山形で「ハム王」と呼ばれる佐竹大志の仕事
店の奥に並ぶのは、一般的な生ハムだけではありません。加熱・非加熱を含む多種多様な加工肉を自ら仕込み、イタリア各地で学んだ郷土料理とともに提供しているのが、IL COTECHINO(イル コテキーノ)の佐竹大志さんです。『ヒューマングルメンタリー オモウマい店「山形 三つ星出身!!スターシェフの100種超えイタリアンコース」(2026年8月11日放送)』でも、その徹底したハム作りが紹介されます。6年間のイタリア修業から山形での独立、現在の店の利用方法まで詳しく見ていきます。
この記事でわかること
- 佐竹大志さんの経歴と6年間のイタリア修業
- 山形でIL COTECHINOを始めた背景
- 自家製ハムに力を注ぐ理由と仕事ぶり
- IL COTECHINOの場所・料金・予約方法
山形の「ハム王」佐竹大志は何者なのか
佐竹大志さんは、山形県大江町出身の料理人で、山形市にあるイタリア郷土料理店、IL COTECHINO(イル コテキーノ)を営むシェフです。
経歴を簡単に追うと、専門学校の調理師科を卒業したあと、まず東京都内の複数のレストランで修業。2003年にイタリアへ渡り、そこから6年間にわたって現地の飲食店で経験を積みました。2009年に帰国後は再び都内のレストランでシェフを務め、2012年11月に山形でIL COTECHINOを開いています。
佐竹さんの特徴は、単に「イタリアで修業したシェフ」というところではありません。
イタリアで働いた店は、6州10軒。大衆食堂、高級レストラン、ピッツェリアと、店のタイプもさまざまでした。そこで地方料理だけでなく、ハムやソーセージをはじめとする伝統的な肉加工品の作り方にも触れています。
現在のIL COTECHINOも、公式に「イタリアの農村地域に受け継がれてきた伝統的技法の加工肉をすべて手作りしている郷土料理店」と掲げています。
つまり佐竹さんは、豪華なイタリア料理を見せるシェフというより、イタリアの地方で長く食べ継がれてきた料理と加工肉を山形で作り続けている職人と考えると分かりやすいでしょう。
「ハム王」という言葉だけを見ると少しコミカルですが、経歴を知るとかなり本格的です。
個人的には、ミシュラン星付き店で働いたこと以上に、大衆食堂からピッツェリアまで幅広く回っていることが佐竹さんらしさを表しているように感じます。
佐竹大志が6年間のイタリア修業で学んだこと
佐竹大志さんが2003年から過ごした6年間のイタリア生活では、トスカーナ州を皮切りに各地の飲食店を巡っています。
そこで学んだのが、イタリア地方料理と肉加工品です。
イタリア料理というと、日本ではパスタやピザをまず思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、本来のイタリア料理は地域による違いが非常に大きく、各地方に伝統料理があります。
佐竹さんが働いたのも、高級レストランだけではありません。
大衆食堂、ピッツェリア、地方料理を扱う店などを経験しています。だからこそ、現在の店でも「日本向けにアレンジしたイタリア料理」ではなく、イタリアの土地で食べられているような郷土料理を再現することを重視しています。
その中で特に佐竹さんを引きつけたのが加工肉でした。
ハム、サラミ、ソーセージなどは、単なる肉料理ではありません。
肉の部位、塩、スパイス、加熱方法、乾燥、温度、湿度、熟成期間などによって仕上がりが大きく変わります。
佐竹さんはイタリアでこうした伝統的な加工肉と出会い、帰国後も研究を続けてきました。現在は50種類以上の加工肉を仕込んでいると紹介された取材もあります。
たしかに、普通のレストランなら「メニューを増やす」方向へ行きそうですが、佐竹さんは逆です。
ひとつの分野を極端なほど掘り下げている。
ここがIL COTECHINOを普通のイタリアンと分けている最大のポイントです。
ミシュラン星付き店を巡った修業時代
佐竹大志さんのイタリア修業歴を見ると、かなり有名な店が並びます。
代表的なのが、ロンバルディア州のリストランテ・ダル・ペスカトーレです。当時ミシュラン3つ星として知られた名店で、佐竹さんはここでも勤務しています。
このほか、
- ラ・ペーカ:ミシュラン2つ星
- ラ・シリオーラ:ミシュラン1つ星
- クアトロ・パッシ:ミシュラン2つ星
- ピッツェリア・イ・ティッリ
などで働いた経歴が公式プロフィールに記されています。
ただ、ここで少し注意したいことがあります。
「ミシュラン3つ星のシェフ」と表現してしまうと、佐竹さん自身が3つ星を獲得したようにも聞こえてしまいます。
正確には、ミシュラン星付き店を含むイタリア各地の店で働き、修業した料理人です。
これは似ているようで意味が違います。
個人的には、この点はきちんと分けて理解しておきたいところです。
そして佐竹さんの場合、星付きレストランだけを巡ったわけではありません。
むしろ、大衆食堂やピッツェリアまで経験したことで、格式の高い料理だけではなく、地域の日常に根付く味まで学んでいます。
現在のIL COTECHINOが「高級イタリアン」というより、イタリア郷土料理と加工肉を楽しむ店になっている背景にも、この6年間がつながっています。
東京ではなく山形でIL COTECHINOを開いた理由
佐竹大志さんは2009年に帰国したあと、すぐ山形で独立したわけではありません。
まず東京都内のレストランでシェフとして働き、その後、2012年11月に山形でIL COTECHINOを開きました。
佐竹さん自身は山形県大江町の出身です。
過去の取材では、実家の畑で採れた野菜など、山形の食材を店の料理へ取り入れてきたことも紹介されています。
さらに後年の取材では、佐竹さんが山形への出店について、結果として地域を選んだことを肯定的に振り返っています。
ここで重要なのは、
「東京では成功できなかったから山形へ戻った」
という話ではないことです。
イタリアで身につけた地方料理や加工肉の技術を、出身地である山形に持ち帰り、地元の素材と組み合わせながら店を育ててきた、という流れです。
2012年の開店後も試行錯誤は続きました。
特にハム作りでは温度や湿度の管理に苦労し、設備投資を重ねて品質を安定させています。2018年ごろには管理環境が整い、安定して加工肉を作れるようになったと紹介されています。
そして同じ2018年、佐竹さんは料理の方向性をさらに絞り込みました。
魚料理をコースから外し、ハムを中心とした肉と野菜の料理へ特化していったのです。
結果的に、この決断がIL COTECHINOの個性をよりはっきりさせました。
個人的には、ここが佐竹さんの大きな転機だったと感じます。
何でもできる店を目指すのではなく、
「自分が最も強いものは何か」を決めた。
その答えがハムだったわけです。
10年熟成生ハムと膨大な加工肉を作る仕事
2026年8月11日の放送予定内容では、IL COTECHINOの加工肉について、「究極の10年熟成」「100種超えイタリアンコース」「500gハム&パニーニ」などが紹介される予定です。
10年。
食品の熟成期間として考えると、かなり長い時間です。
ただし、すべての生ハムを10年間熟成させるという意味ではありません。
加工肉の種類によって製法も熟成期間も異なり、短期間で完成するものから年単位で寝かせるものまであります。
IL COTECHINOでは、加熱タイプと非加熱タイプの加工肉があり、過去の取材では常時40種類以上、別の取材では50種類以上を仕込んでいると紹介されています。
店の公式サイトでも、加工肉をすべて手作りしていることが明記されています。
ハムと聞くと、どうしても「豚肉を塩漬けして熟成させたもの」というひとつの料理を想像しがちです。
実際には、
- 加熱するか、しないか
- 肉のどの部位を使うか
- ミンチにするか、塊のまま使うか
- どんな香辛料を合わせるか
- どれくらい乾燥・熟成するか
によってまったく別の加工肉になります。
そのためIL COTECHINOのハム盛り合わせでは、一皿の中でも香り、脂、食感、塩味がそれぞれ違います。
過去の取材では、加熱タイプだけでも17種類が紹介されたことがあります。
「ハムを50種類以上作る」と聞くと、数のインパクトに目を奪われます。
でも個人的には、本当にすごいのは数そのものより、それぞれ違う工程を管理し続ける必要があることだと思います。
ハムは仕込んだその日に完成する料理ではありません。
今日の仕事の結果を食べるのが数カ月後、あるいは数年後になるものもある。
普通の料理とは時間の感覚そのものが違います。
深夜まで続く仕込みと佐竹大志のこだわり
IL COTECHINOの料理が特徴的なのは、営業中だけを見ても分からない部分です。
過去の密着取材では、日付が変わった深夜から仕込みを始める佐竹さんの様子が紹介されています。
レストラン営業中は、お客さんへ料理を出す。
閉店後は、次の日、数週間後、数カ月後、さらにその先で提供する加工肉を仕込む。
この積み重ねによって店が成り立っています。
特に加工肉では、仕込んでからすぐ結果が分かりません。
温度や湿度を管理しながら、乾燥や熟成の進み方を見なければならないからです。
佐竹さん自身も開業当初からすべて順調だったわけではなく、試行錯誤を重ね、設備を整えることで品質を安定させていきました。
店内には大型のショーケースだけでなく、複数の冷蔵設備が設置され、温度と湿度を管理しながら加工肉を熟成させています。
そして佐竹さんは、厨房を一人で切り盛りすることもあります。
過去の密着では、満席の営業をこなせる背景に、営業前後の大量の仕込みがあることが紹介されました。
華やかな料理写真だけを見ると「変わったハムがたくさん食べられる店」と感じます。
でも、その裏側を知ると見え方が変わります。
数年前から準備している食材が、ある日の一皿になる。
たしかにこれは、普通のレストランとはかなり違う仕事です。
IL COTECHINOでは何が食べられるのか
IL COTECHINOは、一般的な「パスタを1皿注文するイタリアン」とは少し違います。
2026年8月9日時点の公式案内では、料理は5,990円(税込)のコースのみです。仕入れやメニュー変更によって価格が多少変わる場合があります。さらに席料として660円(税込)が必要です。
中心となるのは、もちろん自家製加工肉。
ただし店自体はハム専門の販売店ではなく、イタリア郷土料理をナチュラルワインと一緒に楽しむ飲食店です。
行く前に知っておきたいのが、テイクアウトや地方発送を行っていないことです。
つまり、
「テレビで見た生ハムを通販で買いたい」
と思っても、現在の公式案内では対応していません。
ここは実際に気になる人が多そうです。
佐竹さんの加工肉は熟成状態や温度、切るタイミングも含めて提供される料理です。
そのため、基本的には山形の店へ行って味わうものと考えておいた方がよいでしょう。
IL COTECHINOの場所・予約方法
IL COTECHINOは、山形県山形市にあります。
2026年8月9日時点の店舗情報は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | IL COTECHINO(イル コテキーノ) |
| 住所 | 山形県山形市あこや町2丁目1-28 |
| 営業時間 | 18:00〜23:00 |
| ラストオーダー | 22:00 |
| 定休日 | 水曜日・木曜日 |
| 料理 | 5,990円(税込)のコースのみ |
| 席料 | 660円(税込) |
| 予約方法 | 電話のみ |
| 予約受付 | 16:00〜24:00 |
| 予約開始 | 希望日の1カ月前から |
| 入店時間 | 19:45まで |
| テイクアウト | なし |
| 地方発送 | なし |
さらに、公式案内では2026年9月から当面の間、火曜日も休業するとしています。
予約で特に注意したいのは、ネット予約ではなく電話のみという点です。
予約は希望日の1カ月前から受け付けています。前日のキャンセルはコース料金の50%、当日は100%のキャンセル料が設定されています。
これは加工肉やコース料理に長い仕込み時間が必要な店だからこそのルールでもあります。
実際に行くなら、価格や営業日だけでなく、
予約開始日
休業日の変更
入店可能時間
まで確認しておきたいところです。
テレビ放送後は予約が集中する可能性もあるため、訪問前には最新の営業案内を確認するのが安心です。
「イル コテキーノ」という店名にもハムへの思いが表れている
店名のCotechino(コテキーノ)は、イタリア・モデナなどで知られる伝統的な加工肉の名前です。
つまり佐竹さんは、店名そのものに肉加工文化を掲げています。
これは後からハムが人気になった店とは少し違います。
開業時から、イタリア地方料理と加工肉への関心が店の中心にあったことが分かります。
ただし、現在のような「ハムに特化した店」として完成するまでには時間がかかっています。
温湿度管理の設備を整え、加工肉の品質を安定させ、2018年には魚料理を外して肉と野菜を中心にする方向へ切り替えました。
店名に掲げたテーマを、開業後何年もかけて実際の店の強みに育ててきたわけです。
個人的には、この過程が面白いところだと思います。
最初から「ハム王」だったわけではありません。
試して、失敗し、設備を変え、料理を絞り込み、ようやく現在の形になった。
職人の店らしさを感じます。
放送前に分かっている「ハム王」佐竹大志の現在
2026年8月9日時点では、8月11日の放送前です。
そのため、「放送後に分かった新事実」についてはまだ書くことができません。
現時点で確認できる佐竹大志さんの現在は、山形市あこや町のIL COTECHINOで、イタリアの伝統的技法を使った加工肉と地方料理を提供し続けているという状況です。
番組では、
10年熟成の生ハム
500gのハム
100種類超えのコース
バナナ、バタフライピー、イカ墨などを使った彩りのある加工肉
といった内容が予告されています。
ここで放送後に確認したいのは、単に「何種類出たか」ではありません。
10年熟成のハムをいつ仕込んだのか。
なぜそこまで長く熟成させるのか。
現在どれくらいの種類を仕込んでいるのか。
一日の仕事がどのような流れになっているのか。
そして佐竹さん自身が、現在の店を今後どのようにしていきたいと考えているのか。
このあたりが分かると、「ハム王」という印象的な呼び名の裏側にある仕事がさらに見えてきます。
佐竹大志さんの経歴を追ってみると、6年間イタリアへ行ったことや星付きレストランで働いたことだけがすごいわけではありません。
むしろ大切なのは、そこで見つけた加工肉という自分の武器を、帰国後も何年も磨き続けていることでしょう。
東京ではなく故郷の山形へ戻り、温度や湿度の管理に試行錯誤しながら、店の料理までハム中心に変えていった。
その積み重ねが、現在のIL COTECHINOにつながっています。
「ハム王」という言葉から興味を持った人も、そこまで知ると、店に並ぶ一枚の生ハムの見え方が少し変わるのではないでしょうか。


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