犬のしつけ神テク&富士山ギネス記録挑戦
2025年6月14日放送の『オー!マイゴッド!私だけの神様、教えます』では、小泉孝太郎さんとヒロミさんが、愛犬家やマラソン愛好家たちから“神様”と称えられる人物たちのスゴ技に触れる内容でした。番組では、58年のキャリアを持つ犬の訓練士と、富士山を舞台に驚異的な記録を打ち立てたトレイルランナーに密着しました。犬との信頼関係を深めたい方や、限界に挑むアスリートの姿に心を動かされたい方にとって、見ごたえある内容でした。
訓練士歴58年の“神”が伝える愛犬との関係づくりのコツ
東京・有明で紹介されたのは、埼玉県所沢市で長年活動している犬の訓練士・幸松えみ子さんです。1960年代の高度経済成長期、ペットブームが広がる中で、しつけの重要性に着目し、家庭犬の訓練技術を学び始めました。1975年には独立し、現在までに1000頭以上の犬を指導してきた豊富な実績を持っています。
訓練の現場は、テニスコート3面分の広大な広場。ここで、初心者からベテランの飼い主まで、さまざまなレベルのしつけ教室を実施しています。実演にはゴールデン・レトリーバーやボーダー・コリー、ワイマラナーなど、性格もサイズも異なる多彩な犬種が登場し、柔軟な対応力が求められていることがよく分かります。
とくに注目されたのは、日常生活で困りがちな行動に対する実践的かつ具体的な対処法です。
・無駄吠えへの対応として、吠えている最中に飼い主が犬から離れることで、「吠えても相手にされない」と犬に理解させます
・逃げ回る犬は、追いかけるのではなく、あえて立ち止まり、犬が自分から戻ってくるのを待つことが大事です。追う行動が習慣化すると、犬は逃げる遊びだと勘違いします
・ボールを返さない犬には、「持ってきたらまた遊べる」と思わせるようなタイミングでごほうびやリアクションを与えます
・大型犬のコントロールには、ハーネスよりも首輪を使い、リードにはたるみを持たせることで、「引っ張られない限り自由でいられる」と犬に感じさせます。これにより、犬の意識がリードに集中しすぎず、自然な落ち着きが生まれます
幸松さんの訓練では、「怒鳴る」「叩く」といった強制的な方法は一切使われず、犬の気持ちを読み取ることが重視されています。犬が不安や興奮で行動しているのか、それとも遊びと勘違いしているのかなど、行動の背景を見極めて対応を変えることが求められます。
このようなしつけは、すぐに効果が出るものではありません。しかし、日々の積み重ねが犬との信頼関係を築き上げていくことに繋がると紹介されていました。犬が言うことを聞かないと悩んでいる飼い主にとって、諦めない姿勢と観察力の大切さが強く伝わる内容でした。
愛犬との絆を育てるドッグダンスの魅力
しつけだけにとどまらず、犬とのコミュニケーションを楽しむ方法として紹介されたのが「ドッグダンス」です。幸松えみ子さんは、2002年に本場イギリスでドッグダンスの競技会を見てその魅力に惹かれ、2004年には日本で初めてとなるドッグダンス競技会を主催しました。犬と飼い主が音楽に合わせて息をそろえながら演技を披露するこの競技は、しつけだけでは見られない犬の表情や感情を引き出すことができる点が特徴です。
今回、山梨県の山中湖村で行われた大会には、全国から60組のペアが出場。評価基準は「芸術性」「動作の正確さ」「犬と飼い主の一体感」に加え、テーマ・衣装・小道具の使い方も審査対象となります。演技時間は4分以内に設定されており、限られた時間でいかに完成度の高いステージを見せるかが問われます。
・優勝したのは、「オペラ座の怪人」の世界観を表現した星野さんと愛犬カイくんのペア
・衣装や演出も凝っており、観客の視線をくぎづけにした演技で高得点を獲得
・採点方法は減点方式で、ミスがあるごとに点数が引かれていくルール
・年齢制限がないため、高齢の犬も参加可能であることが大きな魅力
また番組では、幸松さんと白毛の愛犬スノーホワイトによる模範演技も披露され、足の間をくぐったり、ターンを決めたりといった基本技をテンポよく展開。音楽に合わせた動きは、まさに息の合ったコンビネーションでした。
さらに小泉孝太郎さんとヒロミさんも実際にドッグダンスに挑戦。初めてとは思えないほどリズムに乗った動きを見せ、犬との一体感を楽しむ様子が印象的でした。体を動かしながら犬との信頼関係を深められるこの競技は、運動不足の解消やストレス発散、そして老犬の健康維持にもつながるとして、今後さらに注目される活動になりそうです。
飼い主が直面するしつけの悩みとその対策
幸松えみ子さんが語った、飼い主が特に苦労する犬のしつけランキングは次の3つです。どれも日常生活に直結するため、多くの飼い主が共感する内容でした。
1位はトイレのしつけです。子犬のうちは失敗が多く、根気が必要とされます。成功のコツは、トイレのタイミングを見逃さず、成功したときにすぐに褒めてあげること。叱るのではなく、成功体験を積み重ねて覚えさせることが大切だと紹介されました。
2位は無駄吠え。来客時や散歩中など、予想外の場面で吠えてしまう犬に困る飼い主は少なくありません。この対処法として、吠えたときに距離を取ることが効果的。犬に「吠えても相手にされない」と理解させることで、徐々に吠える回数が減っていくそうです。
3位は歯磨きです。口の中に手を入れられるのを嫌がる犬が多く、うまく磨けずに悩む飼い主も多いとのこと。ここで紹介された対策が非常に実践的でした。
・犬を台の上に乗せて磨くことで、動きを制限しつつ落ち着かせる
・歯ブラシにペースト状のエサを少し塗ることで、歯磨きが嫌な時間ではなく「おいしいご褒美の時間」に変わる
・磨く前に顔まわりを優しく触れる習慣をつけ、口周辺への抵抗感を減らしていく
これらの方法は、力づくでなく犬の気持ちに寄り添ったアプローチであることが特徴です。しつけは飼い主側にも工夫と継続が求められますが、犬の立場に立って考える姿勢が信頼関係を深める第一歩であると改めて感じさせられる内容でした。
下北沢から世界へ トレイル界の“神”が語る走りの極意
番組後半で紹介されたのは、世界の舞台で活躍するトレイルランナー・上田瑠偉さん。東京都下北沢を拠点に活動しながら、国内外の大会で実績を重ねてきたトップアスリートです。2019年には、アジア人として初めて年間チャンピオンに輝く快挙を達成し、世界からも「トレイル界の神」と称される存在となりました。
とくに高く評価されているのが、「下り」のスピード。トレイルランでは登り以上に下りの技術が問われますが、上田さんはその場面で圧倒的なスピードと安定感を発揮します。その秘訣は、体の使い方にありました。
・脱力することが大切と解説
・地面を押すのではなく、体を自然に預けるように落とす感覚で走る
・腕や脚に余分な力を入れず、リズムよく足を置いていくことが転倒を防ぐポイント
この「力を抜いて走る」という方法は、一般のランナーにとっては意外に思えるかもしれません。しかし、スピードと安全性を両立させるうえで欠かせない技術であると、映像を交えて丁寧に紹介されました。
また、上田さんは日常的にトレイルだけでなく、街中や階段、公園の斜面なども活用して練習を重ねており、“特別な環境がなくても強くなれる”という姿勢を持っている点も印象的でした。トップアスリートでありながら、誰にでも実践できる工夫を取り入れていることが、神様と呼ばれる理由のひとつです。
富士山一筆書き挑戦で世界記録に到達した“神”の走り
2022年7月、上田瑠偉さんが挑んだのは、「富士山一筆書き」と名付けられた前人未踏のチャレンジです。その内容は、富士山5合目から山頂までを1日で4往復するという、まさに人間の限界に挑むものでした。
この挑戦では、次のような条件が課せられていました。
・総距離:約57.06km
・累積標高差:6772m(東京スカイツリー約18本分に相当)
・制限時間:24時間以内
コースは急斜面や砂利道、標高による気圧や酸素量の変化など、走るには過酷すぎる環境。それでも上田さんは、9時間55分41秒で全行程を走破し、見事ギネス世界記録として認定されました。
この記録のすごさは、単に距離や時間の数字だけでは伝えきれません。富士山の登山道は場所によって足場が悪く、登りでは体力の消耗が激しく、下りでは関節への負担が大きくなります。そのすべてを、わずか10時間足らずで繰り返したという事実に、見る人の誰もが圧倒されました。
スタジオでは、ヒロミさんが自身の山でのトライアスロン体験を思い出し、「死ぬかと思った」と語る場面もありました。それほどまでにこの挑戦が過酷で、想像を超えるスケールのものであったことを物語っています。
この挑戦は、単なるスポーツの記録ではなく、「どこまで自分を高められるか」という自分自身との対話でもあったと伝わってきます。極限状態の中でも前に進む精神力と、長年積み重ねてきた技術が融合して初めて成し得た偉業だといえます。
おわりに
今回は“しつけの神”と“走りの神”という、まったく異なるジャンルで活躍する2人の神様が登場しました。共通していたのは、長年積み重ねた経験と努力、そして“相手をよく見る目”。犬と向き合うことも、山と向き合うことも、基本は「相手を理解すること」だと感じさせられる回でした。
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