元イタリアンシェフが料理人の感覚で作る「お多福たまご」
2026年10月3日放送のNHK総合「所さん!事件ですよ TKGが海外で大人気!? ニッポンの卵が大進化」では、ブランド卵の進化とともに、天然魚や季節の野菜を使った非常に手の込んだ鶏のエサが取り上げられます。
鹿児島で「自然放牧場お多福たまご」を営む福重智寛さんは、東京のイタリアンレストランで約10年間料理人として働いた経歴の持ち主。現在は料理人時代の経験も生かしながら、天然魚、国産穀物、季節野菜を大釜で調理して発酵させる手作り飼料と、24時間365日の自然放牧にこだわった「お多福たまご」を生産しています。
この記事でわかること
- 福重智寛さんがイタリアンシェフから養鶏家になった経緯
- 「お多福たまご」の天然魚と季節野菜を使った発酵飼料
- 24時間365日放牧という独特な飼育方法
- お多福たまごの価格と公式通販での購入方法
お多福たまごのエサは天然魚・米・麦・大豆・季節野菜を発酵
公式動画:自然放牧場お多福たまご 公式動画
「お多福たまご」を特徴づけているのが、一般的な配合飼料とは大きく異なる手作りの発酵飼料です。
使われているのは、オーガニックまたは自然栽培の米、麦、大豆などの穀物と、さつまいもをはじめとする季節の野菜。そして天然魚です。
天然魚は大釜で炊き、穀物や野菜と混ぜ合わせてから、時間をかけて発酵。出来上がった温かい飼料を鶏へ与えています。
- 米
- 麦
- 大豆
- さつまいもなど季節の野菜
- 天然魚
材料だけを見ると、人間の料理に使っても不思議ではない組み合わせです。
福重さんは東京で長年イタリア料理に携わっていたため、単に栄養成分を調整するだけではなく、「鶏にもおいしいものを食べさせたい」という考えで飼料作りを続けています。
番組で表現されている「熟成海鮮リゾット、季節の野菜添え」という言葉が印象的なのも、天然魚と穀物、野菜を実際に大釜で調理して発酵させるほど手の込んだエサだからです。
魚粉ではなく天然魚そのものを大釜で炊く
さらに特徴的なのが、一般的な飼料原料として使われる魚粉ではなく、天然魚そのものを使っていることです。
福重さんがこの方法へ行き着いた背景には、鹿児島に昔から残る庭先養鶏の記憶がありました。
祖父母の世代には、魚のアラと米ぬか、大豆などを一緒に煮て鶏へ食べさせていたといい、その頃の卵はとてもおいしかったと聞いたことから、昔ながらの方法を現代の養鶏へ取り入れています。
天然魚を釜で煮て、野菜や穀物と混ぜ、さらに発酵させる。
効率だけを考えれば非常に手間のかかる方法ですが、お多福たまごでは現在もこの方式を続けています。
農場の公式サイトでも「ヒューマングレードの国産原料による手作りの発酵飼料」として紹介されています。
福重智寛さんは東京で約10年間イタリア料理の厨房に立った
福重智寛さんは鹿児島県湧水町の出身です。
高校卒業後に上京し、東京のイタリアンレストランで約10年間、キッチンスタッフとして料理の仕事を続けました。
しかし、心の中にはいつか故郷へ戻りたいという思いがありました。
転機になったのが、湧水町の地域おこし協力隊です。
福重さんは2017年6月に鹿児島へUターン。地域おこし協力隊として移住・定住支援や地域の情報発信、特産品開発などに携わる一方、自分自身でも養鶏を始めました。
料理人から養鶏家への転身です。
しかも、実家の養鶏場をそのまま継いだわけではありません。
RKB毎日放送の紹介では、福重さんは養鶏の知識も経験もない状態から文献を読み、独学で養鶏技術を身につけていったことが紹介されています。
2018年に「お多福たまご」の販売をスタート
養鶏を始めた福重さんは、2018年6月から「お多福たまご」の販売を開始します。
目指したのは、単に黄身の色が濃い卵やサイズの大きい卵ではありません。
福重さんが重視したのは、
- 鶏が何を食べているか
- どんな水を飲んでいるか
- どんな環境で暮らしているか
という、卵になるまでの過程そのものです。
卵は完成した食品だけを見ても、その背景は分かりません。
だからこそ飼料、水、飼育環境を一つずつ見直し、「自分たちが食べたい卵」「お客さんに食べてもらいたい卵」を基準に養鶏方法を作っていきました。
鶏は24時間365日、屋外へ自由に出られる
もう一つの大きな特徴が、鶏の暮らし方です。
お多福たまごでは「24時間365日自然放牧」を掲げています。
鶏は鶏舎へ閉じ込められているのではなく、屋外の放牧場と鶏舎を自由に行き来できます。昼間は外を走り回ったり、土をつついたり、野草や昆虫を探したりし、卵を産むときや夜になると自分で鶏舎へ戻ります。
2025年に放送された「世界一の九州が始まる!」でも、農場を走り回る鶏たちが紹介されました。
福重さん自身も、おいしい卵づくりにつながるポイントとして「鶏ファースト」の環境を重視しています。
ケージから出すだけではなく、屋外で太陽や風、四季を感じながら暮らせる環境を作っているところが特徴です。
水は霧島連山の「大出水の湧き水」
食べ物だけではありません。
鶏が毎日飲む水にもこだわっています。
現在、お多福たまごでは霧島連山の「大出水の湧き水」を鶏へ与えています。
霧島連山は多くの水を蓄える地域で、山麓には豊かな湧水があります。
鶏にとって水は毎日口にするものだけに、福重さんは飼料と同じように重要なものとして選んでいます。
天然魚、野菜、穀物、発酵飼料、湧き水、そして自然放牧。
「お多福たまご」は一つの特別な材料で作るのではなく、鶏の生活そのものを組み立て直す発想から生まれています。
有機JAS認定の放し飼い卵になった
現在の公式オンラインショップでは、「お多福たまご」は有機JAS認定の放し飼い卵として販売されています。
農場公式サイトでもオーガニック認証の取得を公表しています。
また、飼育方法に関する取り組みは国内外でも評価されています。
2018年には環境省主催「グッドライフアワード」の実行委員会特別賞「エシカル賞」を受賞。
さらに2024年には、国際的な畜産動物福祉団体Compassion in World Farmingによる「グッドエッグアワード」を受賞しています。
ブランド卵というと味や価格に注目しがちですが、お多福たまごでは鶏の飼育環境そのものがブランドを構成する重要な部分になっています。
お多福たまごの値段と通販
2026年10月3日時点で、公式オンラインショップでは「オーガニック放牧卵 お多福たまご」が販売されています。
- 商品名:オーガニック放牧卵「お多福たまご」
- 内容量:10個
- 価格:1,750円(税込)
- 有機JAS認定
- 配送:品質保持のためクール便
- 通販:公式オンラインショップ
公式ショップでは、現在「テレビ放映の影響で発送まで時間がかかる」と案内されています。卵の定期購入についてもキャンセル待ちとなっています。
贈答用には、
- 桐箱入り8個:5,000円(税込)
も販売されています。
日常用として考えると一般的な卵より高価格ですが、天然魚や有機・自然栽培原料を使った手作り発酵飼料、屋外放牧など、生産工程そのものに大きな手間をかけた卵です。
元イタリアンシェフだから生まれた「料理から逆算する卵」
福重さんの経歴を知ると、「お多福たまご」の作り方がかなり料理人的であることが分かります。
天然魚を煮る。
穀物や野菜を組み合わせる。
時間をかけて発酵させる。
そして、それを温かい状態で鶏へ与える。
養鶏でありながら、エサを一つの料理のように仕込んでいます。
福重さんはもともと約10年間イタリア料理の厨房に立っていました。料理人が料理の味を考えるとき、完成した皿だけではなく、素材や下処理、火入れまで考えます。
その考え方を、完成した「卵」から逆算して鶏の食事や暮らしへ広げたのが、お多福たまごの面白いところです。
まとめ
「自然放牧場お多福たまご」を営む福重智寛さんは、東京で約10年間イタリア料理の仕事を経験した後、2017年に故郷の鹿児島へUターンし、未経験から養鶏を始めました。
現在作っている「お多福たまご」は、天然魚を大釜で煮、米・麦・大豆などの穀物や季節の野菜を合わせて発酵させた手作り飼料を与えるという非常に手間のかかった卵です。
さらに鶏は24時間365日屋外放牧場へ自由に出入りし、霧島連山の湧き水を飲んで育ちます。
元イタリアンシェフが「完成した卵」だけではなく、「その卵を産む鶏が何を食べ、どう暮らすか」まで料理するように作り上げたブランド卵。
「所さん!事件ですよ」で描かれる“ニッポンの卵の大進化”を象徴する、かなりユニークな卵づくりです。
参考リンク
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