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江淵鏡台店の遊山箱を復活させた江淵達人と3代目・江淵政男、釘を使わない指物技術【一志相伝】

職人・伝統技術

江淵鏡台店が復活させた徳島の遊山箱と、親子で受け継ぐ木工技術

2026年10月8日放送のABCテレビ「一志相伝〜受け継がれる職人の心〜」に登場するのが、徳島市の江淵鏡台店です。2代目の江淵達人さんと3代目の江淵政男さんが、徳島に古くから伝わる「遊山箱(ゆさんばこ)」と、鏡台づくりから受け継いできた木工技術を守っています。

遊山箱は、子どもたちが春の節句などに料理やお菓子を詰めて野山へ出かける際に使った、小さな3段重ねの木製弁当箱です。一度は姿を消しかけた徳島独特の文化を、江淵達人さんたちが木工職人の技を生かして現代によみがえらせました。

この記事でわかること

  • 江淵鏡台店と2代目・江淵達人さん、3代目・江淵政男さんの関係
  • 徳島の遊山箱がどんな道具なのか
  • 一度途絶えた遊山箱を復活させた背景
  • 遊山箱の購入方法や江淵鏡台店での体験情報

江淵鏡台店は2代目・江淵達人と3代目・江淵政男が技をつなぐ木工所

出典:江淵鏡台店公式サイト

江淵鏡台店は、徳島市末広に工房を構える木工所です。前身の「江淵木工所」は初代・江淵栄さんが昭和初期に始め、白木の鏡台用木地などを製作してきました。1972年、2代目の江淵達人さんが有限会社江淵鏡台店へ発展させています。

徳島の家具産業では工程ごとに仕事を分ける分業も行われてきましたが、江淵鏡台店では木地づくりから塗装、仕立てまでを一貫して手掛ける体制を整えました。

現在につながる大きな特徴が、釘を使わず木を組み合わせる伝統的な「指物技術」です。木材に突起となる「ほぞ」と、それを受ける「ほぞ穴」を加工し、木と木を精密に合わせて組み上げます。

「一志相伝」では、2代目の江淵達人さんと3代目の江淵政男さんが職人親子として紹介されます。政男さんは江淵鏡台店で専務取締役を務め、3代目として木工技術を受け継いでいます。

遊山箱は徳島の子どもたちが使った3段重ねの小さな弁当箱

遊山箱は、現在でいう一般的な重箱とは少し違います。

外側には持ち手の付いた木箱があり、その中に小さな3段の重箱が収まっています。かつて徳島では桃の節句などになると、子どもたちが巻き寿司や煮物、ういろうなどを詰めてもらい、遊山箱を手に野山や海へ出かけていました。

徳島県も遊山箱について、野山への行楽や雛まつりの弁当箱として使われ、大正から昭和戦前期には広く家庭で愛用されていた文化と紹介しています。

徳島は古くから木材と木工技術が発達した地域です。阿波藩の水軍を支えた船大工の高度な加工技術も受け継がれ、その技術が徳島の家具や木工文化につながってきました。

つまり遊山箱は単なるかわいい弁当箱ではありません。

徳島の木工技術と、子どもの成長を願う家族の文化が一つになった生活道具でした。

消えかけた遊山箱を江淵達人が木工職人の技で復活

生活様式が変わるにつれ、遊山箱を持って出かける風習は次第に見られなくなりました。

ABCテレビは、かつて途絶えた徳島特有の遊山箱文化を、江淵達人さんが復活させたと紹介しています。江淵鏡台店では2006年から遊山箱の製作に取り組み、鏡台づくりで培った指物や塗装の技術を小さな箱へ生かしてきました。

遊山箱を作るうえで重要になるのが、木材を正確に加工する技術です。

江淵鏡台店では、

  • 釘を使わず木材を組み上げる指物技術
  • ほぞとほぞ穴を隙間なく合わせる加工
  • 木目を生かす木工技術
  • 希望する色合いを再現する「後塗り」

など、長年の家具づくりで蓄積してきた技を使っています。

大きな鏡台を作ってきた職人の技を、手に提げられるほど小さな遊山箱へ凝縮しているところが、江淵鏡台店ならではの特徴です。

江淵達人は徳島県「阿波の名工」に選ばれた木工職人

江淵達人さんは、長年の木工技術を評価され、2024年度に徳島県の卓越技能者「阿波の名工」に選ばれています。

阿波の名工は、優れた技能を持つ職人を徳島県が表彰する制度です。江淵さんの職種は「木製家具製造工」とされています。

江淵鏡台店は鏡台だけを作り続けてきたわけではありません。

時代とともに鏡台の需要が変化する中で、家具の修理、仏壇、遊山箱、オリジナル三面鏡などへ仕事を広げながら、木を加工する根本の技術を残してきました。公式オンラインショップでも、伝統技術を現代の暮らしに取り入れる商品を展開しています。

3代目・政男さんへ技術が受け継がれていることも重要です。残すべきものをそのまま保存するだけではなく、現代の生活で再び使われる製品へ変えていくことが、江淵家のものづくりにつながっています。

遊山箱は現在も通販で購入できる

江淵鏡台店の遊山箱は、公式オンラインショップから購入できます。商品は職人が木を選び、一つずつ製作する受注生産が基本です。

2026年10月時点で公式ショップに掲載されている主な商品には、

  • オリジナル遊山箱:22,000円
  • 藍染遊山箱:27,500円
  • 遊山箱文化保存協会監修「おひとりさまおせち遊山箱と折敷のセット・杉」:33,000円

などがあります。販売状況や納期は変わるため、注文時に公式ショップで確認するのが確実です。

現在の遊山箱は弁当箱だけに用途を限定していません。小物入れやインテリアとして使われるほか、正月のおせちを一人分ずつ盛り付ける商品など、現代の食卓に合わせた使い方も生まれています。

江淵鏡台店では遊山箱の絵付け体験もできる

遊山箱を実際に作る文化に触れたい人向けに、江淵鏡台店では絵付け体験も案内されています。

徳島県観光情報サイト「阿波ナビ」に掲載されている情報は次の通りです。

  • 所在地:徳島県徳島市末広1丁目1-40
  • 営業時間:9:00〜18:00
  • 休業日:日曜日・祝日
  • 遊山箱体験:4,000円
  • 絵付け体験:約3〜4時間
  • 予約:1日前まで
  • 対応人数:1〜10人
  • アクセス:JR阿波富田駅から約1.4km
  • 駐車場:あり

体験料金などは変更される場合があるため、予約時には最新情報を確認してください。

まとめ

江淵鏡台店の遊山箱は、昔ながらの工芸品を単に再現したものではありません。

かつて徳島の子どもたちの日常にあった遊山の文化が消えかける中、2代目・江淵達人さんが鏡台職人として培ってきた指物技術を生かし、遊山箱を再び作り始めました。そして現在は、3代目・江淵政男さんへ木工の技と仕事が受け継がれています。

大きな鏡台づくりで磨いた技術が、小さな3段重ねの箱の中に残っている。その遊山箱が通販商品や絵付け体験などを通じて再び暮らしの中へ戻っているところに、江淵鏡台店のものづくりの面白さがあります。

参考リンク

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