女性たちの仰天事件SP
2025年6月10日(火)放送の「ザ!世界仰天ニュース」2時間スペシャルでは、「女性たちの仰天事件SP」として、3つの衝撃的な実話が紹介されました。ダイエットが原因で命の危機に陥った女性、刑事に恋をしてウソの自白をしてしまった女性、そして誹謗中傷から僧侶となり人生を立て直した女性、それぞれの壮絶な経験に基づいた実話が視聴者に深い衝撃を与えました。
糖質制限ダイエットがもたらした命の危機
番組で最初に紹介されたのは、エイジングケア専門の医師・日比野佐和子さんが体験した、糖質制限ダイエットによる健康被害の実例でした。日比野さんは子どもの頃からがっしりとした体型で、ダイエットを繰り返していました。小学生の時にアメリカでホームステイした経験をきっかけに、大量の食事に慣れ、胃の容量が大きくなってしまったそうです。その後、日本に戻ってからも食欲が変わらず、中学3年生で体重は57kgに。弟から体型を指摘されたことで、自身の体を強く意識するようになります。
・初めはりんごだけを食べる「りんごダイエット」から始まり、
・その後はチョコ菓子だけを食べる極端な食生活にも挑戦
・代謝が落ち、むくみなどの体調不良を感じながらも、やせることだけを目標にさまざまな方法を試した
医師となってからも体重管理に苦しみ、夫のアメリカ留学に同行した際には再び食事量が増え、体重は17kg増加。帰国後、日本で流行していた**「糖質制限ダイエット」**を取り入れます。炭水化物を完全に抜き、肉類や脂質は制限せずに食べ続けるという方法でした。約3年間、米やパン、麺などは一切口にせず、毎日肉を中心とした高たんぱく・高脂質な食事を続けた結果、体重は14kgの減量に成功しました。
しかし、それは見た目の変化とは裏腹に、体に深刻な異常を引き起こしていました。
・体から甘酸っぱい体臭がするようになった(ケトン体の臭い)
・顔の老化を感じるようになった(脂質の過剰摂取による腸内環境悪化)
・頭がぼんやりする日が続く(極端な糖質不足による脳の機能低下)
こうした症状を自覚しながらも、痩せているという満足感とリバウンドへの恐怖から、生活を変えることができずにいました。ついにある朝、右腕と右足に力が入らなくなり、手も動かせない状態に。タクシーで病院へ向かい、一過性脳虚血発作と診断されました。この病気は、脳の血流が一時的に止まり、脳梗塞の前兆とされる危険な状態です。
原因は糖質を極端に控え、肉中心の生活を送ったことで、脂質異常症を引き起こし、血液がドロドロになったことでした。脳に酸素が行き届かず、手足の動きに異常が出たと考えられています。
その後、食生活を見直し、炭水化物を少しずつ取り入れるようにしたことで症状は改善。しかし、ダイエット前よりも17kgのリバウンドが起こりました。現在は健康を重視し、以下のような食生活を心がけています。
・1日3食を少量ずつ摂取
・空腹の時間を減らすために間食を活用
・血糖値の急上昇を防ぐために食べる順番にも注意
日比野さんの事例は、流行のダイエットを過信する危険性を示すとともに、長期間の極端な食事制限が命にかかわる健康障害を引き起こす可能性があるという事実を、改めて視聴者に訴えかけるものでした。体重や見た目にとらわれすぎず、バランスの良い食事と健康な体の維持が何より大切であることを伝えるエピソードでした。
刑事に恋してウソの自白をした女性の15年
番組で取り上げられた2つ目の事件は、滋賀県の医療施設で発生した患者死亡事故をきっかけに、看護助手の女性が誤認逮捕されてしまった冤罪事件でした。この女性は、刑事への思いから事実ではない供述をし、15年もの間人生を奪われる結果となったのです。
事件は2003年、病院内で植物状態の男性患者が死亡したことから始まりました。呼吸器が正常に作動しているにもかかわらず、患者の心臓は停止しており、死亡時にはアラーム音も鳴っていなかったことから、当初から不審がもたれていました。
・医師からは2時間ごとの痰吸引の指示が出ていた
・しかし現場ではアラーム後に対応するのが慣例になっていた
・女性は処置を怠ったことを恐れ、アラームが鳴っていたと虚偽の証言をしてしまう
その後の捜査では、女性の証言と、現場の状況との食い違いが明らかになります。そんな中、ある捜査一課の刑事が担当に加わったことで事態は大きく動きました。刑事は彼女に優しく接し、2か月間で23回もの任意の呼び出しを行い、わずか3通の調書だけを作成。女性はその間に、刑事に対して恋心を抱いてしまい、信頼と依存の感情が生まれてしまいます。
・女性は軽度の知的障害があり、気を引きたくて嘘をつく傾向があった
・彼女は刑事の言葉を信じ、自分が呼吸器のチューブを外したと虚偽の自白をする
・警察はそれをもとに、アラーム音を消すボタンを何度も押して証拠を消したというストーリーを組み立てた
2004年、女性は殺人容疑で逮捕され、2007年には懲役12年の判決が確定。一度は無罪を主張しようと決意しましたが、公判直前に刑事が接触し、「言う通りに書け」と命じられた手紙を書かされ、初公判では否認できなかったのです。
彼女の両親は娘の無実を信じて署名活動を続け、2012年、井戸謙一元裁判官が弁護士として再審請求を受けることになります。井戸弁護士は過去に原発訴訟で差止め判決を下したことで知られる人物で、この事件でも根拠を徹底的に検証しました。
・死亡した患者に見られた“酸素供給欠乏”の原因は不明であった
・解剖報告書の前提となる証言(呼吸器が外れていた)は、実はすでに覆されていた
・専門医の見解では、致死性不整脈の可能性が高いと判断された
こうした新証拠や証言により、再審が認められ、2020年に無罪が確定しました。彼女は懲役12年を終えて出所した直後でした。大津地裁は、取り調べにおける警察の誘導が疑われることや、供述の自発性に問題があることを認定し、警察の捜査手続きについても厳しく批判しました。
・捜査段階での供述誘導や密室取り調べの問題点が改めて浮き彫りになった
・女性は逮捕当時25歳で、出所した時には37歳に
・再審開始後、ようやく名誉回復がなされた
この事件は、好意や信頼が取り調べの中で悪用されると取り返しのつかない事態に発展する危険性を示したものであり、刑事手続きにおいて弁護士の立ち会いが重要であることも改めて問いかける結果となりました。冤罪という悲劇を二度と繰り返さないための、強い警鐘となる内容でした。
誹謗中傷から立ち上がったキャスターの決意
番組の最後に紹介されたのは、ストーカー被害を受けたことをきっかけにネット上で誹謗中傷に晒され、苦しみながらも立ち上がった女性キャスターの実話でした。女性は地方のスポーツキャスターとして注目されており、歌手活動も行っていた多才な人物でした。
仕事で知り合った男性と連絡先を交換した後、男性からの連絡は日に日に増え、1日100件を超える着信やメールが届くようになります。彼女はあくまで友人として接していたつもりでしたが、男性の執着心は想像を超えていました。やがてメールには脅迫的な内容が含まれるようになり、警察に相談。ストーカー規制法違反で男性は逮捕され、脅迫罪で罰金30万円が科されました。
しかし事件はここで終わりませんでした。ネット上では、加害者である男性を擁護し、女性を非難する書き込みが急増。名前や顔写真が晒され、彼女が虚偽の被害を訴えたという根拠のない噂が拡散していきました。
・男性は逮捕直前、自身のブログに「金を使い込まれた」「嘘をつかれた」などと投稿
・その投稿が「真実」として一部ユーザーに信じ込まれた
・ストーカー行為として認定されたのは14回の電話と3通のメールのみだったが、それが“女性側の過剰反応”と曲解された
誹謗中傷は日に日にエスカレートし、注文していない荷物の送り付けや、見知らぬ人が訪ねてくるといった嫌がらせも続きます。警察に相談しても、「コメントは見ない方がいい」としか言われず、彼女は社会的にも精神的にも追い詰められていきました。
そんなとき、自宅で荷物を整理していた彼女は、祖父の遺品の中から経本を発見します。祖父は天台宗の僧侶であり、その経本の一節に心を打たれた彼女は、自分の中にある怒りや恨みの感情を手放すことを決意します。そして彼女は、比叡山延暦寺で60日間の修行を受け、剃髪して僧侶となり、「高橋美清」という名を授かりました。
修行を終えた後、彼女は特定された執拗な誹謗中傷の投稿者と直接会う決断をします。相手は40代の公務員の男性で、両親とともに現れました。男性は「正義感から行動した」と述べ、ネット上の情報を信じたことを後悔していました。
・話し合いは約3時間に及び、彼女は「歪んだ正義感がどれだけ人を傷つけるか考えてほしい」と伝えた
・その後、彼女は告訴を取り下げることを決断し、男性は二度と同じ過ちを繰り返さないと約束
彼女は自宅を改装し、小さなお寺を開設しました。そこは今、同じように苦しむ人たちが訪れる癒しと相談の場となっています。
・相談に訪れる人々の悩みに耳を傾け、自分の経験を生かして支援
・「どこかによりどころがあったら、救われる人がいるかもしれない」と思い立っての決断だった
彼女は誹謗中傷により人生を大きく狂わされましたが、怒りや復讐ではなく、人を支える道を選んだことが、多くの視聴者の胸に響く内容でした。現代のネット社会において、正義という名のもとに行われる無責任な攻撃がどれだけ深い傷を残すのか、そしてその傷をどう乗り越えるのかを、静かに、けれど強く伝えるエピソードとなっていました。
まとめ
今回の放送では、それぞれの女性が極限の状況に置かれながらも、立ち上がり、前に進もうとする姿が描かれました。仰天するような出来事の裏には、人間の心の葛藤と強さがありました。視聴者の心にも深く残る2時間となりました。
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