夏直前!家庭の知恵が光るアイデアレシピSP
2025年6月13日放送のテレビ東京「昼めし旅」は、「夏直前!アイデアレシピSP」として群馬県・福島県・千葉県・茨城県の4県を舞台に、各地の個性豊かな家庭の食卓を紹介しました。都会から地方へ移住して農業や創作に励む人々、代々続く老舗の味を守る高齢者、家庭菜園で暮らしを楽しむご夫婦まで、幅広い人たちの食生活とライフスタイルが映し出されました。
群馬県みなかみ町 Uターン農家と夏野菜レシピの暮らし
群馬県みなかみ町を訪ねた春香クリスティーンさんは、自然豊かな旧新治村にある**「こむろ農園」を訪問しました。この農園では、キュウリを中心にえごまなど7種類の野菜を栽培しています。農園を営む小室亮さんは、慶應義塾大学を卒業後、大手化学メーカーに勤務**していましたが、30歳のときに地元へUターン。先輩農家のもとで6年間の修行を経て、現在は独立し、農業に従事しています。
小室さんが暮らすのは、祖父母がかつて養蚕を営んでいた古民家をリノベーションした住まいです。改修のアイデアは妻の史さんが中心となって行い、自然の風合いを活かした落ち着いた空間になっています。史さんは北海道出身で、東京で働いていた際に農業体験でみなかみ町を訪れ、小室さんと出会って結婚しました。
その家庭で用意された夕食には、季節の夏野菜を活かした2品の料理が登場しました。
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ツナと夏野菜のあり合わせ炒め
ナス・トマト・キュウリなどの採れたて野菜をオリーブオイルで炒めたあと、ツナ缶(オイルごと)を加えて炒め合わせるだけというシンプルながら風味豊かな一品です。 -
えごま油塩奴
地元産の**「豊楽豆腐」を冷ややっことして盛りつけ、上から小室さんが開発したえごま油と塩、そしてえごまの実をふりかける**という、素材の味を活かした健康的なメニューです。
この2つの料理には、小室さんの農業と商品開発の経験が活かされており、食材の持ち味を最大限に引き出した構成となっていました。
また、金子貴俊さんが訪れたのは、同じくみなかみ町内にある**「人形と石画の家」です。店主は元美容師で、現在は猫をモデルにした石画や人形を制作しています。人形用の着物も自作しており、創作活動は2000年の結婚をきっかけに本格化。2015年に夫が他界したあとも、「手が動くうちは作り続けたい」と語りながら、作品を生み出し続けています**。
店主の昼食では、自家栽培の野菜をふんだんに使った栄養バランスのよい手作り料理が並びました。
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合鴨の燻製入りおやき
手作りの皮に、合鴨の燻製と野菜をたっぷり詰めて焼き上げた一品。 -
じゃがいもの味噌炒め
自家栽培のじゃがいもをスライスし、味噌を使って炒めるだけの素朴な味わい。 -
ミニトマトの梅シロップ漬け
採れたてのミニトマトを自家製の梅シロップに漬けるだけの簡単レシピで、さっぱりとした酸味が夏にぴったりの副菜です。
どの料理も、土地の恵みを活かし、保存や調理の工夫が感じられる家庭料理でした。移住してからの創作活動と暮らしがしっかりと結びつき、自給自足に近いスタイルで生活を楽しむ様子が伝わってきました。
福島県福島市 珍しい夏野菜と新感覚レシピ
福島県福島市でりんごちゃんが訪ねたのは、「かんたファーム」という広大な農園です。サッカーコート約4面分という広大な敷地を持ち、キャンプ場も併設された開放的な空間で、都市近郊型の農業スタイルが特徴です。園主の**菅田さんは、一般には出回らない珍しい野菜「パリーノ・ネロ」**を育てており、これが今回の注目ポイントとなりました。
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パリーノ・ネロは、球体型で黒紫色をしたイタリア系のナスの一種で、肉厚でやわらかく、煮ても焼いても美味しく食べられる品種です。国内でも栽培農家が少なく、生産量が極めて少ないため希少価値が高い野菜です。
この農園を運営しているのは菅田さん夫婦。ご主人は中学時代の同級生で、長年の信頼関係の上に築かれた夫婦の絆が農園経営にも現れています。今回のご飯調査では、珍しい野菜を使った彩り豊かで栄養価の高い創作レシピが紹介されました。
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ズッキーニのピザ
生地を使わず、スライスしたズッキーニを土台として使用し、上にトマトやチーズなどをのせて焼いた新感覚のヘルシーピザ。
●材料
・ズッキーニ(太め)
・プチトマト
・ピーマンまたはパプリカ
・チーズ
・オリーブオイル、塩こしょう
●作り方
1. ズッキーニを輪切りにして並べ、塩を軽くふる
2. トマトやピーマンをのせてチーズを散らす
3. オーブントースターで5〜7分加熱する -
ビーツのリゾット
濃い赤紫の色が美しいビーツを使った一品。自然な甘みと鮮やかな色味が特徴で、チーズとの相性も抜群です。
●材料
・ビーツ(茹でたもの)
・米(洗わず使用)
・タマネギ
・ブイヨン(またはコンソメ)
・バター、オリーブオイル
・粉チーズ
●作り方
1. タマネギをバターで炒め、米を加えて軽く炒める
2. 細かく刻んだビーツとブイヨンを加えて炊く
3. 水分が減ってきたら粉チーズを加え、塩で味を調える
どちらも、野菜そのものの個性と色を活かし、夏にぴったりなさっぱりとした味わいです。見た目のインパクトも強く、家庭で簡単に再現できる点も魅力です。都市部ではなかなか手に入らない野菜を活かしたレシピが、農園の魅力をそのまま食卓に届けてくれる印象的なシーンでした。
千葉県市原市 こだわりの白いトウモロコシ農家の食卓
千葉県市原市を訪れたえとう窓口さんは、「フルーツ通り」と呼ばれる果物直売所が10軒以上並ぶ地域を訪問しました。その中でもひときわ注目されたのが、白いトウモロコシ「白いおおもの」を栽培している相田和磨さんの畑です。
相田さんは羽田空港で飛行機の荷物を扱う仕事をしていた経験を持ち、農業の世界へ転身した人物です。高校卒業後、3年間空港で働いたのち、袖ヶ浦市の農家で農業を学びながら3年間通い、ついに独立。現在は、1ヘクタールの畑で野菜の栽培から袋詰め、配達までをすべて一人で行うスタイルを貫いています。日々の作業すべてを自分でやりきることが、何よりのやりがいだと語っていました。
栽培している**「白いおおもの」**は、見た目が真っ白で糖度が高く、生でも食べられるほどの甘さとみずみずしさが特徴。取材中、えとう窓口さんも実際に生のままかじり、「みずみずしさが半端ない」と驚いていました。
食卓では、この白いおおものを活かした炊き込みご飯と、カラフルな夏野菜を使ったパスタが紹介されました。
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白いおおもののトウモロコシご飯
芯からしっかりと出汁を取ることで、トウモロコシの香りと甘さが際立つ一品です。
●材料
・白いおおもの(実と芯)
・米
・水
・塩少々
●作り方
1. トウモロコシを実と芯に分ける
2. 米に水と塩、芯を入れて炊く
3. 炊き上がる直前に実を加えて蒸らす -
夏野菜のペペロンチーノ
ズッキーニ、パプリカ、オクラなど色とりどりの野菜がたっぷり入った爽やかパスタです。
●材料
・ズッキーニ
・島オクラ
・パプリカ(赤・黄)
・ニンニク
・パスタ
・オリーブオイル・塩・こしょう
●作り方
1. 野菜は食べやすくカット、パスタはゆでる
2. フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて熱する
3. 野菜を加えて炒め、パスタと絡めて塩こしょうで調える
どちらの料理も、野菜の持ち味を活かす調理法で、素材の良さが前面に出た仕上がりとなっていました。特に、白いトウモロコシの炊き込みご飯は芯まで使う工夫が光る一品で、農家ならではの知恵とこだわりが伝わってきます。
相田さんのように、異業種から農業に転身し、全工程を一人で手がける姿は今の農の在り方を象徴しており、その努力の先にある家庭の食卓は、まさに働き方と暮らしが一体となった日々の成果そのものでした。
茨城県坂東市 老舗煎餅店と家庭菜園からの愛情ごはん
茨城県坂東市では、まず訪ねたのが**約70年の歴史を誇る「菊地煎餅店」**です。精米から製造、梱包まで一貫して自社で行う昔ながらの製法を守り続ける老舗で、店舗の裏には煎餅の工場が併設されています。この伝統の味を支えているのが、93歳の大女将・菊地茂子さんです。
茂子さんは、取材時も現役で台所に立ち、家族のために「肉じゃが」と「特製混ぜご飯」を手際よく作る姿が紹介されました。
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肉じゃが
ジャガイモとタマネギを大きめに切って炒めるのが茂子さんのこだわりで、素材のうまみがしっかり感じられる仕上がりになります。
●材料
・ジャガイモ(大きめにカット)
・タマネギ
・豚ロース薄切り
・酒、みりん、砂糖、醤油
●作り方
1. ジャガイモを炒めて表面に焼き色をつける
2. タマネギ、豚ロースを加えさらに炒める
3. 調味料を加え、煮込んで味を染み込ませる -
特製混ぜご飯
こちらは下ごしらえした具材を炒めて味付けし、飯台で酢飯と混ぜるという伝統的なスタイル。娘の文子さん、孫家族とともに食卓を囲む場面が印象的でした。
●材料
・タケノコ
・かんぴょう
・ニンジン
・昆布
・ベビーホタテ
・油揚げ
・カツオ出汁、醤油、みりん、酒、きび砂糖
●作り方
1. 具材を細かく切り、油で炒める
2. 調味料で甘辛く煮る
3. 飯台に用意した酢飯と具材を混ぜ合わせて完成
食卓にはほかにも、大葉とウリの漬物やおから煮など、家庭の知恵と保存食の技術が感じられる副菜も並びました。茂子さんは「健康を保って、みんなに可愛がられるおばあちゃんになりたい」と話し、長年の経験と家族への想いが込められた食事風景となっていました。
続いて訪れたのは、家庭菜園を楽しむ木田さんご夫妻のもと。貸し農園で20種類以上の野菜を育てる暮らしは、食を通じた豊かな日常が感じられます。現在は夫婦ふたりの暮らしですが、旅行なども楽しみながら充実した生活を送っているとのことでした。
料理では、採れたての野菜を活かした2品が登場しました。
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ナスとジャンボししとうの揚げ浸し
野菜に切れ目を入れて素揚げにし、めんつゆに浸すだけの簡単な一品ですが、野菜のうま味がしっかり味わえます。
●材料
・ナス
・ジャンボししとう
・めんつゆ
●作り方
1. ナスは縦に切り込みを入れ、素揚げする
2. ししとうも同様に揚げる
3. どちらもめんつゆに浸して味を染み込ませる -
ジャガイモとタマネギのコンビーフ炒め
普段はベーコンで作るところを、この日はコンビーフを使用してアレンジ。バターと塩こしょうで味を調え、シンプルながら食べ応えのある家庭の味です。
●材料
・ジャガイモ
・タマネギ
・コンビーフ
・バター、塩こしょう
●作り方
1. ジャガイモを輪切りにして炒める
2. タマネギを加えて炒め合わせる
3. コンビーフをほぐしながら加え、調味して仕上げる
このように、坂東市では、老舗の味と現代的な家庭菜園の二つの食文化が並び立ち、どちらも家族への想いや工夫が込められた温かい食卓が紹介されました。世代を超えて受け継がれる味と、日々の暮らしから生まれる創意工夫の豊かさが印象的でした。
まとめ
今回の「昼めし旅」は、地方で暮らす人々の知恵と工夫が詰まった夏直前の食卓を巡る旅となりました。自然とともにある暮らしの中で生まれたアイデアレシピは、誰でも真似したくなるような優しさと美味しさにあふれていました。
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