鈴木俊貴が発見したシジュウカラの言葉!鳥は単語を組み合わせて会話していた
「ジャージャー」はヘビ、「ヒヒヒ」はタカ、「ヂヂヂ」は仲間を集める声。
身近な野鳥・シジュウカラが、異なる意味を持つ鳴き声を使い分け、さらに単語を組み合わせて文を作ることを解明したのが、東京大学准教授の鈴木俊貴(すずき・としたか)さんです。
2026年10月13日放送のNHK『クローズアップ現代』では、鈴木さんが20年以上にわたって研究を続ける軽井沢の森を訪れ、鳥の言葉を解き明かした実験と発見の歴史を紹介します。
特に驚くのは、シジュウカラが鳴き声の順番まで理解していることです。研究では、警戒を表す声と集合を促す声を正しい順番で聞かせた場合に反応し、順番を逆にすると反応が大きく変わることが確認されました。
鈴木さんは2023年、東京大学に「動物言語学」という新しい研究分野を立ち上げました。2025年に出版した著書『僕には鳥の言葉がわかる』もベストセラーとなり、累計27万部に達しています。
この記事でわかること
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シジュウカラの「ジャージャー」「ヒヒヒ」「ヂヂヂ」の意味
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鈴木俊貴さんが鳥の文法を証明した独創的な実験
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幼少期の生き物好きから動物言語学を創設するまでの経歴
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著書『僕には鳥の言葉がわかる』と2026年発売のふりがな版
シジュウカラの「ジャージャー」はヘビを知らせる言葉
公式動画:TBS CROSS DIG「鳥の言葉が分かる東大准教授・鈴木俊貴/シジュウカラの言葉と文法」
鈴木俊貴さんの研究によって、シジュウカラの鳴き声にはそれぞれ異なる意味があることが明らかになりました。
シジュウカラは、周囲の状況に応じて鳴き声を使い分けています。
研究で確認された主な鳴き声
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「ジャージャー」:ヘビを知らせる
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「ヒヒヒ」:タカなどの天敵を知らせる
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「ヂヂヂ」:仲間を集める
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「ピーツピ」:周囲への警戒を促す
なかでも「ジャージャー」という鳴き声には、特別な意味があります。
シジュウカラは、天敵のヘビを見つけたときに、この声を発します。
ただし、鳴き声が特定の状況で使われるだけでは、それを言葉と断定することはできません。
そこで鈴木さんは、シジュウカラが「ジャージャー」を聞いたとき、頭の中でヘビを思い浮かべているのかを調べました。
2018年に発表した研究では、ヘビのように動かした小枝を用いて実験を行っています。
シジュウカラに「ジャージャー」という声を聞かせると、鳥たちは木の幹や地面を這う小枝に接近して確認する行動を示しました。
この結果は、単に危険を感じて逃げるのではなく、鳴き声を聞くことでヘビの姿を思い浮かべ、それに似たものを探していることを示しています。
人間が「リンゴ」という言葉を聞いて赤い果物を思い浮かべるのと似た働きが、シジュウカラにも確認されたのです。
「ピーツピ・ヂヂヂ」の語順を逆にすると意味が通じなくなる
鈴木さんの研究で、世界的に注目されたのがシジュウカラの文法能力です。
シジュウカラは単語を使うだけではありません。複数の鳴き声を決まった順番で組み合わせ、複雑な意味を伝えることができます。
例えば、警戒を促す「ピーツピ」と、仲間を集める「ヂヂヂ」を組み合わせた声です。
この2つが正しい順番で発せられると、周囲のシジュウカラは警戒しながら声のする方向へ集まってきます。
ところが、鳴き声を逆の順番に並べて聞かせると、同じ反応はほとんど見られませんでした。
つまり、単語そのものが同じでも、並び方が違うと意味が通じなくなるのです。
2017年には、さらに踏み込んだ実験が行われました。
鈴木さんたちの研究グループは、シジュウカラの警戒声と、別の鳥であるコガラの集合声を組み合わせた人工的な音声を作りました。
その結果、シジュウカラは初めて聞く組み合わせでも、正しい語順であれば警戒しながら音源へ近づきました。
一方、語順を逆にした音声には、ほとんど反応しませんでした。
これは、単に聞き慣れた声を暗記しているだけでは説明できない現象です。
シジュウカラが、初めて聞く鳴き声の組み合わせにも文法のルールを当てはめて意味を理解できることを示した重要な発見でした。
鈴木俊貴は1983年東京都生まれの動物言語学者
鈴木俊貴さんは、1983年に東京都で生まれました。
現在は東京大学先端科学技術研究センターの准教授として、動物言語学分野の研究室を率いています。
鈴木俊貴さんのプロフィール
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名前:鈴木俊貴(すずき・としたか)
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生年:1983年
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出身地:東京都
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職業:動物言語学者
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所属:東京大学先端科学技術研究センター
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役職:准教授
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主な研究対象:シジュウカラなどの野生動物
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研究開始:2005年
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動物言語学研究室の設立:2023年
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主な著書:『僕には鳥の言葉がわかる』
鈴木さんは幼い頃から生き物が大好きでした。
虫取り網を持って昆虫を探し、捕まえた生き物を観察する日々を過ごしていたといいます。
その後、動物への関心は野鳥へと広がり、東邦大学で鳥類の研究を始めました。
現在では、文部科学大臣表彰の若手科学者賞、日本生態学会宮地賞、日本動物行動学会賞などを受賞しています。
5歳のときに母親から言われた「図鑑を書き換えなさい」
鈴木さんの研究姿勢につながる出来事が、5歳の頃にありました。
当時、茨城県に暮らしていた鈴木さんは、庭に巣を作っていたコガネグモを観察していました。
ある日、そのクモの巣にカブトムシが引っかかり、クモに食べられてしまったのです。
ところが、当時読んでいた図鑑には、カブトムシは昆虫の中で最強だという説明がありました。
目の前で見た出来事と、図鑑に書いてある知識が食い違っていたのです。
鈴木さんが母親にそのことを伝えると、母親は図鑑の内容を書き換えるよう勧めました。
それ以来、鈴木さんは実際に観察して気づいたことを、ボールペンで図鑑に書き込むようになりました。
本に書いてあることをそのまま信じるのではなく、自分の目で見た事実を大切にする。
この経験は、その後の鳥の言葉の研究にもつながっています。
大学3年の冬、軽井沢の森で聞いた鳴き声が転機になった
鈴木さんが野鳥の観察を本格的に始めたのは、高校生の頃です。
双眼鏡を購入し、自然の中で暮らす鳥たちを観察するようになりました。
それまで虫や小動物を捕まえて観察していましたが、野鳥研究では、生き物が暮らしている場所へ自分から入っていくことになります。
大学に進学すると、さまざまな鳥の鳴き声を聞き分けられるようになりました。
その中で、シジュウカラだけは鳴き声の種類が非常に多いことに気づきます。
決定的な出来事が起きたのは、大学3年の冬でした。
軽井沢の森で観察をしていたとき、1羽のシジュウカラが「ヂヂヂヂ」と鳴くと、周囲から仲間の鳥たちが集まってきました。
ところが、今度は「ヒヒヒ」という声が聞こえた途端、集まっていた鳥たちが一斉に飛び立ったのです。
その直後、近くをタカが飛んでいきました。
この経験から、鈴木さんは鳥の鳴き声が仲間への情報伝達に使われていることに注目しました。
2005年に始まったシジュウカラの音声研究は、ここから本格的に発展していきます。
真冬の軽井沢で観察を続けた20年以上の研究生活
鈴木さんの研究方法は、鳥を捕まえて実験室で観察するだけのものではありません。
自然の森に入り、鳥たちがどのような状況で鳴き、その声を聞いた仲間がどう行動するのかを調べます。
時には録音した鳴き声を野外で再生し、その反応を確かめる実験も行います。
研究の初期に滞在していた軽井沢の山荘は、厳しい環境でした。
風呂やシャワーがなく、真冬には室内でも氷点下19℃になることがあったといいます。
それでも鈴木さんは、シジュウカラの観察を続けました。
ある鳴き声の意味がわかると、別の鳴き声にも疑問が生まれます。
一つひとつの発見を実験で確かめることで、鳥たちの複雑なコミュニケーションが少しずつ明らかになっていきました。
鈴木さんは2022年、スウェーデンで開催された国際行動生態学会で基調講演を行い、新しい学問「動物言語学」を提唱しました。
その後、2023年には東京大学に動物言語学分野の研究室を設立しています。
シジュウカラは翼を振って「お先にどうぞ」と伝えていた
鳥のコミュニケーションは、鳴き声だけではありません。
2024年3月、鈴木さんと杉田典正さんの研究グループは、シジュウカラが翼を動かして仲間へメッセージを伝えることを発表しました。
発見されたのは、巣箱に入る順番を決めるときの動きです。
シジュウカラのオスとメスは、繁殖期になると協力してヒナに餌を運びます。
しかし、巣箱の入口は狭いため、2羽が同時に入ることはできません。
そこで、巣箱の近くに2羽が一緒に到着したときの行動を詳しく観察しました。
すると、主にメスが翼を小刻みに振るわせ、その動きを受けたオスが先に巣箱へ入ることが確認されました。
一方、メスが翼を振らなかった場合には、メスの方が先に入る傾向がありました。
研究グループは、この翼の動きが「お先にどうぞ」という意味を持つジェスチャーだと結論づけました。
シジュウカラは鳴き声による言葉だけでなく、体の動きでも仲間と意思疎通していたのです。
2023年に動物言語学を創設し、研究対象を広げている
鈴木さんが2023年に立ち上げた「動物言語学」は、動物が使う音声や身振りの意味を科学的に解明する研究分野です。
シジュウカラについては、単語、文法、ジェスチャーといったコミュニケーション能力が確認されてきました。
現在は、その研究方法を別の動物にも応用しています。
東京大学の動物言語学プロジェクトでは、シジュウカラに加え、メジロ、オナガ、ツバメなどの鳥類や、エゾモモンガ、アカネズミ、オオコウモリなどの哺乳類にも研究対象を広げています。
また、スペインやスウェーデンの研究者と協力し、地域によって鳥の鳴き声や意味に違いがあるかを調べる研究も進めています。
同じ仲間の鳥でも、暮らす地域が異なれば、直面する天敵や環境も変わります。
そうした違いが、動物のコミュニケーション能力にどのように関係するのかを解明する取り組みです。
『僕には鳥の言葉がわかる』は27万部のベストセラー
鈴木俊貴さんが2025年1月23日に出版した『僕には鳥の言葉がわかる』は、研究者としての歩みを記した科学エッセイです。
シジュウカラの鳴き声に意味があると気づいた経緯から、実験を重ねて文法を解明するまでの過程が描かれています。
専門的な研究を扱いながら、幼少期の思い出や森での観察生活なども盛り込まれています。
通常版の書籍情報
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書名:僕には鳥の言葉がわかる
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著者:鈴木俊貴
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出版社:小学館
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発売日:2025年1月23日
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価格:1,870円(税込)
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ページ数:264ページ
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ISBN:9784093891844
2025年には、第13回河合隼雄学芸賞、第24回新潮ドキュメント賞、「書店員が選ぶノンフィクション大賞2025」などを受賞しました。
本の巻末には、シジュウカラの実際の鳴き声を聞ける二次元コードも掲載されています。
文章だけでなく、本物の鳥の声を聞きながら研究内容を知ることができます。
2026年6月には小学生も読みやすいふりがな版が発売
2026年6月24日には、『ふりがな版 僕には鳥の言葉がわかる』が発売されました。
通常版と大きく異なるのは、すべての漢字にふりがなが付いていることです。
さらに文字や判型が大きくなり、難しい言葉には説明も加えられています。
鈴木さんが新たに描き下ろしたイラストも収録されています。
ふりがな版の情報
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書名:ふりがな版 僕には鳥の言葉がわかる
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著者:鈴木俊貴
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出版社:小学館
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発売日:2026年6月24日
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価格:1,870円(税込)
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特徴:総ルビ、大きめの文字、追加イラスト
小学生から高齢者まで幅広い世代が読めるよう工夫されており、読書感想文や自由研究のテーマとしても活用できる内容です。
子どもが野鳥や生き物に興味を持つきっかけとしても楽しめる1冊です。
まとめ
東京大学准教授の鈴木俊貴さんは、20年以上にわたるシジュウカラの観察と実験を通して、鳥が単語や文法を使うことを解明した動物言語学者です。
「ジャージャー」はヘビ、「ヒヒヒ」はタカを知らせる声。さらに、シジュウカラは異なる鳴き声を決まった順番で組み合わせ、仲間に情報を伝えています。
2024年には、翼を動かして「お先にどうぞ」と伝えるジェスチャーも発見しました。
研究の原点にあるのは、幼い頃から続けてきた生き物の観察です。
図鑑の知識だけを信じず、実際に見たことを確かめるという姿勢が、鳥の言葉という新しい研究分野の誕生につながりました。
著書『僕には鳥の言葉がわかる』では、その発見に至るまでの研究生活を詳しく知ることができます。
身近な森や公園で聞こえる小鳥の声にも、それぞれの意味がある。鈴木さんの研究は、普段何気なく耳にしている自然の音が、これまでとは違ったものに感じられる発見です。
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参考リンク


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