元YouTuberから花火師へ転身したよしきさんの人生の転機
元YouTuberとして活動し、20代には世界を旅していたよしきさんは、現在31歳の花火師です。『ザ・ノンフィクション(花火師になりたくて~僕と私が打ち上げる夢~後編)(2026年8月23日)』では、職人として初めて現場責任者を任される姿と、人生を変えてくれた恋人への25発の花火を使ったプロポーズが描かれます。自由に生きていた20代から、1つの仕事をやり遂げようとする現在までをたどります。
この記事でわかること
- よしきさんが元YouTuberから花火師へ転身した経緯
- 世界を旅していた20代から職人を目指した転機
- 恋人との出会いによって変わった仕事への考え方
- 現場責任者への挑戦と25発の花火を準備したプロポーズ
よしきさんは元YouTuberから転身した31歳の花火師
よしきさんは、茨城県つくば市にある山﨑煙火製造所で働く若手花火師です。
2026年8月23日時点で31歳。現在の職場へ入る前には、服の縫製の仕事やYouTuberなど、現在とはまったく異なる仕事を経験してきました。
高校卒業後から一直線に職人を目指してきた人物ではありません。
20代には世界各地を旅するなど、自分が本当に進みたい道を探し続けていました。
現在働いている山﨑煙火製造所は、茨城県つくば市にある1903年創業の老舗です。競技大会でも多くの実績を持ち、花火の製造から打ち上げまで手がけています。
よしきさんが担当する仕事の1つが、花火の色を生み出す「星」と呼ばれる火薬の製造です。
花火玉の中にはこの星を配置し、紙を貼って乾燥させる工程を何度も繰り返します。一瞬で消える花火の裏側には、細かな作業を積み重ねる長い時間があります。
元YouTuberから花火師という経歴だけを見ると大きな方向転換ですが、よしきさんの歩みには「何者かになりたい」と模索していた時期から、1つの技術を身につけようとする職人への変化があります。
その大きなきっかけになったのが、現在の恋人との出会いでした。
世界を旅した20代から職人の道へ進んだ転機
よしきさんの20代を象徴するのが、世界を旅しながら続けていた自分探しです。
1つの会社や職業に腰を据えるというより、さまざまな経験を重ねながら、自分に合う生き方を探していました。
YouTuberとして活動した経験も、その時期の歩みの1つです。
ただ、30歳が近づくにつれて人生は大きく動き始めます。
恋人と出会ったことで、これまでのように自分1人のことだけを考えて生きるのではなく、「ちゃんとしなければ」という意識が生まれました。
そこで選んだのが花火師という仕事でした。
華やかな花火大会を見る側ではなく、危険を伴う火薬を扱い、長い準備を重ね、一瞬の本番にすべてをかける仕事です。
しかも花火業界は、夏場には全国の大会が重なり、朝から晩まで現場に立つこともある厳しい世界です。最初の夏を越えられず辞める人もいるほどで、憧れだけでは続けられません。
世界を自由に旅していた20代から、決められた工程を覚え、安全を守り、仲間と1つの花火を完成させる生活へ。
よしきさんにとって花火師への転身は、単なる転職ではなく、自分の生き方そのものを変える選択になりました。
恋人との出会いが仕事への考え方を変えた
よしきさんを職人の世界へ向かわせた大きな存在が恋人です。
花火師になった理由について、よしきさんは大切な恋人と出会ったことで将来を考え、手に職をつけて安定したいと思うようになったことを明かしています。
そして恋人との関係は、就職先を決めるだけでなく、仕事を途中で投げ出さず最後までやり遂げたいという考えにもつながっていきました。
20代には世界を旅し、自分の居場所を探してきたよしきさん。
そんな彼が1つの仕事に向き合うようになった背景に、人生をともにしたい相手の存在があります。
花火師になればすぐに生活が安定するわけではありません。
覚える技術は多く、火薬を扱うため小さなミスが許されない仕事でもあります。
よしきさん自身、仕事への意欲が強い一方で、気持ちが先走って失敗することもあり、先輩に叱られながら仕事を覚えてきました。
それでも分からない作業はスマートフォンで撮影し、先輩に繰り返し教えてもらいながら身につけていきます。その姿勢が少しずつ周囲から認められ、重要な仕事も任されるようになりました。
自分1人の夢を探していた時代から、誰かとの将来を考えて働く時代へ。
恋人との出会いは、よしきさんにとって花火師になるきっかけであると同時に、仕事に対する責任感を持つ転機でもありました。
山﨑煙火製造所で初めて任された現場責任者
職人として成長してきたよしきさんに、さらに大きな仕事が任されます。
地元・牛久沼の花火大会で初めて現場責任者を務めることになったのです。
さらに、音楽に合わせて花火を打ち上げる「プログラミング」にも挑戦します。
花火大会の現場責任者は、単に自分の担当する花火を打ち上げれば終わる仕事ではありません。
現場全体を見ながら、安全を守り、多くのスタッフと連携し、決められた演出を成功させる必要があります。
入社したころには失敗して先輩から叱られていたよしきさんが、現場を任される側まで成長したことになります。
前編でも大きな転機がありました。
音楽と花火を組み合わせた大会で初めて点火を担当し、先輩たちに教わってきた技術を本番で試されています。
花火は、失敗したからもう一度やり直すということができません。
その日、その時刻、その一瞬に合わせて準備してきたものを夜空へ送り出します。
だからこそ、現場責任者を任されることは、よしきさんが単なる新人から仕事を任せられる花火師へ近づいた証しでもあります。
25発の花火を準備した一世一代のプロポーズ
仕事で大きな役割を任されるようになったよしきさんは、私生活でも人生の大勝負に挑みます。
相手は、花火師になるきっかけを作ってくれた恋人です。
よしきさんは婚約指輪を用意するとともに、職場の先輩たちにも協力してもらい、25発のサプライズ花火を準備しました。
花火師ならではのプロポーズですが、意味があるのは演出の豪華さだけではありません。
よしきさんにとって花火は、恋人との出会いをきっかけに選んだ仕事です。
最初は未経験で入り、失敗し、叱られながら覚えてきた技術。
その仕事で作った花火を、大切な人へ自分の気持ちを伝えるために打ち上げることになります。
世界を旅して「自分は何者なのか」と探していた青年が、やがて自分の仕事を見つけ、その仕事を使って将来を約束したい相手へ思いを届ける。
25発の花火は、よしきさんが職人として歩いてきた時間そのものを込めたプロポーズともいえます。
失敗を重ねながら職人として成長する現在
よしきさんの歩みで印象的なのは、最初から器用に仕事をこなしてきた人物ではないことです。
意欲はあっても空回りし、失敗して叱られる。
分からないことがあれば、作業をスマートフォンで撮影して確認し、先輩に何度も聞き直す。
そうした積み重ねで仕事を覚えてきました。
花火師には、製造だけでなく、現場での安全管理や打ち上げ、演出など幅広い知識と経験が必要です。
先輩職人が長い年月をかけて身につけてきた技術を、新人が短期間ですべて習得することはできません。
だからこそ、よしきさんが初めて現場責任者を任されたことには大きな意味があります。
かつて世界を旅しながら「何者か」を探していたよしきさんは今、山﨑煙火製造所の花火師として、自分の仕事を最後までやり遂げようとする31歳になりました。
元YouTuberという異色の経歴、世界を旅した20代、恋人との出会い、花火師への転身、現場責任者への挑戦、そして25発の花火を用意したプロポーズ。
一見ばらばらに見える経験が、「1つの仕事をやり遂げたい」という現在の生き方につながっています。
夜空に上がる花火は数秒で消えてしまいますが、その一瞬を作るために費やす時間は長いものです。
よしきさん自身もまた、失敗や遠回りを重ねながら、ようやく自分が続けたいと思える仕事へたどり着いた若手職人の1人なのです。


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