ゴマ油の香りと秋の空気に包まれる“中央線ぶらり旅”の魅力を深く味わう
2025年11月15日放送の「ぶらり途中下車の旅」は、秋の澄んだ空気の中で中央線沿線を歩き、アートや歴史、そして新しい食のスタイルに触れる贅沢な内容でした。旅人は舞の海さん。
何気ない駅で降り立つことで出会える小さな発見や、東京という都市の奥深さを感じさせてくれる回で、どのエピソードも“知的な楽しさ”と“おいしい出会い”が共存しているのが印象的でした。この記事では、番組で紹介されたすべてのスポットやメニューを、背景や魅力と一緒に丁寧に紹介していきます。読み終える頃には、実際に歩いてみたくなる中央線の新しい顔が見えてくるはずです。
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京橋から始まる旅『HOKUSAI-ぜんぶ、北斎のしわざでした。展』で江戸の息吹を感じる
旅の冒頭に触れられたのが、京橋で開催中の『HOKUSAI-ぜんぶ、北斎のしわざでした。展』。会場には、浦上満さんのコレクションから厳選された作品が並び、北斎漫画、『富嶽百景』、『新編水滸画伝』、『椿説弓張月』など、江戸文化を象徴する名作が紹介されました。
北斎の筆が残した“遊び心”や“観察力”、さらには「江戸の息吹そのまま」とも言える線の勢いが、そのまま現代に蘇るような構成。会場では、北斎の世界に没入する体験ができ、30日まで開催中と案内されました。短い紹介ながら、この展示が持つ文化的な厚みがしっかり伝わってきます。
中野駅で途中下車『and K cafe』の“秋限定スイーツ”が放つ驚きの深み
中央線に揺られ、舞の海さんが最初に途中下車したのは中野駅。駅から歩く途中、象徴的な建物である中野サンプラザが登場し、街の雰囲気を味わいながら向かったのが、カフェand K cafeでした。
このカフェは、美容院Hair Space かをりの待合室をリノベーションして作られたユニークな空間。こじんまりしながらも温かみがあり、まるで隠れ家のような落ち着いた雰囲気です。
ここで紹介されたのが『あんバタープリントースト(ドリンク付)』。
甘いあんことバターという定番の組み合わせに、なんとゴマ油をひとまわしかけるという斬新な食べ方。舞の海さんはひと口食べると、「香りが広がって新しいおいしさ」と驚きの表情。あんこの甘さにゴマ油の香ばしさと深みが加わり、秋の季節にぴったりの“あったかスイーツ”として大きな存在感を放っていました。
中央線の途中下車でこんな新しい味に出会えるのも、この番組の魅力のひとつです。
中野のカルチャーを象徴する『Wanda Shop』の個性豊かな世界
同じ中野で次に訪れたのが、アートとドールの世界をぎゅっと詰め込んだWanda Shop。
店内には、クリス ハッピーを筆頭に『シャットー』『バブルダスク』『アッシュ』『パロ』『ムンポロン』『ジューヌミナ』『ウソーダ』『ミラル』『ミライユ』『ラーリュー』『リユー』『セラ』など、独特の名前を持つキャラクターが並びます。どれもデザインの方向性が明確で、作り手の世界観が強く表れている作品ばかり。
この世界を創っているのは、KENZOさんと斎藤亜弓さん。中野特有の“サブカルチャーの奥深さ”をそのまま体現したようなショップで、歩いて立ち寄るだけで時間が一気にゆっくり流れるような感覚がありました。
歴史の静けさを感じる『荻外荘公園』で荻窪の時間を味わう
次の途中下車は荻窪駅。ここで訪れたのが荻外荘公園です。
この場所は、かつて近衞文麿が暮らした邸宅跡であり、戦後史に残る「荻窪会談」の舞台にもなった場所。地域の要望に応えて杉並区が公園として整備し、静かな緑の中に歴史の重みが息づいています。
石畳や庭の配置などに旧邸宅の名残があり、歩いていると時代の流れがそっと重なるような雰囲気が漂います。中央線沿線には、こうした“歴史の空洞”のような空間が突然現れるのが面白いところです。
立川で出会う“看板のない店”の正体は木の化石『珪化木』専門店
さらに旅は進み、立川駅で途中下車。駅周辺ではアリーナ立川立飛で大相撲の巡業が開催されにぎわっていました。その中で、舞の海さんが気になる店を見つけます。しかし看板がありません。
実はそこは、知る人ぞ知る珪化木(けいかぼく)専門店。火山地帯の地層の中でゆっくりと木が石へと変わっていく自然の奇跡を、そのままインテリアとして扱う店でした。
店主は、学生時代にヨーロッパで珪化木の家具に出会い魅了された峯岸さん。昨年、地元にOAK Petrified Woodをオープンさせました。
店内には、自然の模様が残るスツール、重厚感のあるシンク、アクセサリートレー、ブックエンドなど、ひとつ置くだけで部屋の空気を変えてしまうような力を持った作品が並んでいます。
木でもあり、石でもあるという独特の存在感は、自然が生み出したアートとも言えるもの。舞の海さんも、時間が生んだ造形に見入っていました。
白寿真鯛0の進化形!『鯛めし 紅坂』で出会った濃厚だし茶漬けと熟成の旨み
最後の途中下車も立川駅周辺。ここで舞の海さんが入ったのが鯛めし 紅坂。店頭には「白寿真鯛0?」と気になる表記が出ており、足を止めたのがきっかけでした。
提供されているのは、ブランド真鯛白寿真鯛0。これは、水産資源を守る取り組みとして、動物性のエサを一切使わず、植物性タンパク質だけで育てられた真鯛。白は“白ごま”、0は“動物性ゼロ”の意味です。
最初に食べた鯛めしでは、舞の海さんが「コリコリじゃなくネットリした感じ。甘みが広がる」とコメント。熟成によって生まれる深みがあり、真鯛の新しい魅力をしっかりと感じられる味わいでした。
さらに鯛出汁を注いだ茶漬けでは、「この出汁も上手い。結構、濃厚。骨から旨味が出ているんだろうなっていう旨味」と感想を述べ、事実として番組内で紹介されました。だしの濃さと魚の甘みが合わさり、最高の〆として完璧な一杯が完成していました。
この店を立ち上げたのは、愛媛で水産洋食会社を経営する赤坂竜太郎さん。白寿真鯛0の価値を東京に広めたいという強い思いから、東京に出店したとのこと。調理を担当するのは、愛媛で45年続いた寿司屋を閉じて挑戦を共にする宇都宮大輔さん。夜には『熟成白寿真鯛0のお造り』なども提供されており、こだわりを感じる料理づくりが印象的でした。
今日のぶらり旅がつないだ“街と人”の物語
今回の旅は、中央線の“いま”を感じるエピソードがぎっしり詰まっていました。
北斎の作品が持つ圧倒的な創造力、中野の新しいカフェ文化、個性豊かなアートショップ、歴史の静けさを宿す公園、そして自然が作り上げた木の化石。さらに、水産の未来を感じさせる新しい真鯛の育て方まで、どれも現代の東京が持つ多様な魅力を象徴しています。
舞の海さんの落ち着いた歩調に合わせて街を見ると、同じ中央線でもまったく違う姿が見えてくる――そんな旅の楽しさを、今回の放送は丁寧に伝えてくれました。あなたの次の“途中下車”が、今日の番組のどこかとつながるかもしれません。


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