カラーコーンを見続けると街の景色が変わってくる
道端にあるカラーコーンを見て、「頑張っている」「久しぶり」と感じる人はなかなかいません。『気づきの扉(三角コーンマニア・おかだゆか)(2026年8月28日)』に登場するおかだゆかさんは、そんな身近なカラーコーンを長年観察してきた日常探検家です。大学時代の課題から始まった活動は、写真発信やアート作品、子ども向けワークショップ、そして2026年9月の展覧会へと広がっています。
この記事でわかること
- おかだゆかさんがカラーコーンを追い始めたきっかけ
- 物に感情移入する独特の観察方法
- 「コーンミュニケーション展」の会期・場所・料金
- 日常探検家として続けている現在の活動
おかだゆかはカラーコーンを追う日常探検家
おかだゆかさんは、1991年東京生まれ、東京造形大学卒業の日常探検家・カラーコーンマニアです。
道路や駐車場、工事現場など、誰もが何度も見たことのあるカラーコーンを写真に撮り、その置かれ方や傾き方、周囲との関係から表情や物語を見つけています。
ただ珍しいカラーコーンを集めているわけではありません。
おかださんの活動で面白いのは、「カラーコーンを見る」という行為を通して、いつもの街に違う見方を持ち込んでいることです。カラーコーンが傾いていれば頑張っているように見え、以前とは違う位置に移動していれば「ここまで動いてきたのかな」と想像する。無機質な道路用品が、見方1つで街の登場人物のようになっていきます。
現在は路上で出会ったカラーコーンの写真をSNSで発信するほか、子どもたちと街を観察する「日常探検LABO」などの活動も続けています。
大学時代の課題から始まった13年間の活動
カラーコーンとの出会いは、最初から大きな作品を作ろうとして始まったものではありません。
きっかけは大学在学中の2012年の授業課題でした。
「自分でルールを決めて写真を撮り、タイトルを付けてTwitterに投稿する」という課題があり、おかださんは通学途中でも毎日撮れるものを探します。
そこで目に入ったのがカラーコーンでした。
街を歩いてみると、想像以上にいたるところにあります。しかも同じ赤いコーンでも、置かれる場所や状態は1つ1つ違います。
その違いを見続けるうちに、カラーコーンに感情移入する面白さに気づきました。2026年の「コーンミュニケーション展」では、カラーコーンマニア歴13年として活動が紹介されています。
大学卒業後には、カラーコーンの魅力をどうすれば人に伝えられるのかを学ぶため、PR会社へ就職した経験もあります。
好きなものを見つけただけで終わらず、「どう伝えれば、興味のない人にも面白さが届くのか」まで考えるようになったことが、その後の展示やワークショップにつながっていきました。
道端のコーンに感情移入する独特の観察方法
おかださんのカラーコーン写真には、その場の様子から考えた言葉やタイトルが付けられます。
例えば、バーが巻き付いたカラーコーンを見て「さぁ、気合い入れて巻き込もう」と表現したり、並んでいる姿から関係性を想像したりします。
ここで大切なのは、本当にカラーコーンに感情があると考えているわけではないことです。
長く観察していく中でおかださん自身も、カラーコーンの表情だと思っていたものが、実は見る側の気持ちによって変化していることに気づいたと語っています。
自分が元気な日は頑張っているように見え、余裕がない日はカラーコーンそのものに気づけない。
同じ街を歩いていても、自分の状態によって見える景色が変わります。
だからこそ、おかださんが伝えたいものはカラーコーンそのものだけではありません。
「普段なら見過ごしてしまうものに目を向けてみる」という視点です。
この考え方なら、対象はマンホールでも電柱でも看板でも構いません。自分だけが気になるものを見つければ、いつもの通勤路や散歩道にも小さな変化が生まれます。
写真発信から展覧会企画へ広がった活動
カラーコーンへの興味はSNSだけにとどまりませんでした。
大学時代にはカラーコーンを使った作品制作にも発展し、2015年には六本木アートナイトのオープン・コール・プロジェクトに、おかだゆかさんと川名宏和さんによる「KAWAT Tower」が採択されました。
人の動きに反応して色や表情が変化するカラーコーンを街中に置き、普段なら工事用品として通り過ぎてしまうものをアートとして見せる作品です。
その後は、子どもたちと一緒に身近なものを観察する「日常探検LABO」にも活動が広がりました。
2026年7月には三軒茶屋で、探検用の「メガネ」を工作してから街へ出てカラーコーンを探すプレワークショップも開催されています。
最初は大学の課題で始まった1人の観察が、SNS→アート作品→ワークショップ→展覧会へと広がってきたことになります。
コーンミュニケーション展は三軒茶屋で開催
おかださんが長年続けてきた活動をまとめて楽しめるのが、2026年9月に開催される「コーンミュニケーション展」です。
会期は2026年9月8日から10月4日まで。会場は東京都世田谷区太子堂のキャロットタワー4階、生活工房ワークショップBです。
三軒茶屋駅から直結しているため、カラーコーンを見るために遠くへ出かけるというより、街歩きと一緒に立ち寄りやすい場所です。
展示では、おかださんが路上で撮影してきた多数のカラーコーン写真だけでなく、アート作品、カラーコーンの製造方法、種類を見分けるためのガイドなども紹介されます。
単なる写真展ではなく、実用品としてのカラーコーン、デザイン、路上観察、人と街との関係まで複数の角度から見る内容です。
道でカラーコーンを見ても、普段なら「工事中なんだな」で終わります。
しかし製造方法や置かれ方まで知った後では、帰り道に同じカラーコーンを見たときの景色が少し違って見える。そこまで含めて展覧会のテーマになっています。
入場料・開催期間・トークイベント
「コーンミュニケーション展」は入場無料です。
開催時間は10:00~18:00で、金曜日のみ20:00まで。月曜日は祝日・休日を除いて休館となります。
さらに9月22日19:00~20:30には、関連企画として「電線とカラーコーンが教えてくれる 日常を探検する方法」が開催されます。
登壇するのはおかだゆかさんと、電線愛好家・ラジオパーソナリティの石山蓮華さん。聞き手は「マニアな合同会社」代表の松澤茂信さんです。
参加費は1,000円、定員50人で申込先着制。カラーコーンと電線という一見まったく違う対象を好きになった2人が、「なぜそれが気になったのか」「どうやって好きなことを続けてきたのか」を語ります。
「何を好きになればいいか分からない」という人にも、好きな対象を決めることより自分だけの見方を持つ方法を知る機会になりそうです。
何でもない日常を面白くする「別視点」の仕事
おかださんの活動をカラーコーンだけで捉えると、「ものすごく珍しいものを好きな人」に見えるかもしれません。
けれど、活動の中心にあるのはもっと身近な考え方です。
おかださんは、日常生活では夕焼けや植物、街の変化など、本来なら面白いものが周囲にあっても、忙しさの中で見過ごしてしまうことがあると話しています。
そこで、いつもの景色の中から自分がワクワクできるものを探す行為を**「日常探検」**と名付けました。
カラーコーンを好きにならなくても、この方法は真似できます。
いつも通る道で1つだけ気になるものを探し、翌日にどう変わったかを見る。それだけでも、何もなかった通勤路や散歩道に「続きを見たい場所」が生まれます。
おかださんにとって、その入口がたまたまカラーコーンでした。
大学時代の課題から始まった小さな興味を13年以上持ち続け、作品、仕事、子ども向け活動、展覧会へとつなげてきた歩みを見ると、何でもないものを面白がる視点そのものが、1つの活動になることが分かります。
2026年9月の展覧会を見た帰り、三軒茶屋の道端に立つカラーコーンが少し気になってしまったら、それこそが「日常探検」の始まりなのかもしれません。


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