【上田と女がDEEPに吠える夜】なぜ生理は語られにくい?1000年の歴史とフェムケアの今|2025年6月24日放送

上田と女が吠える夜

生理はなぜ“タブー”とされてきたのか?歴史と現代のギャップを解説

フェムケアやフェムテックが注目され、市場も拡大する中で、いまだに「生理」は日常会話で触れにくいと感じる人が多くいます。2025年6月24日放送予定の「上田と女がDEEPに吠える夜」では、そんな漠然とした“タブー”について歴史を紐解きながら、今の社会がどこまで変わってきているのかを見つめ直します。

生理が“語られにくい”とされてきた背景

生理は、長い歴史の中で「表に出さないもの」「見せてはいけないもの」として扱われてきました。これにはさまざまな文化や信仰、社会構造が影響しています。

まず、日本では平安時代から「血はけがれ」とする考え方が広がっていました。血を見ると縁起が悪い、神聖な場が穢れるとされ、とくに女性の体から自然に出る血液であっても不浄とみなされたのです。この影響で、生理中の女性を一定期間別の場所にとどめる「月経小屋」や「物忌み」といった風習が生まれました。

・平安時代の貴族社会では、生理中の女性が屋敷の神棚のある部屋に入れなかった記録があります。
・室町時代には、中国から伝わった宗教観の影響も強まり、より形式的に「生理=けがれ」という意識が社会に浸透しました。

また、突然の出血に対する恐れや不安も大きな要因でした。現代では医学の知識がありますが、昔は出血=けが・病気・死と結びつくことが多く、生理も「どこか怖いもの」とされてきました。そのため、体の自然な働きであっても“異常”や“不吉”と感じる人が多かったのです。

・生理の仕組みが理解されていなかった時代、人々は血を見て病や死を思い浮かべました。
・それが女性に対しても「近づかない方がいい」「特別扱いすべき」という意識につながりました。

さらに、多くの宗教では生理中の女性に制限を設けるルールがありました。たとえば、神殿や仏堂などの聖なる場所に入れない、生理中は儀式に参加できないといったことが、信仰のもとに定められていました。これは「生理中=心身が不完全な状態」という誤解に基づいたものです。

・キリスト教、イスラム教、仏教の一部など、世界の多くの宗教で生理中の女性の行動に制限がかけられてきました。
・日本でも神社での神事に参加できない、巫女や祭祀の役割が一時的にできなくなるといった事例があります。

加えて、古代ギリシャでは「女性の体には魔力がある」と信じられていた時期がありました。とくに子宮が体内をさまようとする“ヒステリー”という考えから、生理は「心や体を乱す現象」として捉えられていました。また、生理中の女性が触れると物が腐る・枯れるといった迷信まで広まりました。

・プラニウスという古代ローマの博物学者は、生理中の女性の血に悪い力があると書き残しています。
・こうした迷信がヨーロッパ中世にも引き継がれ、女性を遠ざける根拠にされていました。

このように、宗教・迷信・無知が重なって「生理は語ってはいけないこと」という空気が社会に染みついていきました。結果として、学校や職場、家庭の中でも生理について話すことが難しい状態が長く続きました。現代では少しずつその壁が崩れつつありますが、こうした背景を知ることは、今を見直すきっかけにもなります。

急成長するフェムケア・フェムテックと社会の温度差

今の時代、生理や女性の体に寄り添う製品やサービスが増えてきました。「フェムケア」や「フェムテック」と呼ばれる分野では、技術と発想が大きく進化しています。

たとえば、日本ではフェムケア市場が約750億円規模に成長しています。店頭でも吸水ショーツやナプキン、月経カップなどの専用コーナーが目立つようになり、美容クリニックやドラッグストアで関連商品を見かける機会も増えてきました。世界的には2020年に約402億ドルだった市場が、2025年には倍以上に拡大すると予測されています。

・スマートフォンのアプリで、月経や排卵、PMSの記録が手軽にできるようになりました。
・ウェアラブル機器やAI診断などの技術が進み、自分の体のリズムを理解しやすくなっています。
・SNSでは「#わたしの生理」などのタグで経験を共有し、共感の輪が広がっています。

しかし、それでも社会全体の意識が同じスピードで変わっているわけではありません。月経カップや吸水ショーツといった新しい選択肢に対し、「外出先では不安」「使い方が分かりづらい」といった声も根強く残っています。こうした背景には、長年のタブー意識や慣れの問題があります。

・ナプキン以外の製品に対して「人に言いづらい」「使うのが勇気がいる」と感じる人も少なくありません。
・企業もそれを理解し、見た目や使用感、洗いやすさに配慮した改良を続けています。

もうひとつの課題は、フェムテック分野に対する投資がまだ少ないことです。医療分野全体の投資の中で、女性向けサービスに回される割合はわずか1〜2%ほど。ニーズは高くても、資金が集まりづらいという現実があります

また、データの取り扱いにも注意が必要です。生理や体調、性に関する情報はとてもプライベートなものです。それらを使って分析するフェムテック製品が増える一方で、「どこまでの情報が誰に渡るのか」という不安も指摘されています。

・実際に、一部の大手アプリが第三者に情報を提供していたケースが報道され、利用者の間で不信感が広がったこともあります。
・多くの人が「性や健康に関するデータは金融情報と同じくらい大切」と考えており、企業の透明性と責任ある対応が求められています。

このように、フェムケアやフェムテックは大きく前進していますが、社会全体の意識や制度はその成長に追いついていない部分もあります。技術や商品だけでなく、「安心して使える環境」や「自由に話せる社会づくり」も、これからの大切な課題です。

教育現場や企業で始まる前向きな取り組み

今、生理について“話せる空気”をつくるために、学校や企業の中でも少しずつ新しい動きが広がっています。これまでは話題にすることすら避けられがちだった生理について、「知ること」「理解すること」が社会全体で求められるようになってきています

東京都内のある高校では、生徒向けに生理に関するセミナーが実施されました。男子生徒も参加し、初めて知る内容に驚いたという声もあったといいます。こうした授業は、性別に関係なく、生理を学ぶことの大切さを伝えるきっかけになっています

・男子生徒の多くは「自分には関係ない」と思いがちだったが、身近な人の体調や配慮の必要性に気づく機会になりました。
・先生や講師も、参加型でわかりやすく伝える方法を取り入れています。

学校現場ではさらに、フェムケア授業の正式導入に向けた構想も進んでいます。医療関係者やフェムテック企業が共同でカリキュラムを作成し、一部の学校では試験的に導入が始まりました。この取り組みは2年後の全国展開を目指しています

・授業内容には、生理のしくみだけでなく、PMS・月経不順・ストレスとの関係なども含まれています。
・親や保護者にも資料が配られ、家庭でも会話しやすくなるよう工夫されています。

企業でも同様に、女性社員の体調やライフサイクルに寄り添った制度づくりが始まっています。たとえば化粧品メーカーのオルビスでは、女性向けの健康支援サービス「FEMCLE(フェムクル)」を導入。生理不調を理由に追試験の配慮を認めるなど、働く女性が安心して過ごせる職場環境づくりに取り組んでいます

・体調に波があることを前提にした勤務スケジュールの柔軟化
・個別相談や専門家のアドバイスが受けられる社内サービス

文部科学省も、こうした流れを受けて2024年度から公立高校の入試において「PMSなど月経による体調不良」も追試験の対象に含めるよう通知を出しました。これにより、生理による不安を抱えたまま受験する学生が救われる可能性が高まりました

また、海外の例では台湾などで、生徒・親・教員が一緒に学ぶ生理教育プログラムが実践されています。単に知識を教えるだけでなく、感情や共感に重きを置いた授業が行われているのが特徴です

・たとえばグループでの話し合いを取り入れ、「自分だったらどう感じるか」を想像する時間が設けられています。
・保護者と一緒に授業を受ける機会もあり、家庭と学校が連携して取り組んでいます。

こうした流れの中で、“生理は誰かにとって大切なもの”という認識が、少しずつ広がり始めています。知識と理解が深まれば、学校でも職場でも自然に話せる空気が生まれ、サポートの仕組みもより柔軟になっていくことが期待されています。

可視化される「見えない不調」

生理に関する体のつらさは、外から見ただけではわからないことが多くあります。PMS(生理前症候群)や生理痛、体のだるさや集中力の低下などは、見た目には表れにくいため、まわりの人に理解されにくいという問題があります。こうした“見えない不調”をどう伝え、理解してもらうかが、今の社会にとって大きな課題になっています。

最近では、SNSで自分の生理体験を発信する動きが広がっています。「#わたしの生理のかたち」などのハッシュタグを使って、自分の体調の変化や気持ちを投稿することで、共感の輪が広がり、「自分だけじゃなかった」という安心感につながるケースも増えています

・自分の言葉で体調のつらさを伝える投稿には、多くの反応やコメントが寄せられています。
・経験を共有することで、周囲とのコミュニケーションのきっかけになることもあります。

また、経済的・心理的な負担も“見えない不調”の一部です。調査では、「生理用品を買うのが恥ずかしい」「会計時に見られたくない」と感じている人が多く、特に若い世代では必要なケアを受けにくい状況があることがわかってきました

・こうした声を受けて、学校や自治体での生理用品の無償配布や設置が進められています。
・声に出しづらい不安を拾い上げることで、支援の形が変わり始めています。

このような“声”は、制度や政策を動かす大きなきっかけにもなっています。見えない不調をそのままにせず、伝えることで初めて支援が形になり、社会が動き始めます。

・教育現場では「生理を言葉にする練習」が授業の一部になっているところもあります。
・企業でも、匿名アンケートなどを通して体調や困りごとを伝えやすくする仕組みが作られています。

「見えないこと」を見える形にすることで、理解・共感・支援の連鎖が生まれます。一人ひとりの発信が、小さな変化の第一歩となり、周囲のまなざしを優しく変えていくことにつながっています。

まとめ

6月24日放送予定の「上田と女がDEEPに吠える夜」では、生理にまつわる過去の価値観から現代の課題までを、歴史とテクノロジーの視点から掘り下げていくと見られます。番組を通じて、まだ残る“話しにくさ”の理由を知り、生理を自然な営みとして受け止める第一歩にするきっかけになるかもしれません。

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