渡邊博文は会社員から農家へ転身し「夢シルク」を育てるオオサカポテト代表
2026年9月23日(水)放送のABCテレビ『news おかえり』では、「さつまいもに熱い思い!脱サラ農家」を岩本計介アナウンサーが現場取材します。大阪で会社員から農業へ転身し、ブランドさつまいも「夢シルク」を育てながら「大阪をさつまいもの産地へ」という目標を掲げているのが、株式会社オオサカポテト代表の渡邊博文さんです。番組表では人物名は明かされていません。
渡邊さんは広告会社で働きながら2020年に週末農業を始め、都市農業が抱える課題を知ったことから脱サラ。2023年1月に新規就農しました。現在は八尾市など大阪各地で「夢シルク」の栽培を広げ、耕作放棄地の活用や農業体験にも取り組んでいます。
この記事でわかること
- 渡邊博文さんが広告会社から農家へ転身した経緯
- 週末農業から脱サラを決断した転機
- ブランドさつまいも「夢シルク」の特徴
- オオサカポテトが目指す「大阪をさつまいもの産地へ」の意味
渡邊博文は広告会社から脱サラしたオオサカポテト代表
渡邊博文さんは、株式会社オオサカポテトの代表取締役です。
大学卒業後の2016年、広告会社のジェイアール東海エージェンシーへ入社。名古屋で広報・宣伝・マーケティングの仕事を経験し、2019年に関西支社へ異動しました。
もともと農家の家に生まれ、家業を継いだ人物ではありません。
会社員として働く中で大阪へ転勤したことが、人生の流れを変えました。
渡邊さんは名古屋時代、ラグビーやサーフィンを楽しんでいました。しかし大阪へ移ると新しい趣味を探すようになり、農業に興味を持ちます。
八尾市の農家へ連絡を取り、農作業を手伝いながら畑を借りたことが、現在のオオサカポテトにつながる最初の一歩になりました。
2020年の週末農業から2023年に新規就農
渡邊さんが本格的に畑へ通い始めたのは2020年3月です。
会社員を続けながら八尾市の専業農家を手伝い、約4アールの農地を借りて週末農業を始めました。
最初に育てた作物のひとつがトウモロコシでした。
初挑戦ながら約100本を収穫し、近所の人へ配ったところ喜んでもらえたことが、農業へ深く入り込むきっかけになります。
広告会社では形のないサービスを扱っていた渡邊さんにとって、自分で育てたものが目の前の人へ届く経験は大きな変化でした。
やがて趣味だった農業は、収穫体験などを行う活動へ発展します。
そこで渡邊さんが目にしたのが、
- 子どもが農業を体験できる場所の減少
- 大人が食や農に触れる機会の減少
- 担い手不足による耕作放棄地の増加
という都市農業の課題でした。
課題を知るほど、農業を趣味のままで終わらせたくないという思いが強くなります。
そして会社員生活を離れ、2023年1月に新規就農しました。
専業農家として選んだ作物がさつまいも
専業農家になるにあたり、渡邊さんが中心作物に選んだのがさつまいもでした。
週末農業ではトウモロコシ、ナス、ほうれん草などさまざまな野菜を育てていましたが、農業を事業として大きくするためには作物を絞る必要がありました。
さつまいもは比較的大規模な栽培へ広げやすいうえ、秋の芋掘りなど農業体験との相性も良い作物です。
栽培する品種には、上品な甘さとなめらかな舌触りを持つシルクスイートを選びました。
すでに「鳴門金時なら徳島」といった有名産地との結び付きが強い品種がある一方、シルクスイートには特定の巨大産地というイメージがまだ定着していない。
そこに渡邊さんは、大阪独自のブランドを作る余地を見いだしました。
「夢シルク」は大阪の畑を残すために生まれたブランド
こうして誕生したのが、オオサカポテトのブランドさつまいも「夢シルク」です。
名前には「大阪をさつまいもの産地にしたい」「耕作放棄地を減らしたい」「子どもたちへ農業体験を残したい」という夢が込められています。
夢シルクには、単にシルクスイートを大阪で育てるだけではないブランド条件があります。
- 大阪産の竹炭を生かした土づくり
- 収穫後30日以上の糖化・熟成
- 耕作放棄地を活用し地域と一緒に育てる
という考え方です。
収穫したばかりのさつまいもをすぐ出荷するのではなく、温度と湿度を管理した設備で30日以上熟成。
でんぷんを糖へ変化させることで、シルクスイートらしい甘さとなめらかな食感を引き出しています。
自宅マンションで4トンのさつまいもを熟成した創業期
現在は専用の貯蔵設備を持つオオサカポテトですが、最初から設備がそろっていたわけではありません。
専業農家になった初年度、渡邊さんが収穫したさつまいもは約4トン。
ところが、出荷前に熟成させるための十分な倉庫がありませんでした。
そこで自宅マンションへビニールシートを敷き、さつまいもを持ち込んで熟成。翌年は骨組みだけの倉庫を借り、自分たちで壁を作りながら冬場も温度を維持していました。
現在のブランドを見ると完成された農業ビジネスに見えますが、その出発点は手作業の連続でした。
学生時代の友人らも加わり、栽培から保管、販売まで少しずつ仕組みを整えていきました。
株式会社オオサカポテトへ成長し農地は約7ヘクタールに
渡邊さんが新規就農した当初、「オオサカポテト」は屋号として活動していました。
その後事業を拡大し、株式会社オオサカポテトは2025年2月に設立。渡邊さんが代表取締役を務めています。
2025年時点では、八尾市・羽曳野市・河南町などで約40反を栽培し、大阪府内でも大規模なさつまいも生産者へ成長しました。
さらに2026年には、夢シルクを手掛ける農地が約7ヘクタールまで広がっています。
最初は約4アールの週末農業でした。
そこから、
4アールの週末農業
↓
脱サラして新規就農
↓
さつまいも専業へ
↓
夢シルクをブランド化
↓
株式会社設立
↓
約7ヘクタールへ拡大
という変化を遂げています。
「大阪をさつまいもの産地へ」に込めた本当の狙い
オオサカポテトが掲げる言葉が、「大阪をさつまいもの産地へ」です。
単純に生産量を増やすことだけが目的ではありません。
渡邊さんが農業を始めた八尾市周辺では、小規模な農地が点在し、農業者の高齢化や後継者不足によって休耕地や耕作放棄地が増えています。
そこで使われなくなった農地を借り、さつまいも畑として再び活用する。
さらに芋掘りなどの農業体験を開き、都市で暮らす人と畑をつなぐ。
夢シルクには、農産物のブランド化と同時に、都市農業を続ける仕組みを作るという狙いがあります。
2025年には、大阪府の「おおさか地域活性化ファンド」の投資先にも選ばれました。
大阪府も、耕作放棄地を利用した夢シルクの生産・販売や、農業体験を通じた持続可能な都市型農業への取り組みを評価しています。
夢シルクはスーパーや菓子・芋焼酎にも広がる
夢シルクは、生のさつまいもだけで展開しているブランドではありません。
大阪府内のスーパーや焼き芋店で販売されるほか、飲食店のメニューや加工食品にも使われています。
これまでには、
- 大阪シルクスイートバター
- 芋焼酎「阿呆-ahou-」
- 芋けんぴ
- フィナンシェ
- 菓子やパン
などへ商品展開が広がっています。
2026年秋には、大丸心斎橋店の開業300周年企画でも夢シルクが大きく取り上げられました。
9月16日から館内で夢シルクを使った商品が展開され、「バターのいとこ 夢シルク」をはじめ、百貨店や飲食ブランドとのコラボ商品も登場しています。
さらに10月には御堂筋で「オイモサンマルシェ」を開催し、巨大なさつまいもモニュメントを設置する企画も進んでいます。
会社員の趣味として始まった小さな畑が、大阪の百貨店や御堂筋まで広がるブランドへ成長しています。
渡邊博文が目指す夢シルクの現在
渡邊さんが見据えているのは、オオサカポテトだけで農地を増やし続ける形ではありません。
ほかの農家や農業に関心を持つ人へ苗を提供し、生産したさつまいもを買い取るなど、多くの人が農業に参加できる仕組みづくりも目標にしています。
さらに農福連携にも取り組み、農作業の一部を就労継続支援事業所へ委託するなど、畑を地域の仕事につなげる活動も進めてきました。
2026年現在、渡邊さんは大阪府の農政アクションプラン検討部会の委員も務めています。
1人の会社員が趣味で始めた週末農業は、現在では「大阪の農業をどう残すか」という地域全体の挑戦へ広がっています。
まとめ
渡邊博文さんは、広告会社で働いた後に農業へ転身し、現在は株式会社オオサカポテトの代表取締役を務めています。
2020年に約4アールの畑から週末農業を始め、都市農業の担い手不足や耕作放棄地の増加を知ったことをきっかけに脱サラ。2023年1月に新規就農しました。
その後、シルクスイートを使った大阪発のブランドさつまいも「夢シルク」を立ち上げ、現在の農地は約7ヘクタールまで拡大しています。
目標は、たださつまいもを売ることではありません。
耕作放棄地を再び畑に戻し、子どもや都市生活者が農業とつながれる場所を作り、「大阪といえば夢シルク」と呼ばれる産地へ育てていくこと。
「さつまいもに熱い思い!脱サラ農家」という言葉の背景には、会社員から農家へ人生を切り替え、大阪の農業そのものを変えようとしている渡邊博文さんの歩みがあります。
参考リンク
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