- 杉本節子の経歴と料理|重要文化財の京町家に受け継がれるおばんざいの知恵
- 杉本節子の経歴とプロフィール|杉本家10代目の料理研究家
- 1743年創業の呉服商「奈良屋」に生まれた杉本節子
- 国指定重要文化財「杉本家住宅」と10代目当主の役割
- 杉本家に残る『歳中覚』|江戸時代の献立を伝える古文書
- 京のおばんざいとは|杉本節子が大切にする「始末」の知恵
- 「おばんざい」という言葉は昔から京都で使われていたのか
- 2009年から2年間続いた京のおばんざい紹介
- じゃがいも・かぼちゃ・豆腐を使った秋のおばんざい
- 杉本節子の代表的なレシピ|焼き豆腐と厚揚げの夫婦炊き
- だしを無駄にしない|乾物を使ったおばんざいの工夫
- 著書『京のおばんざいレシピ』|春夏秋冬の家庭料理を収録
- 杉本家住宅で続ける食文化の継承|料理と文化財保存の両立
- まとめ
- 関連
杉本節子の経歴と料理|重要文化財の京町家に受け継がれるおばんざいの知恵
京都の家庭料理「おばんざい」を通して、食材を無駄にせず、季節の恵みを大切にする暮らしを伝えている料理研究家、杉本節子(すぎもと・せつこ)さん。
杉本さんは、京都市下京区にある国指定重要文化財「杉本家住宅」の10代目当主です。1743年に創業した呉服商「奈良屋」の家に生まれ、代々受け継がれてきた古文書や食事の記録をもとに、京都の伝統的な家庭料理を研究しています。
その料理の特徴は、旬の食材を使い切り、手間や費用を抑えながら、素材の持ち味を生かすこと。だしを別にとらず、昆布や乾物を料理に直接加える方法など、現代の家庭でも役立つ工夫を紹介してきました。
2026年10月21日放送予定のNHK Eテレ『きょうの料理』でも、杉本さんが「おばんざいの知恵を生かす 秋おかず」をテーマに、じゃがいもやかぼちゃ、豆腐などを使った料理を紹介します。
杉本さんが守り続けるのは、豪華な京料理ではなく、日々の暮らしを支えてきた家庭の味です。その経歴と杉本家の歴史、おばんざいに込められた考え方、代表的なレシピや著書まで詳しく紹介します。
この記事でわかること
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杉本節子さんの経歴と杉本家10代目当主としての活動
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1743年創業の呉服商「奈良屋」と杉本家住宅の歴史
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京のおばんざいに受け継がれる「始末」の知恵と調理の工夫
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代表的な料理レシピと著書『京のおばんざいレシピ』の内容
杉本節子の経歴とプロフィール|杉本家10代目の料理研究家
杉本節子さんは、京都の食文化や年中行事を研究し、家庭料理としてのおばんざいを伝える料理研究家です。
生家は京都市下京区にある杉本家住宅。歴史的な京町家を保存する活動に携わるとともに、先祖が残した記録を読み解き、京都の商家に受け継がれてきた食習慣を紹介しています。
基本プロフィール
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名前:杉本節子(すぎもと・せつこ)
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職業:料理研究家
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家系:杉本家10代目当主
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関連施設:国指定重要文化財・杉本家住宅
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所属:公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会
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主な研究分野:京のおばんざい、京町家の食文化、京都の年中行事
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主な活動:料理研究、文化財保存、食育、講演、料理講座、執筆
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代表的な著書:『京のおばんざいレシピ』『京町家・杉本家の 京の普段づかい』
杉本さんは、奈良屋記念杉本家保存会で常務理事兼事務局長を務めてきました。
また、大学の客員教授や料理講師、文化展示の監修など、さまざまな立場で京都の生活文化を伝える活動に取り組んでいます。
2012年12月には、京都の食文化を紹介する施設「あじわい館」の開館記念展示「京のおばんざい文化展」を監修しました。
2014年には、京都市の「学校給食における和食の検討会議」の委員も務めています。
単に昔の料理を再現するだけでなく、家庭の味を現在の暮らしへどう受け継ぐかという視点から活動していることが特徴です。
1743年創業の呉服商「奈良屋」に生まれた杉本節子
杉本節子さんの生家である杉本家は、江戸時代から続く京都の商家です。
始まりは1743年。初代の杉本新右衛門が京都で呉服商として独立したことにさかのぼります。
初代新右衛門は1704年に伊勢国粥見村で生まれ、1717年に京都へ奉公に出ました。
その後、商売の経験を積み、1743年8月5日に烏丸通四条上ルで開業します。
杉本家の主な歴史
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1743年:初代新右衛門が京都で独立開業
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1764年:現在の杉本家住宅がある場所の家屋敷を購入
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1807年:下総国佐倉に出店
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1864年:禁門の変による火災で家屋敷を焼失
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1870年:現在の家屋敷を再建
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1992年:杉本家住宅の保存を目的とする財団法人設立
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2010年:杉本家住宅が国の重要文化財に指定
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2011年:杉本氏庭園が国の名勝に指定
杉本家は、京都に本店を置きながら、関東地方にも店を持つ呉服商として発展しました。
明治時代以降も商売を続け、千葉県では百貨店事業も展開しています。
一方、京都の家屋敷では、家族や奉公人が生活し、商売と暮らしが一つの建物の中で営まれてきました。
こうした生活環境の中で、毎日の食事をどう準備し、食材をどう使い切るかという知恵が育まれていきました。
杉本さんが研究しているのは、料理そのものだけでなく、その背景にある商家の生活文化でもあります。
国指定重要文化財「杉本家住宅」と10代目当主の役割
杉本節子さんが保存活動に携わる杉本家住宅は、京都市内でも大規模な京町家として知られています。
現在の建物は、1864年の禁門の変による火災で焼失した後、1870年に再建されました。
京都の伝統的な町家建築を伝える建物として、2010年に国の重要文化財に指定されています。
杉本家住宅の基本情報
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名称:杉本家住宅
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所在地:京都府京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116
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建物の再建:1870年
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国重要文化財指定:2010年
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庭園の国名勝指定:2011年
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保存団体:公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会
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問い合わせ:075-344-5724
杉本家住宅の特徴は、家族が生活する場所と商売を営む場所が一体になっていることです。
建物には座敷や台所、中庭などがあり、京都の商家における暮らしの様子を伝えています。
杉本さんは、この住宅を単なる古い建物として保存するのではなく、そこで営まれてきた生活文化も後世へ伝えようとしています。
例えば、季節の行事に合わせた室内のしつらえや食事の習慣、台所で使われてきた道具などです。
建物の歴史と食文化を結びつけることで、昔の人々がどのように暮らしていたのかを具体的に伝えています。
杉本家に残る『歳中覚』|江戸時代の献立を伝える古文書
杉本さんの料理研究で重要な役割を果たしているのが、杉本家に伝わる古文書『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』です。
これは、杉本家で行われてきた年中行事や暮らしの習慣、食事などを記録した資料です。
杉本さんは、この古文書を読み解きながら、江戸時代の京商家の食生活を研究しています。
例えば、年末の大掃除や正月の準備、祇園祭などの行事では、日常とは異なる特別な料理が作られていました。
杉本家では12月13日を「事始め」とし、年末年始の準備を始める習慣があります。
この時期には「すす払い」と呼ばれる大掃除が行われ、多くの働き手が家屋敷の掃除に参加していました。
その食事として、豆腐を使った「八杯豆腐」などが記録されています。
また、正月には白みそ雑煮や祝い肴、黒豆などを用意する習慣がありました。
杉本さんは、こうした記録をもとに料理を再現し、食文化を体験する催しも開催しています。
2024年12月には、杉本家住宅に残る「おくどさん」と呼ばれるかまどを使い、京商家の冬の朝ごはんを紹介する体験イベントを実施しました。
昔の献立を文献で紹介するだけでなく、実際に作り、食べる体験を通して伝えていることが杉本さんの活動の特色です。
京のおばんざいとは|杉本節子が大切にする「始末」の知恵
杉本節子さんが伝えるおばんざいには、料理を作るうえで大切にしている考え方があります。
それが「始末(しまつ)」です。
ここでいう始末とは、単に支出を減らすことではありません。
食材を最後まで使い切り、無駄を出さず、与えられたものを大切にするという暮らしの知恵を意味します。
杉本さんは、京都市の食文化を紹介するコラムで、おばんざいの特徴を、旬の野菜や乾物を使い、費用を抑えながら手間をかけ、食材の端まで利用する料理として説明しています。
おばんざいに受け継がれる主な工夫
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季節の野菜を中心に献立を考える
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乾物や保存食を活用する
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野菜の皮や葉なども無駄にしない
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一つの食材を複数の料理に展開する
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必要な量を作り、食べ残しを減らす
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手間のかけ方を工夫し、素材の味を生かす
例えば、大根を料理するとき、白い根の部分だけを使い、葉を捨ててしまうのではなく、葉も別のおかずに利用します。
また、切り干し大根などの乾物は、保存性があるだけでなく、戻し汁を調理に利用することもできます。
こうした方法は、食品ロスを減らすという現在の考え方にもつながります。
ただし、おばんざいは、特別な健康効果を得るための料理法ではありません。
家庭にある食材を使い、毎日の食事を無理なく作り続けるために受け継がれてきた暮らしの知恵です。
「おばんざい」という言葉は昔から京都で使われていたのか
杉本節子さんの研究で興味深いのが、「おばんざい」という言葉の歴史です。
現在では、京都の家庭料理を指す言葉として全国的に知られています。
しかし、杉本さん自身は、子どものころに家族や親戚が日常的に「おばんざい」と呼んでいた記憶がないと説明しています。
杉本さんの祖母は、家庭で作る料理を普通に「おかず」と呼んでいました。
杉本さんが「おばんざい」という言葉を知ったのは、中学生か高校生のころに見たテレビ番組だったといいます。
祖母に尋ねても、昔から「おかず」と呼んでいるという返事だったそうです。
現在のように「京のおばんざい」という表現が広く使われるようになった背景には、料理研究家で随筆家の大村しげさんらの活動があります。
大村さんは1964年ごろから随筆などで「おばんざい」という言葉を使い、京都の家庭料理を紹介しました。
さらに料理番組への出演や著書を通じて、この表現が全国へ広まっていきました。
つまり、京都の家庭料理そのものは古くから存在していましたが、それを全国的に「おばんざい」と呼ぶようになった歴史は、比較的新しいものです。
杉本さんは、料理だけでなく、その呼び方が変化してきた背景にも目を向けています。
2009年から2年間続いた京のおばんざい紹介
杉本節子さんが京都の家庭料理を広く紹介する重要な機会となったのが、2009年からの料理番組出演です。
2009年4月から2年間、毎月1回、旬の食材をテーマにした「京のおばんざい」を紹介しました。
当初は1年間の予定でしたが、さらに1年間延長されています。
内容は、旬の食材を一つ選び、その食材を使って4〜5品の料理を紹介するというものです。
この構成にも、食材を無駄なく活用する杉本さんの考え方が表れています。
例えば、じゃがいもを使う場合でも、煮物だけでなく、汁物や別の料理へ展開できます。
同じ食材を何通りにも使うことで、買い物の負担を減らしながら、献立を組み立てられます。
2年間にわたって紹介された料理は、後に1冊のレシピ本にまとめられました。
それが2011年に刊行された『京のおばんざいレシピ』です。
杉本家に伝わる料理と、現代の家庭で実践できる工夫を組み合わせた内容になっています。
じゃがいも・かぼちゃ・豆腐を使った秋のおばんざい
杉本さんが提案する料理では、特別な高級食材ではなく、普段の家庭にある野菜や豆腐などが主役になることも少なくありません。
2026年10月21日に紹介予定の秋のおかずは、次の3品です。
じゃがいもと鶏肉の炊いたん
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主な食材:じゃがいも、鶏肉、昆布
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工夫:昆布を一緒に煮ることで、別にだしをとる手間を省く
「炊いたん」は、京都などで煮物を表す言葉です。
具材と一緒に昆布を加える方法は、だしをとる工程を減らしながら、食材にうまみを含ませる工夫です。
焼きかぼちゃのそぼろあん
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主な食材:かぼちゃ、ひき肉
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工夫:かぼちゃを油で焼いてから煮る
かぼちゃをそのまま煮るのではなく、先に焼く工程を加えることで、料理にコクを加えます。
材料の扱い方や加熱する順番を工夫している点が特徴です。
焼き豆腐と油揚げのサッと煮
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主な食材:焼き豆腐、油揚げ
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工夫:大豆から作られる2種類の食材を組み合わせ、短時間で煮る
焼き豆腐と油揚げは、どちらも豆腐を加工して作る食材ですが、食感や味の含み方が異なります。
同じ大豆由来の食材を組み合わせることで、手軽なおかずを作る構成です。
これらの料理に共通するのは、特殊な食材を用意することよりも、調理工程を工夫することを重視している点です。
杉本節子の代表的なレシピ|焼き豆腐と厚揚げの夫婦炊き
杉本さんが以前から紹介してきた料理の一つが「焼き豆腐と厚揚げの夫婦炊き」です。
2009年12月9日に『きょうの料理』で紹介されたレシピで、焼き豆腐と厚揚げを組み合わせた京都らしい煮物です。
豆腐という同じ素材から作られた2つの食品を「夫婦」に見立てた料理です。
材料(2人分)
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焼き豆腐:1丁(約300g)
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厚揚げ:小2枚(250g)
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だし:カップ1と1/2
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みりん:大さじ2と1/2
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うす口しょうゆ:大さじ2と1/2
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七味とうがらし:適量
作り方
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焼き豆腐の水けを軽く切り、6〜8等分にする。
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厚揚げは紙タオルで余分な油を取り、焼き豆腐と同じくらいの大きさに切る。
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鍋にだし、みりん、うす口しょうゆを入れて温める。
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厚揚げを先に入れて、ひと煮立ちさせる。
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焼き豆腐を加え、ごく弱火にして紙ぶたをする。
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約15分間、静かに煮含める。
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器に盛り、七味とうがらしをふる。
この料理のポイントは、厚揚げを先に煮てから焼き豆腐を加えることです。
厚揚げは焼き豆腐より味がしみにくいため、時間差をつけて鍋に入れます。
また、強く煮立てると豆腐に「す」が入るため、ごく弱火で煮ることが大切です。
杉本さんの料理には、材料の特徴を理解し、加熱する順番や火加減を変えるという具体的な工夫があります。
だしを無駄にしない|乾物を使ったおばんざいの工夫
杉本さんが紹介してきた料理には、乾物を上手に利用するものもあります。
代表的なのが「切り干し大根の炊いたん」です。
切り干し大根は、大根を細く切って乾燥させた保存食です。
水で戻すことで調理に使えるほか、戻し汁にも食材の風味が含まれています。
杉本さんのレシピでは、この戻し汁をだしの代わりに利用しています。
油揚げなどと一緒に煮ることで、別にだしを用意する工程を減らせます。
また、杉本さんの「おからの炊いたん」では、材料を細かく切る手間を抑え、だしを別にとらない方法も紹介されています。
一つ一つの工程は小さな工夫ですが、毎日料理を作る家庭では、こうした手間の積み重ねが大きな違いになります。
杉本さんが大切にする「始末」の知恵には、食材だけでなく、調理に必要な手間や時間を無駄にしないという考え方も含まれています。
著書『京のおばんざいレシピ』|春夏秋冬の家庭料理を収録
杉本節子さんの代表的な著書が、2011年6月刊行の『NHKきょうの料理 京町家・杉本家の味 京のおばんざいレシピ』です。
書籍情報
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書名:NHKきょうの料理 京町家・杉本家の味 京のおばんざいレシピ
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著者:杉本節子
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出版社:NHK出版
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発売:2011年6月
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単行本定価:1,980円(税込)
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ISBN:9784140332719
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電子版:あり
この本は、杉本家で受け継がれてきた季節の料理や行事食、保存食を紹介しています。
内容は春・夏・秋・冬に分かれ、それぞれの季節に使いやすい食材を中心に構成されています。
春の料理
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ふきの炊いたん
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たけのこご飯
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湯葉と菜の花のおひたし
夏の料理
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あじの南蛮漬け
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なすの泥亀煮
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万願寺とうがらしの焼き漬け
秋の料理
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じゃがいもと刻み昆布のあっさり煮
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大豆の五目煮
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焼き豆腐と厚揚げの夫婦炊き
冬の料理
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ふろふき大根
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切り干し大根の炊いたん
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白みそ雑煮
料理だけでなく、杉本家に伝わる『歳中覚』や、京都の季節行事についても紹介されています。
また、2016年にはPHP研究所から『京町家・杉本家の 京の普段づかい』も刊行されました。
こちらは、京都の商家における日用品や食べ物、人へ贈る品などを通して、昔ながらの暮らしを紹介する書籍です。
レシピだけでなく、食文化の背景にある生活全体を知ることができます。
杉本家住宅で続ける食文化の継承|料理と文化財保存の両立
杉本節子さんは2026年現在も、杉本家住宅の保存と食文化の紹介に取り組んでいます。
杉本家住宅では、季節に合わせた一般公開や、古文書をもとにした食事体験などが行われてきました。
2025年には、小豆がゆや茶がゆ、節分の食事などをテーマに、杉本家に伝わる献立を体験する催しも開催されています。
さらに、NHKカルチャーでは、祇園祭や正月、ひな祭りなどを題材にした講座を担当しました。
そこでは、単に料理の作り方を紹介するだけでなく、なぜその行事で特定の料理を食べるのか、商家の暮らしの中でどのような意味を持っていたのかを解説しています。
杉本さんの活動には、大きく2つの役割があります。
一つは、杉本家住宅という歴史的建造物を守ること。
もう一つは、その建物の中で営まれてきた食事や年中行事、暮らしの知恵を伝えることです。
建物が残っていても、そこで行われていた生活の習慣が失われれば、昔の人々の暮らしを十分に理解することは難しくなります。
杉本さんは料理研究を通じて、建築物だけでは伝えきれない生活文化を次の世代へつなぐ役割を担っています。
まとめ
杉本節子さんは、京都市下京区の重要文化財「杉本家住宅」の10代目当主であり、京都の家庭料理「おばんざい」を研究する料理家です。
1743年に創業した呉服商「奈良屋」の家に生まれ、先祖が残した古文書『歳中覚』などをもとに、京商家に伝わる食事や年中行事を紹介してきました。
その料理の中心にあるのは、食材を無駄なく使い切る「始末」の知恵です。
旬の野菜や乾物を利用し、調理工程を工夫しながら、毎日の食事を無理なく作る方法を大切にしています。
2009年から2年間紹介してきた料理は『京のおばんざいレシピ』として書籍化され、現在も家庭料理の参考資料として読むことができます。
杉本さんが伝えるおばんざいは、昔の京都を懐かしむためだけの料理ではありません。食材を大切にし、手間を工夫しながら暮らすという、現代の家庭にもつながる生活の知恵です。
参考リンク
おすすめ関連商品:杉本節子『NHKきょうの料理 京町家・杉本家の味 京のおばんざいレシピ』


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