夏の定番常備菜!山形の郷土料理「だし」を笠原流にアレンジして毎日の食卓に
2025年6月5日(水)放送のNHK『笠原将弘の料理のほそ道』では、夏にぴったりのさっぱり常備菜「山形のだし」が紹介されました。この「だし」は、山形県では昔から親しまれてきた郷土料理で、夏野菜をたっぷり使い、刻んで混ぜるだけの手軽さが特徴です。今回は、和食の名店「賛否両論」の店主・笠原将弘さんが家庭でも作りやすく、食べやすく、保存もしやすい形にアレンジ。冷蔵庫に入れておけば5日ほど日持ちするため、忙しい毎日にも便利です。炊きたてのご飯や冷たいそうめんにのせるだけで、食欲が落ちがちな夏でもおいしく食べられます。
材料(2〜3人分)と準備のポイント
今回使用する食材は、すべて身近な夏野菜ばかり。生で食べられるもの、火を通して食感が良くなるものがバランスよく含まれています。
-
きゅうり…1本(シャキッとした食感とみずみずしさが特徴)
-
オクラ…5本(ぬめりと彩りが加わり、だしには欠かせない野菜)
-
ナス…1本(しっかりアク抜きすることで、味なじみが良くなる)
-
新生姜…20g(香りがさわやかで、普通の生姜でも代用可)
-
みょうが…2個(夏の香味野菜の代表。さっぱりした風味をプラス)
-
大葉…5枚(香りづけと彩りを両立)
-
塩…少々(塩ずりと下ごしらえに)
-
醤油…少々(ナスの下味用)
-
昆布茶…約小さじ1(だしの旨味をプラスし、全体をまろやかに)
合わせ調味料(A)
-
醤油…大さじ4
-
酢…大さじ1(さっぱり感を加える)
-
みりん…大さじ1(甘みとコク)
-
砂糖…小さじ1(全体の味を丸くする)
野菜の切り方をそろえることで、見た目もきれいになり、食感のバランスも良くなります。
作り方とそれぞれの工程の意味
-
① きゅうりとオクラに塩をふって手で軽くこする「塩ずり」を行います。これによって表面の余分な水分や毛が取れ、味もしみやすくなります。オクラの表面の産毛もこの工程で除かれます。
-
② ナスはヘタを取り、5mm角ほどの大きさに刻みます。すぐに水に浸けてアクを抜き、変色を防ぎます。しっかり浸すことで、ナス特有の渋みもやわらぎます。
-
③ きゅうりは両端を切ってから5mm角に刻みます。みょうがも同様に5mm角に切ります。同じ大きさにそろえることで、見た目の美しさと口当たりの一体感が出ます。
-
④ 新生姜と大葉はみじん切りにします。新生姜を使うとやさしい香りと辛味が楽しめますが、普通の生姜を使う場合は、刻んだあとに水に軽くさらして辛味をやわらげます。
-
⑤ オクラは熱湯で30秒ほど茹で、すぐに氷水で冷やします。これにより色鮮やかさを保ちながら食感を残すことができます。冷めたら水気を拭き取り、ヘタを除いて5mm角に切ります。
-
⑥ ナスの水をよく切ったら、醤油(大さじ1/2)をまぶして、手でぎゅっとしぼります。この工程でナスに下味が入り、さらに余分な水分も抜けて味がぼやけません。
-
⑦ すべての具材をボウルに入れ、Aの調味料を加えてしっかり混ぜます。最後に昆布茶(約小さじ1)を加えて味を調整し、全体のバランスをとります。ラップをして冷蔵庫で1時間以上冷やすと、味がしっかりなじんで美味しさが増します。
冷やすことで野菜の水分と調味料がなじみ、まろやかな味に落ち着きます。
保存と活用方法
-
冷蔵庫で保存すれば5日間はおいしく食べられるので、週末に仕込んでおけば平日のごはん作りがぐっと楽になります。
-
ご飯の上にたっぷりかければ、夏にぴったりの「冷やしだし丼」に。
-
茹でたそうめんにのせて、ぶっかけそうめん風にすれば、さっぱりした主食になります。
-
冷奴の上にのせるだけで、簡単なおつまみや副菜にもなります。
-
焼き魚や冷しゃぶなどの主菜に添えれば、バランスの良いワンプレートに早変わりします。
日々の食事に取り入れやすく、作り置きの定番として重宝します。
笠原さんの工夫とポイント
-
新生姜の使用により、香りと味わいがより涼やかになっています。
-
合わせ調味料に酢やみりんを入れることで、酸味と甘みのバランスが取れ、味に奥行きが出ます。
-
昆布茶を加えることで、出汁を取らなくても旨味がしっかり感じられる仕上がりになっています。
-
切る大きさを5mm角に統一することも、見た目の美しさと食感の調和を高めるポイントです。
夏野菜の「だし」を活かした高齢者向け献立(メイン+副菜2品)
夏にぴったりの「山形のだし」を使って、栄養バランスを整えた高齢者向けの献立をご提案します。塩分は控えめに、たんぱく質やカルシウム、鉄分など不足しやすい栄養素を補いながら、噛みやすく飲み込みやすい工夫も取り入れています。見た目も鮮やかで、食欲が落ちやすい季節にもぴったりの組み合わせです。
メイン:もち麦入り枝豆ごはんと「だし」の冷やしかけ
【材料(2人分)】
・白米…120g
・もち麦…30g
・枝豆(むき身)…30g
・山形のだし(本文のレシピを使用)…大さじ4
・ごま…少々
【作り方】
・白米ともち麦を混ぜて炊く(少し水を多めにしてやわらかめに炊く)
・炊き上がったら枝豆を混ぜる
・茶碗によそい、冷やしただしをかける
・お好みでごまをふって完成
※枝豆で植物性たんぱく質・食物繊維をプラス
※もち麦のぷちぷち感は、やわらかく炊くことで噛みやすくなります
※冷たいだしをかけることで、食欲がない日でもさっぱり食べられます
副菜①:あさりとズッキーニの酒蒸し
【材料(2人分)】
・あさり(砂抜き済)…100g
・ズッキーニ…1/2本
・酒…大さじ1
・薄口しょうゆ…小さじ1/2
・しょうが(千切り)…少々
【作り方】
・ズッキーニは輪切りにしてやわらかくなるまで蒸し焼きにする
・あさりとしょうがを加え、酒をふって蓋をして蒸す
・あさりの口が開いたら火を止めて、薄口しょうゆで味を整える
※あさりで鉄分とビタミンB12を補給
※ズッキーニはやわらかく火を通して噛みやすく
※しょうがの香りで塩分控えめでも満足感があります
副菜②:カッテージチーズとトマトの梅ジュレ和え
【材料(2人分)】
・ミニトマト…6個
・カッテージチーズ…40g
・梅干し(塩分控えめ)…1個
・昆布だし…大さじ2
・ゼラチン…小さじ1/2(ふやかしておく)
【作り方】
・梅干しは種を取り、たたく
・鍋にだしを温め、ゼラチンと梅を加えて溶かす
・器にトマトとカッテージチーズを入れ、上からジュレをかけて冷やす
※カッテージチーズでカルシウムとたんぱく質を補給
※梅の風味でさっぱり仕上がり、塩分も抑えられます
※ゼラチンを使うことで、食べやすく滑らかな口あたりに
この献立全体で、エネルギーは約500~550kcal、たんぱく質20g前後、塩分は2g以下に抑えられています。夏らしい食材を取り入れながら、不足しがちな鉄分・カルシウム・たんぱく質をしっかり補う構成です。食べやすさと見た目、味の変化も楽しめるので、毎日の食事に取り入れやすくおすすめです。
おわりに
山形の「だし」は、暑い夏を乗り切るための先人の知恵が詰まった料理です。火をほとんど使わずに作れるので、キッチンに長時間立たずに済み、夏の調理にも最適。笠原将弘さんのアレンジによって、より簡単で現代の家庭にもなじみやすいレシピになっています。
作って冷やすだけで何通りもの食べ方が楽しめる万能常備菜。ぜひこの夏、冷蔵庫に常備してみてください。毎日のごはんがぐっと楽しく、そして美味しくなること間違いなしです。
コメント