記事内には広告が含まれています。

谷山洋三教授のすい臓がん再発とファイナルツアー!生前葬・最終講義に込めた思い|こころの時代

人物

谷山洋三教授がすい臓がん再発後に始めたファイナルツアーと生前葬

長年にわたり、病気や災害で苦しむ人々の心に寄り添う「臨床宗教師」を育ててきた研究者が、今度は自らの死と向き合いながら、教え子たちに命の大切さを伝えています。

東北大学大学院文学研究科教授の谷山洋三(たにやま・ようぞう)さんです。

2026年10月12日放送のNHK Eテレ『こころの時代』では、「生死(しょうじ)あるがまま 宗教学者・谷山洋三」と題し、すい臓がんの再発を受け、自分の人生の最終段階と向き合う谷山さんの日々を記録します。

谷山さんは2025年にすい臓がんと診断され、同年9月に手術を受けました。しかし、その後にリンパ節への転移が見つかり、2026年6月には再発が確認されています。

病と向き合う中で谷山さんが始めたのが、全国の教え子や仲間を訪ねる「ファイナルツアー」です。

さらに2026年9月と10月には、自分が生きている間に別れの場を設ける生前葬と、長年の研究成果を伝える最終講義が企画されました。

人の最期に寄り添うことを教えてきた研究者が、自らの経験を通して伝えようとしていること。その背景には、東日本大震災をきっかけに発展した臨床宗教師の活動があります。

この記事でわかること

  • 谷山洋三教授の経歴と臨床宗教師を育成してきた歩み

  • 2025年のすい臓がん診断から2026年の再発までの経緯

  • ファイナルツアーで教え子や仲間に伝えていること

  • 生前葬・最終講義の内容と自らを研究対象にする取り組み

谷山洋三は東北大学教授で臨床宗教師育成の中心人物

出典:東北大学「臨床宗教師とは? スピリチュアルケアの最先端」2020年市民公開講座

谷山洋三さんは、東北大学大学院文学研究科で臨床死生学を研究する教授です。

臨床死生学とは、人間の生と死を、宗教、哲学、医療、心理、社会などの視点から考える研究分野です。

谷山さんは特に、病気や死別、災害によって深い悲しみを抱えた人への心のケアを専門としてきました。

主な経歴は次のとおりです。

  • 名前:谷山洋三(たにやま・ようぞう)

  • 年齢:54歳(2026年放送時)

  • 所属:東北大学大学院文学研究科

  • 職位:教授

  • 学位:博士(文学)

  • 専門分野:臨床死生学、スピリチュアルケア、グリーフケア、宗教的ケア

  • 1994年:東北大学文学部哲学科卒業

  • 1996年:東北大学大学院文学研究科博士前期課程修了

  • 2000年:同研究科博士後期課程修了

  • 2000年~2003年:長岡西病院ビハーラ病棟で勤務

  • 2012年:東北大学で臨床宗教師研修の開始に携わる

谷山さんの活動を理解するうえで重要なのが、病院のビハーラ病棟で働いた経験です。

ビハーラとは、仏教の精神を背景に、病気や死と向き合う人に寄り添う活動を指します。

新潟県の長岡西病院では、ビハーラ僧として終末期の患者と関わりました。

この現場での経験が、後に臨床宗教師の育成に携わる重要な基盤となりました。

東日本大震災が臨床宗教師育成の大きな転機になった

2011年3月11日の東日本大震災は、谷山さんの活動にとって大きな転機でした。

震災によって多くの命が失われ、被災地では家族や友人、大切な生活の場を失った人々が深い悲しみを抱えていました。

被災地では医療従事者や心理職だけでなく、宗教者も心のケアに取り組みました。

仏教、キリスト教など、異なる宗教の関係者が協力し、宗派を超えて支援する活動が広がったのです。

こうした経験を背景に、日本の社会に合った「臨床宗教師」という専門的な役割が提唱されました。

谷山さんは東北大学で、臨床宗教師を育成する教育プログラムの整備に携わります。

2012年10月には、第1回臨床宗教師研修が開始されました。

臨床宗教師が活動する場所は、寺院や教会だけではありません。

  • 病院や緩和ケア病棟

  • 高齢者施設や福祉施設

  • 災害被災地

  • 遺族へのグリーフケアの現場

  • 地域の相談活動

特徴は、特定の宗教を信じてもらうことを目的としない点です。

相手の価値観や信仰を尊重しながら、苦しみや悲しみに耳を傾けることを大切にしています。

臨床宗教師は人の苦しみに寄り添う専門家

臨床宗教師という言葉を初めて聞く人も多いでしょう。

臨床宗教師は、宗教者としての経験を生かしながら、医療や福祉、災害支援などの現場で心のケアを行う人です。

例えば、重い病気を抱えた人が「どうして自分が病気になったのか」「残された時間をどう過ごせばよいのか」と悩んでいる場合があります。

こうした悩みは、医療による身体的な治療だけでは解決しにくいことがあります。

そこで必要になるのが、スピリチュアルケアです。

ここでいうスピリチュアルとは、特別な霊的現象を意味するものではありません。

自分が生きている意味、大切にしてきた人との関係、死への不安など、人間の存在そのものに関わる苦しみを指します。

谷山さんは、こうした問題を長年研究してきました。

2016年に出版した『医療者と宗教者のためのスピリチュアルケア 臨床宗教師の視点から』では、現場での経験をもとに、心のケアの方法や宗教者に求められる姿勢を紹介しています。

相手を説得するのではなく、その人が自分自身の支えを見いだせるように関わることが、研究の重要なテーマとなっています。

2025年にすい臓がんが見つかり2026年に再発が確認された

人々の生と死に向き合い続けてきた谷山さん自身にも、病気という大きな転機が訪れました。

2025年にすい臓がんと診断されたのです。

2025年9月には手術を受けましたが、その翌月にリンパ節への転移が判明しました。

さらに2026年6月には再発が確認されています。

谷山さんは、こうした病気の経過や、自分が経験している心の変化についても、講演や学術活動を通じて伝えてきました。

2025年10月には、日本緩和医療学会東北支部の学術大会で、自らががん患者となって感じたことをテーマに教育講演を行っています。

2026年3月の日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会では、自身の終活についてビデオ報告を行いました。

研究者として人の死について考えることと、自分自身が命に関わる病気を経験することは、同じではありません。

谷山さんは、自分自身の経験も研究や教育に生かす取り組みを進めています。

ファイナルツアーは全国の教え子と向き合う活動

すい臓がんと向き合う中で、谷山さんが2026年4月から始めたのが「ファイナルツアー」です。

全国各地の臨床宗教師会や教え子たちを訪ね、自らの経験や死生観を語る活動です。

通常、研究者の講演では、これまでの研究成果や専門知識を伝えます。

しかし、このファイナルツアーには、もう1つの意味があります。

それは、これまで共に学び、活動してきた人々との別れを意識しながら、最後まで交流を続けることです。

2026年6月24日には、東京都豊島区の大正大学で開かれた関東臨床宗教師会の研修会に参加しました。

教え子たちを前に、自らの病気や人生の最終段階について語っています。

さらに7月4日には、石川県金沢市の「元ちゃんハウス」で開催された講演会「グリーフケアと宗教」に登壇しました。

元ちゃんハウスは、がんと向き合う人々や家族が交流できる場所です。

この講演で谷山さんは、ファイナルツアーについて、仲間たちへのグリーフケアでもあると語っています。

グリーフケアは、大切な存在を失った人の悲しみに寄り添う取り組みです。

谷山さんは、自分の病気をきっかけに、残される人々へのケアという視点からも活動を続けています。

東北大学の学生に自分自身を研究対象として差し出した

谷山さんは、東北大学の学生たちに対して、自分自身を研究対象にすることを提案しました。

重い病気と向き合う本人が、その体験を学生たちに直接語るという取り組みです。

死生学では、人が病気や死に直面したときの心理、宗教観、人間関係などを研究します。

しかし、研究対象となる人の心の動きを詳しく知ることは簡単ではありません。

谷山さんは、研究者としての知識を持つ一方、自らが患者として病気を経験しています。

その両方の立場から、自分の考えや心のあり方を学生に伝える活動を始めました。

学生たちとの対話では、死への向き合い方や、残された人生をどう生きるかといったテーマを取り上げています。

これまで教科書や講義で学んできた死生学を、実際に病と向き合う人との対話を通じて考える機会となっています。

2026年9月と10月に最終講義と生前葬を実施

谷山さんの取り組みは、ファイナルツアーだけではありません。

2026年9月8日には、宮城県仙台市の洞林寺で、東北臨床宗教師会による最終講義と生前葬が行われました。

生前葬とは、本人が生きている間に、自らの人生を振り返ったり、親しい人々と感謝や別れの言葉を交わしたりするための儀式です。

さらに2026年10月4日には、東北大学川内南キャンパスでも、最終講義と生前葬が企画されました。

東北大学での最終講義・生前葬の開催内容

  • 開催日:2026年10月4日(日)

  • 会場:東北大学川内南キャンパス 文科系総合講義棟 第1講義室

  • 主催:東北大学宗教学研究室・宗教学研究会

  • 14:00~14:30:生前葬

  • 14:30~15:30:最終講義前半

  • 15:45~16:45:最終講義後半

  • 講義テーマ:心のケアと宗教 現代社会への貢献のために

長年にわたって研究してきた「心のケアと宗教」をテーマに、自分の経験と研究成果を伝える場として設けられました。

人の死について学び、教え、支えてきた谷山さんが、自らの人生の最終段階において生前葬を行うことには、これまでの活動と深く結び付いた意味があります。

研究者として残してきた著書と教育活動

谷山さんは、臨床宗教師の教育だけでなく、専門書や論文の執筆にも取り組んできました。

代表的な著書が、2016年2月10日に中外医学社から出版された『医療者と宗教者のためのスピリチュアルケア 臨床宗教師の視点から』です。

書籍情報

  • 書名:医療者と宗教者のためのスピリチュアルケア 臨床宗教師の視点から

  • 著者:谷山洋三

  • 出版社:中外医学社

  • 発行日:2016年2月10日

  • 定価:2,860円(税込)

  • ページ数:180ページ

  • ISBN:9784498057180

この本では、谷山さん自身の歩みから始まり、臨床宗教師の成立背景、スピリチュアルケアの方法、看取りにおける宗教者の役割などが詳しく説明されています。

特に特徴的なのが、専門知識だけではなく、病院や被災地での実践を重視していることです。

2025年には、日本臨床宗教師会による『スピリチュアルケア——臨床宗教師によるインターフェイス実践の試み』にも関わっています。

また、2026年には、読経を聞くことと心の安定に関する研究にも取り組み、脳科学的な視点からもスピリチュアルケアを研究しています。

谷山洋三教授の経歴と活動情報

研究・所属

  • 所属:東北大学大学院文学研究科

  • 専門:臨床死生学

  • 主な研究:スピリチュアルケア、グリーフケア、宗教的ケア

  • 主な活動:臨床宗教師養成、医療・福祉における心のケアの研究

  • 関連団体:臨床スピリチュアルケア協会、日本臨床宗教師会など

番組放送情報

  • 番組:こころの時代〜宗教・人生〜

  • 放送日:2026年10月12日(月・祝)

  • 放送時間:22:50~23:50

  • 放送局:NHK Eテレ

  • 再放送予定:2026年10月18日(日)5:00~6:00

  • 主な出演:谷山洋三、金田諦晃

  • 語り:塩田朋子

金田諦晃さんは、東北大学病院緩和医療科で活動する臨床宗教師です。

谷山さんが長年取り組んできた、医療の現場における心のケアを考えるうえで重要な人物です。

まとめ

谷山洋三教授は、東日本大震災をきっかけに発展した臨床宗教師の育成に取り組み、医療や福祉、災害の現場で心のケアを行う人材を育ててきた研究者です。

2025年にすい臓がんと診断され、2026年に再発が確認された後も、自らの経験を研究や教育に生かす活動を続けています。

全国の教え子を訪ねるファイナルツアーや、東北大学での最終講義、生前葬もその取り組みの一部です。

長年にわたって人の最期に寄り添うことを研究してきた谷山さんが、自分自身の人生の最終段階で何を考え、何を残そうとしているのか。

その歩みは、病気や死に向き合う人を支えることの意味だけでなく、限りある時間をどのように生きるかという、誰にとっても身近な問いを投げかけています。

参考リンク

おすすめ関連商品案

– 谷山洋三『医療者と宗教者のためのスピリチュアルケア 臨床宗教師の視点から』

コメント

タイトルとURLをコピーしました