愛媛銀行の「怪物銀行員」宮岡良丞が世界大会へ
『SASUKEワールドカップ2026(国の誇りをかけた夢の頂上決戦)(2026年8月24日)』に、愛媛銀行で働く宮岡良丞(みやおか・りょうすけ)さんがJAPAN Blueのメンバーとして出場します。普段は住宅ローンなどを担当する銀行員でありながら、2024年には出場者100人の中で唯一ファイナルステージへ進出。「怪物銀行員」と呼ばれるまでになった宮岡さんの仕事、SASUKEとの出会い、10年越しの初出場、驚くほど徹底したトレーニング生活をたどります。
この記事でわかること
- 宮岡良丞さんが愛媛銀行で担当している仕事
- SASUKEに本格挑戦するまでの転機
- 2024年に唯一のファイナリストとなった実績
- JAPAN Blueで世界大会に挑む現在
宮岡良丞は愛媛銀行勤務の「怪物銀行員」
宮岡良丞さんは、愛媛銀行三島支店の営業課で働きながらSASUKEに挑戦している銀行員です。
愛媛県四国中央市にある三島支店で融資業務に携わり、一方ではSASUKEで3大会連続3rdステージへ進出。2024年の第42回大会では出場者100人の中でただ1人ファイナルステージに到達しました。2026年2月には、これまでの挑戦を報告するため愛媛県知事を表敬訪問しています。
銀行の窓口や営業現場で働く会社員が、世界トップクラスの挑戦者たちと同じ舞台に立っているところが宮岡さんの大きな特徴です。
しかも、SASUKEだけに専念しているわけではありません。
銀行員としての仕事も続けながら完全制覇を目指しているため、単なる「運動神経のいい会社員」ではなく、銀行員とSASUKE選手という2つの顔を本気で両立している人物です。
普段は三島支店で住宅ローンなどの融資業務を担当
SASUKEでの姿からは想像しにくいかもしれませんが、平日の宮岡さんは銀行員としてお金を扱う責任の重い仕事をしています。
主な担当は住宅ローンを中心とした融資業務です。
愛媛銀行に入ってから約9年にわたって融資関係の仕事に携わり、自身でも得意分野・専門分野としています。住宅ローンは利用者にとって人生でも特に大きな金額を扱う契約です。
宮岡さんが大切にしているのは、単に融資の手続きを進めることだけではありません。
相談を重ねて信頼関係を築き、「ローンの担当者」ではなく「宮岡さん」と名前で呼んでもらえること、そして家が完成した時に感謝してもらえることを仕事のやりがいとして挙げています。
SASUKEで見せる大胆な挑戦とは対照的に、銀行業務では慎重さも重要になります。
法律や金融を取り巻く環境の変化にも対応しながら、大きなお金を扱う仕事を続けている点を見ると、「怪物銀行員」という呼び名には身体能力だけではない二面性があります。
大阪での就職予定から愛媛銀行へ進んだ転機
宮岡さんは最初から銀行員を目指していたわけではありません。
関西の大学へ進学し、卒業後はそのまま大阪で就職することを考えていました。
ところが就職活動中に病気を患ったことが転機になります。1人で大阪にいるよりも、家族のいる地元・愛媛で生活する方が安心できると考え、Uターン就職へ方向転換しました。
その時に二次募集を行っていたのが愛媛銀行でした。
結果として地元へ戻り、融資業務という自分に合った仕事に出会います。宮岡さん自身、慎重な性格がミスの許されない銀行業務に合っていると感じていると語っています。
さらに、愛媛へ戻ったことで、長年続けていたテニスも信頼できるコーチのもとで継続できました。
一見するとSASUKEとは関係のないUターン就職ですが、地元へ戻った選択が、その後の競技生活にもつながっていきます。
小学1年生でSASUKEに魅了され本格挑戦へ
宮岡さんとSASUKEの出会いはかなり早く、小学1年生のころでした。
テレビで鍛え上げられた選手たちが難関エリアへ挑む姿を見て衝撃を受け、公園で動きをまねしたり、録画した映像を繰り返し見たりするほど夢中になります。
ただ、この時点ではまだ「憧れ」でした。
本格的な挑戦へ気持ちが変わった大きなきっかけが、大学生時代に目にした森本裕介さんの活躍です。
宮岡さんより2歳年上の森本さんが、当時は人間には攻略できないとも言われていた難関「クレイジークリフハンガー」を突破。その姿を見て、同世代の人間がここまでできるのなら自分も挑戦したいという思いが強くなりました。
そこから目標は「番組に出る」だけではなく、出場して活躍することへ変わります。
宮岡さんは小学1年生から続けていたテニスでも実績があり、松山中央高校3年生の時にはインターハイへ出場しています。
大学、社会人になってからも続け、約20年間取り組んできました。
しかしSASUKEへ集中するため、そのテニスをやめる決断をします。
まだ本大会への出場が決まっていない段階で長年続けた競技を手放したことからも、本気度の高さが伝わってきます。
10年間挑み続けて2023年に初出場
宮岡さんはトレーニングを始めればすぐ出場できたわけではありません。
2014年に予選へ挑戦してから、本大会への切符をつかむまで約10年かかりました。
その間もSASUKEを想定したトレーニングを続け、ようやく2023年の第41回大会で初出場を果たします。
初出場者の場合、1stステージを突破するだけでも簡単ではありません。
ところが宮岡さんは1st、2ndを突破し、そのまま3rdステージへ進出。最後は新設された難関「バーティカルリミット.BURST」で敗退したものの、初出場ながら大会の最優秀成績を残しました。
10年間出られなかった人物が、初めて出た大会でいきなりトップまで進んだことになります。
この結果によって、一気に「怪物銀行員」として知られるようになりました。
さらに初出場大会の放送翌日には、愛媛銀行から頭取賞も贈られています。
2024年は唯一のファイナリストまで進出
宮岡さんの名前をさらに広めたのが、2024年の第42回大会です。
前年に敗れたバーティカルリミット.BURSTへ再び挑戦し、今度は突破。
そして3rdステージをクリアし、100人の出場者の中で唯一ファイナルステージへ進出しました。
ファイナルでは完全制覇に届きませんでしたが、2回目の出場で最後の舞台までたどり着いたこと自体が大きな実績です。
もう1つ宮岡さんを象徴しているのが、挑戦時に着用するスーツです。
銀行員としての自分を表すために選んだもので、激しい動きにも対応できるよう専門店を回って作った1着は上下で約15万円。複数のスーツを用意し、実際の競技でも着用しています。
泥や水が待ち受けるコースをスーツ姿で進んでいくため見た目にも強烈ですが、単なる演出ではありません。
「愛媛銀行の銀行員として挑戦する」という宮岡さんのアイデンティティを分かりやすく表した戦闘服になっています。
銀行員とSASUKEを両立するトレーニング生活
宮岡さんの強さを知るうえで外せないのが、日常生活そのものを競技へ合わせている点です。
自宅では、寝室とキッチン以外のスペースをトレーニングに活用。3rdステージを想定した自作セットを置き、社宅の庭にも銀行の許可を得てファイナル対策用の設備を設置しています。
2024年にファイナルへ到達した後には、最初の「スピードクライミング」を想定したセットまで自作しました。
平日でも長い日には5時間以上トレーニングするほど徹底しています。
さらに特徴的なのが、「本番と同じ条件」を普段から意識していることです。
海沿いで1stステージを想定した練習をする時にもスーツを着用。本番だけ違う服装になるのではなく、普段から実戦に近い状態を作っています。
食生活にも独特のこだわりがあります。
遠征先でも同じ条件を再現しやすいようコンビニで調達できる食事を選び、包丁で指を負傷して練習できなくなるリスクまで避けています。
ここまで来ると、仕事が終わってから趣味で体を鍛えているというレベルではありません。
会社員として働く時間以外の生活を、完全制覇から逆算して組み立てていることが「怪物」と呼ばれる理由の1つなのでしょう。
2025年は3rdステージ敗退でも完全制覇への目標は変わらず
2024年にファイナルへ進んだことで、次に期待されたのは当然「完全制覇」でした。
2025年の第43回大会にも出場し、3大会連続で3rdステージへ進出します。
結果は3rdステージ敗退。
ただし宮岡さんは、その結果について後悔はないと振り返っています。
前年にファイナルへ進んだため、次はその先へ行くことを優先し、ファイナルステージを中心に練習していたからです。目標を「毎年できるだけ先へ進むこと」ではなく、最初から完全制覇に置いていることが分かります。
3大会連続出場の実績は愛媛県にも認められ、2026年2月には県知事へ大会結果を報告しています。
地域の銀行で働く1人の会社員から、愛媛を代表する挑戦者へ。
10年間本大会に出られなかった時期を考えると、大きな変化です。
JAPAN Blue代表として初のワールドカップへ
2026年、宮岡さんの挑戦は個人戦から世界を相手にした団体戦へ広がります。
選ばれたのはJAPAN Blue。
メンバーは次の4人です。
- 川口朋広
- 日置将士
- 宮岡良丞
- 才藤歩夢
宮岡さんと近代五種日本代表の才藤歩夢さんは、今回がワールドカップ初参戦となります。
日本には前回大会を制したJAPAN Redもあり、森本裕介さんらトップ選手が出場します。
対する海外勢にも、アメリカ、ドイツ、フランス、ポーランド、オーストラリアから完全制覇経験者やパルクール、クライミングの強豪などが集結します。
普段は愛媛で住宅ローンの相談を受けている銀行員が、今度は各国のトップ選手と同じ舞台に立つことになります。
小学1年生の時にテレビを見ながら公園でまねをしていた少年が、長い年月を経て日本代表として世界大会へ進むところまで来たわけです。
目標は変わらず史上5人目の完全制覇
ワールドカップ出場という新しい舞台を迎えても、宮岡さん自身が掲げている最大の目標は変わっていません。
SASUKE完全制覇です。
銀行員としては、顧客や職場から「あなたがいるから安心できる」と頼られる存在を目指しています。
一方、SASUKEについては完全制覇を目標として明言しています。
仕事での立場や今後の生活が変われば、現在と同じように長時間トレーニングできるとは限りません。そのため、挑戦できる時間を大切にしながら取り組んでいます。
10年間応募を続けても出られなかった人が、初出場で3rdステージへ進み、翌年には唯一のファイナリストになり、さらに日本代表へ。
宮岡良丞さんを「怪物銀行員」という言葉だけで見ると身体能力に目が向きますが、その歩みを追うと、むしろ際立っているのは1つの目標に長期間取り組み続ける力です。
世界大会での経験が、この先の完全制覇へどうつながっていくのかも大きな見どころになります。


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