100円寿司&チャーハンの人情物語
2025年6月17日放送の日本テレビ「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」では、驚きの100円グルメが登場しました。舞台は青森と茨城。それぞれに、人のあたたかさと“おいしい幸せ”がぎゅっと詰まったお店がありました。こだわりのチャーハンを無給で作り続ける男性と、48年間価格を変えずに寿司を握り続ける職人。どちらもお金では表せない価値がそこにありました。放送されたすべての内容をもとに、2つのお店の魅力をご紹介します。
青森市「中華そば 純」驚きの120円チャーハンと無料の惣菜&コーヒーを支える人情の味
青森市にある「中華そば 純」では、地元で育てられたこだわりのお米を使った120円のチャーハンが人気を集めています。使用するのは、青森県産の「青天の霹靂」と「はれわたり」をブレンドした特製米。このお米に、自家製の刻みチャーシュー、塩、コショウ、鶏ガラの粉末を加え、卵と一緒に香ばしく炒めます。さらに、チャーシューを煮たしょうゆダレを仕上げに加えることで、コクのある深い味わいに仕上がります。
このチャーハンは、ただ安いだけではありません。なんと、にぼし・昆布・しいたけといった惣菜が食べ放題で、コーヒーまで無料で提供されています。ラーメンも680円と手頃な価格で、「純ラーメン」や「こく味噌ラーメン」、「麻婆ラーメン」など、バリエーションも豊富です。ギョーザは200円、大盛りラーメンの追加料金もたった10円です。
・チャーハンの提供価格は白米と同じ120円
・チャーハン用の米は常時約1000kgをストック
・惣菜食べ放題&コーヒー無料で追加料金は一切なし
・ラーメン各種は680円、ギョーザ200円、大盛り追加10円
この店を運営しているのは、店主の須藤純子さん。彼女は、利益が出るかどうかよりも、お客さんにおいしいものを安く届けたいという想いで店を続けています。そんな純子さんを支えるのが、同級生であり共同生活者でもある加藤幸夫さんです。
加藤さんは毎朝5時から仕込みを始め、9時半には掃除をして、10時半からの営業に備えています。特に注目すべきは、10時から14時半まで無給でチャーハンを作り続けているという点です。今年に入ってからは一日も休まず、2分に1杯のペースでチャーハンを炒めています。
・加藤さんは午前10時~午後2時半まで無給で作業
・チャーハンは2分に1杯のペースで提供
・毎朝5時から仕込み、9時半に店の掃除、10時半営業開始
・今年に入ってから一度も休まず働いている
店では、地元の新聞にチャーシュー無料券が定期的に折り込まれることもあり、地域の人々への感謝の気持ちがサービスに込められています。加藤さんと純子さんは高校時代の同級生で、現在は一緒に暮らしてはいますが、食事は別々で、結婚もしていないと説明されています。
このお店の特徴は、安さや量以上に、料理に込められた真心と日々の努力が感じられるところです。毎日丁寧に仕込まれた自家製麺、手作りのチャーハン、清掃を欠かさない開店準備など、一つひとつの工程に心がこもっています。それらが重なって、ただの「安くてうまい店」ではない、「帰りたくなる味と空気」を作り出しています。
茨城・ひたちなか市「天狗鮨」48年間変わらぬ100円寿司に込めた職人の想い
茨城県ひたちなか市にある「天狗鮨」は、昭和52年から営業を続けている老舗の寿司店です。この店が注目された理由は、48年間ものあいだ価格を一度も変えずに、寿司を1皿100円で提供し続けていることにあります。店主の鈴木守夫さんが握るマグロ2貫も、タコ2貫も、しめさば2貫も、えんがわ1貫も、すべて100円。まるで時が止まったかのような価格設定に、思わず驚きの声があがります。
・マグロ(2貫)…100円
・タコ(2貫)…100円
・しめさば(2貫)…100円
・えんがわ(1貫)…100円
・昭和52年開業から48年間価格据え置き
この価格でありながら、寿司のクオリティには一切の妥協がありません。ネタは新鮮で、シャリとのバランスもよく、長年地域の人たちに親しまれてきた理由が一口で伝わります。握りのひとつひとつには、職人歴48年の確かな技術と、お客さんへの真心が詰まっています。
鈴木さんは、お客さんの食べ方や好みをよく見ており、握り方やサイズを自然に調整することもあります。そうした気配りが、特別な演出ではなく当たり前のように行われているところに、この店の本当の価値があります。テレビの取材時も、常連客とのやりとりは和やかで、地域に根ざした温かさがにじんでいました。
・店主・鈴木守夫さんが48年間握り続けている
・ネタの状態やシャリの硬さを、日によって調整
・地元の常連客との信頼関係がしっかり築かれている
・100円寿司へのこだわりに、迷いも打算もない
「なぜ100円にこだわるのか」と問われた鈴木さんは、「ずっとそうだから」と静かに答えました。その一言に、この店を支える信念と誇りが集約されています。時代が移り変わっても、天狗鮨のカウンターの向こうにあるのは、寿司を通じて人と人をつなぐ場所。お金では測れない価値を守り続けてきた鈴木さんの姿は、まさに“オモウマい店”という言葉にふさわしい存在です。
この店に足を運べば、昭和の空気をまとった木のカウンターに腰かけながら、100円とは思えない味わいと、変わらぬ笑顔に出会えます。特別なことは何ひとつしていないのに、どこか懐かしくてほっとする、そんな体験が「天狗鮨」にはあります。
人の手で守られる“おいしさ”と“想い”
今回の放送では、「儲け」や「効率」では測れない、“心が満たされる料理”が紹介されました。青森の「中華そば 純」も、茨城の「天狗鮨」も、ただ安いだけではなく、手間や思いを惜しまず込めて作られているのが伝わってきます。
チャーハンを2分に1杯のペースで炒め続ける加藤さん、48年間変わらぬ味を守る寿司職人の鈴木さん。その背景には、ただ「おいしいものを届けたい」という素直な想いがありました。
「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」は、そんな“人のぬくもり”を映す番組です。今回は特に、食べ物を通して感じられる人と人のつながり、そして食の力の大きさが胸に残る回となりました。次回の放送もまた、知られざる“オモウマい”出会いが待っているかもしれません。
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