台風に壊された相撲教室を年内に甦らせる挑戦
このページでは『ヒロミの大晦日リホーム(2025年12月31日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
千葉の海沿いの町で、台風によって使えなくなった相撲教室を、子どもたちのために年内完成を目指して作り直す。土俵、屋根、支度部屋、ちゃんこ場、シャワー、庭までを含めた、3か月に及ぶ大規模リフォームの全体像が見えてきます。
番組概要と舞台(千葉県館山市)
舞台は千葉県館山市です。
依頼を受けたのは、地域の子どもたちを中心に活動する安房相撲クラブ。結成からわずか数年という新しいクラブながら、すでに全国大会に出場する実力を持ち、地元でも期待を集めてきました。
ところが2025年9月、房総半島を直撃した台風によって状況は一変します。屋外に設置されていた土俵のテントが倒壊し、支柱は折れ、土俵そのものも安全に使えない状態になりました。以降、子どもたちは本来の稽古場を失い、砂浜や別の場所での練習を余儀なくされることになります。
相撲は、土の感触や足腰への負担の少なさが重要な競技です。土俵が使えないことは、技術面だけでなく体づくりにも大きな影響を与えていました。そんな中で浮上したのが、年末の生放送までに相撲教室を完成させるという前例のない計画です。
解体から始め、土俵を一から作り直し、さらに屋根や支度部屋まで整える。時間的にも規模的にも、誰もが無謀と感じる条件でした。それでも「子どもたちの練習環境を年内に取り戻したい」という思いが、この大プロジェクトを動かしていきます。
依頼の背景:台風被害で土俵が使えない
台風の強風によって、土俵を覆っていたテントの支柱が折れ、屋根は大きく傾きました。安全が確保できないため、土俵は使用禁止となり、相撲教室は事実上、活動の拠点を失います。
その後、子どもたちは自宅での筋力トレーニングや、足場の不安定な砂浜での練習を続けることになりました。しかし相撲は、土の柔らかさや踏み込みの感覚が重要な競技です。土俵を使えない状態では、すり足や四股、ぶつかり稽古といった基本動作を十分に行うことができませんでした。
また、砂浜での練習は足腰を鍛える一方で、体への負担も大きく、成長期の子どもたちにとって理想的な環境とは言えない面もありました。監督や保護者にとっても、早く安全な稽古場を取り戻したいという思いが強まっていきます。
今回のリフォームは、壊れた設備を元に戻すだけの工事ではありません。再び台風が来ても使い続けられるよう、風に耐える構造や安全性を高めた設計を取り入れた、台風に負けない相撲教室を作ることが大きなテーマとなりました。
土俵づくりの出発点:解体と撤去
最初の作業は、壊れた土俵の解体から始まりました。
いきなり重機を入れるのではなく、まず行われたのが塩と酒によるお清めです。相撲の場として使われてきた土俵に感謝を示し、区切りをつけてから作業に入ります。
お清めが終わると、いよいよショベルカーが投入され、土俵を少しずつ切り崩していきました。長年踏み固められてきた土は想像以上に硬く、簡単には崩れません。重機と人の手を使い分けながら、慎重に解体作業が進められました。
こうして運び出された土の量は、約30トン。トラックで何度も往復しなければならないほどの量で、土俵づくりがいかに大がかりなものかが分かります。
今回のリフォームでは、壊れた部分を残したまま手直しするのではなく、一度すべてを取り除くことを選びました。作る前に、まず完全にリセットする。その判断が、この後の大規模な土俵づくりと、台風に耐える構造へとつながっていきます。
最大の難所:岩盤と基礎工事
地面を掘り進めると、作業はすぐに硬い岩盤に阻まれます。
千葉県館山市は、町のあちこちで岩肌が露出していることで知られる地域で、今回の現場も例外ではありませんでした。スコップで掘れるのは表面だけで、わずか10センチ掘っただけでも、それ以上先に進めないほどの硬さが現れます。
通常の掘削では対応できないため、ここで投入されたのが油圧ブレーカーなどの重機です。ビルの解体にも使われる機械を使い、地中に埋まっていた巨大な岩や、重さのある庭石を一つずつ砕き、撤去していきました。人の手と重機を組み合わせた作業は想像以上に時間がかかり、現場はまさに岩との格闘になります。
岩盤の撤去が終わらなければ、次の工程には進めません。屋根を支えるためには、しっかりとした基礎工事が不可欠だからです。掘っては砕き、運び出す作業を繰り返し、気がつけば6日間が経過していました。
こうしてようやく、土俵の上に設置される屋根を支える基礎づくりに着手できる状態が整います。見えない地面の下で積み重ねられたこの工程が、後に完成する相撲教室の安全性と耐久性を支える土台となっていきます。
台風に負けない屋根・テント計画
新しい土俵に設けられる屋根には、風が抜ける構造の巨大テントが採用されました。
台風対策というと、頑丈に囲って風を防ぐイメージがありますが、ここで選ばれたのは真逆の発想です。風を止めるのではなく、逃がすことで、構造全体にかかる負担を減らし、壊れにくくする考え方が取り入れられました。
まず行われたのは、屋根を支える鉄骨の組み上げです。現場には大量の資材が運び込まれ、80本もの鉄骨を一本ずつ確認しながら組み立てていきました。高さと広さを確保しつつ、強風にも耐えられるよう、バランスを見極めながら作業が進みます。
骨組みが完成すると、次は屋根となるテント生地の設置です。使用された生地の重さは約150キロ。人の力だけでは簡単に扱えないため、複数人で息を合わせて引き上げ、慎重に固定していきました。
こうして完成した屋根は、雨や日差しを防ぐだけでなく、強い風が吹いても内部に圧力がこもらない構造になっています。台風でも壊れにくい相撲教室を目指した、この屋根づくりが、土俵全体を守る大きな役割を果たすことになります。
土俵の中身:土入れと締め固め
屋根を支える基礎工事が完成すると、いよいよ土俵そのものを作る工程に入ります。
基礎の上に投入された土の量は、実に50トン。ダンプトラックが何度も現場を行き来し、土俵づくりの規模の大きさがはっきりと伝わってきます。
使われたのは、荒川の土手から採取した『荒木田土』です。この土は、相撲の土俵に欠かせない素材として知られ、水分を含むことで粘りが生まれます。投入前には水を与え、踏み固めたときに崩れにくく、かつ足に優しい状態に整えられました。
土を入れ終えると、力士たちが総出で踏み固める作業が始まります。体重をかけて何度も踏み込み、均一な硬さになるよう調整していく重労働です。ここで力を発揮したのが、土俵づくりの専門家の存在でした。通常であれば数日かかる工程ですが、今回は時間の制約があるため、1日で仕上げるという厳しい条件のもとで作業が進められました。
土俵が形を成すと同時に、稽古に欠かせない設備も整えられていきます。打ち込みや体の使い方を確認するためのてっぽう柱、姿勢や動きを映してチェックできる鏡が設置され、ようやく本格的な稽古ができる環境が完成しました。
外壁・風よけ・安全への工夫
強風への備えとして、練習場の外側には新たな壁も設置されました。
館山市は海に近く、普段から風が強い地域です。屋根だけでなく、横から吹き込む風を和らげるための対策が欠かせませんでした。
壁に使われたのは、発泡素材を中心とした構造です。万が一、子どもたちが勢いよくぶつかってしまっても、衝撃を吸収しやすく、けがのリスクを抑えられる素材が選ばれています。安全性を最優先にしながら、練習に集中できる環境づくりが進められました。
また、壁で囲うことで起こりがちな圧迫感を減らすため、外壁には穴をあける工夫も取り入れられています。視線が抜け、風や光が適度に通ることで、閉じた印象にならない設計です。
こうした外壁づくりによって、強風から土俵を守りつつ、子どもたちがのびのびと体を動かせる安心できる練習場が完成しました。
築100年の古民家を支度部屋に
土俵のすぐ隣には、築100年を超える古民家が建っています。
これまで子どもたちは、この建物を着替えや待機場所として使ってきましたが、畳はすり切れ、室内は薄暗く蒸し暑い状態でした。低い垂れ壁や老朽化した床もあり、快適とは言えない環境だったのが実情です。
今回、この古民家を子どもたちの支度部屋として一から作り直すことになりました。まず行われたのは、畳の全撤去です。床下を確認すると、古い木材や傷みが目立ち、そのまま使うことはできませんでした。そこで床を一度解体し、根太から組み直す作業が進められます。
同時に、建物全体の安全性を高めるため、耐震性の高い壁も追加されました。古民家の味わいを残しながらも、子どもたちが毎日出入りする場所として、安心して使える構造へと整えられていきます。
内装は、古い木材の風合いや柱を活かしつつ、光を取り込みやすい設計に変更されました。窓まわりも手を入れられ、室内は見違えるほど明るく、風通しのよい空間へと変化します。
こうして、長い年月を重ねてきた古民家は、相撲教室に通う子どもたちのための使いやすく落ち着ける支度部屋として、新たな役割を担うことになりました。
収納・テーブル・照明の工夫
支度部屋には、まず大容量の収納棚が設置されました。
相撲の稽古では、まわしやタオル、着替え、練習道具など持ち物が多くなりがちです。これまでは置き場に困っていた道具も、まとめて整理できるようになり、出し入れのしやすさと管理のしやすさが大きく向上しました。
部屋の中心には、存在感のある一枚板のテーブルが置かれます。使われたのは、樹齢200年のトチノキ。長い年月を生きてきた木ならではの節や穴をそのまま活かし、そこにレジンを流し込むことで、世界に一つだけのテーブルが完成しました。木の欠けや穴を隠すのではなく、デザインとして取り込む発想が、この空間に特別な表情を与えています。
さらに、古民家に残されていた障子も新たな役割を担いました。傷んで使えなくなっていた障子は、形を変えて間接照明として再生されます。やわらかな光が室内に広がり、支度や待ち時間を落ち着いて過ごせる雰囲気が生まれました。
収納、テーブル、照明。それぞれが実用性だけでなく、和の趣を感じさせる要素として組み合わさり、支度部屋は「使う場所」であると同時に、子どもたちが自然と集まりたくなる居心地のよい空間へと仕上がっていきます。
離れの小屋をちゃんこ場に転換
これまで使われていなかった離れの小屋は、相撲教室に欠かせないちゃんこ場へと生まれ変わります。
元々は風呂場として使われていた建物で、昭和の施工方法によって浴槽まわりがモルタルで固められており、解体作業は簡単には進みませんでした。壁や床を少しずつ切り崩しながら、地道に撤去を重ねていく作業が続きます。
解体後は、建物を支える基礎部分の補強からスタートしました。火を使う場所になるため、安全面を考慮し、防火性の高い素材を使用して下地を整えていきます。屋根や壁には防水対策も施され、調理場として使える環境が整えられました。
内部には、複数人で同時に作業できる広さを確保し、換気扇とレンジフードを設置します。大量の鍋を使うちゃんこ作りでは、煙や熱がこもらないことが重要です。換気設備を充実させることで、長時間の調理でも快適に作業できる空間となりました。
こうして完成したちゃんこ場は、力士たちが大量調理を行える本格的な厨房です。稽古で体を動かした後、仲間と同じ場所で食事を囲む。そのための拠点として、相撲教室の新たな中心となる場所が整いました。
稽古後にうれしいシャワースペース
これまで稽古が終わると、子どもたちはホースの水で体についた泥を流すしかありませんでした。地面に水たまりができ、足元は滑りやすく、寒い時期や風の強い日には負担も大きい環境でした。
そこで今回、新たにシャワースペースが設けられました。稽古で思い切り体を動かし、泥だらけになってもすぐに洗い流せる場所を用意することが、大きな目的です。これにより、練習後の流れが大きく変わりました。
床に使われたのは、『ローラーストーン』という仕上げ材です。一見すると石のタイルのような見た目ですが、表面には細かな凹凸があり、滑りにくさがしっかり確保されています。水を使う場所でも足を取られにくく、裸足で使う相撲教室に適した素材です。
施工では、色を重ねながら塗り、ブラシで質感を出す工程が行われました。時間をかけて仕上げることで、コンクリートだった床は、和の雰囲気を感じさせる落ち着いた空間へと変わっていきます。
こうして完成したシャワースペースは、稽古後すぐに体を清潔にできるだけでなく、次の行動へ気持ちよく切り替えられる場所になりました。練習から生活までを支える設備として、相撲教室に欠かせない存在となっています。
98歳の住環境も同時に改善
相撲教室のために自宅を提供している98歳の家主の生活環境にも、しっかりと手が加えられました。
子どもたちの稽古場を支えてきた住まいだからこそ、日々の暮らしが安全であることが欠かせません。
まず整えられたのは玄関まわりです。段差のある出入り口にはスロープを設置し、足を高く上げなくても外に出られるようになりました。これにより、外出時の不安が大きく減ります。
室内の床材も見直されました。表面が滑りにくく、足裏で感触をつかみやすい素材に変更され、歩行時の安定感が高まっています。長年使われてきた床のきしみや段差も調整され、移動がスムーズになりました。
さらに、階段の角には丸みを持たせる加工が施されました。万が一つまずいた場合でも、体への衝撃をやわらげるための工夫です。手すりの位置や動線も確認され、日常生活の中で転倒のリスクを減らす設計が随所に取り入れられました。
相撲教室を支える場所としてだけでなく、家主自身が安心して暮らし続けられる住環境へ。こうした配慮が重なり、家と相撲教室の両方が、これから先も無理なく使い続けられる形へと整えられていきます。
水はけ改善で庭も稽古場に
岩盤の影響を受けていた庭は、雨が降るたびに水が溜まりやすい状態でした。表面だけを直しても根本的な解決にはならないため、まず行われたのが排水環境の見直しです。地中を確認すると、古い排水管の詰まりが見つかり、水の流れを妨げていました。
そこで排水管を清掃・調整し、水がスムーズに外へ流れるよう改善します。その上で、地表には透水性の高い舗装材が使われました。雨水が地面にしみ込みやすく、表面に残りにくい素材を選ぶことで、ぬかるみや水たまりができにくい構造になります。
仕上がった庭は、見た目だけでなく歩きやすさにも配慮されています。裸足で歩いても足裏に違和感が出にくく、相撲の稽古前後に外へ出る動線としても安心できる状態です。転びやすかった場所が減り、子どもたちも思いきり動ける空間になりました。
こうして庭は、単なる屋外スペースではなく、雨天後でも使える稽古環境へと変化しました。天候に左右されにくい場所が増えたことで、相撲教室全体の使い勝手も大きく向上しています。
助っ人27人の役割
今回のリフォームを支えたのは、27人にも及ぶ助っ人たちの存在でした。
限られた期間で完成させるという条件の中、専門業者だけではなく、多くの人の力が集められました。
現場では、重機を扱う作業を担う人、基礎工事を進める人、資材の運搬や片付けを担当する人など、役割が自然と分かれていきます。工事が長時間に及ぶ中で、現場を支えたのが料理の差し入れでした。温かい食事や飲み物が用意され、作業を続ける力につながっていきます。
仕上げの段階では、塗装や清掃、細かな調整など、最後のひと手間を担う助っ人も加わりました。ひとりひとりが自分にできることを見つけ、無駄のない動きで作業が進められていきます。
こうした助っ人たちの人数の多さは、そのままプロジェクトの規模と重みを表しています。多くの手が集まったからこそ、短期間でこれほどの工事を進めることができました。相撲教室は、技術だけでなく、人のつながりによって支えられていたことが伝わってきます。
完成お披露目と子どもたちの反応
すべての工事が終わり、完成した相撲教室を目の前にした子どもたちは、思わず声を上げました。
「土がやわらかくて踏みやすい」「前より練習しやすそう」。実際に土俵に立ち、足裏で感触を確かめながら、表情は自然と明るくなっていきます。
新しく整えられた土俵は、踏み込みやすさと安定感を兼ね備え、思い切った動きができる場所になりました。隣には、着替えや準備がしやすい支度部屋があり、稽古前後の動線もスムーズです。
稽古後には、仲間と食事を囲めるちゃんこ場が待っています。汗を流せるシャワースペースも備わり、泥だらけになってもすぐに体を整えられます。さらに、雨が降っても使いやすい庭が完成し、屋内外を含めた練習環境がひと続きにつながりました。
これらがそろったことで、「一時的に使える場所」ではなく、続けられる相撲環境が形になりました。日々の稽古、食事、休息までを一か所で完結できることは、子どもたちにとって大きな意味を持ちます。
3か月に及ぶ厳しい工事の末に完成したこの相撲教室は、単なる建物ではありません。ここで積み重ねられる稽古や時間が、これから先も子どもたちの成長と挑戦を支え続けていく場所となります。
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