清水空跳が100m10秒00を生んだ「3次元の走り」
2026年9月18日放送のNHK「スポーツ×ヒューマン」では、男子100mで10秒00の高校記録を持つ星稜高校3年・清水空跳(しみず・そらと)選手に密着します。
身長164cmと短距離選手としては小柄ながら、高校2年だった2025年のインターハイで10秒00を記録。日本陸連のU20日本記録となり、番組ではその速さを生み出す動きを**「3次元の走り」**として掘り下げます。高校最後のシーズンは肉離れにも苦しみましたが、目標に掲げてきた9秒台への挑戦は続いています。
この記事でわかること
- 清水空跳選手の100m自己ベストと記録の伸び
- 10秒00につながった星稜高校独自のトレーニング
- 「3次元の走り」を支える体の使い方
- 肉離れに見舞われた高校ラストシーズンと9秒台への挑戦
清水空跳の自己ベストは100m10秒00
清水空跳選手は2009年2月8日生まれ、石川県出身。石川県の長田中学校から星稜高校へ進み、男子100mを中心に記録を伸ばしてきました。
日本陸連が公表している100mの年次ベストを見ると、成長の速さがよく分かります。
- 2023年・中学3年:10秒75
- 2024年・高校1年:10秒26
- 2025年・高校2年:10秒00
- 2026年・高校3年:10秒28(日本陸連掲載データ時点)
高校1年から2年にかけて0秒26も縮め、2025年7月26日のインターハイでついに10秒00へ到達しました。
この10秒00は日本陸連が認定するU20日本記録。2025年の日本陸連アスレティックス・アワードでも、清水選手は東京運動記者クラブ選出の新人賞を受賞しています。
さらに「スポーツ×ヒューマン」では、18歳未満の世界最高記録をマークした走りとして紹介されています。
高校生が「10秒を切れるか」という地点まで来たこと自体が、清水選手の大きな注目点です。
星稜高校は走り込みやウエイトをほとんど行わない
清水選手の10秒00を考えるうえで興味深いのが、星稜高校陸上競技部のトレーニングです。
一般的に短距離というと、何本もダッシュを繰り返したり、重いウエイトを持ち上げたりする練習を想像します。しかし星稜高校の西野弥希顧問が重視しているのは、むしろ体を正しく動かすことです。
2025年に公開された練習では、
- メディシンボールを使った動き
- 鉄棒を使ったトレーニング
- 体幹トレーニング
- 正しい動きを反復する各種ドリル
- 小刻みな走り
- リレーのバトン練習
- 本数を抑えた実走
などに取り組んでいました。
西野顧問は、走り込みやウエイトよりも「体の使い方」を徹底する方針を説明しています。1日の練習時間も約2時間で、量をひたすら増やすというより、1回1回の動きの質を上げていくスタイルです。
清水選手自身も、ただ指示された動きを繰り返すのではありません。
「どこを動かせば、体がどう動くのか」を考えながら取り組むことが重要だと語っており、速さを筋力だけに頼らず、動きそのものを磨いてきたことが分かります。
清水空跳が重視する「支持脚ドリル」
公開練習の中で、清水選手自身が重要な練習として挙げているのが支持脚ドリルです。
足を前へ出すことだけを意識するのではなく、接地する位置や一瞬の体の支え方を確認し、それを実際の走りにつなげていきます。
清水選手はこのドリルについて、接地動作につながるため、走るうえで特に重要だと説明しています。
100mでは、地面に足が接している時間はほんの一瞬です。
その一瞬でブレーキになる動きを減らし、次の一歩へ力をつなげる。清水選手の場合、こうした細かな動きを何度も確認してきたことが、164cmという体格でもトップクラスの速度を生み出す土台になっています。
つまり星稜高校の練習は、「もっと強く地面を蹴る」という単純な発想ではなく、自分の体を効率よく前へ運ぶ技術を磨く練習と見ると分かりやすいでしょう。
「3次元の走り」は全身を連動させる走法
NHK「スポーツ×ヒューマン」が清水選手の走りを表現するキーワードが、「3次元の走り」です。
公開されている番組情報では、清水選手の走りを解析すると、星稜高校独自のトレーニングと努力によって作られた「3次元の走り」のメカニズムが見えてくると紹介されています。
この表現は、単に足を前後へ速く回転させるだけでは清水選手の走りを説明できない、というところがポイントです。
星稜高校で行われている練習を見ると、脚だけではなく、
- 股関節
- 体幹
- 腕
- 接地する脚
- 空中での姿勢
を細かく確認しながら、全身の動きをつないでいます。
特に清水選手は、上がった膝に対して接地点が大きくずれず、体をスムーズに前へ進ませる動きが特徴とされています。
大柄な選手のように長い脚でストライドを稼ぐのではなく、接地のロスを抑えながら全身を連動させ、1歩ごとの力を前進へ変えているわけです。
番組タイトルの「空を跳ぶように駆ける」という言葉も、こうした走りの特徴を象徴しています。
10秒00は高校記録だけでなくU20日本記録
清水選手が2025年インターハイで出した10秒00は、高校生の枠だけで評価できる記録ではありません。
日本陸連のU20日本記録一覧では、
男子100m:10秒00/清水空跳/星稜高校/2025年7月26日
と掲載されています。
2025年の日本選手権でも、高校生ながら男子100m予選を10秒19で走り、大学生や実業団選手が並ぶ舞台で準決勝まで進みました。
「速い高校生」という段階ではなく、日本のシニアトップ選手と同じレースで勝負する位置まで高校時代に来ていることが分かります。
日本陸連の公式プロフィールでも、主な代表歴として東京2025世界陸上が記載されています。
高校最後のシーズンは肉離れとの戦いになった
ところが、9秒台を狙った2026年シーズンは順調には進みませんでした。
日本陸連によると、清水選手は2026年4月に肉離れを発症。100mのシーズン初戦となった7月5日の布勢スプリントでは、けが明けながら追い風1.2mで10秒28を記録しました。
本人もこの走りには手応えを感じていましたが、その後に肉離れが再発します。
それでも8月のU20世界選手権では男子100mと4×100mリレーの日本代表に選ばれ、オレゴンへ向かいました。
清水選手にとってU20世界選手権は、2026年最大の目標のひとつでした。
しかし現地でコンディションを確認した結果、選手の安全と今後の競技生活を優先し、8月3日に欠場が決定しました。
10秒00を出した翌年、すぐに9秒台へ進む――。
そんな一直線の物語ではなくなったところに、今回の「スポーツ×ヒューマン」のもうひとつの見どころがあります。
清水空跳が目指してきた「17歳で9秒台」
清水選手は高校2年だった2025年の時点から、はっきりとした目標を口にしていました。
それが「17歳で9秒台」です。
その先には2028年ロサンゼルスオリンピックも見据えています。
10秒00から9秒99までは、数字だけならわずか0秒01。
しかし男子100mの世界では、その0秒01を縮めることが大きな壁になります。
しかも高校最後のシーズンには肉離れを経験しました。
速さを追求するだけではなく、再発を防ぎながら体を強くし、再びトップスピードを取り戻す必要があります。
「スポーツ×ヒューマン」が描く「速さと強さを目指す高校ラストシーズン」という言葉には、単なる記録更新以上の意味があります。
清水空跳のプロフィール
清水選手について、日本陸連で確認できる主な情報は次の通りです。
- 名前:清水空跳(しみず・そらと)
- 生年月日:2009年2月8日
- 出身地:石川県
- 所属:星稜高校
- 出身中学:長田中学校
- 種目:男子100m
- 自己ベスト:10秒00
- 記録:男子100m U20日本記録
- 主な代表歴:東京2025世界陸上
- 2026年U20世界選手権日本代表選出(けがのため欠場)
まとめ
清水空跳選手の10秒00を支えているのは、単純な筋力や走り込みではありません。
星稜高校では、走る本数を増やすことよりも、ドリルを通して接地や姿勢、全身の連動を細かく磨いてきました。その積み重ねが、NHKが今回注目する「3次元の走り」につながっています。
中学3年の10秒75から、高校1年で10秒26、高校2年で10秒00。
驚異的なスピードで記録を縮めた一方、高校最後の2026年は肉離れと再発という壁にぶつかりました。
それでも17歳で掲げてきた目標は9秒台です。
9月18日の「スポーツ×ヒューマン」は、史上最速クラスの高校生がなぜこれほど速く走れるのかという技術面だけでなく、記録を出した翌年に故障と向き合い、それでも前へ進もうとする高校最後のシーズンまで含めて見ると、より深く楽しめそうです。
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