」と「佰食屋肉寿司専科」の2店舗を閉店しました。中村さん自身も、この2店舗を早い段階で閉じる決断をしたことを振り返っています。

それ以前にも経営を揺さぶる出来事がありました。

2018年には大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号などが相次ぎ、観光客が減少。3店舗を展開していた時期には、来店者が100人ではなく50人ほどに落ち込む日が続き、約1000万円の赤字を経験しました。

ただ、この経験から新しい発想が生まれます。

「災害が起きても50人は来てくれるなら、最初から50食でも利益が出る店にできないか」。

そこで50食限定の「佰食屋1/2」を開き、小さな店でも黒字化できるかを実験しました。実際に2年4か月の運営で、出店時に投じた約350万円を回収できるところまで事業を成立させています。

失敗や危機を「元の規模へ戻す」方向だけで考えず、さらに小さくても成立する仕組みを探したことが、その後の経営につながっています。

売上を増やすより働き方を守る独自の経営

中村さんの経営を象徴する言葉の1つが、「売上を、減らそう。」です。

通常なら売上増加は会社の成功を示す重要な数字です。

しかし、売上を伸ばすために営業時間が長くなり、人を増やし、設備投資を続けなければならなくなれば、会社そのものが無理を抱えることがあります。

佰食屋では反対に、必要な売上を決め、その範囲で従業員が無理なく働ける構造を重視してきました。

100食限定なら仕入れる食材量を予測しやすく、営業時間も昼だけにできます。公式サイトでも、100食を売り切ることに加え、働くメンバーが仕事とプライベートの両方を大切にできることが昼営業の理由として説明されています。

食品ロスの少なさも大きな特徴です。

京都市との対談では、調査で佰食屋の食品ロスが1食当たり約1.5gだったことが紹介されています。100食という上限が決まれば仕込み量も予測しやすく、食材を余らせにくくなります。

「たくさん売らない」と「無駄を出さない」がセットになっているところが、この経営方法の面白さです。

販売数をさらに減らして目指す持続できる店づくり

2026年には、さらに一歩踏み込んだ経営へ進んでいます。

8月21日に紹介される現在の取り組みとして示されているのが、店舗での販売数をあえて減らすという選択です。

すでに100食という上限を設けていた店が、さらに販売数を抑える。

一見すると繁盛店とは逆方向の動きですが、中村さんが長く追求してきた「無理なく続けられる会社」という考え方から見ると、一貫しています。

原材料価格の上昇、人件費、人手不足、食品ロスなど、飲食店を取り巻く環境は厳しくなっています。販売量を増やせば、その分だけ仕込み、人員、設備なども必要になります。

そこで、規模を大きくし続けるのではなく、小さくても継続できる状態を作ることに価値を置いているのです。

100食という数字自体を守ることが目的なのではなく、その時代に合った「無理をしない経営」を作ることが本質だと分かります。

常温で100日保存できるおにぎりへの新たな挑戦

飲食店の外へ広がった代表的な取り組みが、石井食品と共同開発した「イシイの佰にぎり」です。

ここは時系列を押さえておきたいところで、商品自体は2026年に初めて作られたものではありません。

開発は2021年に始まり、約1年間の試作や品質管理検査を経て、2022年7月に発売されました。

最大の特徴は、製造日から常温で100日保存できること。

発売当初には、

  • ステーキ丼味
  • 炒飯味
  • カレー味

の3種類が用意され、その後2023年に、

  • 国産鶏ごぼう飯味
  • 国産鶏のチキンライス味

が加わり、5種類へ広がりました。

さらに1個で10g以上のたんぱく質を摂れるよう設計されています。

開発の背景にあるのが、「防災×筋力」という発想です。

災害時の食品は長期保存だけでなく、避難生活などで不足しやすいたんぱく質も意識したい。そのため、日常の軽食として食べながら非常時にも備える商品を目指しました。

飲食店だけに依存せず、保存食品という別の形で食を届ける取り組みは、コロナ禍を経て模索してきた新しい事業ともつながっています。

佰食屋の現在とこれからの事業

中村さんの歩みを見ると、「100食限定」という数字だけが特別なのではないことが分かります。

会社員時代に感じた長時間労働への疑問から店を作り、100食限定で働く時間と食品ロスを減らす仕組みを構築しました。

店舗が増えた後には自然災害とコロナ禍を経験し、閉店という厳しい判断もしています。その一方で、50食でも成り立つ店を試し、飲食店以外の商品開発にも事業を広げてきました。

そして2026年に描かれるのは、「もっと売る」ではなく販売数をさらに減らしてでも持続する道です。

これは単に規模を縮小する話とは少し違います。

100食が適切なら100食、50食が適切なら50食。会社や働く人が無理をしてまで右肩上がりを目指さないという考え方です。

中村さんが作ってきたのは、人気のステーキ丼店であると同時に、「会社はどこまで成長すれば十分なのか」を問い続ける経営モデルでもあります。

売上や店舗数ではなく、働く人、食材、事業そのものが長く続けられる状態をどう作るのか。その答えを何度も作り直してきたところに、佰食屋の現在があります。

参考リンク

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