受験生を守る“すべらないお守り”と世界のカンニング事情
今回の『X秒後の新世界(2026年2月10日放送)』は、「田舎に泊まろう的ロケで帰るそぶりを見せない芸能人は何泊できる?」というド直球な検証企画を中心に、「試験」や「恋愛ソング」をめぐるユニークなVTRが次々登場しました。
スタジオでは藤井貴彦アナ、ヒコロヒー、霜降り明星のせいや、伊野尾慧、キンタロー。、あのたちが、VTRにツッコミを入れながら“新世界”を語っていきます。
まず取り上げられたのは、受験シーズンにぴったりな“すべらない”お守りの世界です。
富山県などを走るローカル線を運行する あいの風とやま鉄道 が配布している「すべらサンド」は、もともと列車の車輪が空転しないようにレールにまく砂(サンド)を、小さな袋に詰めたお守りです。高岡関野神社で合格祈願のお祓いを受けてから駅で無料配布される、受験生応援企画として知られています。
「滑らない砂」というダジャレと、実際に列車を支えている工業用の砂というリアルさが合わさって、受験生や鉄道ファンの間で人気になっているのがポイントです。
さらに番組は、兵庫県南あわじ市のテーマパーク 淡路ファームパーク イングランドの丘 のお守りも紹介しました。ここはコアラの飼育で有名な観光施設で、園内ではコアラの生態を学べる展示や、野菜収穫体験などが楽しめます。
この施設が販売しているのが、「落ちない」コアラにあやかった合格祈願のお守り。地面に落ちる前にキャッチしたコアラのフンを紙にすき込んだ、“本当にコアラ由来”の紙片が同封されているのが特徴です。
名前のダジャレだけでなく、「ツルツルした受験本番でも、しっかり自分の力を出して“落ちない”ように」というメッセージが込められていて、受験生にとっては笑えるけれどちょっと心強いお守りになっています。
番組では、こうした“すべらない”お守りに並んで、縁起のいいかつ丼やたい焼きだるまなど、定番のゲン担ぎグルメも紹介。
合格祈願はどこかユーモラスで、でも必死で真剣な人間らしさが出る場面です。試験そのもののテクニックとは別のレイヤーで、気持ちを整えるための「儀式」のようになっているのだと感じさせてくれました。
ここから番組は一気に、「カンニング」の世界へと踏み込んでいきます。
古代中国の科挙から現代の世界遺産検定まで「試験の歴史」を覗く
「本当に読めるのか疑いたくなる」として紹介されたのが、古代中国の官僚登用試験 科挙 の世界です。
科挙は隋で始まり、唐・宋・明・清と約1300年にわたって続いた、中国の巨大な試験制度。皇帝に仕える官僚を“テストの点”で選ぶ仕組みで、特に唐以降は、家柄よりも試験成績を重視する制度として整えられていきました。
番組では、「倍率3000倍」とも言われるほど狭き門だった科挙の試験会場と、そこで使われたカンニング肌着が登場します。
肌着の内側一面にびっしりと漢文の小さな文字が書かれていて、袖口からチラッと見れば答えが分かるというもの。現代の試験監督でも頭を抱えそうな密度で、試験官が見抜くのはほぼ不可能に思えるレベルです。
それでも、科挙でカンニングが発覚すると「死刑」という、現代では考えられないほど重い罰が科せられました。命を賭けてでも合格したいほど、科挙パスは“人生のすべて”だったことがよく分かります。
現代に目を向けると、番組はインドで実際に報道された驚きのカンニング写真も紹介します。
受験会場の外壁に親たちがよじ登り、窓から答案用紙やカンニングペーパーを子どもに手渡している様子は、ニュースにもなりました。
「そこまでして合格させたい」という親の思いと、「そこまでやってしまうと制度が成り立たない」という教育当局の苦悩が同時に見える、なんとも複雑な光景です。
続いて番組は、日本で人気の資格試験 世界遺産検定 を舞台に、カンニングVS試験官の攻防を再現します。
世界遺産検定4級は、世界遺産についての基礎知識を問う入門レベルの試験で、四択マークシート50問・試験時間60分、合格ラインは正答率およそ70%前後。合格率はおおむね8割近くとされていて、世界遺産入門として受ける人が多い級です。
番組では、この世界遺産検定4級の会場に、「カンニング役」の受験者たちを潜り込ませます。
・手のひらに小さくメモを書いた受験者
・モールス信号で答えを送り合う受験者
・最新の電子機器を使って外部から答えを受信する受験者
一方で試験官側の切り札として登場したのが、犯罪心理学者の 出口保行。
人の視線や微妙な動きを観察して、不自然な挙動を見抜いていきます。
手のひらメモやモールス信号カンニングは、怪しい視線や合図の不自然さから見事検挙されましたが、「まさかここまではやらないだろう」と思うような電子機器の使い方や、双子の入れ替わりトリックには、試験官側も気づけない場面が残りました。
このパートの面白さは、「人間はルールがあれば必ず抜け道を探す」という普遍的な姿と、「それでも試験の公正さを守ろうとする側の努力」が、コミカルに描かれているところです。
そして、スタジオでは、あのが自身の著書 『哲学なんていらない哲学』(KADOKAWA)で語った、試験や評価への違和感にも話が広がっていきます。
茨城県小美玉市で検証!田舎に泊まろう的ロケは何泊いけるのか
番組のメインとなる「X秒後の新正解」では、テレビ東京の伝説的バラエティ 田舎に泊まろう! をオマージュした企画が展開されます。
霜降り明星のせいやがYouTubeで展開している「イニミニチャンネル」の流れを受けて、お笑い芸人 TAIGA が「帰るそぶりを一切見せなかったら、田舎の家庭は何泊まで泊めてくれるのか?」を検証することになりました。
舞台となったのは、茨城県のほぼ中央に位置する 小美玉市。
小美玉市は、霞ヶ浦と北浦に挟まれたエリアに広がる田園地帯で、酪農や野菜栽培が盛んな地域です。空港のあるまちとしても知られ、のどかな農村風景と交通の利便性が共存しています。
TAIGAがロケで訪ねたのは、さつまいも農家・川崎さん一家。
ここでキーポイントになるのが、さつまいもを中心とした農園 茜農園 と、その敷地内にあるかき氷専門店 氷屋あかね+ です。茜農園は、小美玉市で干し芋やさつまいもスイーツを生産販売している農家で、安納芋や紅はるかの干し芋が看板商品。
2015年にオープンした氷屋あかね+では、天然氷と地元のさつまいもやフルーツを使ったこだわりのかき氷やスイーツが提供されています。
VTRでは、TAIGAが川崎家の子どもたちと一緒に遊び、手作りの“ワンマンライブ”を開催したり、さつまいもの収穫や干し芋作りを手伝ったりする様子が描かれます。
干し芋は、茨城県が日本でもトップクラスの生産量を誇る冬の名産品。さつまいもをふかしてスライスし、じっくり乾燥させることで甘みが凝縮されます。特に紅はるかなどの品種は糖度が高く、「スイーツ並みの甘さ」と評されることも多い食材です。
1泊目、2泊目と、TAIGAは「もう帰るね」とは一言も言わず、当然のように家に居座り続けます。
朝ごはんを作ったり、畑仕事を手伝ったりするうちに、川崎家の人たちも「まあ、今日もいるよね」という空気になっていくのが微笑ましいところです。
3日目になると、さすがにカメラの存在もあって、TAIGAはさつまいも作業を全力でサポート。
そこでついに、番組の趣旨を川崎家に打ち明けます。
結果として出た“新正解”は、「芸能人のスケジュールが空いていれば、田舎の家は何泊でも受け入れてくれる」というもの。
人付き合いの濃い田舎だからこそ、最初のハードルさえ越えれば、家族の一員のように受け入れてくれる懐の深さがある――そんな“日本の原風景”のような人情が、VTRからじんわり伝わってきました。
湘南乃風『純恋歌』をめぐる令和女子の本音と若旦那の素顔
番組後半の「X秒後の新世界」パートでは、ヒット曲の歌詞を“ガチ検証”する企画も登場します。
取り上げられたのは、レゲエグループ 湘南乃風 の代表曲 『純恋歌』。
街頭インタビューで女性31人に「純恋歌の歌詞、今聞いてどう感じる?」と尋ねたところ、29人が「笑って楽しめない」と回答。
歌詞の中には、「大貧民で負けてマジ切れ」「オマエを守るためにまずは自分の生活を立て直す」など、2000年代当時は“熱い男気”として受け止められていたフレーズが並びます。
しかし、価値観が多様化した令和の若い世代から見ると、「それってどうなの?」と感じる部分も少なくないようです。
ここで登場するのが、湘南乃風のメンバー 若旦那 へのインタビューです。
若旦那は、歌詞に出てくる「大貧民で負けてマジ切れ」エピソードが、実際に身の回りで起きた出来事を元にしていると明かします。
当時の“やんちゃな恋愛観”や、「カッコ悪さも含めて全部さらけ出したい」という思いから生まれた歌詞であり、今の感覚で見ると“アウト寄り”に見える部分も、当時のリアルだったと語ります。
ここが面白いのは、楽曲そのものを否定するのではなく、「同じ歌詞でも、時代や聴き手によって受け止め方が変わる」という点を番組が丁寧に浮かび上がらせているところです。
恋愛ソングは、世代ごとの価値観やジェンダー意識の変化を映す“鏡”のような役割も持っている――そんなことを、さりげなく考えさせてくれるパートになっていました。
ジッタリン・ジン『プレゼント』を歌詞どおりに再現したらどうなる?
最後に取り上げられたのが、90年代を代表するバンド JITTERIN’JINN のヒット曲 『プレゼント』。
「あなたが私にくれたもの〜」というフレーズで始まり、
オレンジ色のハイヒール、白い真珠のネックレス、緑色した細い傘、シャガールみたいな青い夜……と、彼からもらった24個ものプレゼントを並べていく、独特の世界観のラブソングです。
番組の検証テーマは、「この歌詞どおりにプレゼントを渡したら、相手はどこで気づくのか?」というもの。
ターゲットとなったのは、お笑いコンビ・ニッチェの近藤くみこ。
江上敬子や、ゆるキャラ的存在の芸人コンビ・もめんたちが、ニセのロケ企画を装って近藤を焼き鳥屋に呼び出します。
撮影場所として登場した 焼き鳥屋 鳥喜 は、昔ながらのカウンターと炭火焼きが魅力の居酒屋タイプの店で、芸人たちの飲み会の舞台にもなってきたお店です(店名の同じ焼き鳥店はいくつかありますが、番組では女芸人たちが集まる“ホーム”的な店として紹介されました)。
VTRでは、『プレゼント』の歌詞に登場するアイテムが、シレッと順番に近藤の前に並べられていきます。
最初はただの誕生日サプライズだと思っていた近藤ですが、
・やけに色付きのアイテムが多いこと
・どこかで聞いたことがある組み合わせであること
にだんだん違和感を覚え、ついに「オレンジ色のハイヒール」が登場したタイミングで、「あれ? これ『プレゼント』じゃない?」と気付きます。
この企画の面白さは、ただ歌詞をなぞるだけでなく、「人はどんなときに“既視感”を手がかりに気づくのか」を可視化しているところです。
普段はBGMのように流しているヒットソングでも、改めて歌詞をたどると、当時の価値観や恋愛観、ファッションの流行まで見えてきます。
そこに、女性芸人たちの友情と、女芸人No.1決定戦 THE W に代表されるような“女芸人の時代”を象徴する空気感が重なり、音楽バラエティとバラエティロケの良さがうまく混ざった締めくくりになっていました。


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